アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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Acceleration Second69

 

 《ボッシュ・ルーレット》のレギオン加入を賭けて挑んだ対戦にギリギリで勝利し、その対戦後にリアルで会う約束をしていたルーレットがテルヨシのバイト先に姿を現す。

 そのリアルは加速世界とは似ても似つかないほど温厚な美少女で困惑してしまったが、イートイン・コーナーにサアヤと一緒の席で落ち着いたルーレットは、無事にネームタグの交換を終えて出されたケーキに手をつける。

 その味には嬉しそうな笑顔を見せてくれたので微笑ましく思いつつ、あと10分もすれば薫さんから休憩を告げられる、はずなのでその時までルーレットへの挨拶はお預け。

 サアヤには休憩までの間に話をまとめておいてもらってるので、テルヨシはスムーズに会話に混ざることが可能だろうが、自己紹介くらいは好印象を与えたいとかいう無駄な欲が出てきて困る。

 これも全てルーレットのリアルが美少女のせいかと思うが、テルヨシ的には女子の時点で欲は出るのでどっちみちだった。

 その欲を抱えたまま薫さんに休憩を告げられて、厨房でシゴかれるパドの背中に合掌してからいつものようにイートイン・コーナーに足を伸ばし、テルヨシに愚痴やらネタやらを話したそうにしている学生の客から優先的に話しかけていく。

 その様子にすぐに来ないんだみたいな顔を向けてきたルーレットの呆然とした顔が可愛いが、休憩中とはいえバイトの時間である以上、贔屓は出来ないので違和感を覚えない時間配分で客の席を回って雑談を繰り広げる。

 そうしたらやっぱり最後になってしまったので、途中からサアヤも「楽しそうでようござんすね」って顔で頬杖を突いてしまって、やきもちとかではないが不機嫌オーラを噴出。

 ルーレットもケーキを食べ終えて店のメニューをARで眺めて暇潰しをしていた。

 

「そんな顔するんなら『話したいことがいっぱいあるんだけど、テルくーん』って目をしてくれた方が行きやすいってば」

 

「アンタにする世間話とかないしねぇ。今度行われるサミットの焦点の話でもする?」

 

「政治・経済は専門外なので結構です」

 

「原価率とかロス率とかくらいは覚えないと販売業じゃ苦労するわよ?」

 

「そういうのはまだ薫さんがやってくれるからな」

 

「バイト気分やめろー」

 

 ご機嫌取りは今さらなのでなるべくいつも通りにいったら、絡みづらい切り出しで困らせる手段に出てきたサアヤにぐぬぬ。

 しかしあまり時間もないのですぐに話を切り上げて夫婦漫才に呆然としていたルーレットに顔を向けて、すでにテルヨシが《レガッタ・テイル》であることは承知だろうが自己紹介。

 

「はじめまして、皇照良って言います。親しみを込めてテルお兄ちゃんでオッケーです」

 

「あの私、袴田静來(ハカマダシズク)と言います。13歳、中学1年生です。よろしくお願いします、テ、テルお兄ちゃん……」

 

「ハッ! ぐはぁあ!!」

 

 欲こそはあったが堅い印象さえ持たれなきゃいいかと冗談で自己紹介がてらに愛称も指定したら、真面目な子なのかちゃんとテルヨシに体の正面を向けて座り直してペコリとお辞儀したシズクは、恥ずかしがりながらも言われた通りに「テルお兄ちゃん」呼びしてくれる。

 その恥じらいとモジモジ具合から繰り出された「テルお兄ちゃん」の破壊力たるや、言わせた本人が何かに心臓を撃ち抜かれて気絶しそうになるほどで、思わず胸を押さえてサアヤ達のテーブルに手をついてしまう。

 

「サアヤ……オレはここで死ぬようだ……あとは頼んだ……」

 

「バカやってんじゃないわよ。シズクも真に受けなくていいから。これのことはテルとかテルさんとか呼びやすいのでいいわ」

 

