アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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Acceleration Second55-A

 ──心意とは『心よりいづる意思』。

 力の源にあるのは常に己の心より引き出される強い願望であり、それが一定以上の強固なイマジネーションを練り上げた時に、システムがそれを現実にしようとして実際に事象を上書きする形で起きる。

 その際に纏う過剰光はイマジネーション回路との接続の強度に比例し、強力な心意技にはそれなりのイマジネーションを練り上げる時間も必要になる。

 この心意システムが加速世界誕生の頃からパッチも当てられずに、他の抜け穴的な要素は異常なレベルで対応してくる運営側が放置しているのは正気を疑うような事実ではあるが、そうする理由が運営側にもあるのだろうと、テルヨシは習得の段階でおぼろげにではあるが考えていた。

 しかしひと一言に習得と言ってもそれは非常に困難を極める苦行に近く、デュエルアバターが自身の劣等感や羨望といった大多数の『負の感情』から形成されるのもそうだが、己の心の内から引き出される心意は己自身とも正面から向き合い、受け入れ、乗り越えなければ使うことすらできない。

 

 テルヨシは約7ヶ月前に渡米しての足の治療の際にその自分自身と向き合い、トラウマを克服するという試練と呼べるものを乗り越えて心意の習得に取り組んでいた。

 だからこそ《閃光の幻影》と《地獄の一撃》という2つの心意技を扱えるようにもなれたし、今回の作戦でも十分にその力を発揮できていた。

 しかしだ。この誰かさんのプレイヤーホームである学校に来て、相対した《ブラック・バイス》の胸の奥に刺を刺すような言葉でテルヨシは、ずっと考えないようにしていたことを考えさせられてしまった。

 

 ──君のその黒い心意には、とてもシンプルな『憎悪』と、そして『諦め』が含まれているね──

 

 別にテルヨシはそれを望んで地獄の一撃が纏う過剰光をどす黒い色にしているわけではない。

 しかしそうなってしまうだけの理由は確かに存在してしまっているのだ。

 テルヨシが習得した心意技の1つ、閃光の幻影は移動能力拡張のみの、文字通りのほぼ移動専用の技。

 ここにテルヨシが強くイメージするのは『誰よりも速く大切な人のそばへと駆けつけたい』という純粋かつ渇望にも似た願い。

 故にここには混じり気1つない正の心意として青い過剰光が全身を纏って、それが両足へと一気に集束し発動する。

 現実世界のテルヨシが未だその足で満足に歩き回れないことも加味すれば、その渇望はより強固となり、移動力だけならおそらく翼での全力飛行をするハルユキとほぼ同速レベルには昇華させられるだろう。

 そんな閃光の幻影は黒雪姫も太鼓判を押すくらいには実践レベルに練度を高め、その使用にも必要に迫られた場合のみで許可も出たが、そのあとに習得した地獄の一撃に関しては未だ黒雪姫からは『必要に迫られても使用するのは可能な限り控え、出来るなら1人の時には使うな』とまで言われてしまっている。

 移動能力拡張に加えて、攻撃威力拡張も加えた複合心意技である地獄の一撃は、その使用の際に『母親である皇遊佐(スメラギユサ)への激しい憎悪』を源としてしまっている。

 そもそもとしてテルヨシの人生において他に対して強い攻撃性を持つことなど皆無であり、本来ならば攻撃威力拡張の心意など習得すら出来なかったはずのものを持ち得たのは、遊佐がテルヨシの足が動かなくなった原因を作った従姉であり幼馴染みの白穂梓桜(シラホシサクラ)を影で虐待していたから。

 それを知ったテルヨシがサクラを守るため遊佐へと振るった拳には激しい怒りと憎悪が宿り、結果としてサクラを守り遊佐を収容所に隔離することはできた。

 だから地獄の一撃の力の根源は『大切なものを守るために誰よりも速く駆けつけ、脅威を徹底的に排除する』ことに集約していて、如何に閃光の幻影が正の心意であろうと、その攻撃性は負のエネルギーを帯びて過剰光がどす黒く変色してしまうのだ。

