──あれは止めるべきだったのかもしれない。
ISSキット本体との壮絶な心意技による攻防を経て、総力でようやく撃破の1歩手前まで追い詰めた時。
《ボッシュ・ルーレット》の《レイズ》の強化で絶大な威力となった《エリーニュス》の一撃を受けたキット本体が眼球部分だけを残してポータルの近くに転がったタイミングで、その本体から南の方向へ攻撃性のない赤い光が放出され、それがキット本体がこれまで溜め込んできた負の心意のエネルギーであることが本能的にわかったサアヤ達は、しかしここまでの攻防の消耗で全く動くことができなく見送ることしかできない。
目視して動けたと思われるマリアとユリもいたが、光が壁さえもすり抜けて飛んでいった様を見て攻撃してもすり抜けてしまうと判断したようだった。
この現象はキット本体が考えてやったことなのか、あらかじめこうなった場合──キット本体が消滅の危機に瀕した場合──にそうするように設定されていたかはわからない。
しかしどこかへと飛んでいった心意のエネルギー。あれこそが加速研究会が欲していた力であることは間違いなく、また新たな災厄が加速世界に生み出されようとしている可能性が高い。
加速研究会にはいつも後手に回らされているために、せめて企みを阻止することくらいはしてやりたいのだが、それすらままならない現実に歯噛みしつつ、今は残されたキット本体を完全に破壊してしまわなければと転がるキット本体を見る。
が、今やルーレットの破壊の攻撃によってポータルが存在する周囲の床は抜け落ちて、それによって謡が作り出していた溶岩沼も消滅。
さらに後ろではキット本体に致命傷を与えてくれた謡が力を使い果たして倒れてしまったようで、それに振り向くとマリアとユリが支えて抱いているのが見えた。
「お疲れ様じゃな、メイデン」
「ゆっくり休んで、メイちゃん」
その様子に少し安堵したサアヤ達は、ようやく動けるようになった体を起こして、フーコの車椅子を拾ってそれにフーコを乗せつつ、近寄ってきたユリとマリアが謡をフーコの膝の上に乗せてあげる。
一時的な《零化現象》に陥ってしまっているのだろう謡に改めてサアヤ達で労いの言葉をかけてあげて、ポータルの青い光の先に見えるキット本体を皆が振り向くが、もはや脱け殻に等しいキット本体が動く気配はほとんどない。
《レッド・ライダー》はあれがデュエルアバターだと予測していたが、こうして焼け焦げた眼球だけの姿になっても未だに自分達と同じデュエルアバターとは思えない。
人型から少し逸脱したデュエルアバターはいくらか見てきたものの、ああまで異形のデュエルアバターは前例がない。
それは黒雪姫達も同意見で、半信半疑な予測を疑問として《無制限中立フィールド》でデュエルアバターの名前を確認する方法はなかったかと黒雪姫が投げかける。
それができれば目の前のキット本体の名前が出た瞬間にデュエルアバターであることを確信できるが、残念ながら最古参レベルのサアヤやフーコ、あきらさえもそんなことができる方法を知らなかった。
「なら、方法は1つでしょ。私はもう《ブレード・ファン》がないし、致命傷を与えてくれたメイデンはいつ目覚めるかわからないんだから、リーダーのアンタがやりなさい、ロータス」
「ン、メイデンには申し訳ないが、我々の目的はキット本体の破壊と共にあのポータルを潜ることにあったからな。悠長にはしていられんか」
そうした方法はないため、残る手段としてキット本体を倒した時にデュエルアバターなら死亡マーカーが出現するかどうかで判断がつくし、大事なのは今も囚われの身であるユニコをこのフィールドから離脱させること。
ほぼ同時に出来ることならしてしまえばいいと、すでに自らの主武器を失ったサアヤが黒雪姫に促せば、フーコ達もそれで終わりにしようと賛同。
皆に背中を押されてキット本体へと近寄った黒雪姫は、とどめを刺すべく刃こぼれや剣先が折れたボロボロの腕を振り上げて一閃しようとした。
──ズズンッ!