「じょ、冗談だったんですか……良かったです。そう呼ばないと怒られるのではと思って……」

 

「そんなことで怒る人だと思われてたのか……あっちでもこっちでもオレはこうよ?」

 

「あの、私が向こうではあんなので、他にリアルで会う人もお姉しかいなかったから、こんなに変わらない人がいるんだなとビックリしただけで、怖い人と思ったりはしてないです」

 

 そのダメージで軽くボケてからサアヤに訂正してもらって「テルお兄ちゃん」は永久に封印されたが、2人きりの時にこっそり呼ばせてみようかなと考えたら思考を読まれて睨まれる。

 しかしそうした素直な部分があるシズクがどうして加速世界ではあんなにまで敵対心むき出しで戦っているのか謎すぎる。

 

「それでシズっちはオレ達のチームに入ってくれるんだよね?」

 

「シ、シズっち……」

 

「もう愛称を決めたの? そういうの早いわよね」

 

「可愛い子にはアダ名をつけろはモットーなのでね。あっ、家族とか歳上のお姉様とかサアヤとか、あとはアダ名は嫌だって人は除きます」

 

「何その自分ルール。で、シズクはその呼び方でいいの?」

 

「あの、お姉は『シズ』って呼んでくれて、友達はみんな『シズちゃん』なので、シズっちって初めてでちょっと可愛いなって。なのでオッケー、です」

 

 それはそれとして休憩時間も残り少ないのでさっさと本題に入ろうとしたら、シズクの呼び方問題がサアヤによって浮上させられてしまい、凄く自然に言ったのに食いつかれてタイムロス。

 それなら最初からアダ名を決めてから進めれば良かったと思いながら、割と不評を買い気味のテルヨシ命名のアダ名を気に入ってくれたことには感謝。

 これで呼び方問題は解決したので、それでといった顔をしたテルヨシに対して質問を思い出してハッとしたシズクは、ペコリとまたお辞儀をして改めて挨拶してくれる。

 

「はい。先ほど正式に皆さんのチームの所属となりましたので、テルさん、サアヤさん、これからどうぞよろしくお願いします」

 

「うん、よろしくねシズっち」

 

「はい、よろしくね」

 

「立ち入ったお話はサアヤさんにいくらかお話ししましたが、ご質問があれば後日にお願いします。それで申し訳ないのですが、私はいま全寮制の学校に通っていまして、そろそろ帰らなくてはなりませんので、今回はこれで失礼します」

 

「アンタが呑気に話してるからよ」

 

「申し開きもねぇです……」

 

 他の客もいるので加速世界の用語は避けて話したが、キチンと意図を汲んで話してくれたシズクがレギオンに加入した旨を表明。

 このあとは寮に帰らなきゃならないとあって少し急いで帰り支度を整えたシズクは、会計を済ませてからテルヨシとサアヤに向き直ってお辞儀してから店を出ていって、それを見届けたサアヤも遅れて会計してバイトが終わるまで外で時間を潰してくると言い残していった。

 

 バイト終了後、互いの乗るバスを待つ間に本人から聞けなかったシズクの事情やら何やらをサアヤが話してくれる。

 しかし改めて2人きりになると昨日のことを思い出してしまうのか、テルヨシの顔を見てもすぐに視線を前に向けてしまい、それがまぁ女の子な反応でいいなぁとか思ったら足を踏まれてしまった。

 

「まずはアンタが気になってるんだろうし、シズクがあっちであんなのになる理由について」

 

「キャラ作りってことなのは間違いない?」

 

「間違いではないけど、正確じゃないかも? シズクの《親》代わりがソーンなのはもう知ってると思うけど、そのソーンが『加速世界で女だからってナメられたらダメよ。常に気持ちと自信は強く持ちなさい』って初期にアドバイスしたらしくて、ライダーのこともあったから闘争本能むき出しの好戦的になっちゃったみたい。ほら、シズクって素直すぎるくらいの子だから、いざやるとなるとスイッチが入るみたいで、向こうじゃもうあれが素なんだってさ」

