アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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Acceleration Second67

 サアヤの自宅訪問イベントから一夜明けて、浮かれた気持ちをリセットして目覚めたテルヨシは、朝食にマリアの好きなフルーツもりもりミニクレープを付けて昨夜の不快な思いをさせたお詫びでご機嫌を取って登校。

 また始まったいつも通りの日常の中で、少しずつでも確実に変化してきているものはあるとおぼろ気に考えながら、これからのことについてもしっかりと考えていく。

 まず忘れてはならないのは加速世界の最大の敵である加速研究会。

 どんな崇高な目的があろうと、多くのバーストリンカーを。事によっては全バーストリンカーを巻き込んで事象を起こしてきた彼らのやり方はとてもじゃないが許容できるものではない。

 その組織が白のレギオン《オシラトリ・ユニヴァース》を隠れ蓑にして《ホワイト・コスモス》がレギオンマスター兼会長である事実も証拠はないが確定した以上、今までのような防戦一方の後手後手の展開にさせない。

 その攻勢に出るに当たっては黒雪姫とユニコが主導で色々と模索する形にはなってるので、テルヨシ達が単独で何かするのは向こうにとっても大した痛手にはならない。

 やるなら一致団結した『大きな力』で組織を崩壊させられるほどの攻撃を仕掛ける方が効果的なのだ。

 その方法については黒雪姫に考えはあるようなので任せているが、必要とあれば協力を惜しむつもりはないし、今さらテルヨシ達を巻き込むことに黒雪姫も躊躇はしないだろう。

 

 そして加速研究会のことばかりではない。

 彼らの存在は確かに無視できないが、そればかりに気を張っていたらブレイン・バースト本来の楽しみ方を忘れてしまう。

 その楽しみ方を貫くためにもレギオン《メテオライト》が掲げた目的である《帝城》の攻略も計画を進めなければならない。

 未だ攻略の糸口さえない状態で、仲間集めもまだ1人も勧誘できていないのが現状。

 進展のほどは悲しくなるほど牛歩だが、確実に風向きは良くなってきている。

 まだ条件は達成できていないものの、ユリとリクトと《シンデレラ・コントラリー》は加入に割と前向きな答えをもらえているし、《ボッシュ・ルーレット》と《チャイブ・リリース》の2人もまだ可能性は残されている。

 だからこそ、今週末に行われる《七王会議》ではテルヨシもしっかりと爪痕を残さないといけないが、それをしてしまえばもう後戻りはできない。

 そこに関してはサアヤのおかげで黒雪姫とユニコが味方してくれる約束はしているが、テルヨシが何をやり出すかまでは報告していないので、当日にどんなフォローをしてくれるかは未知数だ。

 その辺はちゃんと詰めとけと言われそうな行き当たりばったり感はあるが、そうすると黒雪姫とユニコと密な接点を匂わせることにもなりかねない──すでに遅いのではとも思うが──ので、打ち合わせは避けているといったところ。

 

「テル、1つ聞いていいか?」

 

 それら色々を考えていたらあっという間に昼休みが始まっていて、早々に近寄ってきた黒雪姫が一緒にランチとウキウキで腕に引っ付く恵を従えて何やら尋ねてくる。

 恵がいても問題ないなら加速世界の話ではないのかとも思ったが、そこはやはり黒雪姫。しっかりと言葉を選んで許可を出したテルヨシに尋ねてきた。

 

「お前のバイト先に今日、サアヤは来るかな。もし来るなら、文化祭の時に話していなかったことを話しに放課後は店に寄りたいのだが」

 

「んー、どうだろね。そんな毎日来てたらお財布ヤバイし、聞いてみないとわからん。放課後にメールして呼びかけてみようか?」

 

「ン、そこまでしてくれなくても、今日にでもメールして明日とかでも構わんが」

 

「姫、そうは言うけど、生徒会の仕事もまだありますから、こちらの都合はそうタイミングを取れませんのよ」

 