まさにその瞬間、あまりにも突然、このミッドタウン・タワー全体を揺らすほどの衝撃波とプレッシャーが赤い光が飛んでいった南側から押し寄せてきて、何かの攻撃かと全員が身構え、キット本体にも目を向けるが、変わらず沈黙するキット本体が原因ではない。
あまりに巨大な力が遠くの方で解放され、その余波がここまで届いたとしか思えない現象だが、それほどの力がいったいどこで発生し誰が生み出したのか。
しかしその余波がサアヤ達に直接的なダメージを与えてきたわけではなかったので、そちらの確認もするとしてまずはと黒雪姫とキット本体の方に目を向け直すと、呆然と南の壁を見ていた黒雪姫がその目の前でまぶたを開けたキット本体の変化に気づくのが遅れた。
「サッちゃん!!」
その危険を知らせるようにフーコが叫び、即座に反応してみせた黒雪姫だったが、瞳孔から飛び出した黒い球体から無数の針のようなものが迫り、折れた腕の剣が振り払おうとしたものの、全てを切り裂くまでには至らずにいくつも胸部装甲に突き刺さった。
右手の剣がかろうじて間に入って侵食を阻んでいるようだが、キット端末と同じ力があるとすれば寄生される可能性が高いため、サアヤ達がすぐに処理しようと駆ける。
「待て!」
しかしそれを制止した黒雪姫は、もう精神汚染が始まったのかと焦るがそうではなく、ハッキリとした黒雪姫のまま止めた理由を口にする。
「私は大丈夫だ。ただ……こいつを通して、何かが聞こえる……いや、見えるんだ……」
侵食を受けてはいるみたいだが、それによってキット端末から何かを感じ取ったらしい黒雪姫はそれから口を閉ざして見えるという光景に集中したように見える。
それをハラハラしながらも見守った時間はわずか数秒ほどだったが、そちらに意識を持っていきすぎたのか、キット端末がどんどん黒雪姫へと自らを近づけて寄生しようとするのを見て、さすがにヤバイと叫びながら駆け寄る。
その声で戻ってきた黒雪姫も抵抗してはいたが、もはや《絶対切断》の双剣も見る影がない両腕では食い止めるのが限界でジリジリとキット端末が迫る。
おそらくこれがキット本体の最後の足掻きと思われるが、ここで黒雪姫を敵に回しては精神的に辛いものがある。
だから決死の思いでキット端末が飛ばす針を抜こうと殺到したサアヤ達がその針に手をかけて引き抜こうとした時、キット端末からガシャッ! というシャッター音のようなものが聞こえたような気がした。
すると直後に相当な力で黒雪姫に貼り付いていたキット端末が突然、動力を失ったように伸ばしていた針をダラリと垂れ下げて勝手に抜け落ち、キット端末も床に落下し動かなくなってしまった。
「……ライダー?」
「はぁ、はぁ、どうやらそのようだ……」
それによって間一髪で助かった黒雪姫と動かなくなったキット端末を見たサアヤは、直感ではあったが遠隔セーフティを使うと言っていた《レッド・ライダー》の言葉を思い出し呟くと、黒雪姫もそうだろうと肯定。
ならばキット本体ももう余力などほとんどなく、拘束する力に抗ったライダーが約束を守ってくれたということになり、最後に意地を見せたライダーに口にはしないが心の内で感謝する。
──ありがとね、ライダー。
目の前の脅威からもとりあえずは脱して、黒雪姫も直前で見ることに徹したほどのものを整理しながらサアヤ達に説明。
「……さっき私に寄生しようとしたキット端末は、何かとリンクしていたようだ。だがそれは、あの本体ではなかった……。ミッドタウン・タワーからずっと離れたところにいる何か……そして同じ場所に、ハルユキ君たちも……」
「テルとかは?」
「どうやら辿り着いた先で合流したようだ。赤の王も今は私がリンクしていたものの視点からハルユキ君たちと並び立っていたから、奴らからは奪還できたようで、ケーブルを抜いてくる必要もなさそうだ」