 その事を黒雪姫は良くは思わなかったし、何度も負の心意からの脱却方法を模索してもくれたが、テルヨシ自身がこれでいいと納得してしまって今に至っている。

 いや、正確には納得などしたくはなかったが、この心意技に関しては遊佐への憎悪なしに発動すら不可能であると気づいてしまったから、黒雪姫の優しさをはね除けて『諦めてしまった』だけだ。

 それをバイスは明確にかはわからないが看破し、しかし負の心意と知っていても使おうとするテルヨシの心までは理解できないと言っていたわけで、加速世界の黎明期から心意についてを研究し暗躍していただけのことはある。

 

 そうした背景があるためか、テルヨシはこの地獄の一撃に関しては引き出せるイマジネーションにある種の限界。

 天井とは違うが踏み越えてはいけない絶対的なラインを感覚的に定めて、負の心意が暴走したりしないようにブレーキを掛けていた。

 だからなのか、発動こそ他に引けを取らない心意技でも、そのエネルギーの密度に埋められない差があって、黒雪姫やフーコ達の正の心意を間近で見た時に自分の心意の濁り具合が情けなく思えていた。

 そして今、隔絶と呼べるほどのバイスの拒絶の心意を前にして、テルヨシは考えさせられる。

 ──お前の心意は何のためにあるのか。

 本当に負のエネルギーでしか引き出せない、諦めなければならないような攻撃の心意しかお前の内からは生み出せないのか。

 お前はまだ、心のどこかでトラウマを乗り越えられていないのではないのか。

 そんな自分への質問を内心で投げかけていけば、自分がどれほど弱い存在だったかを理解するに至り、遊佐への憎悪などは結局のところ『安易に心意を引き出すトリガーとしての逃げ道』でしかなかったと自覚するのだ。

 そうして遊佐を『悪』と断定し、その悪に対しての制裁──暴力による制止──を正当化し、自分のしたことを棚に上げてしまっているのが今のテルヨシ。

 その事から目を背けている限り、これ以上のテルヨシの心意の限界は上がらない。

 

「…………自分のしたことを認め、その先の未来を見る」

 

 遊佐との間に出来た溝はもう埋められないものとなったのは間違いないが、自分が遊佐に対してしでかした事の愚かさと残虐さを認め、謝ることくらいはできる。

 それからサクラに対して謝らせることだってきっと出来るはずだ。そんなことすらも出来ずにいた自分の愚かさをようやく受け入れたテルヨシが、目の前の拒絶の心意を改めて目にして、前へと力強く踏み出す。

 

 ──心意とは心よりいづる意思。

 テルヨシの中で攻撃性を持つ心意の根源が変化を遂げるには、新たな源泉を見つけなければならない。

 だがそんなものは探す必要も迷う必要もなく、今、目の前で磔にされたユニコとその間を隔てる壁を見れば自ずと見つかる。

 テルヨシが振るう新たな攻撃威力拡張の心意に込める願いは『あらゆる壁をぶち破り突き進む』こと。

 それさえ明確に定めてしまえば、テルヨシの抑圧されていたイマジネーションは上限など突破して迸り、閃光の幻影よりもさらに濃い青色の過剰光を両足へと集束させる。

 その変化には今も《八面断絶》を打ち破ろうと圧力を加えるハルユキ達からバイスとアルゴンも視線を外して驚く雰囲気を醸し出す。

 これならこの壁も打ち破れるかもしれないと、そんな予感に足を振りかぶる直前の動作までした時にふと、テルヨシの頭に心意の原理が引っ掛かる。

 心意システムは自身のイメージするものを具現化し事象を上書きして現象を起こすものだが、これが心意同士のぶつかり合いになれば、より強いイマジネーションが相手の心意を上書きして打ち破ることになる。

