ユニコの《インビンシブル》奪還のために動き始めたテルヨシ達は、加速研究会が生み出してしまった《災禍の鎧マークⅡ》の依代となったインビンシブルの2門の主砲によってさら地と化して消し飛んだ誰かさんのプレイヤーホームとその周囲の建物や地形オブジェクトに驚愕する。
直径150mほどの範囲が何もないクレーターのようになったその中心には全くダメージを負った形跡もないマークⅡが静かに佇んでいて、その出で立ちはまさに悪魔といった印象を受ける。
生まれてすぐにこの破壊力を持つとなると今後の成長の伸びを考えれば、何としてもここで倒しておきたい。
そんな意気込みと共に《インビジブル・ステップ》を使って辿ってきた道を走って戻るテルヨシは、接敵するに当たっていくつか注意すべき点を反復。
まず両腕の主砲。あれを着弾させると今のような規模で破壊がもたらされてしまうため、足元に張りついて誘発させるようなことは出来ない。
撃たせるなら破壊の規模が範囲に入らない射角にするか、着弾しない空へと撃たせるかだ。
そしてマークⅡを装備している《ウルフラム・サーベラス》を直接攻撃しダメージが入るような攻撃もしてはいけない。
ただでさえハルユキとの戦闘で残り少ないだろうHPゲージを削り切って死亡させてしまえば、チユリの《シトロン・コール》をサーベラスに使えず、1時間の蘇生を待たねばならなく、そうなってしまえばまたマークⅡも全快して襲いかかってきてしまうからだ。
「狙うならインビンシブルのパーツだけ、か。難儀なもんだ」
もう1つ付け加えるなら、サーベラスを死亡させてしまった場合、あっさりと離脱していった《ブラック・バイス》と《アルゴン・アレイ》の両者、または片方がリアルのサーベラスのそばにいるなら、その間にニューロリンカーを抜くことで強制離脱させられてしまう可能性がある。
そうなるとたとえサーベラスを死亡させずにマークⅡを消耗させられても、その時が来てしまえば奪還のタイミングは失われることになる。
離脱してニューロリンカーを抜くまでの作業にはどうやっても現実時間で1、2秒はかかるはずなので、テルヨシ達に残された時間は残り20分あるかどうかといったところか。
圧倒的な負の心意をほぼ無尽蔵に使えるだろう相手に慎重になりたい気持ちがある中でタイムリミットを加えられる鬼畜ぶりは、こちらの消耗を考えても精神的に無理に等しい。
それでもやらねばならないのは、降下を始めたハルユキ達が戦闘の意思を見せるような挙動でマークⅡへと迫っていったのもあるが、何よりもあれが今後に撒き散らすだろう惨劇を野放しにすることが出来ないから。
マークⅡの主砲のチャージ時間を正確に測る余裕がなかったのが痛いが、幸いというのか再び動き出したマークⅡはその両腕を降下してきたハルユキ達がいる空へと向けて発射体勢に入った。
狙いはもちろんハルユキ達だが、2条のビームが発射された瞬間に高速でスライドしたハルユキによって全員がギリギリのところでビームを掻い潜り、発射後の硬直を狙ってハルユキから離れて自由落下から攻撃を仕掛ける。
ほぼほぼ同時だったが、最初にタクムの《ライトニング・シアン・スパイク》がマークⅡの単眼の中心を捉えて命中し、畳み掛けるようにユニコのハンドガン型強化外装《ピースメーカー》から放たれた心意の弾丸が爆発を生み、その爆発を意に介さないように《ブラッドシェッド・カノン》で捨て身の特攻を仕掛けたパド。
大規模な爆発を起こしてすぐにその中から飛び出たパドと入れ替わるように最後にハルユキが謎の4枚の光翼のうちの2枚が伸び上がって、鋭い槍と化したそれがマークⅡの単眼に突き刺さった。
しかしその連続攻撃を受けても単眼が破壊されることはなく、マークⅡ自体もまだ耐えて踏み留まってしまっている。