この場ではないどこかが見えていた黒雪姫の言葉は信憑性も薄いが、ここに至って嘘など意味を持たないので疑うことなく受け入れた一同は、ハルユキとテルヨシ達が無事に合流しユニコ奪還までを達成したことに安堵の息を吐く。
しかし気を抜くのはまだ早いため、それを示すように1歩前に出た黒雪姫は、目の前に転がるキット本体を見下ろしてその右腕を引き絞り、今度こそとどめの一撃を放った。
「《デス・バイ・ピアーシング》」
刃こぼれや損傷の激しい両手の剣だが、必殺技となればシステムアシストが働いて威力に問題ない刺突が繰り出され、キット本体の瞳孔の真ん中に突き刺さった瞬間、あまりにも呆気なくキット本体が崩壊を始めてしまう。
だがその現象はエネミーの消滅のそれや死亡マーカーとなるそれとも違い、体を構成していたデータが紐解けて1本の赤い粒子の帯となって天へと登っていくもの。
「……最終消滅現象……」
「まさか、本当にデュエルアバターだったとはの……」
その現象に見覚えのあったサアヤが驚くようにそれを見届け、その現象を起こすのが全損したデュエルアバターのみであることで黒雪姫達もまさかという気持ちが確信に変わっていた。
レベル9の黒雪姫に1度だけ倒されただけで全損したということは、キット本体だったデュエルアバターはすでに全損の1歩手前の状態だったことを意味し、彼だったのか、彼女だったのかさえ不明な粒子が完全に消えてしまうのを見送り、なんともやるせない気持ちになる。
「終わったのか」
それらを終えて少しの沈黙のあと、ポータルの下に開いた穴からひょっこりと出てきたルーレットが状況を察した上で確認を取りにきて、それには黒雪姫が答える。
「ああ、ルーレットもよくやってくれた。アホ娘などと呼んで済まなかったな」
「まったくだ。こんな壁抜きがアホに出来るか」
「そういえばどうやったのよ。上の状況は見えてなかったでしょ」
「年上臭いオバさんなのにわからないんだな。三平方の定理って知ってるだろ。高さと距離さえわかれば射角は計算で割り出せる」
──ピキッ。
三平方の定理は中3で習う勉強だしライダーの妹なら確実に中3でもないガキが理解してる方がおかしいんじゃないですかね!
と、またのオバさん発言のせいでキレかけたサアヤだったが、ギリギリで耐えて意外と秀才っぽいルーレットは説明をそれで終えてしまい、補足するようにマリアとユリが口を開く。
「ルーレットさんが落ちてった穴の上に私がいたので《シャープネス》のスコープについてた測定器で高さとキット本体までの距離をルーレットさんに教えていたんです」
「それで儂が撃つタイミングを見計らっておったというわけじゃよ」
「ふーん。計算もボンバーがやったんじゃないのぉ?」
「床に図解はしたけど、ちゃんと自分で割り出したっての!」
2人もやれることを精一杯やってくれた結果がルーレットの援護だったのには少々ビックリながら、それをやろうと示したのはおそらくルーレット本人。
ルーレットも床が抜けて落ちてからもやれることを探して何とかしようとしていたことがわかると、やっぱりなんだかんだで憎めないサアヤは、オバさん呼ばわりはムカつくが、労うようにフーコやあきらに頭を撫でられて照れるルーレットを見て小さく笑ってやる。
「だああ!! 子供扱いすんな! やることやったならさっさとポータル潜ればいいだろ!」
「そうしたいのは消耗から考えても山々なのだがな……我々はまだやらなければならないことができてしまった」
「ルーレット。あなたの力はわたし達を幾度となく助けてくれて、本当に感謝しています」
「あなたの当初の目的だったキット本体を倒した以上、私達の協力関係はここで終わり。その上であなたはこれからどうする?」
「お前ら……そんなボロボロでまだ何かするつもりなのか。人のことは言えんが、バカだな」
