アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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Acceleration Second77

「おっしゃあああああああ!! 行くぞオラぁ!!」

 

 7月12日金曜日。午後7時30分。

 テルヨシにとっての1学期最大の難敵、期末テストを打ち倒して──倒せたかはわからないが──から、放課後に《チャイブ・リリース》を除く《メテオライト》のメンバーが中野駅近くのファミレスに集結。

 それで最後の加入となったユリとシズク達が無事に対面を果たしたのもすでに4時間ほど前のこと。

 あのクラリッサがユリのスイカ並みの双丘を前にして戦慄した姿をサアヤがクスクスと笑う様子もありつつ、その場ではリリースが都合がつかないこともあって、明日に控えた領土防衛戦の前の連係強化ミッションはこの時間まで延び、《無制限中立フィールド》で中野駅を集合場所にして再集結していた。

 期末テストという苦行から解放されてテンション高めなテルヨシが一番乗りして待って、メンバーが来る度に無駄にはしゃぐから、それを見たメンバーは皆一様に低いテンションで反応。

 あのシズクでさえその狂ったようなテンションに引き気味で対応したからには、相当な浮き具合だったに違いないが、そんなことも気にせずに一番家が近い故に最後となったサアヤとアキラが到着して「うっざ」の一言で我に返ったのだった。

 

「はぁ。なんかこのバカが騒いでたみたいだけど、これで初めて全員が揃ったわね」

 

「うむ、儂が言い出したこととはいえ、本当にこうして《五芒星》が顔を揃えるのを見ると、にわかには信じられん光景じゃの」

 

「御託はいいですから、これから何をするのかを話しなさいな。切断セーフティーも設定して時間は有限ですのよ?」

 

 みんなはテストが終わった開放感とかないんですかね。と思わざるを得ない周りとの温度差には信じられない気持ちだが、その辺をあっさりと流して……というより触れさえもせずに会話を繰り広げ始めたサアヤ達にしょんぼりしながら合わせてみると、早速クラリッサが仕切る《混沌の舞姫》2人に挨拶代わりのジャブをお見舞い。

 これがまぁ正論だからかサアヤとユリも明らかな反発は見せずに、シズクまで何か言い出しそうなことも察して話を本題へと切り替え、それを聞くためにみんなが1度その腰を落ち着ける。

 

「切断セーフティーはみんな50時間後に設定してきてくれたと思うけど、これからちょっと移動してある場所に向かうわ」

 

「内部時間で約2日も取ったからには、移動にも時間を使うということか」

 

「さすがリリースじゃな。今から行くところは少々遠いでの。移動しながらエネミー狩りもする予定でおる」

 

「それで、どこに行くってんだよ」

 

「っていうか、目的が見えてこないんだよ」

 

 事前に言われていた切断セーフティーの時間は内部時間で50時間。現実時間では3分と割と長め。

 テルヨシもサアヤとユリからこれから何をするのかは聞かされていない。バカはテストに集中しないとダメだとかド正論を叩きつけられたから仕方ないが、どこに行くにしてもシズクが言うように目的が明確でないと意思統一ができない。

 それは重々承知なサアヤとユリも、とりあえずの確認作業は終わったからと話を順を追ってしてくれる。

 

「私はボンバーから話を聞いただけだから、詳しくはボンバーからしてもらうけど、正直このミッションを急造のこのレギオンで達成できるかは怪しいわ」

 

「そ、そんな難関ミッションなんですか……」

 

「そう怖がらせるでない。まずはそうじゃな。儂がレギオン加入の前にしておったことを話そう。儂はこの2週間ほどで『ある可能性』を探っておった」

 

「可能性?」

 

「うむ。皆の中で《東京駅地下迷宮》のボスエネミー《アマテラス》に挑んだことのある者はおるかの。ちなみに儂とガストはかつての旧プロミ時代に撃破に成功しておる」

 

 全容はまだ見えないながら、そうして問いかけられたことには皆が首を横に振ってみせ対峙した経験すらないことを報告。

 それもそのはずで、東京駅地下迷宮といえば東京にある4大ダンジョンの1つで、かつては神器の1つが安置されていた場所で、そこを守護しているのがアマテラスという《神獣級》エネミーになるわけだ。

 あの大天使《メタトロン》と並ぶエネミーとなれば、本来なら数人単位で挑むようなエネミーではないし、7大レギオンクラスの大規模レギオンでなければ攻略もおぼつかないレベル。