 ならばバイスのこの八面断絶の拒絶の心意に対して、さらに強力なイマジネーションで上書きすることで理屈の上では破壊できるということ。

 つまりイメージするのは『過程』ではなく『結果』。

 何物をも拒む壁に対してテルヨシが振り絞るイマジネーションは、その壁を自分の蹴りによって粉々に打ち砕く結果。

 だとすればテルヨシの蹴りには振りかぶって加速する動作も必要なく、蹴りを当てて打ち砕くイメージだけに集約してしまえばいいのではないか。

 動作はあくまでイメージの補助。大事なのは思い描いた結果を強く『事象の上書き(オーバーライド)』することだ。

 そのある種の境地に至った瞬間、テルヨシの両足に宿る過剰光がキーン、といった静かな音と共に小さくなり、しかし密度はとんでもなく引き上がったのが直感でわかる。

 何か歯車がガッチリと噛み合ってくれたような、そんな感覚の中でそれが失われる前に振りかぶっていた右足を蹴り出して目の前の壁へと打ちつける。

 

「──《流星突破(メテオ・ブレイク)》」

 

 元々ハルユキ達の力によってひび割れを起こしていた八面断絶だが、テルヨシの極限の心意による事象の上書きで完全にその耐久を上回り、蹴りの着弾点から一瞬の静寂を経て放射状のひび割れが一気に裏側にまで到達して、八面断絶はガラスが砕けるように木端微塵に打ち砕かれた。

 八面断絶が壊れる寸前にはユニコの中から4つ目の《インビンシブル》のパーツが能美に奪われてしまったものの、最後の1つを奪おうとしたところで八面断絶を突破してそのまま《スパイラル・グラビティ・ドライバー》を維持して落下したハルユキとタクムが能美の脳天めがけて攻撃を仕掛ける。

 しかしそれを即座にアルゴンのレーザーが狙い撃ち、4本のレーザーの内、2本はハルユキがアビリティで防ぐが、残りの2本がタクムに命中しバランスが崩れ、スパイラル・グラビティ・ドライバーは能美のすぐ横の地面へと着弾。

 直撃こそ防がれたものの、能美の略奪はすぐに動いたハルユキによって阻止されて、追撃に動いたアルゴンはパドが強襲し放たれたレーザーは逸れて校舎へと突き刺さる。

 さらにバイスもここまでくると迎撃ではなく回避を優先したらしく、ユニコを磔にしていた板を戻して地面へと沈めて後退。

 そうした判断をしたなら、せっかく奪ったインビンシブルを取り戻させないために迅速な撤退はしてくると見て、テルヨシもバイスが影の中に入らないようにしようとしたが、その時にはテルヨシの視界は90度傾いて見えていた。

 

「……あれ……?」

 

 誰に阻止されたわけでも、攻撃されたわけでもないはずなのに、テルヨシの体は大理石の床に倒れてしまっていて、そうと気づいたのがこのタイミングだったのが最悪。

 おそらくは今の心意技の発動の反動でアバターを動かす気力すら失った状態に陥ってしまったのだろうが、完全に動かなきゃいけない場面でのこれにはテルヨシも焦るしかない。

 その焦りと硬直を見抜いたかのように、後退したバイスはハルユキ達を警戒しつつもその視線は明らかにテルヨシへと向けていて、何を狙ってるのかと観察していたら、てっきり戻していたと思われたユニコを拘束していた右腕の板がテルヨシを挟み込むように床の影から音もなく出てくる。

 弱った敵を確実に叩く。実に堅実な策だが、万力のように左右から迫った板がテルヨシを挟み込み圧殺することはなく、その直前にハルユキの腕の中で零化から復帰したユニコが即座にその両拳に深紅の過剰光を纏って跳躍し、迫った板へと心意の炎で迎撃してくれる。

 八面断絶に左腕と右足を使い、かなり消耗のあるバイスは、これ以上の欠損を嫌ったか、ユニコの心意の炎を受ける前にあっさりと退いて板を影へと沈め回避すると、今度こそその板を戻して右腕を構成する。

 それを経て周囲を見回しながら大理石の床に着地したユニコは、今まで拘束されていた屈辱を怒りに変えて、本来は緑色のアイレンズが青みがかった白へと変色する。

 

「てめぇら……よくも好き放題やってくれたよなぁ……この借りは倍返しじゃ済まねーからな。10倍……いや、世話んなったツレの分も合わせて50倍返しだ。消し炭も残らねーくらいコンガリ焼いてやっから、覚悟しな」