「あら、自分がバカだって認識はあるのね」
「茶化すでないガスト」
「ルーレットさん……」
子供扱いが嫌なルーレットがフーコとあきらを振り払いつつ、終わったなら帰れともっともなことを言うが、別行動になっていたテルヨシ達がピンチとわかれば行かないわけにはいかない。
だからこそ同じ目的で動いていたルーレットがこれ以上は付き合う必要はないが、ほとんど消耗もなく戦い抜いた超火力の戦力はサアヤ達にとってすがりたくなるほどに欲してしまうもの。
出来るならこのあとも……と口にはしなかったサアヤ達だが、そういった意味が含まれる問いに対してルーレットは、意図を汲み取ったのかサアヤに茶化されても少しだけ沈黙して答えに迷う。
「…………勝手にしろ。アタシは疲れたから帰る。レイズも最大値を2段階上げられたし、その助けをアンタらがしたのも事実だが、それに見合う働きはしてやったつもりだ」
「……そうか。残念だ」
「ふーん……そうなんだ」
悩んだ末のルーレットの答えはNo。
持ちつ持たれずの協力関係で考えてもイーブンくらいだろと言うルーレットに異論はなかったため、黒雪姫も本音を引っ込めて素直に諦めることを言う。
しかしサアヤは聞きながらルーレットが通ってきた斜めに伸びる大穴の先を見てそれだけが理由ではないとわかってしまう。
「アンタさ、エリーニュスはどこいったの? ここに持ってこれないのは重さ的に無理としてもさ、この穴の先にあってもおかしくないと思うんだけど?」
「ぐっ……う、うるさいんだよオバさん!」
「なんじゃルーレット。もしや儂らがキット本体を倒したとわかったから、エリーニュスをストレージにしまっておったのか」
「あ、それでレイズの強化がリセットされちゃったんですか。実はちょっとあの強化段階からのリセットで心が折れちゃったりですか?」
「うぅ……黙れ黙れ黙れぇぇええ!! 行かないったら行かないんだ!! 断じてレイズのリセットのせいじゃない!!」
手ぶらで上ってきた時から違和感はあったが、穴の先にエリーニュスもなければルーレットが全ての強化外装をストレージにしまってしまったことは明白。
そこをつついたら案の定で、ユリとマリアが追撃したところから白状して地団駄を踏む。
確かにあそこまで無双できる段階にあったレイズをリセットしてしまえば、サアヤでさえまた一から育て直すのは心が折れると思うので同情するが、それでも被弾などを考えればルーレットはまだ戦力になるのは間違いない。
それは黒雪姫達も思ったか、それだけが理由なら問題ないといったことを口にしようとしたが、その言葉を出させるより前にルーレット自身が口を開く。
「……レイズはまぁ……確かに理由の1つだけど、アタシはお前らが使ってた心意をまだ使えない。今のやつとでさえこのアタシが守られる側にいたのが素直に悔しい。お前らがこれからやることに心意が関わってくるなら、またお前らに守られる状況があるかもしれない。それはアタシにとって屈辱以外の何物でもない」
「ルー子……」
ずっとソロ同然の環境で育ってきたルーレットにとって、自分が守られる側にいるというのは想像以上の屈辱だったと吐露され、この先でもまたそうなるなら耐えられないと言われてしまえば、実際にそうなるかもしれない可能性がある以上は無理強いできない。
だがそれがサアヤ達の足手まといになりたくないという、他人を思って出てきた悔しさであるなら、それは今までのルーレットから出てくるはずのない感情。
「ねぇルー子。アンタのプライドもあるし引き止めはしないけど、少しだけ私の話を聞いてくれる?」
「……何だよ」
「ライダーも言ってたけど、今のルー子からは強さの『先』が見えないわ。この世界で強くなった先であなたは何をしたいの?」
「……それは……」
