アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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Acceleration Second44

「くっそ……ビビりすぎた」

 

 あきら救出作戦を終えてアバターのリフレッシュのために現実世界に戻って、再度《無制限中立フィールド》にダイブ。

 しかしテルヨシは離脱の直前に死亡してみんなとは離脱のタイミングがズレてしまい、離脱後にすぐに合わせろと脅されていたこともあって、本当に現実世界に戻ってから間髪入れずにダイブし直して合わせにいったのだが、黒雪姫とユニコが遠慮なしな性格なことも影響しじゃっかん早口になってしまったのだ。

 そのおかげで今度は1秒の誤差はないだろうが早くにダイブしてしまったテルヨシが待ちぼうけすることになってしまい、15分程度だろうが仕方なしに《黄昏》ステージとなっていたフィールドで文字通り沈みかける夕日を見て黄昏れることにした。

 

「ダイブし直すと場所もリセットされるのは面倒だなぁ」

 

 そうなるとやはり考え事に頭がいくのは普通で、正規離脱したことでまた梅郷中学校の校舎の上という現在位置に戻されてしまったのは、これから《東京ミッドタウン・タワー》に行こうという自分達からすれば、東門からの方が近かった事実は多少なりともげんなりする。

 またユニコがトレーラーを動かしてくれるだろうことは間違いないが、移動時間というのはそれなりにもて余すのがちょっとだけ嫌な感じ。

 

「あー、こういう時に備えて姫が今も持ってるはずの《幻想の手綱(ミスティカル・レインズ)》だったかのテイム用の強化外装でエネミーをテイムさせとけばいいのか」

 

「フム、その案は今後の参考にさせてもらうとしよう」

 

 そうして1人でいるといろいろ考えると同時にたまに閃くテルヨシがふと、黒雪姫のストレージにそんな便利品があったことを思い出してみると、いつの間にか15分くらい経っていたのか、ダイブして出現した黒雪姫に聞かれてしまう。

 かつては加速研究会のメンバーと思われる《サルファ・ポット》が《神獣級》エネミーである《ニーズホッグ》をもテイムしていた強化外装だ。

 さすがにメタトロンといったボスエネミーをテイムできるとは思えないが、飛行能力のある大きめのエネミーを上手くテイムできれば、これほど上等な移動手段はないだろう。

 とはいえ飛行能力を有したエネミーというのもなかなかにレアで、フィールド属性によっては出てこないとかあるので安定感はなさそうなのが問題か。

 黒雪姫もそういったことがあるからそれ頼りに今後の方針を立てるのは良くないと判断してあくまで参考にした程度と思われる。

 

「んだよ、ロータス。そんな便利なもん持ってんなら始めから使えよな」

 

「バカもの。テイムにはある程度エネミーを弱らせる必要があるのだ。この面子だからといって、移動に最適なエネミーを探して弱らせてとやってる時間でお前が移動した方が圧倒的に早いだろう」

 

「そりゃそうだけどよぉ」

 

 その話をさらに聞いていたユニコが混ざってトレーラーを出さなくてもいい雰囲気かと乗り気だったが、少し考えればわかる結論によってそうはならず不貞腐れてパドになだめられる。

 そうした話をしていたら続々とダイブし直したメンバーが出現して、早めにダイブしたテルヨシを除けばほぼ誤差なしでの集合にはテルヨシだけが落ち込む。

 

「さて、離脱前に少し話したが、先の《セイリュウ》戦での皆の精神力の消耗は大小様々だったことと思う。なので東京ミッドタウン・タワーへと向かう前に休息を取りたいのだが……」

 

 そのテルヨシは当然のごとく無視されて全員が揃ってから黒雪姫が口を開いて、これからどこか落ち着ける場所で休息を取りたいと提案する。

 しかしその肝心の休息場所が決まっていなくて言葉を濁した黒雪姫にすぐに答える者もいなく、チユリがここで休んじゃえばと意見するも、やはり無制限中立フィールド。

 エネミーや他のバーストリンカーとの遭遇の可能性を考えると誰かしらが見張りをしないといけなくなると却下気味に。

 