「なら都合の合う今日にするべきだな。放課後は一緒に行くぞ」

 

「……すまんな、手間をかける」

 

 サアヤに何の話がと思いつつも、急ぎの用でもなさそうで割と緩い感じに脱力しながらサアヤを呼び出す口実ができたと密かに喜び、恵の意見に乗って強引に話を進める。

 それに少し躊躇いはあったが、生徒会も夏休みを除けばあと2ヶ月で任期を終えてしまうので、行事も相まってやることがそれなりにあるのは本当らしく、渋々ではあるが了承し放課後の約束をして食堂へと向かっていった。

 ただ歩きながらに「それで姫、テルの彼女さんにどのようなお話が?」とニコニコ笑顔で問い詰められて助け船を求める視線を見てしまったが、とりあえずスルーして狸寝入りを決め込むのだった。

 

 放課後はすぐに黒雪姫と一緒にバスに乗り込んで、意外と久々に黒雪姫と外で2人きりな状況になって……なんとも思わない気持ちはさておいて、リクトとルーレットの勧誘の件もあるので割とグローバル接続はしているだろうサアヤにメールを送ってみると、サアヤも学校は出ていたのか1分程度で返事がくる。

 

「来るってさ。店に着いたらイートイン・コーナーで適当に時間を潰すといいよ」

 

「いちおう確認だが、お前のバイト先はレパードがオーナーであきらの母親が店長なのだな?」

 

「そうだよ。でも知り合いだから安くなるとかはないからね。食べたいならしっかり代金はいただきます」

 

「そんな期待はしていない。ただ赤いのと出くわしたりしないか心配でな」

 

「文化祭のあとでお金に余裕ないと思うよ? ああでも、月始めだからお小遣いとかもらってるかも」

 

 無事にサアヤが来るとわかって安堵した黒雪姫と話しつつグローバル接続を切り、プライベートでユニコとあまり会いたそうにしていない様子には苦笑してしまう。

 そんな心配をしなくてもあの店に知人が意図的ではないタイミングで顔を合わせることはほとんどないし、トラブルなど起きた試しもないのだから、たとえ遭遇しても黒雪姫がユニコと喧嘩しなければいいだけだ。

 まぁ軽く挨拶代わりの口喧嘩は許容範囲だが、本格化したら摘まみ出せば済むかと失礼なことを考えていたら、思考がバレバレだったのか物凄いジト目で見られて「TPOくらいわきまえている」とツッコまれてしまった。

 

 サアヤの通う《帝秀学園》は渋谷区の幡ヶ谷近辺に位置するので、テルヨシ達と同時刻に出発したとしたらどうやっても到着は遅くなる。

 それでも30分以内には来るだろうサアヤを待つために店のイートイン・コーナーで1人ポツンと座ってケーキを食べながら紙媒体の本を読む様はさすがの風格だ。

 独自の空間をすぐに作り出す才能は群を抜いている黒雪姫だが、そんなのがイートイン・コーナーにいるもんだから他の客も邪魔したくないという気が回ったのかいつもよりも割増で静かにしている。

 

「こう見るとやっぱ姫って美人よね」

 

「店を騒がしくするテルとは大違い」

 

「賑やかにするの間違いですぅ」

 

 その様子をレジ裏から覗き見ていたテルヨシとパドがヒソヒソ話でいつものコントを披露しつつ、何で黒雪姫が来たのかについてを説明。

 別にユニコがどうこうというわけでもないとわかると、パドも余計な詮索はしないといった感じで厨房に引っ込んでしまい、あんまり目立つサボり方をすると薫さんからゲンコツを食らうので、テルヨシもちゃんとやることはやり始めた。

 それで集中していたら店頭の方で声がかかって出てみると、黒雪姫の座る席にサアヤが無事に合流し注文をしたようで、手でこっちと示すサアヤに招かれて近づくと、注文と一緒に短い会話。

 

「来る途中にルー子が接触してきたわ。この前の返事ももらったけど、まだ決定してない。私かテルが対戦を申し込んで勝ったらレギオンに入るって」

 