 

 復活して早々の王たる堂々とした啖呵には味方のはずのテルヨシが小さく笑ってしまうが、頼もしい味方が復活してくれたのは心強い。

 そう思っていたらアルゴンを牽制していたパドがテルヨシへと近寄って《テイル・ウィップ》の接続部辺りを噛んで持ち上げその背中に乗せると、そのままユニコのそばへと移動し、ハルユキ、タクム、チユリも集合し離れた位置に陣取ったバイス達と対峙する。

 

「ったく、助けに来たやつが真っ先に助けられる側に助けられるなよな」

 

「返す言葉もありません」

 

「NP。テイルは十分に頑張ってくれた」

 

「……まぁメタトロン戦の時より傷も目立つし、そうなんだろうけどよ」

 

「頑張ったのはオレだけじゃないし、お礼とかはあとにしようか。今は……」

 

「おう。取られたもんを取り戻さねーとな」

 

 意識が戻るなりユニコらしい絡みでテルヨシと会話をしてくれたのはいいが、張り詰めている緊張感までなくなってしまう前に早々と切り上げて再びバイス達と向き合い、テルヨシはパドの背中で回復に集中する。

 

「いやはや、君には本当に恐れ入るよ、テイル君」

 

「ホンマ読めんくらい飛躍的な変化やねぇ」

 

「……何の話だ」

 

 そんな戦力外状態のテルヨシに称賛するような言葉を贈ってきたバイスとアルゴンに、何を言ってるのか本当にわからなかった──判断力も落ちていたのもあるが──テルヨシが反射的に聞き返すと「おや」と小さく漏らしてバイスが言葉を紡ぐ。

 

「どうやら無自覚での発動だったようだね。それはそうか。先ほどまではあれほどの心意を引き出せる可能性など到底ないレベルだったのだから、この場の様々な要素が偶発的に君をある種の『ゾーン』に導いた結果というわけか」

 

「それにしても自力であのレベルを引き出せたんはテイルちゃん以外には片手の指で数えるくらいしかおらんとちゃうかな。あとは……」

 

「アレイ、あまり多くを語るときっかけを与えかねないよ」

 

「……ホンマやね。そんくらい気をつけなあかん存在になってしもうたってことや。光栄に思いや、テイルちゃん。ウチらが危険と判断するんは割と多いけど、ホンマにヤバイと思うことはそうないんやから」

 

「あの心意、そんなにヤバイ代物なのか……」

 

 どうやらテルヨシが八面断絶にとどめを刺した心意は相当な代物だったような話が聞いてわかるが、これ以上の情報は今後、偶然ではなく意識的に扱えるようになるかもと危惧し口を閉ざしてしまう。

 そんなマイペースなバイスとアルゴンに主導権を握られるのを嫌ったか、ボルテージが上がりまくりのユニコが強引に割り込んで話をインビンシブル奪還へと戻す。

 

「こいつらの言うことにいちいち耳を傾けんな。今やんのはあたしの取られたもんを取り返すことだろ」

 

「お、おう。すんません」

 

「威勢ええなあ、おちびちゃん。4つも強化外装パチられたゆうのに大したもんや。ウチなら、この帽子いっこでもいかれたら速攻で泣き入っとるとこやで」

 

「……なら、お望み通り、そのウザったい外ハネ頭ごと引っぺがして泣かせてやるよ」

 

「あっはは、おっかないなあ。でもウチかて女の子やからな、ツルッパゲは勘弁や。それに、久しぶりに戦闘っぽいマネして疲れたしなぁ。あとは若いモンに任せて、高みの見物させて貰うわ。ってなわけで、ミーちゃん、よろしく頼むで。望みどおりに、新しいオモチャも手に入ったことやし」

 

 その威勢にアルゴンは茶々を入れてタイミング外しを怠らなかったが、こっちもこっちでただ仕掛けても残りのHPゲージが少ないだろう能美をうっかり倒しかねないし、そうなってしまえばバイスとアルゴンを何がなんでも1時間、離脱させないための戦いを強いられてしまう。