「休むといえば、フーねえ。あそこはダメなのですか?」

 

「そうね。わたしも考えなくはないけれど、ちょっと遠いのよね……帝城東門からなら、少し南に移動するだけで良かったんだけど」

 

 テルヨシも無制限中立フィールドで安置などあるのかと疑問しかないので、ここは古参の意見に耳を傾けようと黙っていたら、心当たりがあったらしい謡がフーコに提案をしていて、フーコも安全性は確保できているが遠いのがネックだと渋る。

 そこがどこなのかはわからなかったが、行ったことがあったのか話を聞いたハルユキが「師匠のお家があるじゃないですか」と賛同。

 お家というとまたそんなものがと疑いかけるが、そういえばショップにはプレイヤーホームを購入できるシステムがあって、鍵を購入することで特定の場所を私有地にできるとかなんとか話には聞いたことがあった。

 そのプレイヤーホームをフーコが所持しているようで、黒雪姫も「楓風庵があったか」となんか賛成の流れが形成されつつある。

 

「確かにここからは少し離れているが、幸いタクシーが配車されていることだし……」

 

「あのなぁ、次からは運賃取るぞ! まいたいそのフーフーアンてのはどこに……芝公園ン!? オシラトリの領土の奥で、すぐ右はオーロラの領土っつう魔境じゃねえかよ! なんでそんなとこに……」

 

「ふふ、23区でいちばん高いところにあるプレイヤーホームなのよ、赤の王。現状、自力で辿り着けるのはわたしと鴉さん、それと……運がいい日のアッシュくらいのものね」

 

 代替案が浮かばない以上、割り込む余地すらない会話はどんどん進んでいき、その話の中でフーコのプレイヤーホームがある場所はほぼ特定できたが、行ったら行ったでまたそこからの移動が大変なのではという疑問も生じる。

 でも話はもうまとまってしまい、セイリュウ戦での心意技の影響で千代田戦域にはエネミーが寄ってきてしまってる可能性があるので、山手通りを品川まで行って北上するルートが提案される。

 そうなると今度は渋谷戦域を通るのでグレウォから何か文句を言われそうと危惧するユニコだが、ただ通るだけで文句を言ってくるようなレギオンなら最大規模にはなってないだろうと黒雪姫も納得するようなしないような理由付きで問題ないと判断。

 

「ともかく、渋谷から品川コースは比較的危険は少ないと思う。オシラトリの実質的な本拠地は港区白金にある小中高大一貫の女子校と推測されるが、2km以上離れて移動すれば問題あるまい」

 

 確認するような黒雪姫の言葉に返す者はいなかった。

 しかしテルヨシは口には出さなかったものの、今の黒雪姫の言葉の中に疑問が生じる。

 聞かなかったのはそのタイミングではなかったからだが、黒雪姫は白のレギオン《オシラトリ・ユニヴァース》の拠点をほぼ正確に把握しているような発言をしていた。

 これは長い加速世界の歴史から徐々にわかってきたとかそんな話ではなく、テルヨシ達のようにバーストリンカーが例外なく学生であることから、その基本拠点が学校になることはままあることだろうことはわかる。

 そしてそこをバレないようにセキュリティーを上げるのも黒雪姫がやっていることだ。

 だからこそ白のレギオンの基本拠点が白金の女子校であるとピンポイント過ぎる情報を持つことがどういうことかに気づく。

 つまり黒雪姫は知っているのだ。白のレギオンのレギオンマスター《ホワイト・コスモス》がその女子校に通っているということを。

 それは黒雪姫がコスモスのリアルを知っている可能性が限りなく高く、場合によってはパドとあきらのような近しい関係にある可能性もあるため、ここでは大勢の耳に入ってしまうのを避けるべきだと判断。

 だからなのか、こういうことには割と口を挟んでくるテルヨシがだんまりなのが気になったか、反対意見が出なかったから、必殺技ゲージを溜めてから出発しようと締めて、各々が散らばってオブジェクトの破壊に移っていったところ。

 黒雪姫はまっすぐにテルヨシへと近づいてその耳元で小声で話しかけてくる。

 

