10時間ほどの休息と1時間程度のブリーフィングを旧東京タワーの天辺の庭園で行ったテルヨシ達は、ようやく本来の目的である《東京ミッドタウン・タワー》を目指して移動を開始する。
降りる際はみんな──黒雪姫とハルユキとフーコと謡が含まれない──して楽しんでユリの足を起点に連結しどこかのサーカス団かと言うような縦長の人の列となって降下し……たのは一瞬で、さすがのユリの《ディセント》でも8人分もの重量を支えるには至らず、ほぼ落下に近いスピードで降下。
すぐにヤバいと判断した下の方のパドがビーストモードで壁面へと跳び、それに便乗してさらに下にいたユニコとマリアがその背に乗って難を逃れ、テルヨシもあきらを身に纏うユリの足に掴まるサアヤの足から手を離して自分の足に掴まるチユリを回収しお姫様だっこ。
もう素直にこうしておけば良かったなぁとか失敗に終わった降下作戦に苦笑いしながら、キャーキャー楽しそうなチユリに一応はしっかり掴まっておくように言って、10秒足らずで見えてきた地面を見てから、激突のほんの少し前に地面と水平方向に《インパクト・ジャンプ》を発動。
先日のサーベラス戦にて身につけた新たなリカバリー方法によって落下エネルギーを殺して横への移動エネルギーに変え、ズザザザァ! と地面を捉えて着地。
「おおー! テル先輩やるぅ!」
「チユチユは度胸あるよねぇ。ほぼ落ちてたのに怖がらないんだもん」
「これでもテル先輩を頼りにしてますからね。まさか出来もしないのに真っ先にあたしを抱えたわけじゃないですよねぇ?」
「ホント、みんなチユチユくらい素直に信頼してくれればいいのに……」
「それは無理ですよぉ。テル先輩って黒雪先輩とかフーコ姉さん達と比べたら自信満々な感じがちょっと足りないじゃないですか。そういうのって女は鋭いですから」
「バーストリンカーになる女性はみんな度胸がありすぎる気もする」
無事に地上に到着したので抱えていたチユリを下ろして会話しながらみんなの到着を待つことになったのだが、嬉しいこととなかなかキツいことを半々くらいで言ってくるチユリに、裏表のなさが良くも悪くも出ているなぁと苦笑。
そりゃ姫達の度胸を上回るには足りないわな、とかなんとか素直に思っちゃった時点でテルヨシの敗北。
彼女らからの信頼を得るのが大変そうなのを今さらながらに認識してその彼女らが降りてきたのを確認。
1分程度で再び全員が揃って、サーカス団降り作戦の失敗を笑い合ってから気を引き締め直して移動を再開。
東京ミッドタウン・タワーまでは1、2km程度だが、作戦は電撃作戦のようなものなので、余計な不安要素──他のバーストリンカーやエネミーなど──を寄せ付けないためにユニコのトレーラーは使わず徒歩で移動。
歩く際にはいくつかのグループが形成され、先頭に黒雪姫とユニコ。その後ろにチユリとタクムが続き、パドとあきら、さらに後ろにハルユキときて、テルヨシ、サアヤ、マリア、ユリが固まって、
これから4大ダンジョンのボスエネミーとの戦闘が待ち構えているというのに、パーティーの緊張感は非常に良い感じ。
メタトロンが初見の人の方が多いのにこれはなかなか凄い状態なのだが、パッと見てもレベル9が2人。レベル8さえ今や4人。レベル7も3人──当時のあきらがこのレベルだったのを考慮した──いるのだから、その平均レベルの高さこそ異常に思えてきた。
「あー、こう物事が順調だと、どっかに落とし穴がありそうな気がしてくるわぁ」
「ガストよ、そういうことは言葉にすると現実になるものじゃぞ」
「知ってます! 言霊ってやつですよね?」
「さてはメイデンからの受け売りだろ。メイデンはそっちの雑学ありそうだし」
「違わないけど違うもん! ちゃんと2人で調べたもん!」
ここまでイレギュラーは少しあったものの、結果として無事にメタトロン攻略にまで辿り着くといったところに差し掛かれば、サアヤのように運の良し悪しを気にするのも仕方ない。
