アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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Acceleration Second5

 約3年ぶりに開催された《七王会議》ではあったが、以前とはすっかり変わってしまった各陣営の諸事情などでいまいち進行が悪く、残り時間もあることだしとテルヨシはこの悪い流れを断ち切るためにその場で寝そべってあからさまな退屈ムードを醸し出し始める。

 突然のそれには隣のカタフがやめるように小声で言いかけたが、その前に目ざといレディオが不機嫌なオーラを放出してテルヨシを見てくる。

 

「その場で最も立場の低いあなたがそのような態度でいるのはどうなんですか。《蒼き閃光》?」

 

 その言葉によって会議も1度は中断のような雰囲気になって、みんなしてテルヨシを見ては冷ややかな視線を浴びせてくるが、それは甘んじて受ける覚悟でやった行動なので目論見には成功しあぐらへと戻る。

 

「じゃあ多数決とかそういうのでも決めるべきことはスパッと決めてくれない? 譲れない部分ってのは誰だってあるだろうけど、全員が納得できる妥協点ってのを出すのが建設的だと思いますがね」

 

「ほう。ではあなたが何か意見することでもありますか? 言い出しっぺとして」

 

「オレからは特にないよ。あるとするなら《シルバー・クロウ》を傘下に入れる《ブラック・ロータス》だろう。この件が議題に上がるのなんて予測できてたことなんだ。だったら目くじら立てないでとりあえずロータスの意見っつーか、提案を聞くべきじゃね?」

 

 そうやって王からわざわざ話しかけさせて発言権を得たテルヨシは、喧嘩腰なソーンやレディオをなだめつつ考える時間は十分にあった黒雪姫が無策で臨んでるわけもないとわかってたから、そのまま黒雪姫へと発言権をパス。

 それを受け取った黒雪姫はテルヨシがこうなるようにとした行動に気づいてアイコンタクトで「礼は言わんぞ」と示すと、本当にちゃんと考えてきた提案を王達に述べる。

 

「現状、クロウの手元に《災禍の鎧》があるのは事実だ。しかし先の一件の後はベルのおかげで非装着状態まで時間を巻き戻すことに成功し、自らの意思で再び装備しない限り、鎧の干渉は限りなく弱いようだ」

 

「だが『弱い』ってことは、そのまま持ち続けてるのも危険だわな。どうする、ロータス?」

 

「この一件でわかったことだが、鎧には対戦後も残る呪いや寄生といった属性が付与されている。だからそれらの属性を排除できる者に試させてみたいのだ」

 

 決して王達に頭を下げるような要求ではなく、対等な目線から「試させろ」と言ったに等しい黒雪姫は、先のイベントで壊滅的な被害を出さなかった功績がこちらにあるという立場も利用していて実に上手い。

 下手に下からいけばレディオ辺りから速攻で却下が入りそうなものだが、チャンスは与えるべきな空気を醸し出しながらのこれにはレディオもソーンもだんまり。

 しかしナイトが指摘したようにハルユキを蝕む鎧の干渉は弱いだけで全く問題ないわけではない。

 いくら試したいことがあっても、それが成功するかしないかはチャンスとはまた別問題になる。

 

「ロータスの話はわかった。それに対して意見も出ないみたいだし、それはまぁ大いに試せ。ただし」

 

「期間は必要ということだろう。ならば来週、またこの会議を開いてもらい、その時にクロウから鎧を排除した証明をする」

 

「それに関しては……あー、デュエルアバターのステータスやらを見れるやつがいるし、そいつを呼べばなんとかなるか。だがもしも鎧の排除に失敗した場合は、悪いがクロウに賞金を懸けさせてもらうぜ」

 

「その大義名分を得た鴉の退治に関して、対戦の勝利数に応じたバーストポイントの付与ということにしてはどうでしょうね?」

 

「ケッ。他人事だからってそういう話を意気揚々とするのは気分が悪ぃなレディオ」

 