「──気づいたな」

 

「何も言ってないじゃん。勘づきはしたけど……っていうか気づくような言い回しする姫が悪いし」

 

「……この作戦が終わったら、折を見て話す。だから今は……」

 

「だから何も言ってないじゃんって。本人が濁したことをぐいぐい聞くほど聞きたがりじゃないよ?」

 

「……いや、お前は割とぐいぐい聞いてくるぞ?」

 

 やはりテルヨシの観察眼には見抜かれていたと判断した黒雪姫は、この作戦が終わってからコスモスとの関係については話してくれると言うが、面倒なことに巻き込まれそうだからやんわりとお断りしてみる。

 それなのにどうせ聞きたがるだろうみたいな空気で話を進めるから困ってしまうが、すでに黒雪姫とは一蓮托生なところもあるので聞いてやるかと諦めて了承。

 また遅れてるとか文句を言われる前に皆に倣って必殺技ゲージを溜める作業に乗り出していった。

 

 滞りなく必殺技ゲージを溜めてから、皆を屋上に乗せたユニコの《ドレッドノート》は時速40km程度の速度を維持して山手通りへと到達し、その速度のまま予定通り渋谷方面に南下して北上するルートで目的地である旧東京タワーを目指す。

 その道中は2人くらいが周囲への警戒に当たって、残りはリラックスしながら雑談といった緩い感じでやっていたが、新宿戦域でも渋谷戦域でも目黒戦域でもバーストリンカーやエネミーなどに遭遇することもなく、不気味なほどにはスムーズに品川戦域まで到達。

 その品川戦域から北上し、港区戦域へと入る頃には、その視界にも旧東京タワーであろう巨大な白亜の塔が見えてきた。

 最後のオシラトリとの遭遇もないまま、30分かけて旧東京タワーのある芝公園へと辿り着き、その白亜の塔の前でドレッドノートを戻し全員が地面に降り立ち、この天辺にあるというフーコのプレイヤーホームを見えるはずもないのに見上げてみる。

 何せ現実世界の縮尺と同じなら、この旧東京タワーの天辺までは333mあるということで、これからこれを登ろうというのだから手段も限られてくる。

 

「さって、移動中に言おうかなぁとは思ってたけど、どうすんのこれ?」

 

「あら、アンタも登ろうと思えば登れそうじゃない?」

 

 着地のリカバリー手段こそあれど、これを登るとなるとさすがにハルユキに運んでもらうのが最善だろうなぁと思いつつ、一応は黒雪姫も何回かに分けて運ぶ案でいたようだった。

 しかしサアヤはなんてことないみたいな態度で《ブレード・ファン》を肩から下ろしてみせ、パドもパドで壁面に触れてみてから「たぶん登れる」とか言い出す。

 確かにパドにはビーストモード時に壁面走行能力はあったが、あれにはゲージ消費があるはずだと思ったら、ケロッとサラッと「移動中にボーナスで《常時全面走行》を取った」とかでゲージ消費なしでいけるようになったらしい。

 そのボーナス取得の早さには一同が驚愕し、そこからボーナス取得の再選択の方法があるにはあるといった話になったが、察しの良いメンバーは一様にあきらを見て現実的ではないなと結論し、察しの悪い子達にはあきらが改めて説明することで納得の流れに。

 確かにセイリュウの《レベルドレイン》を食らってレベルが下がれば、取得していたボーナスが失われて、新たにレベルアップすればボーナスの再選択はできる。

 だがそのためにわざわざセイリュウを怒らせてレベルドレインだけを食らって帰ってくるなど出来るはずがないとして、あきらからも黒雪姫からも実行しないようにと念押しがあった。

 

 それらを経て、ようやくタワーを登る段階に戻って、先行するようにパドがまずビーストモードへと変身し、その背にスモールサイズのユニコとマリアを乗せて掴まらせると、足の肉球らしきものがちゃんと壁面にくっつくかを確認して、

 

「K。たぶん頂上まで登れる」

 

「た、たぶん!?」

 

「……おそらく登れる」

 