吉凶というのはほぼプラマイゼロに収束するとかなんとかバラエティーでもやっていたし、そこから考えたら今は確実に良い方に傾いているため、せめてこの作戦が終わるまでは傾いたままであった欲しいと思う。
それこそ現実世界でその分の不幸を被っても構わないと思えるくらいにはモチベーションも高まってきているし、運だけに頼るような気構えでいるつもりもない。
それでもわざわざサアヤが口にしたのは、心のどこかで抱いている漠然とした『やれないはずがない』が慢心に変わらないようにするため、だと思いたい。
サアヤは本心を棘で隠しちゃうツンデレさんだが、本当に本心を口にしちゃっただけかもしれないし、それを確認すると殴られそうだからやめておいた。
不測の事態など加速世界ではよくあることと。そう思うことでイレギュラーにも反応を良くすることはできるので、思考が止まることだけは避けようと考えていたら、前を歩いていたハルユキがパドとあきらと合流して何やら話をしていた。
内容を聞いていたら、かつてあきらが自分の救出のためにレベルアップを見送る行為……成長を停滞する行為に及んだパドに対して、心意技で記憶からあきらの存在を消そうとしたことが語られ、それも失敗に終わったこと。
そして今はレベルアップだけが成長なのではないと思い知らされたのだと。
そんな話にいつの間にか全員がハルユキ達に近寄って歩幅を合わせて移動していて、あきらの話に黒雪姫もかつてグローバル接続を切って隠遁生活を送っていたが、それも停滞ではなく今に繋がっていると話す。
さらにユニコもパドのレベルアップが見送られていた事情を知るのがプロミでは自分だけだったが、ちゃんと話せばメンバー全員が理解してくれると信じてると、案に気にするなと言ってみせた。
そうした2人の王の話にあきらは、過去を否定して今と未来を遠ざけるよりも、過去を受け入れて今を肯定し、未来に繋げることに意味があると意識を変えることが出来た。
「……繋げましょう。過去を、未来へ。そのために……今を、全力で戦いましょう」
そんな話に各々が物思いに
その宣戦布告が届いたかどうかはわからないが、作戦前にパーティーの士気が上がったのは良いことなので、その勢いを殺さないように皆に振り向いて作戦の最終確認を始める。
「では、ここでもう1度作戦を確認しておこう。メタトロンの
話しながら剣の先端で白い敷石に小さな正方形を描き、それをさらに囲うように大きな正方形を描く。
「小さい四角がミッドタウン・タワー、大きいのは東京ミッドタウンの敷地だ。敷地の北半分は公園になっていて、タワーまで障害物はほとんどない。ゆえに、突入は北の公園から行う」
「んで、まずはハルユキ君のアビリティでメタトロンのレーザーに対抗できるか判断して、行けそうなら前進。2発目までに全員がタワー内部に到達できれば上出来。無理そうならまたハルユキ君に頑張ってもらうと」
「その通りだ。あそこの交差点を右に曲がったら公園の敷地になるが、まずは周辺の警戒をしてくれ。エネミーや他のバーストリンカーがいたならば可能な限りやり過ごして落ち着いてから作戦を開始したい」
真面目な時は真面目にやるテルヨシはみんなにとって厄介らしいが、熟練度の違う黒雪姫は割り込みも意に介さず話を続け、その指示で全員が移動を再開してまずは公園の入り口まで到達。
黒雪姫の説明通り、公園の敷地内には障害物となるオブジェクトはほぼ存在しなく、だだっ広い草原の先に東京ミッドタウン・タワーである白い巨塔がそびえ立っている。
周囲にも人とエネミーの気配もなく、これならすぐにでも作戦は開始できるかと思われてこれから進む公園を最後によく見る。
「…………あれ、なに……?」
視野を広げていたこともあったが、大理石のアーチの手前で止まったチユリに続いて全員がそこで止まり、公園内のメタトロンの反応圏から30mほど手前に奇妙な楕円体のオブジェクトが存在していた。