「負けたら?」

 

「ソーンのレギオンに入るってさ。どっちが行く?」

 

「ってことはもうこの戦域にいるんだね。K。オレが行くよ」

 

「負けたら承知しないわよ」

 

 昨日のあれこれが尾を引いた感じは一切ないサアヤの反応にはちょっと残念に思いながら、移動中にどこかでルーレットに乱入されたらしいサアヤが、凄く簡潔に勧誘に対するルーレットの回答を教えてくれる。

 きっともっと言葉があったと思うが、それだけで伝えたサアヤの要約は見事。

 ルーレットもルーレットで悩んだ結果として、らしく対戦で決めようというシンプルな答えを出したようで、その重要な対戦に自らが挑むことを告げる。

 折角サアヤが作ってくれた1度きりのチャンスなのだから、応えてやらないわけにはいかないと気合いが入ったテルヨシは、注文を聞いて引っ込んでから1度ニューロリンカーをグローバル接続して加速。

 すぐにマッチングリストを開いてルーレットを選択し対戦を申し込むと、ずいぶん久々にも感じる通常対戦フィールドに対戦者として誘われていった。

 

 対戦である以上、ルーレットに少しでも不利で、自分に有利なフィールドを引き当てたいと願ったが、その願いは届いたような届いていないようななフィールドで反応に困る。

 降り立った《魔都》ステージはオブジェクトが硬くて、ルーレットの攻撃でも破壊できたりできなかったりな強化外装が出ると思うが、そんな『些細なこと』はもう捨て置こうと切り替える。

 

「伝えきれてないことを言っとくわ」

 

 すでに戦闘モードに移行しつつあったテルヨシの気配を敏感に察して、ギャラリーで入ったサアヤが近寄って他のギャラリーが来る前にあの短い中で伝えきれなかったことを告げてくれる。

 

「ルー子の意思表明としてはこう。『アタシを仲間にしたいなら、お姉くらい頼りになるってことを証明しろ! それができないならお前達のレギオンに入る価値はない!』ってさ」

 

「それがどうして戦って勝つことが証明になるのか……脳筋すぎない?」

 

「ルー子にとっては強さが信頼になるんでしょ。もうあの子はそのくらいアホでいい気がしてきたし」

 

 理屈が通ってるようで通ってないようなルーレットの主張だが、答えとしてどうすればいいかわかってる分で納得はしてあげて、話をしている間にも容赦なくルーレットの必殺技ゲージが溜まっていくのを見てサアヤも離れての観戦に徹する。

 ガイドカーソルはブレずに近づいてくる破壊音からまっすぐに向かってきてると判断してこっちも必殺技ゲージを可能な限り溜めに動く。

 レベル8にもなればテルヨシの足でも魔都ステージのオブジェクトは反動なしで破壊できるが、レベル6の時までは少し反動があったことを考えればレベルアップの恩恵を感じざるを得ない。

 その足で必殺技ゲージを問題なく溜めることはできたが、ルーレットの侵攻が予想よりも早くて破壊音がすぐそばまでやって来たせいで30%あるかどうかな不安な溜まり具合で迎撃に動くことに。

 

「《バースト・ショット》ォォオオ!!」

 

 その間に《五芒星》同士の対戦とあってかなりの人数のギャラリーが集まってきてしまって、対戦勘のあるルーレットはそのギャラリーの観戦する位置とガイドカーソルからテルヨシとの距離をおおよそで割り出して、その間に隔たった建物オブジェクトを壁抜きで破壊して先制の必殺技を放ってくる。

 ルーレットの厄介なところの1つとして、どの強化外装であろうと必殺技名がバースト・ショットであることで強化外装自体を視認していないとどの必殺技が飛んできたか不明なこと。

 その利点を生かした先制攻撃は見事に2人を隔てていた建物オブジェクトの壁をぶち抜いて、高エネルギーの弾となってテルヨシへと迫り、唯一の共通点として単純な威力強化系必殺技であることを考えて回避を選択。