「ぜ、絶対じゃないとダメですミャアさん!」

 

 そんなコントを繰り広げてから平面を走るように壁面を登っていってしまった。

 それを見送りながら今度はサアヤがその手のブレード・ファンを広げて構えると、何をやろうとしてるかをわかってるユリが真上辺りにジャンプして緩やかに降下。

 そのユリが地面に着地する前に広げたブレード・ファンを真上へと振り《ブラスト・ゲイル》を使うと、それと同時にブレード・ファンをストレージに戻して流れるように突風に煽られる直前のユリの両足を掴んで急上昇。

 

「んじゃお先ぃ」

 

「あっ! それズルい!」

 

 ブラスト・ゲイルは何か不動のもの──破壊不可のオブジェクトなど──に当たるまで直進を続けるという特性があって、その特性とユリのアバターの軽さとアビリティが組み合わされば、実質的に突風に乗っていれば無限上昇が可能になる。

 実際には風という現象が起こせる高度までということになるが、旧東京タワー程度の高さなら余裕で届くだろう。

 さすがは旧プロミの最強タッグは熟練度が違うなぁ、と割り込む余地すら入れされてもらえずに悠々と上昇していった2人を見送り、今度はフーコが相棒である謡を抱き上げて《ゲイルスラスター》でさっさと登っていってしまい、残りはテルヨシ、黒雪姫、ハルユキ、チユリ、タクム、あきらだけとなる。

 

「さて、ハルユキ君。この人数だとさすがに2回に分けねばならないかな?」

 

「そう、ですね……災禍の鎧の時みたいな運び方でも重量的な問題がありそうです」

 

「あー、あの飛び方ね。アキちゃんは形を変えられるからハルユキ君の体にくっつけばいけるでしょ。となるとオレがネックか」

 

「だから2回に分ければいいだろう。そのあとにハルユキ君に土下座でもなんでもしろ」

 

「いやぁ、最近はオレの土下座の価値が下がりつつあるのでそれは避けたい。だから自力で登ってみるわ」

 

 残りの人数的にはハルユキでも分けて運ばなきゃならない感じではあったが、両腕で黒雪姫とチユリ。両足にタクムをぶら下げて、体にあきらをくっつければテルヨシを残して運べそうなことにテルヨシが気づいてしまう。

 それならあまりやりたくはないが、余計な手間を増やすのもあれだから損な役回りになる発言をしてみれば、その方法がわからない一同から疑問が飛んでくる。

 まぁ仕方ないよなぁと思いつつ、サアヤにも登れるじゃないとか言われたのもあって、とりあえずやってみることにして壁面に向けて軽い助走からジャンプ。

 壁面を蹴って少し上昇して体を反転させて、今度は壁面に背を向けて足を前に出し《インスタント・ステップ》でその足場を蹴って少し上昇しながらまた反転して壁面を蹴ってジャンプ。

 これを繰り返せば、一応は理論上で登ることはできるが、5mほどの高さから着地したテルヨシを見ての一同の反応は冷ややかだった。

 

「そんな方法で333mも登る気力があるのか?」

 

「テル君、あまり無理は良くないの」

 

「テル先輩ってやっぱりちょっとバカなんですね」

 

「登頂と気力との戦い。どちらに分があるかと問われると……」

 

「あの、僕がすぐに戻ってきますから、先輩は大人しく待ってた方が……」

 

「…………ふんぬー! なんじゃいなんじゃい! 儂だって根性あるとこ見せたるわボケェ! 登ってみせりゃエエんじゃろオラァ!」

 

 いくらデュエルアバターに肉体的な疲労──呼吸や筋力低下など──がなくても、1回1mの上昇としてそれを300回以上も繰り返すのは精神的に折れる。

 その精神力が尽きた時は地面まで真っ逆さま。また登り直しになったら登ろうという意思さえも砕かれるのは間違いない。

 それを察したからこそ、一同の冷ややかな反応は納得できるのだが、こうも声援なしの反応をされると逆に奮起してしまう。

 何がなんでも登頂するしかないだろうと、怒りと同時にアドレナリンも出し始めたテルヨシは、それが切れる前に怒りを力に変えてタワーを登り始める。

 奇声に近い雄叫びを上げながら連続壁蹴りジャンプで登っていくテルヨシの姿は端から見たら珍妙極まりないだろうが、そんな体裁を気にするよりも始めから無理と断言してきた黒雪姫達への怒りが上回ってる現状、どうでもいいことなのだ。