高さ約7m。横幅も4mはあるそれはエネミーでもなさそうだが、オブジェクトとして出現するようなものもあそこにはないとフーコが指摘したため、正体は不明。
色も夕陽のせいで判然としないが、緑にも見えるし、黒にも茶色にも見える。
テルヨシも見覚えはないそれには首を傾げてしまったが、何やら心当たりのあるっぽいハルユキとチユリが自信なさげに確認し合っていたのを耳でだけ聞き、凝視を続ける。
すると夕陽に照らされていない漆黒の部分で瞬く鮮血色の光が見え、楕円体には見覚えはなかったがその光にはハッキリと見覚えがあったテルヨシは、それが間違いなくISSキットの眼であると確信。
つまりあれはエネミーでもオブジェクトでもなく、ISSキットを装着したデュエルアバターということだ。
「あれは……敵です!」
それと同時にハルユキも不確かなものから確信に変わったのか、声をあげて皆に警戒するよう呼び掛けて、その声に反応した一同もすぐに身構える。
だがその声が影響したのか、微動だにしていなかったデュエルアバターは長い眠りから覚めたかのようにのっそりと立ち上がり、こちらをいま認識したような気配が漂う。
「あいつ、《マゼンタ・シザー》の仲間なの」
まだ向こうから攻撃してくる気配はなかったが、次いで面識があるっぽいチユリが補足するようにそう口にすれば、この遭遇が単なる偶然ではないと思えてくる。
マゼンタ・シザーの仲間と言うからには、こちらにとっても明確な敵であることに間違いはないので、即座に先制に出ようとしたタクムを制したハルユキとチユリは、あのデュエルアバターに物理攻撃が全く効かないことを教え、すでに判明している弱点もハルユキが「炎と、ええと……」と曖昧なのにチユリが補足して叫ぶ。
「凍結プラス打撃!」
それを聞き終わるよりも早く有効打を放てるユニコ、謡、ユリが前へと出て、ユニコは右手に赤い過剰光を纏って拳を引き絞り、謡も《フレイム・コーラー》に火矢をつがえて発射態勢を整え、ユリも《リトル・ボム》を作り出し、そのリトル・ボムに青い過剰光を纏わせて爆発力を強化する。
「可能ならISSキットを狙え! 心意技による反撃にも気をつけろ! ──撃て!」
黒雪姫の号令と共に放たれた攻撃は鈍重そうなデュエルアバターへとまっすぐに迫って、確実に命中するタイミングに思えた。
しかし3人の攻撃が当たる前に突如としてデュエルアバターの全面が視認できるほど大きく口のように開いて、中身さえ見えないその奥から数発の《ダーク・ショット》が撃ち出されて迎撃。
心意技による激突で爆発が起きるかに思えたが、激突のエネルギーは相殺するように収縮して消えてしまう。
今ので明らかにおかしいのは、手からしか撃てないはずのダーク・ショットが複数発同時にデュエルアバターの体の中心辺りから放たれたこと。
謎の現象に観察眼を光らせていたテルヨシは、開いたままのデュエルアバターの口らしき中の暗闇に目を凝らしていると、その闇の中から突如としてデュエルアバターが次々と出てくる。
その誰もが例外なくその胸にISSキットを装着していて、横並びになったその数は14人。
「…………スピン……」
しかもその中には先日、ISSキットを装着してしまったことを確認できていた《ゲーテ・スピン》の姿もあり、かなり初期の装着者であることもあって、すでにISSキットの支配に抗えないレベルに達していたのだろう。
そしてそれらを率いるようにして出てきて最前線に立ったのは、彼らに寄生させた張本人であろうマゼンタ・シザー。
赤紫色の細身のスラッとF型で、全身を顔すらも包帯巻きにしたような装甲はミイラ人間といった感じだが、キットの支配すら受け入れて狂気に走っている様子は雰囲気からなんとなくわかる。