 《レイズ》もなしで魔都ステージの建物オブジェクトを貫通できる強化外装は大砲型の《アレース》か電磁投射砲の《エリーニュス》くらいかと予測しつつ、建物オブジェクト自体は倒壊することなく、その先を指すガイドカーソルでルーレットの位置を確認。

 必殺技を使ったことで新たな強化外装が装備されてるはずだが、有効射程はその都度で変わってしまうからきちんと見極めなければならない。

 だから観察眼をフルに発揮させようと目を凝らして動きを止めたのが運の尽き。視界の先の壁の穴から見えたルーレットが構えていたのは狙撃銃型の《カリス》だったのだ。

 当然、有効射程内なので躊躇うことなく発砲したルーレットのカリスの弾丸は回避に動く前にテルヨシの左肩の装甲に命中しそこを起点に体を大きく弾き飛ばす。

 肩は弾かれたが部位欠損まではしなかったのはラッキーと思い、ルーレットの射線から逃げるように横へスライド移動。

 建物オブジェクトに開けた穴から狙撃してきたので、その穴から狙えない角度を取ってしまえばルーレットは動かざるを得ないし、射線から外れるということは視界からも外れるということになり、その間にガイドカーソルが消える距離にまで接近。

 建物オブジェクトを挟んで肉薄はしたが、ガイドカーソルが消えたことでルーレットがどう動いているかわからず次のアクションが定まらない。

 と、普通は思うが、先ほどルーレットがしたことをそのまま返すように、屋上に陣取るギャラリーの視線からルーレットの居場所をおおよそで割り出して、今度はこっちが奇襲する。

 間を挟む建物オブジェクトは10mほどの高さしかないので、壁にある突起に《テイル・ウィップ》を引っかけて上り、そのテイル・ウィップを足場にジャンプして新たな突起にテイル・ウィップを引っかけて屋上へと到達。

 まだガイドカーソルは表示されないので移動距離は建物オブジェクトから付かず離れずを維持している。

 やけに慎重とも思うが、こっちはこっちで接近戦しかないから、ルーレットの射程で戦わせることだけは阻止しなければ勝負にならないため、この奇襲は成功させてペースを掴みたい。

 その思いから集中力を増した観察眼でギャラリーを改めて見て、ルーレットがどこにいるかをより正確に見極めて屋上からダイブ。

 10mの高さなら発見して狙いを定めて撃つまでのアクションを完了させる前に攻撃は可能なので、飛んだ先。建物オブジェクトの角で様子をうかがっていたルーレットに躊躇なく飛び蹴りを仕掛ける。

 

「かかったな!」

 

 が、飛んだ直後で確認が上手く出来なかったせいもあるものの、突如として落ちてくるテルヨシに顔を向けたルーレットが手に持つカリスだと思っていた強化外装をハンドガン型の《アネモイ》に持ち替えてこちらへと向けてきた。

 

「にゃろうが!!」

 

 カリスよりも取り回しの良いアネモイなら撃つまでの時間を短縮できるし、動きを読んで待ち伏せていたっぽいルーレットの位置が壁に密着気味なのも考えられている。

 壁による圧迫感のせいで人間というのはどうしてもその圧迫感から逃げたくなるもので、屋上から飛び降りたテルヨシも壁から少し離れた位置から落ちている。

 さらに角という位置は軽いステップだけで壁の向こう側へと逃げることができるため、気づかれていないものと飛んだ時点でテルヨシの攻撃は当たらないことが確定していた。

 おまけにアネモイの4種類の弾丸で何が装填されてるかもわからない状態から回避するのは尋常ではない難易度だが、このまま落ちていても良い的なので《インスタント・ステップ》で落下軌道を強引に変えて発射された弾丸の直撃を避けた。

 と思ったらルーレットの放った弾丸は銃口から飛び出して1mの地点でまさかの静止しての滞空。

 さらにダンッダンッダンッダンッダンッ、と装填数上限の弾をわずかに横へズラしながら0.5秒間隔で撃ち切ると、その時にはもうテルヨシもルーレットから8mほど離れた位置に着地することには成功していた。