 とはいえ登る速度的には秒速2m程度。

 単純に考えても登頂までは160秒くらいはかかってしまうため、後発のハルユキの飛行にもあっさりと追いつかれて、1度だけ速度を合わせたハルユキによってまたボルテージの上がる煽りが黒雪姫達から飛んでくる。

 

「まだ50m程度だぞ。全体の7分の1くらいだが、大丈夫か?」

 

「クロウが上から戻ってくるまで落ちないでくれればいいと思うの」

 

「うわぁ、本当にあれで登れてる……現実だったらギネス認定できちゃいそう」

 

「これはもうテル先輩のアバターのステータスが成せる技だよね。それでも登頂は気が遠くなるけど」

 

「あの、出来るだけ早く戻ってくるので、それまでは頑張ってください」

 

「茶々を……入れる……暇が……あるなら……さっさと……行けごらぁああ!」

 

 こっちは踏み外さないように集中してるのに横からやいややいやと言われると腹が立ちまくり。

 それほど煽ってもいないはずのチユリの言葉でさえボルテージが上がってしまってる今の状態は割とおかしいが、何でも怒りに変えでもしないと登りきれそうにないことを本能的に理解していたっぽい。

 そうした怒りの補充をしてから先に飛んでいってしまったハルユキ達を見る暇もなく唸りながらジャンプを繰り返していった。

 そしてそこから80秒ほど登って残りが100mを切っただろうタイミングで、上からハルユキが降りてくるのをチラッと確認したものの、ここまで来て自力で登りきらないのは男じゃないと、すでに怒りのボルテージは切れてただの意地で登っていた。

 だからここまで来るまでに一気に距離を稼げそうな珍技を思いついていたテルヨシは、近寄ってきたハルユキを手で制してから、壁面を蹴って空中に躍り出たところで《テイル・ウィップ》をとぐろ巻きにして足下へと持っていき、そのテイル・ウィップを足場にして接地。

 

「《インパクト・ジャンプ》!」

 

 そうすることで落下を始める前に真上へと飛ぶための角度を有した足場の確保をしてインパクト・ジャンプを発動することができ、一気に40mの大ジャンプに成功。

 必殺技ゲージを満タンにしていたので最大4回使えるインパクト・ジャンプをもう2回使って残りの距離を登ったテルヨシは、最終的にタワーの天辺より15mほど高く登ってしまい、急に現れたテルヨシにちょっとビックリした一同を見ながらに芝生の地面に華麗な着地を決める。

 

「フッ。我ながら自分の才能が怖い」

 

「……バカさ加減で言えばグラフにも負けず劣らずな気がしてきたぞ」

 

「そうね……デタラメって意味ではそうかもしれないわ」

 

「あまりグラフには似ないでほしいの」

 

「グラフさんと同じく扱いが難しくなられると困るのです」

 

「そりゃ無理って話でしょ。同じバカ仲間のモビールの《子》よ?」

 

「安心せいテイル。主がバカでも構ってもらえる範囲に留まればまだ大丈夫じゃ」

 

「NP。もうバカの仲間入りしてる」

 

「むしろテルからバカを取ったら何も残らねーだろ」

 

「バカなくらいがちょうど良い」

 

「マリアちゃんが何気に酷い」

 

「ぼくはこの突き抜け方はちょっと羨ましいと思えてきます」

 

「男として憧れちゃダメな流れ、だよなぁ」

 

 よく考えれば割と凄いことをしたのだが、それを素直に褒めるどころか呆れてしまった女性陣の反応が大変よろしくないが、同じ男のハルユキとタクムだけは羨望の眼差しを向けてくれたので、あまり男に好かれてもと考えるテルヨシも、この時だけはハルユキとタクムに泣きついてしまったのだった。

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