最後に彼らを体内? に収めていたデュエルアバターの体が萎むように小さくなって、そのサイズが2.5m程度にまでなったところで、驚愕するテルヨシ達に対して余裕すら感じる挨拶をしてきた。
「こんにちは、《シルバー・クロウ》。お久しぶり、《シアン・パイル》。また会えて嬉しいわ」
敵としてはそうそうたる面子の前にしてもハルユキとタクムに対して挨拶をするマゼンタの度胸は相当だ。
その自信を裏付けるだけのISSキットの熟練度と信頼があるのだろうが、問題なのはテルヨシ達を前にしても全く動じた様子がないこと。
それはつまりマゼンタ達の集団はテルヨシ達がここへ来ることを事前に察知して待ち伏せをしていたという事実に他ならなく、それは《アッシュ・ローラー》にISSキットを寄生させたのが意図的でこの展開を読んでいたとも言える。
しかしこうもタイミングよく待ち伏せを成功させられるわけがない。
《ブラック・バイス》という例外もいるが、途方もない時間を待ち続けるのは精神的な疲労が半端なく、何ヵ月も内部時間で待ち伏せをして成功したとしてもコンディションはボロボロになるはず。
しかしマゼンタ達にはその疲労を抱えている様子は微塵もなく、コンディションも万全にしか見えない。
その疑問は当然、他のメンバーも抱いているところだったので、話しかけられたタクムが会いたかったとか言うマゼンタに疑問を投げかけると、何故かあっさりと答える素振りを見せる。
そこからまずはヒントといった形で「待ち伏せにかける時間を感じなければ問題ないでしょ?」とトンチみたいなことを言う。
それである程度で謎に見当がついた黒雪姫が先ほどまで楕円体デュエルアバターの中にいたことを怪しむと、マゼンタも察しの良さを褒める。
その楕円体デュエルアバター《アボカド・アボイダ》の口の中には
だからマゼンタ達が実際に待ち伏せを開始したのは現実時間で午前9時頃だったらしいのだが、つい今しがたアボイダの口の中から出てきたマゼンタ達は、口の中に入った瞬間からすぐに出てきた感覚なのだとか。
実に5ヶ月ほどの時間を待ち伏せたマゼンタ達はさすがだが、その恩恵を受けられないアボイダ本人は実際にその時間をここで過ごしていたことになり、ユニコもそこを指摘したが、アボイダ本人がずっと寝ていたから平気だと返し、さらに何か言おうとしたのをマゼンタが制してようやくテルヨシ達イレギュラーであろうメンバーに目を向けてくる。
「初めまして、赤の王とプロミのお2人。それから《メテオライト》の破天荒コンビと小さな狙撃手さん。アナタ達は少々予想外だったけれど、会えて嬉しいわ。……アナタの言う通り、確かにワタシはアボカドに辛い役目を強いた。ワタシだけでも長すぎる待ち伏せに付き合うべきだったけど、そうしなかった。でも、待つのが面倒だったワケじゃないわよ」
「御託はもういいわ」
マゼンタとしてはこの場で対立する大義名分のようなものを言いたいところだったのだろうが、その言葉をバッサリと切り伏せたサアヤは、手に持つ《ブレード・ファン》を肩に担いで誰にもわかるレベルの闘志をほとばしらせる。
「待ち伏せの疑問が解けたならもういいわ。んで、アンタがそうまでして私達を待ち伏せていたなら、私達がこれからやることもわかってて立ち塞がった。なら話し合いなんて生易しい解決策はない。アンタがそうまでしてISSキットを広めたいなら、それを必死に守りなさい。それを私達は粉々に砕きに来たんだから」
「スイッチ入ったガッちゃんさすが……」
「じゃが言うとることは間違っとらん」
「悪役っぽい言い回しは気になっけど、どうするよ、ロータス」
「無論、ガストの言う通りだ。そちらに我々と対立する理由があるように、我々にもお前達と対立する理由がある。譲れないことならばバーストリンカーらしく拳で決めるしかあるまい」
「…………強引な人。ワタシ、アナタみたいに余裕のない人が嫌いよ、《エピナール・ガスト》」