「うお……りゃああああ────っ!!」
あれほどの猛攻でも耐えられると効いてないんじゃないかと思うが、辿り着いた足元から見ればその単眼には確かなダメージとしてひび割れが見えて、そこにほとんど落下エネルギーを力に換えたチユリが渾身の《クワイアー・チャイム》をマークⅡの単眼へとぶち込む。
それでついに単眼レンズがいくつもの欠片となって破壊され、体もバランスを崩して後ろへと倒れそうになる。
自分だけ何もしないっていうのは癪なので、次々と着地したユニコ達と入れ替わるように跳躍したテルヨシは、マークⅡの胸部装甲にダメージは稼げないまでも全力の蹴りをお見舞いしてマークⅡを完全に後ろへと倒し、攻撃の反動で空中に一瞬だけ留まっていたチユリをお姫様だっこでキャッチし綺麗に着地。
……したかったがさすが緑系だけあり、消耗も相まってその重さに片膝をついてしまったが、女の子に「重かった」なんて口が裂けても言ってはならないので平静を装ってチユリを地面に下ろす。
「……よろめきましたよね、先輩」
「着地したら小石を踏んじゃったのよ。それが痛くてね」
「……そういうことにしておきます?」
「……ケーキのトッピング増しておきまーす……」
それでもテルヨシがよろめいたと気づいてしまったチユリの静かな圧力に耐えられなかったテルヨシは、仕方ないのでこのあとに奢るケーキのトッピング増しで手を打って解決。
こんなやり取りをこのタイミングで呑気にやってる場合でもないので、すぐに仰向けに倒れて動かなくなったマークⅡを見ながら、テルヨシが確認できていない主砲のチャージ時間をハルユキ達に問いかける。
そこはしっかりとカウントしていたパドがチャージ完了までは60秒と答えてくれて、今の2撃目も発射から20秒が経ったことを伝える。
「ニコとタクはあいつが動きそうになったら遠距離攻撃で止めて! パドさんは必殺技ゲージの回復を! 先輩は回復しながら警戒を頼みます!」
倒れてから行動不能状態にはなったようだが、残り40秒でチャレンジすべきかを迷った時、力強く全員に指示を出したハルユキに従って動いたユニコ達。
この場で指揮権を持つならレベル9のユニコが適任ではあろうが、秒単位で決断力を問われる状況で指示を出す勇気を皆が認めた証。
それならテルヨシが反論して時間を使うのは愚策にもほどがあるので言われた通り不気味なオーラを纏い続けるマークⅡに注視しながら、視界横で声をかけられてチユリが前に出たのを確認する。
「《シトロン・コール》!!」
左腕のクワイアー・チャイムを半時計回りに4度頭上で回してから、その必殺技発声によってクワイアー・チャイムから緑色の光が発生し、それがマークⅡの足を捉えると瞬く間にマークⅡ全体を包み込む。
必殺技ゲージを全消費する燃費の悪さはあるが、これを受けたデュエルアバターは現状から恒常的な変化を巻き戻される。
これによってマークⅡが受ける効果は、サーベラスⅢとして出てきていた《ダスク・テイカー》が《魔王徴兵令》でユニコから奪ったインビンシブルのパーツを奪う前へと巻き戻される。
チユリのシトロン・コールでは現状では4段階の巻き戻ししか出来ないが、ユニコが奪われたパーツもまたギリギリで4つ。その全てを取り戻すことは可能なのだ。
ただシトロン・コールは強力ゆえに発動から効果が出るまでに時間がかかり、対象をロックオン出来るわけでもないので、発動中にマークⅡに動かれてしまえば割と簡単に失敗してしまう。
そうさせないためにユニコとタクムがその素振りを見せたら攻撃できるように構えているし、虚を突くような行動にはテルヨシとハルユキが備えている。
最悪を想定するなら、このシトロン・コールが失敗しチユリがマークⅡの反撃を受けて死亡してしまうことだ。