「おやおや、前回の鎧の被害者が乗り気でないとは面白いものですね。ここは率先して事に当たるのが普通では?」

 

「誰だろうとバーストリンカーをこの世界から意図的に消そうって話だろ。それを楽しそうに話すお前の方があたしは普通じゃないと思うぜ」

 

 そしてちゃんとわかってる王達はこの話に期間を設けて、次回の会議でハルユキの今後を決めることまでスムーズに決定。

 鎧の解除に失敗した場合の話にはレディオとユニコが口論を繰り広げたが、ナイトがなだめるように2人に言ってから話を進行する。

 

「クロウの賞金についてはレディオのを採用する。その働きが加速世界に貢献するわけだし、危険も伴うんだから当然だ。ロータスもその覚悟で事に当たれよ」

 

「無論だ。貴様らにクロウを狩らせるような事態には決してしはしない。だからその間に『余計な茶々』は入れてくれるなよ」

 

 残り時間もいよいよ600秒を切ったこともあり、鎧の件はこれで終わる流れになったが、最後の黒雪姫が明らかにレディオを見ながら言うもんだから、そのレディオも口は開かなかったものの、その手を挙げて「そんなことしませんよ」みたいなジェスチャーはしてみせるが、おそらくこの場の誰もが100%信用はしていないだろう。

 だからこそあえて口にすることで『妨害があった場合は全てレディオの仕業だ』とする流れを作ったわけだ。

 これはもう日頃の行いとか言動で損したなぁとかなんとか思いつつ、言葉だけで牽制されたレディオの自業自得は影で笑い、流れをぶった切ってした鎧の話から加速研究会の話に戻る。

 とはいえ現状で加速研究会については何ひとつ明確なものがないために話そうにも何も具体的な話はできず、目的すらわからない不気味な組織については情報収集の継続と要警戒といったフワッとした決定になってしまう。

 

「なんか締まんねぇ話にはなったが、テイル、カタフ。とりあえずお前らんとこのバトロワ祭りでも何か起こるかもしれねぇ可能性は考えておいてくれ。今日もやるんだろうし、実際に何かあった場合は次回の会議で挙げてくれや」

 

「そんな悠長でいいのか? 1時間後の話を来週までってのはどうなのよ」

 

「それならガスト辺りから経由してプロミに話を通して周知させろ。カタフの方はソーンかレディオのとこと繋がらねぇか?」

 

「それならCCCの《レモン・ピエレット》さんと浅いっすが繋がりがありますっす」

 

「んならレディオに任すわ」

 

「やれやれ。どうして墨田戦域は私達の領土の近くにあるのか」

 

 いよいよ会議もお開きの段階に来て、ようやくテルヨシとカタフにも話が飛んできたのはいいが、何やら不穏な事を言うもんだから嫌になる。

 確かに多くのバーストリンカーが1度に集まるバトロワ祭りは不測の事態と呼べる何かが起きても不思議はないし、たとえ起きたとしてもそこらじゅうでドンパチやるから、その何かが起きても表面上は分かりにくいこともあり得てしまう。

 停滞してしまった加速世界において今やこのバトロワ祭りは、多くのバーストリンカーにとって腕を磨く場であると共に、領土からなかなか出てこない7大レギオンのバーストリンカーと真っ向から戦え、多くのバーストポイントが動くゆえに新たなレベルアップの可能性を秘めている。

 テルヨシ自身、このバトロワ祭りのおかげでレベル9になれるだけのバーストポイントを稼いだ──もちろんそれだけではないが──ので、努力次第で可能性は現実になる証明もできたわけだ。

 そんなみんなが楽しく盛り上げてきたバトロワ祭りに、加速研究会なんて得体の知れないやつらが介入してくるのは、どんな理由があろうと気分が良いわけがない。

 そうした意味でも呑気な対応のナイトには進言をして迅速さは修正してもらい、墨田戦域の方も面倒臭がりつつもレディオとカタフが繋がってくれた。

 