 

「無理してキャラを作ってるわけじゃなくて、一種の暗示を自分にかけてるのか。それならまぁ、素で良いとかあっちで言わなくてもいいのかな」

 

「あっちでは今まで通りでいいって。ただリアルではちゃんとするから、向こうで無礼があっても多目に見てほしいって言われたけど、リアルのシズクを見たら怒る気も失せるわよねぇ」

 

「とかなんとか言うけど、実際に無礼なことされたらサアヤは怒るでしょ。サアヤもサアヤで素直な子だもんね」

 

 そういうことだけはいつも通りで苦笑いするしかないが、テルヨシの抱えた疑問に対しては言わなくてもちゃんと説明してくれるところは本当に気が利く。

 それによるとシズクの加速世界でのあの狂犬みたいな性格は『女だからと侮られないようにするため』にシズクなりに考えて完成したキャラであることがわかった。

 ロールプレイ、というのは実際に学習法としてもあるが、ここではゲームの設定などになりきることを指し、名前にシンデレラの入る《シンデレラ・コントラリー》などがそれ風にお嬢様口調を使っているようなことがそれに当たるが、シズクの場合は少し違う。

 役になりきるというよりは『この世界ではこうでなければならない』と自分に強い暗示をかけて、長い時間をかけて形成したいわゆる『もう1つの人格』とも言えるもの。

 もちろん現実世界でも加速世界でも等しくシズクとしての自我があるが、おそらくすでに意識せずとも2つの世界での顔を切り替えられるようになっているのだ。

 だから加速世界で現実世界のシズクと同じことをしても返ってくる反応はほとんど違うだろう。

 そんな少々特殊なシズクにサアヤも調子が狂いそうと笑ったが、何事にも正直な反応をするサアヤがそれを知ったところで変わらないだろうと笑ったら、今度はスネを蹴られてうずくまる結果に。

 

「あとはリクトの要求も呑んでくれて、タイミングが合えばいつでも会うって。校外活動は18時が門限の学生寮で、学校は新宿の早稲田にある中高一貫の《新都女子学院》。一応、私の受験候補だった進学校ね」

 

「ふーん。何で行かなかったの?」

 

「色々と規則が面倒臭かったのよねぇ。『淑女講習』とかいう謎の授業もあるみたいだし、お母さんはそれに惹かれたみたいだけど、何より制服が地味だったからが大きいわ」

 

「冬服の方? シズっちの夏服は普通だったし」

 

「そう。その点、帝秀の制服は生徒の意見を参考に5年周期でデザインが変わるのよねぇ。こんなことに経費を使える帝秀はさすがよ。まぁそのデザインが変わるのは来年度だけど、私は今のデザインが気に入って入学したから別にいいの」

 

「制服で学校を決める女の子な理由に萌えるんですけ……どふっ!?」

 

 すぐに手とか足とか出るのがその証拠だ!

 と言えれば苦労はないが、それがなくなるとからかい甲斐もないので内心に留めて、リクトの要求であるリアルでの対面もちゃんと約束してくれたシズクに感謝。

 今までがソーン以外のバーストリンカーとリアルで会うことさえなかったシズクだから抵抗が物凄いと思っていたから、ここをクリアできたのは大きい。

 何よりもテルヨシ達が《帝城》攻略を目標に掲げてからの初めての結果が伴った出来事なだけに、今さらながら喜びが込み上げてきた。

 それを思いながらサアヤの学校選びの理由が制服にあったことを聞いて、男子はまずそんなことを考えないから実に女の子らしいと言ったら、今度は照れからの胸へのチョップが炸裂。

 一瞬、呼吸の仕方を忘れるほどの衝撃にビックリしたが、サアヤが乗るバスが到着してしまったので会話はそこで終了となる。

 