そうなれば離脱したバイスとアルゴンのどちらかがリアルのサーベラスからニューロリンカーを抜く時間を稼がれてジ・エンド。ユニコのインビンシブルを取り戻すチャンスはほぼなくなってしまう。
常に最悪を想定しておけば、たとえ虚を突かれてもそうはならないようにいち早く動けるため、決して無駄な思考ではない。
そうこう考えているうちにシトロン・コール発動から5秒ほどが経過し、あともう数秒で巻き戻しが起きるといったタイミングで、やはり簡単にはいかなかったか、倒れていたマークⅡが突如としてその両足をビシッ! と直立させてくっつけ、その足に腰から折り畳まれるように上体が跳ね上がって重なる。
人間の体で言うなら長座体前屈で頭まで足につけた感じだが、尺としてはマークⅡの頭は両足の先端だった部分にまで来てるので上半身と下半身で同じ長さということになる。
さらに左右に出ていた腕も隙間を埋めるように収納されてさっきまでの人型から見る影もない箱型の物体へと変化。
その変化によってマークⅡの弱点である単眼がテルヨシ達の真正面に姿を現し、レンズの割れた単眼の奥には底知れない闇が満ちていた。
この動きにはもちろん警戒も反応もしていたテルヨシ達は、ここからチユリのシトロン・コールから逃れるような動き。もしくは攻撃してくるようならすぐにでも離脱・攻撃できる体勢を整えていた。
それからマークⅡが単眼の中で明滅する赤い光を少しだけ強くした瞬間、構えていたタクムとユニコが動くと察知して即座にその単眼へと攻撃を叩き込んだ。
しかしその攻撃は直前にシャッターのように閉じられたオーラを纏った強固な装甲板によってあまりにも無情に弾かれてしまい、唯一の弱点である単眼が塞がれたことでマークⅡの動きをキャンセルする手段がなくなる。
そうなってしまえばマークⅡが『ディルル……』と低く唸ってから謎の駆動音が沸き上がるまでにどうすることもできなく、地面との接地面から砂煙が起こり、完全に動くとわかった段階でシトロン・コール発動まで残り2秒。
あと2秒と粘るチユリの気持ちもわかるが、恐ろしいまでに攻撃の意思を発したマークⅡから逃げるように《テイル・ウィップ》をチユリの胴に巻きつけたテルヨシは、それと同時にマークⅡの正面から外れるように左へと横っ飛び。
ハルユキ達も同様に正面から逃げるように回避したのと同時にマークⅡが謎の推進力で爆発的な加速で突っ込んできてテルヨシ達の横を抜けて後方へと流れる。
それによってチユリのシトロン・コールは対象を失って失敗してしまうが、あのまま続けていればマークⅡに轢き殺されていたのだから判断は間違っていない。
「あと2秒だったのに……」
「めげてもしょうがないよ。次で成功すればいいんだから切り替えて。タクム君、チユチユの護衛を頼むね」
「チユ、タク。南のクレーターの先に壊せそうなオブジェクトが見えたから、そっちに行ってくれ」
「了解。戻ってきた時にみんな倒されてたなんてことにならないでくれよ」
「おっ、ハカセも言うようになったな」
シトロン・コールに失敗してチユリは悔しがるものの、テイル・ウィップから解放しつつ切り替えさせるテルヨシの言葉にさすがな早さで順応し、マークⅡが左右3つずつあったタイヤでスピン・ターンを決めて再び正面を向けてくる間に、チユリとタクムは必殺技ゲージを溜めにクレーターから走って抜けていく。
「にしてもあのバケモノ。《ドレッドノート》まで出来んのかよ」
「パーツが足りないから重量感はないけど、その分で速そうではあるな」
「弱点の単眼も金属装甲に守られちゃいましたけど、視界は必要なんですかね。少し開いてます」