「そんじゃ今回の会議はこれで終わりってことでいいな。なんか他にあれば早く言ってくれ。残り時間も5分を切っちまってるし」

 

 その辺の話もすぐに終わり、いよいよ会議を終わらせにきたナイトの言葉に言葉で返す者はいなく、そんな空気をいち早く察して立ち上がったグランデがまず最初にバーストアウトしていき、それを皮切りにソーンと幹部達。レディオ。ユニコとパド。黒雪姫、ハルユキ、レイカー。いつの間にか消えていた《アイボリー・タワー》とバーストアウトしていく。

 

「あの、テイルさん」

 

 次々と各陣営が退場していく中で、テルヨシもそろそろ消えるかと立ち上がったところで、隣のカタフも立ち上がりつつ話しかけてきて、予想外の声かけにちょっと驚きつつ何かと尋ねる。

 

「こんな機会がないと会うこともないっすから、今のうちに言っておくっす」

 

「あんま焦らすなよ。ナイトが『早く出ていけよー。出ないとフィールド閉じちゃうぞー』って顔して見てるし」

 

「もしもテイルさんの都合がつくならでいいっすが、どこかで対戦をしてみたいっすね。テイルさんの噂はずいぶん聞くっすが、対戦したことがなかったっすから」

 

「へぇ。意外とバトルマニアの気があるんだな。オレもお前には興味がないわけじゃないし、とりあえず今週は無理だろうが、次の会議の終わり時にでもやるか」

 

「ホ、ホントっすか!? ありがとうっす!」

 

 会議の時はお堅いやつと思っていたが、仕事とプライベートを完全に別物として考えるタイプのようで、普段は割と頻繁に対戦をしてそうなカタフにちょっと好感度がアップしたテルヨシ。

 それに観戦すらしたことがないカタフとの対戦はテルヨシも心踊らないことはないので、ハルユキの鎧の件を他人事と片付けるのは難しいことからも、そちらに協力的であろうとした上で対戦は来週以降に持ち越しとする。

 対戦に対して好意的なテルヨシの返答には申し込んだカタフもあからさまなくらいに喜びを現し、ついでにその話が聞こえたっぽいナイトがコバルとマーガに「お前ら観戦してきてお願い」と小言してたのを聞き逃さなかった。

 まぁ対戦となったら盛大にやりたいので周知させてもいいかなと思いつつ、嬉しそうにしながら突然、我に返って待たせてることを思い出し、ナイト達にビシッとお辞儀をしてからバーストアウトしていったカタフを見届けて、ようやくテルヨシもナイト達に会釈してからフィールドを出たのだった。

 

 直前に不吉なことを言われたせいで、現実世界に戻ってきたテルヨシは、来た道を巻き戻すように電車を乗り継いで中野駅まで来る間、これから始めるバトロワ祭りでどんなことが起こり得るかをぼんやりと考えてみた。

 前回の《ヘルメス・コード縦走レース》での《ラスト・ジグソー》による心意システムの漏洩が意図したものであるなら、心意システムの存在を表舞台に出したかったと考えるべきだが、だからといって習得が容易じゃない心意が拡散的に広まることはあり得ない。

 事実、この1週間でもイベント時のシステム外攻撃については噂されはしても、明らかな心意技を使って対戦で連戦連勝! のような輩は耳にしていない。

 

「…………バーストリンカーが多い過密戦域はそうだが、逆に人のいない過疎戦域でのことは情報の伝達も遅いんだよな……」

 

 だがそれは対戦が活発な戦域だからこそすぐにわかることであることに気づき、普段から対戦があまり行われない東京の中心から離れた過疎戦域──世田谷戦域や大田戦域、江戸川戦域などがそうなる──でのことはあまり聞くことがない。

 もちろん耳が早かったり顔の広かったりで情報収集する者もそれなりにいるが、それが騒がないのだから目立った問題は起きていないのかもしれない。

 それならそれが一番だし、何かが起きると身構えて対戦に身が入らないなんてアホなことになれば、サアヤみたいな血気盛んなやつらに開幕から叩かれて即退場、なんて日常茶飯事なあのフィールドでは命取り。