「あとシズクにアンタのアドレスを教えておいたから、帰ったらメールが届いてるかも。寮のグローバル接続も制限あるみたいで夜9時にはシャットアウトになるから、返事するなら早めによ」

 

「了解です。ボイスコールはしたら?」

 

「アンタのクソつまんない話を聞かされるシズクに同情するのと、素直な子だからアンタの冗談も真に受けそうで恐ろしいわよ」

 

「そんなに心配しなくても……」

 

 最後にシズクとの連絡手段も確保したことと、それを私的に利用するなと暗に忠告してバスに乗っていったサアヤは、外から手を振ったテルヨシに気づいて他の客に目立たないように小さく手を振って行ってしまうのだった。

 それを見送ってから数分後に来た高円寺に行くバスに乗り込んで、腹を空かして待っているマリアのために何を作ろうかと主夫さながらの思考へと入りつつ、帰ったらまずシズクからのメールが届いていないかのチェックを忘れないように頭で反復させていった。

 

 反復させたのに、それをまずやることを放棄せざるを得ないことが家では起きていた。

 玄関を開けてまず気づいたのは、マリアのものではない女物の靴が1足あることと、家の中に漂う食べ物の匂い。

 チーズの香ばしさとコンソメ系のスープの匂いが微かにするが、何の料理かの特定は難しいので、客人の正体と共に何なのか判明させるためにリビングへと足を踏み入れダイニングテーブルの方を見る。

 

「おかえりなさーい」

 

「テルせんぱーい。お邪魔してまーす」

 

「……チユチユ?」

 

「あたし以外の誰に見えるんですか?」

 

 ダイニングテーブルにはマリアが座って出迎えてくれてよく見る光景だったが、キッチンには1度は帰宅したのだろう、だいぶラフな私服にエプロンをつけたチユリが料理しながら挨拶してくる。

 何がどうしてチユリが来て夕食を作ってくれているのか不明で困惑気味のテルヨシがどういうことかをマリアに尋ねようとすると、丁度オーブンが何かを焼き上げたようで軽やかな音を鳴らしてくる。

 その音でオーブンミトンを装備したチユリがオーブンから3人分の器を取り出してダイニングテーブルに並べる。

 その器の中にはなんとも美味しそうなグラタン……いや、すでに炊飯器が洗われているので米がないし、パンの用意も見えないところを見るに、グラタンの下には米が敷かれているドリアか。

 と、無駄に料理について考察をしてしまってチユリがいる理由についてが後回しになり、テルヨシの帰宅に合わせて準備していたっぽいチユリの手際の良さで野菜の盛り合わせとコンソメスープが出されて夕食がテーブルに出揃う。

 

「とりあえず食べながらでいいですよね」

 

「……そうだね」

 

 エプロンを外しながらにチユリにそう言われてしまうと、腹を鳴らしたマリアが可哀想でもあるので促されるままに席に着いて3人で手を合わせてから夕食が開始される。

 チユリ特製ドリアに舌鼓を打って「いつでも嫁に来て良いからね」と流れるように冗談を言えば、ノリの良いチユリも「じゃあその時は多重婚が認められる国に行かなきゃですね」としっかりサアヤと共生する前提で冗談を返し笑ってくれるが、マリアの「サアヤさんに浮気したって報告するからね」と言われて現実に戻された。

 

「それでどうしてチユチユがこんなサービスを?」

 

「今日は部活が筋トレだけで割と早く終わっちゃって、帰ろうって時にマリアちゃんと一緒になったから、そこからはもう流れですね」

 

「この前、迷惑をかけたからお招きしたの」

 

「それでおもてなしされてちゃ世話ないんですけど……」

 

「いいんですよ。私が好きでやったことですし、このあとは一緒にお風呂に入って十分に楽しんで帰りますから」

 

「よし、オレも一緒に楽しむ!」

 

「入ってきたらサアヤ姉さんに処刑してもらいますからね」

 

「う、うむ。そこはマジで返さないでほしかった……」

 