ユニコのドレッドノートまで真似て変形したマークⅡの学習能力は驚異的ながら、元が強化外装なのに完全に閉じていた単眼を守る装甲が視界を確保するようにわずかに開きその奥の光がテルヨシ達を射抜く。
50m程度の距離で睨み合いながらも獣のように襲ってくるでもないマークⅡの不気味な沈黙には緊張するが、その間でユニコが不意にテルヨシとハルユキに助けに来てくれたことへの感謝を述べて、今回の事態を招いた責任が自分にあるとか語り始める。
3人とも顔を向け合うようなことはせずにマークⅡから視線を外さないでいたが、そこからユニコが言わんとすることがわかったのでとりあえず聞くだけ聞いておく。
「──あいつとのケリは、あたしがつける。あんたらは、パイルとベルを連れてミッドタウンに戻れ。心配すんな、あいつを片付けて強化外装取り戻したら、あたしとパドもすぐに……」
「戻る時は一緒だ、ニコ。僕は、約束したんだ」
筋を通すと言う意味でユニコの決断は立派なものだが、それを言い切るより前にハルユキは却下。
ほぼ予想通りの言葉だったのでテルヨシも年長としてハルユキの言葉に賛同しつつ理路整然と口を開く。
「立派なご決断ですがねぇ、ニコたん。たとえそれに従ってオレ達がいなくなったとして、どうやってあれからインビンシブルを取り戻すつもりですかね? 消滅不可能な《七星外装》ならいざ知らず、全損させたとしてもインビンシブルが移動する可能性は低いでしょ。第一、全損させるにしてもレベル8と9の2人じゃ、どのみちサーベラスは1度じゃ全損はしないしね。その辺の問題を納得のいく形でご説明いただければ、我々も従うのはやぶさかではありませんが?」
「ぐっ……こ、の、や、ろ、う、がぁ…………ああねぇよ! 取り戻す算段なんてねぇけど、あんたらが背負う必要のねぇもんだって言ったんだよ! 悪いかコラ!」
「開き直りの逆ギレやん……」
ハルユキに対しては何故か柔らかい態度なのに、テルヨシがド正論をぶつければ何故かキレられて理不尽さが拭えないが、そんな本音が出てしまえばもう撤退しろとは言えなくなってしまったユニコは、自分を落ち着かせてから切り替えるように覇気を言葉にする。
「……しゃーねぇ、一緒にあいつをぶっ飛ばすぞ!!」
「了解!」
「最初からそうすりゃいいのよ」
改めて全員で戦う意思を示してみせ、その闘志に反応するようにマークⅡの装甲の隙間から障気のようなオーラが吹き出して単眼を守る装甲がさらに開き、左右に備えた主砲をガショッ、とテルヨシ達に照準してくる。
チャージ時間はもう問題ないのでいつでも発射できるとは思うが、学習能力からしてバカみたいに単発ではもう撃ってこない可能性があるため、どうにかしてまた主砲の2発を『撃たせなければならない』。
それがマークⅡの望むタイミングではなく、テルヨシ達が望むタイミングで撃たせるには、向こうが『当たる』と確信する隙を見せる必要があるが、それを避けるのもまたシビアなものになる。
着弾すら許さないとなると地上戦オンリーのテルヨシではクレーターの中で狙われたが最後、確実にどこかに着弾し2つ目のクレーターが出来上がって終了。
それがわかってるからか、翼を広げたハルユキがテルヨシとユニコに声かけして呼び込み、左右からホールドする形で空へと上がる。
それに合わせてマークⅡの主砲もその砲口を上へと向けてきたので、このままいけば直撃しなければ被害が出ることはないが、ハルユキのスピードを削ぐ要素は減る方がいいのは間違いない。
「ハルユキ君、手を放していい。少し挙動を見てみる。あと足を借りる」
だからテルヨシはハルユキから手を放してもらってから、落下の途中でハルユキの足にテイル・ウィップを巻きつけてぶら下がり、縦に伸びたこちらを見てマークⅡがどんな反応をするかを見ると、翼の面積分で命中率を重視したか、主砲のどちらもテルヨシを狙うような修正をしてこなかった。