 

「何事も楽観的な部分は持つべきってか」

 

 難しいことを考えるのは苦手ではないが好きでもないので、その辺は黒雪姫がもっとよく考えてくれるだろうと思考を切って、集中しなきゃ自分が真っ先に狩られるバトロワ祭りを純粋に楽しもうと意識を切り替える。

 たとえ何かが起きたとしても、予測し得たこととして混乱しなきゃいいだけ。

 最低限、それだけを頭の片隅に置いてニューロリンカーをグローバル接続したテルヨシは、その時刻が午後3時を指し示した瞬間に加速し、マッチングリストからバトルロイヤルモードを選択して、そこにズララッ! と並んだバーストリンカーの名前を確認せずに『デュエル』ボタンを押す。

 

 【A BATTLE ROYAL IS BEGINNING!!】

 

 心踊るその炎文字を見届けて《レガッタ・テイル》となったテルヨシは、構築された《世紀末》ステージに降り立ってまずは各表示を瞬時に把握しにかかる。

 そこでまず見るべき右上の相手を示す表示はいきなり3人。

 これはマズイと反射的に動き出したテルヨシは走り出した先に1人を発見するが、向こうもいきなりの遭遇戦で戸惑う様子が見えたので先制しておくかと考える。

 が、すでに混戦時の極限集中モードになりつつあったテルヨシは、攻撃される可能性の低いその相手を無視して、同じように動き出していた赤系アバターの狙いが自分に向いていることに気づき、即座に方向転換して建物オブジェクトを遮蔽物にし一時的に回避。

 そこからは建物オブジェクトの出っ張りなどを器用に使ってスルスルと登り屋上へと逃げると、表示がガイドカーソルへと移って相手の名前も1つに絞られ、コロコロとその相手が変わったり、ガイドカーソルがその度にぐるんぐるんして当てにならなくなる。

 他に高い建物オブジェクトがある関係上、テルヨシはそれでも低い姿勢で縁に待機しながら表示が落ち着くまでは待とうとするが、目に見える表示だけが全てではないことも知ってるので、1対1の対戦ではほぼ起こり得ない『ガイドカーソルの方向と別方向からの攻撃』への警戒を高める。

 勝手知ったる中野第2戦域。

 フィールドの属性が変わろうとその地形がまるごと変わり果てるなんてレアケースは《大海》ステージや、不人気No1の呼び声高い《下水道》ステージくらいのものなので、自分が今いる建物オブジェクトの高さから見るべき建物オブジェクトを見定めて、そこに誰かいないかを確認。

 するとまぁ、でっかい砲撃系の強化外装をどっしりと構えて、見れてる範囲の相手を片っ端から撃ってやろうって魂胆が丸見えの赤系アバターがここらで一番高い建物オブジェクトの屋上を陣取っていた。

 ああいう輩は必殺技ゲージが溜まると手がつけられなくなる可能性があるので、見つけたら割と早めに処理するか、射程圏外に待避するのが定石だが、今回はどちらもテルヨシが選択する必要はなかった。

 さぁいくぞ! と強化外装を構えた赤系アバターが攻撃に入ろうとした瞬間、その屋上におびただしい数の遠距離攻撃が降り注ぎ、一瞬で火の海になる。

 これぞバトルロイヤルといった光景だが、長い対戦の歴史から定石が生まれるように、その定石通りに事を進めることもまた難しくなってきているということ。

 高所を陣取って遠距離火力で無双。はずいぶん初期からある戦法だが、これを最後まで実行するにはかなり広い視野と見つかった際に対応できる高い機動力が必要になってくる。

 しかも初期からある戦法なわけだから、バトロワ祭り常連のバーストリンカーともなれば『とりあえずあそこに攻撃すれば当たる』みたいな当てずっぽうもできて、これが案外バカにならない驚異なのだ。