 すでに状況がユニコ奪還時と全く異なってしまっているのはテルヨシ以外もわかっているから、唯一残されたインビンシブル奪還の策を成功させるために全員が後ろのチユリを死守しつつ、撤退が濃厚なバイスとアルゴンよりもこれから動くであろう能美に意識を集中する。

 その能美は最後のインビンシブルのパーツを奪えずに落胆しているように脱力し沈黙していたのだが、アルゴンに話しかけられてすぐにその口から不気味な笑い声が聞こえてくる。

 

「ふ……ふ、ふ、ふふふふ。……最後の最後で邪魔が入ったのはムカつきましたが……でも、これは凄い……さすがは《王の力》と言うべきでしょうね……。昔、どこかの誰かから奪ったカッターだの触手だのケチくさい羽根なんて、これと比べればゴミですよ。4つ奪っただけで、3人分のキャパシティをごっそり持っていきましたからね……」

 

 さすがは略奪者といった愉悦でユニコのインビンシブルの力を自分の力のように喜ぶ能美には不快感しかないが、同時に4月にも抱いた感情がテルヨシの中に芽生える。

 

「これこそが略奪の快感! 他人が必死の努力で手に入れて、大事に大事に育ててきた力が、一瞬でボクのものに……ふ、ふふ、この力でもっと、もっと奪ってやりますよ……くくくく、くははは……はははは、あーっはっはっはははは!」

 

「…………お前は本当に悲しいやつだな、能美」

 

 ほとんど自分の世界に入って気持ちを昂らせていただろう能美だったが、高笑いをした直後に別に張り上げたわけでもないテルヨシの言葉で我に返ったように高笑いをやめて不機嫌そうな視線でテルヨシを見る。

 

「何ですか先輩。ボクはこの在り方を自分自身で選んでいるんですよ。それを悲しいだのなんだと言われても不快なだけです」

 

「略奪ってのはな、結局のところ『自分にないものをねだる子供のわがまま』なんだよ。自分がどうやっても得られなかったものを他人に求めてすがって。略奪の快感なんてのはその付属品でしかない。自分を育てることを放棄した、自分の時間を止めたバーストリンカー」

 

「ですからボクをその汎称で呼ぶのはやめてくださいよ。それに付属品は酷いですね。ボクのこれは生来のものであって、決して先輩が言ったような理屈が先に来るものではありません」

 

 きっとハルユキ達が聞きたくないだろう能美の高笑いを止める目的でしかなかったものの、絡んできたからには言いたいことは言おうと、パドの背中から降りてよろめきながらも1人で立ち能美と対峙。

 そのテルヨシに対してあくまでも平静で話す能美だが、探らずともわかる苛立ちが内側で爆発寸前なのを理解しつつ、おそらくは最後になるだろう能美との会話を続けてやる。

 

「気付けよ能美。オレが言いたいのはそんな表面的なことじゃねぇよ。略奪ってのは詰まるところ『1人じゃできない』ってことだ。馴れ合いが嫌いだ、仲間なんて反吐が出るなんて言っても、結局はお前以外のバーストリンカーがいなきゃ何も出来ない。繋がりを否定するお前は、最初から繋がることでしかこの世界に存在意義がないってことを自分で言って……」

 

「黙れ! 黙れ黙れ黙れ! もうあなたの言葉は聞きたくない! ああ! どうしてあなたの言葉はこう、ひとつひとつがボクをイラつかせるんだ! 黙ってボクにやられて苦痛に歪む声をあげろよ!」

 

 略奪でしか存在を示せない能美にテルヨシの言葉は認めたくないほどの核心を突いていたか、大多数の人間が見せる拒絶によって会話を終わらせにくる。

 それによっていよいよ能美がユニコから奪ったインビンシブルを乱暴に取り出す素振りでインストメニューを開いて呼び出そうとする。

 ブレイン・バーストのコマンドなどが嫌いらしい能美がそうしてボイスコマンドでも呼べるはずのインビンシブルを展開しようとした頃には、テルヨシも足手まといでいられないとその足に力を込めて力強く立ってみせるのだった。

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