 テンションは若干下がったものの、話の本題は切り出すことができてチユリの来訪の理由について尋ねると、この前のマリア騒動──テルヨシが原因だけど──の際にマリアが泊まる詐欺をしてしまったお詫びにマリアが招いたようだった。

 それで夕食を作らせてたら詫びにならないが、楽しそうにマリアとお喋りするチユリが満足そうにしてるならいいのかと納得することにして、このあとは2人仲良くお風呂と聞きいつものやつを炸裂させる。

 ただこの冗談だけは乱入するわけもないのに冗談で返してくれる人がいないらしく、チユリですら笑顔の奥に怖いものを垣間見せてビクッとなる。

 それはそれとしてどうせなら泊まっていけばいいのにと提案したのだが、朝練もあってテルヨシ達の生活サイクルを崩すのは申し訳ないとのことで断っていたようだった。

 そういう優しさがチユリの良いところだなと思いつつ、夕食を食べ終えて後片付けくらいはやらないととテルヨシ1人が無理矢理にでも作業に入って、2人をお風呂へと向かわせる。

 その2人の漏れ聞こえてくる楽しそうな声をBGMにして作業が捗るテルヨシの単純さはアホの域だが、何か大事なことを忘れているような、そんな引っ掛かりが頭にありながら作業を終えて明日の朝食の下準備だけしておく。

 それから10分程度でお風呂から上がってきた2人の仲が深まったような距離感をなんとなく感じながら、時間を見てそろそろ帰ると言うチユリを送りに外へ。

 

「またいつでも遊びにおいで。マリアも喜ぶから」

 

「大会も近いのでしばらくは難しいですけど、夏休みとかにでも泊まりに行きますよ。なんならハルとかタッくんも一緒にとか」

 

「仲間外れは嫌だって姫とかも来そうだな。まぁリビングで雑魚寝すれば7、8人なら無理矢理泊まれるし、なんかお泊まりイベントでもやろっか」

 

「それならみんなでキャンプとかの方が人数を気にしなくていいかもですよ。みんなの予定が合えばになっちゃいますけど」

 

「そこはごり押しだ。夏休みキャンプ計画はこれよりオレが幹事となって開催を宣言させてもらおう」

 

「通達よろしくでーす」

 

 その帰り道で湯冷めさせてはいけないのでチユリのペースで歩くが、さすが陸上部はペースも早くてちょっと大股で距離を稼いで合わせながら会話に興じる。

 その中で夏休みのキャンプ計画が唐突に決定してしまったが、悪い話ではないしとそのまま実行することを宣言し、具体的な計画案はテルヨシ任せなチユリにちょっと笑ってしまう。

 参加者から費用も徴収しなきゃならないので、その辺はパド辺りに頼るとして、チユリの家のあるマンション前まで到着してそこでお別れの挨拶。

 そこで湿っぽいのは柄じゃないので、向き合った状態になったチユリに対して両手を左右に広げて迎え入れる体勢になると、意図を理解したチユリは少しだけ周りを見て人がいないことを確認してから、テルヨシの懐に入って軽く抱きつく。

 そのチユリを軽くハグし返して、割とすぐに放すと、ニコッと笑ったチユリに倣って笑顔を向ける。

 

「それではまた明日っ! 送ってくれてありがとうございました」

 

「夜更かししないですぐに寝るんだよ」

 

「あたしはテル先輩の子供ですか」

 

 ハグにも抵抗が少なめなチユリのフレンドリーさは本当に好きで、ついつい過剰なスキンシップも頭に浮かぶが、これ以上はサアヤ辺りに怒られそうなので未遂にしておいて、手を振りながらマンションに入っていったチユリが見えなくなってから自宅に戻り入浴。

 キャンプの計画を割と本格的に練るために長風呂して、気づいた時には夜の9時を過ぎていたので、上がってからはマリアが寝たことも確認してすぐに寝ついてしまった。

 ──何か大事なことを忘れているような感覚を、わずかに残したまま。

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