「そりゃどうも」
どうせ長々と話したところで戦闘になることはわかりきっていたから、サアヤはそんな時間が無駄と判断してすっ飛ばしたが、その強引な進行に不満そうなマゼンタは明らかに苛立ちを見せた。
それでも言ってることは間違ってないからか、仕方ないといった感じで後ろのメンバーにも構えさせたマゼンタは、お返しとばかりにこちらの準備が整う前に先制の気配を出してくる。
「全員、メタトロンの功性化範囲に十分気を付けて、心意技もここぞというタイミングでだけ使え! 行くぞ!」
短い指示だが要点だけは押さえて全員の認識が統一されたところで、返事など待つ暇もなくマゼンタ率いる集団が先制のダーク・ショットを放ってくる。
「悪ぃガッちゃん。アンのこと頼む」
「はっ? 急になに……」
その直前に話を聞きながらもずっとスピンを観察していたテルヨシは、このタイミングになってもスピンだけはダーク・ショットを放つ素振りを見せなかったことに疑問を持ち、その答えを確かめるべくサアヤにそれだけ言ってメンバーの集まりから大きく横へと移動。
それをトレースするように統率の取れたマゼンタ軍からも抜けてテルヨシを追ったスピンは、しかしダーク・ショットを放ってくるわけでもなくアビリティ《ドライブ》を駆って得意の膝立ち走行で急接近してきた。
明らかに自我を失った者の動きではないが、これで確信を持てたテルヨシは、接近から跳び上がって振るわれた豪快な回し蹴りに回し蹴りで迎撃し相殺すると、難なく着地を決めて距離を取り構えたスピンに笑みをこぼす。
「やっぱお前は凄いよ、スピン」
スピンがこの場にいるのは間違いなくISSキットの支配によるものだ。
しかしこの局面でもスピンが心意技を使わないのは、もはや意地と言ってもいいほどの強靭な意思によってまだISSキットに抗っているから。
体は支配されてしまっているのかもしれないが、心でまだスピンは戦っている。だから心意技も使ってこない。
おそらくこれほどまでにキットの力に抗えているのはスピンの他には誰もいないと確信できるし、この2週間でスピンの悪評を聞くことがなかったのも、キットに抗い続けた結果なのだ。
「お前だけはバーストリンカーとして倒してやりたい。その誇りを守るために、オレが、この手で」
それがいつまで持つのかはわからないし、フェイクである可能性も捨てきれないが、テルヨシがそうしたいのだからもういいのだ。
横ではすでに心意技による凄惨な戦いが始まっていて、激しいエネルギーのぶつかり合いが音と光となって周囲に拡散しているが、そちらにスピンがいかないようにジリジリとさらに横へと移動しながら攻めるタイミングを探っていく。
──バリッ。
しかし不意に、微かといった感じではなく、明らかに電撃にも似た感覚がテルヨシの全身を駆け巡り、本能がその場にいることを拒み、何事かと移動していた横を見てみると、公園の敷地の外の建物オブジェクトの屋上に人型のシルエットが出現していて、その脇には明らかに常軌を逸した大砲レベルの砲身と口径を持つ《強化外装》がその銃口をこちらに向けて抱えられていたのだ。
「《バースト・ショット》ォォオオ!!」
誰かも確認する暇もなく、そいつから必殺技発声が豪快に叫ばれ、その必殺技には覚えがありすぎたが、まずは全力回避に動いたテルヨシとスピンは、直後に訪れた空間さえも抉るような砲撃が自分達のいた地点に着弾し激しい爆発の余波で吹き飛びかける。
そのあまりの威力で地面が抉れ……はしていないが、草の根も燃え尽きて爆心地とわかる惨状に逆方向に回避していたスピンも呆然としている。
「何で……お前がここにいるんだ」
その衝撃には黒雪姫達さえも動きを止めてこちらを見てきたが、テルヨシはそれを実行した人物がいる建物オブジェクトの屋上に目を向けて呟き、次いで本人に聞こえるように声をあげる。
「《ボッシュ・ルーレット》!!」