 

「もうやだぁ!!」

 

「突撃ぃ!!」

 

 攻撃を回避したとも言える状況だが、しかしそうではなく、テルヨシの反応速度なら全力回避に動くと予測してアネモイの弾丸を速度のある《エウロス》でも貫通力のある《ゼピュロス》でも、徹甲榴弾の《ボレアス》でもなく、ホーミング性能のある《ノトス》にしてきたのだ。

 ノトスの弾丸は発射してすぐにエネルギーを留めたまま滞空してターゲットをロックオンし、何かに当たるまで直進・滞空を繰り返す悪魔のような弾丸。

 そのため他の弾丸と違って発射からタイムラグが発生し、本来なら接近戦への迎撃には向かないのだが、対戦勘の良いルーレットはそれを難なくクリアしてきてしまう。

 そして滞空からロックオンしたノトスの弾丸が0.5秒の時間差で次々とテルヨシへと襲いかかってきて、ホーミングの脅威に晒される。

 

「エウロス!」

 

「鬼か!」

 

 この時間差がイヤらしいと思いながら回避に動くと、ルーレットは次の弾丸の選択を終えて取り出したエウロスの弾丸の入った弾倉を装填し完全に追い撃ちモード。

 対戦が始まってからすでにルーレットの押せ押せな戦術が嵌まりまくりでめちゃくちゃ悔しいが、やはりそれだけルーレットが強さという面で秀でている証明なので、それが仲間にできると思うと自然と笑みがこぼれてしまう。

 ──なんとしても勝ってルーレットを仲間にする。

 状況は苦しいが負けてやるつもりも毛頭ないテルヨシは、アネモイの銃口を向けられながらもノトスの弾丸を最小限の動きで避けて反撃に出る。

 レイズなしのノトスの弾丸であれば対処がまだ間に合うと確信していたテルヨシは、直進から滞空、また直進までの時間を観察して、滞空から直進までに2秒の猶予があることを知り、その2秒でルーレットの予想外から攻撃を実行。

 ノトスの弾丸をギリギリのステップ回避で躱してルーレットとの間に並べると、滞空している間に弾丸に近づいて全力でルーレットに蹴り飛ばしたのだ。

 それを右足の回し蹴りで1度に6発分、全てを蹴り抜いてやると、まさかの反撃にさすがのルーレットも伏せて飛んできたノトスの弾丸を躱してやり過ごすが、その隙を逃すまいとテルヨシは伏せた瞬間から急接近を試みる。

 

「ナメるなぁ!!」

 

 ただルーレットも簡単には近づけさせないと伏せたところからしゃがみ撃ちでテルヨシを狙ってエウロスの弾丸を放ってきたが、ここが1つ目の勝負の分かれ目と判断して構わずに突貫。

 バシバシとエウロスの弾丸が体に命中するが、他の弾丸に比べれば威力も低いのでHPゲージの減りも少なく、勢いを殺さなかったテルヨシに回避が遅れたルーレットは咄嗟に両腕を防御に回して繰り出した蹴りをガード。

 もちろんその威力で後ろへと吹き飛び、HPゲージもテルヨシとほぼ五分の7割にまで減少したが、地面を転がっても闘志が衰えなかったルーレットはその間にアネモイをストレージに引っ込めて新たな強化外装を呼び出し、即座に撃ってくる。

 見えたのは電磁投射砲のエリーニュスで、発射の瞬間に「アレークトー」と微かに聞こえたため、必殺技ゲージの量に比例して威力が増す弾丸と意識するより前にその圧倒的な弾速で軌道すら読む隙のない攻撃を横っ飛びで回避。

 それで体勢が崩されたテルヨシが地面に両手をついてリカバリーしたところで、ルーレットは片膝をついた状態でエリーニュスを腰で構えて狙いを定めていた。

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