「余計なおせっかいと思っていいけど、もしもルー子がその答えをまだ持ち合わせてないなら、私達のレギオンに来なさい。私達は今、とても大きな目的を持って全力で動いてる。その目的にはルー子の力が……ううん、ルー子が必要だって今日の共闘で確信した。それに私はね、ライダーの言ったこと。仲間と共有する楽しみとか喜びとか、そういうものをアンタに教えてあげたいって純粋に思った。他と繋がるってことは辛いことも増えちゃうけど、やっぱりあとに残るのは『仲間がいて良かった』って気持ちがずっとずっと大きかったわ。まぁこれは経験則だけどね」
その気持ちが芽生えてくれたのなら、もしかしたらレギオンにも加入してくれる可能性はある。
そう思って話をしたサアヤだったが、話しているうちに打算的な思考は薄れていき、いつの間にかルーレットをこのまま元のソロプレイに戻すのを『勿体ない』と感じていた。
ルーレットはまだこの加速世界の『楽しさ』を知らない。
ゲームと割り切りすぎてデュエルアバターの中に確かな人の意思が存在することから目を背けている。
それを教えてあげるのは《親》代わりである《パープル・ソーン》で然るべきなのかもしれないが、やっぱり自分でも笑っちゃうほどの姉御肌がそうさせてしまったのだと思えば開き直れてしまう。
そうした話に黒雪姫達も同意するような頷きをしてみせ、それらを聞いて見て、ルーレットは今の段階での回答を述べる。
「……今はお前の言うことはよくわからない。だがお前らとの協力に不思議な感覚があったのは認める。ただ1つ確認するなら、お前の提案はお兄が『見守ってくれ』と言っていたから出てきたものか?」
「……ううん。これは私の性格がさせたこと。昔からライダーにはこの性格を姉御肌だって弄られたけど、性格なんだもの。仕方ないじゃない?」
「……やっぱりお前はオバさんだな。余計なお世話が過ぎる」
「ちなみにうちのレギオンに入ったなら、まずそのオバさん呼ばわりは真っ先に矯正するわよ。これでもまだ現役の女子中学生にオバさんはないっての」
ここでレギオンに入るかどうかは決めない答えではあったが、以前のように聞く耳さえ持たなかったルーレットからすれば進展だ。
1つだけ確認されたこともライダーの去り際のお願いを聞いていたから勘繰ったようだったが、今のサアヤにそんなお願いは先にきてしまった理由に過ぎない。
それがわかったルーレットは、それでもやはりここで決断するだけの心の準備は出来なかったようで「わかった」と一言だけ述べてポータルを潜ろうとする。
その時、再びミッドタウン・タワー全体を揺らすほどの衝撃とおぞましいまでの寒気を帯びたプレッシャーがサアヤ達の元にまで届き、その発生源が南側。テルヨシ達がいると言っていた場所であると確信する。
「のんびり話なんてしてる暇ないんだろ。さっさと行けよ」
「……ええ。ルー子も、後日でいいからちゃんと返事を聞かせて。今日はありがと」
「……じゃあな」
その余波のただならない感じはわかるルーレットは、これ以上の時間の浪費をさせないためにそれだけ言ってポータルを潜ってフィールドを離脱していった。
ルーレットの離脱によって少し残念な空気が場に漂ったものの、遅れて意識が戻った謡がすぐに状況を察して「まだやるべきことがあるのです」と力強く言ってしまえば、全員の覚悟は決まる。
「では行くぞ。そして全員で帰って文化祭の続きを楽しもう」
「ええ、そうね」
「なの」
「なのです」
「じゃな」
「ですね」
「……本当に、そうね」
満身創痍という言葉が当てはまりすぎるほどの消耗ですでにボロボロのサアヤ達だが、心の炎はまだまだ燃えたぎっている。
その炎でデュエルアバターを再び動かし始めた一同は、今も戦うテルヨシ達がいる場所を目指してミッドタウン・タワーを出発していった。