 今回は固定砲台の危機察知能力が低かったのも悪いが、たまにいる『定石潰し』が今回はいるようなので、テルヨシも長居は危険と判断してまだくるくるしてるガイドカーソルを多少無視して、屋上から静かに降りてすぐさま移動を開始。

 

 まだまだ周囲から聞こえる様々な音でわかる混戦模様のバトロワ祭りはもう少し続きそうなので、定石潰しもいることから回避に専念したテルヨシは立ち止まることなく戦場を駆け抜けて、音のあまりしない空洞地帯へと命からがらで到達して、自分のHPゲージが1割未満の減りで留まったことに安堵しつつ、極限集中モードをいったん解除。

 精神的な疲労も多いこれを維持し続けるのはテルヨシも後半に影響するので必要な休息だが、ようやく周囲の音も断片的なものへと変わってきて、その様相は局地戦へと移ったらしい。

 残り時間も20分少々となれば残り人数も20人を下回ったのは間違いないが、被弾も最小で回避を優先したせいで必殺技ゲージの溜まりが悪いテルヨシは、今のうちにオブジェクト破壊でゲージを溜めようとする。

 しかし右上の表示は常に誰か一番近くの相手を表示し、ガイドカーソルもそちらを向くことから、その相手が姿を現してはそれも叶わず、隙を見せないように緩く構える。

 

「よぉ。やっぱ常連は強いな」

 

 その相手はずいぶん前からバトロワ祭りの終盤まで生き残る武闘派のデュエルアバターで、その名前を《ゲーテ(Oethe)スピン(Spin)》というかなり彩度の高い青の近接M型。

 レベルも6と十分なもので、7大レギオンに属さない零細レギオンの傘下ながら、その実力は7大レギオンの幹部クラスとも遜色はない。

 テルヨシと同じようなフェイスマスクは比較的ありふれた造形で、身長も170cm程度ながら、それらはこれといった特徴ではなく、注目すべきはその両手足の肘から手首までと膝から足首までの部分にリボルバーのような回転式の駆動部分があり、これをアビリティ《駆動(ドライブ)》で必殺技ゲージを消費して回転させることで様々なことができるのだ。

 戦い方も豪快で、バトロワ祭りではいつも目に入る相手はまとめて相手するくらいの勢いで戦い、それで勝ち残ってしまうことが少なくないのだから本当の実力者なのは疑う余地はない。

 ゆえにこのバトロワ祭りでもテルヨシと同じく異名をとるバーストリンカー。いつでも臆すことなく戦い抜く者として《豪傑王(ヒーロー・キング)》と呼ばれている。

 なんとも逃げ腰な感じが拭えないテルヨシの《逃走王》とは打って変わって目茶苦茶カッコ良いので、超絶に羨ましいとは思ってるが、そういうスタイルを貫くスピンが凄すぎるのだから真似はできない。

 

「……ん?」

 

 そうした豪の者なスピンなので、普段からかなりテンションが高い方──スティングやアッシュといったウザい感じではなく、敵も味方も士気を高める感じだ──なのだが、今日は何やら様子が変で、そこに疑問を抱いたテルヨシは自慢の観察眼でスピンを観察。

 すると不思議なことにスピンの両手足の駆動部分が全く使われた形跡がなく、乱戦を制したならばいつも必ず傷くらいは付いているものだ。

 もちろんテルヨシのように乱戦を避けて逃げていたなら説明はつくが、スピンの性格で『逃げる』という選択肢が始めからないのは周知の事実。

 それでいて必殺技ゲージは満タンなのだから本当によくわからないが、再び口を開こうとしたテルヨシは、スピンのその手に『どす黒い心意の過剰光』が宿ったのを見るや、その身を回避へと移行する。

 

「《ダーク・ショット》」

 

 そしてテルヨシが動き出した直後に心意を宿した手がテルヨシの動きに合わせて持ち上がり、そこから《射程拡張》を施した心意のエネルギーが放たれた。

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