「降りる。避けろよ」
「はいッ!」
そうしてテイル・ウィップを足から放して地面に着地したテルヨシは、直後に放たれたマークⅡの主砲が頭上を通過したのを見ると同時にマークⅡへと肉薄。
しかし虚無属性のレーザーは1本しか見えず、そこにゾワッとした感覚が襲う中でマークⅡを見れば、やはり主砲のレーザーを時間差で撃ったらしく、走り出した時に2発目がハルユキとユニコを襲った。
避けたと思ったところへの2発目はヒヤリとしたが、驚異的な旋回で直撃を避けたハルユキは、無理な制動でバランスを崩しながらマークⅡへと迫る急降下へと入り、主砲の2発で倒せなかったマークⅡもチャージ時間を稼ぐようにタイヤを後転させて距離を取ろうとする。
さらに見えていた単眼も装甲で守ろうと閉じかけたが、そこはいち早く反応したユニコがピースメーカーの連射で動きを鈍くし、その隙にハルユキの《光線槍》が単眼を捉えて装甲が閉じるのを阻止。
そしてマークⅡの上に着地したハルユキ達に続いてテルヨシも到着し、勢いを殺さずにハルユキが光線槍を引き抜くのと入れ替わりに強烈な飛び蹴りを単眼へと叩き込む。
『ディルルル……ルルゥ!』
攻撃後にすぐに足を引き抜いてマークⅡの後方へと転がったテルヨシは、即座にユニコがピースメーカーを撃ち込み、悲鳴のようなマークⅡの咆哮を聞きながら落下する前に装甲を掴んで前を見る。
そこからさらにハルユキが《光線剣》を突き入れようと腕を引き絞った時、テルヨシの視界の左右から影が射して、反射的にその場から飛び去ってしまうが、わずかに広がった視界が捉えたのは、左右に収納されていたマークⅡの両手が上に乗るハルユキとユニコを掴んで拘束したところ。
マークⅡの後ろで着地しながらも、すぐに前へと出て飛び乗って助け出そうとしたが、タイヤを後転させたまま後ろのスラスターを噴射するという明らかな攻撃目的のマークⅡの動きに体が反応してしまう。
前方に壁のように広がったスラスターの噴射炎はゴウッ! という音と共に壮絶な温度でテルヨシへと迫り、直撃すれば装甲が溶かされると前に出る力を無理矢理に止める《インスタント・ステップ》で見えない壁を蹴り後ろへと下がって噴射炎の直撃を回避。
いくらかの熱はデュエルアバターに伝わってダメージになるが、欠損などは出ずにやり過ごしてバック転とテイル・ウィップで体勢を整えることには成功。
『ディルルル!!』
ギリギリの回避ともあって落ち着く間が欲しかったテルヨシだが、そんな時間すら与えないといった狂気でスラスターの噴射を止めていたマークⅡは、その反動を打ち消すために後転させていたタイヤは止めず、結果としてそのままバック走行で猛烈なアタックを仕掛けてきた。
「こんのやろうがぁぁあ!!」
10mとない距離を一瞬で詰めたマークⅡの突進に横への回避が間に合わないと理解したテルヨシは、悪態をつきながらバック走でわずかに衝突を遅らせて、その間にテイル・ウィップをマークⅡに接触させる。
そこからテイル・ウィップでマークⅡと接触しない距離を保ったまま体を持ち上げてマークⅡの速度に乗ってしまえばダメージはない。
瞬発力とテイル・ウィップの繊細な操作が可能にした回避法だが、それを実行に移せたのは磨いてきた観察眼あってのことだ。
しかしいつまでもマークⅡがバック走行を続けるとは思えないので、一瞬だけ地面を蹴って体を跳ね上げて一気にマークⅡの上へと生還を果たし、改めて拘束されるハルユキとユニコを見ると、今まさにハルユキが拘束されていない腕を引き絞って単眼へと攻撃しようとしていたところ。
だがマークⅡはそれを阻止しようと急ブレーキと一緒に両手をぶつけてハルユキとユニコをまとめて攻撃してしまうのだった。