 

「まぁ今からそのアマテラスを倒しに行こうということではもちろんないが、ブレイン・バーストがアマテラスを名乗るエネミーを創造していたことから、儂はアマテラスに関連するエネミーの存在もまたあるのではないかと思うたわけじゃ」

 

「アマテラスに関係のあるエネミー?」

 

「アマテラスとは日本神話に出てくる神の名前。イザナミとイザナギの子であり、兄弟にはツクヨミとスサノオがいる」

 

「詳しいなリリース。歴史マニアか何かか?」

 

「この程度なら少し調べれば誰でも覚えられる。興味があるかないかの問題だ」

 

 そのアマテラスを話に出したからには、アマテラスに関係した何かなのかと勘繰るとそれは当たりのようで、先回りするようにリリースが知識を披露してリクトと煽るようなやり取りをする。

 こういう説明時には丁寧な説明を促すためにおバカなキャラは欠かせないので、テルヨシがその役回りに徹して疑問符を時おり挟むが、どうでもいいところで険悪な空気を出されると困ったものだ。

 

「リリースが言うたように、一口にアマテラスと関連があると言うてもその繋がりは意外と多い。それにアマテラスと同格かそれ以上のエネミーではガストが危惧したように、急造のこのレギオンでは太刀打ちできん」

 

「リリースが言いましたのは両親と兄弟でしたわね。そこから考えますとそれらのエネミーが仮に存在していたとしても、同格以上なのは間違いありませんわ」

 

「ああまどろっこしい! 《爆弾魔》はどこで何を倒そうってんだよ!」

 

「はいはい、ルー子は落ち着いて。それでこの仮説が正しいかどうか、それをボンバーはずっと探ってくれてたってこと。それで見つけたのよ。アマテラスに関連する、アマテラスよりも少し下位の3体の神獣級エネミーをね」

 

 ──下位でも神獣級なんだな……

 丁寧な説明によって話は長くなったが、ようやくテルヨシ達が何のためにそこへ向かうのかがうっすらと見えてきて、エネミーを倒すならとシズク、リクト、クラリッサの3人は俄然やる気になる。

 しかしリリースは3体という部分に引っかかりを感じたのか、別の考察に入ったみたいな雰囲気。

 

「3体か…………宗像3女神(ムナカタサンジョシン)だな」

 

「さすがにそこまで知っておれば博識の域じゃぞ、リリース。その通りじゃ」

 

「む、むなかたさん家の3人の女神?」

 

「そのおバカ設定やめなさいよ。さすがにみんな引くわよ」

 

「ハハッ。よいではないかガスト。テイルがこの調子なら儂も話しやすいぞ。宗像3女神とは、日本神話でアマテラスとスサノオが誓約を交わした時に生んだ3人の女神のことじゃ。スサノオもまた5人の男神を生んでおるが、そちらは時間的に探すことは叶わんかった」

 

「そちらは今は無視するとしても、その3女神を祀る場所。神社は全て福岡県ではないのか? それではお前達が指定した時間を使い切っても辿り着くことすらできないと思うのだがな」

 

「福岡って、あの福岡ですよね?」

 

 いよいよ移動するのかとシズク達が腰を上げる中、リリースがその3体のエネミーに目星をつけて語り、推測通りとユリが肯定。

 しかしリリースが言うにはその神を祀っている神社というのは現実世界の福岡県にあるらしく、目的地に対しての設定が甘いと言う。

 

「それはその通りね。でも考えてもみなさいよ。そもそもアマテラスだって有名どころは三重県の伊勢神宮でしょ。それをわざわざ東京のダンジョンのボスにするくらいなんだから、その3女神だって来るかもわからないバーストリンカーのために神話の通りのスポットにはしないわ」

 

「そもそもそれを言うてしまえば、メタトロンやニュクスといったダンジョンのボスエネミーさえも海外の神話の生物じゃて。それらを神話の通りにしても日本ではどこも当てはまらん」

 

「でもそれじゃ3女神の居場所だって当たりさえつけられないけど、東京の近辺にも彼女達を祀る神社はあるわけ。そこをボンバーが見てきて、それらしいのを見つけられたのよ」

 

「ほう。その話から察するに場所は3ヵ所だな。今回はどこに行こうとしている」

 

「儂が見つけたのは鎌倉、八千代、日光の神社のある場所じゃ。距離的には日光が道のりでも難儀での。今回はそちらに向かおうと思っておる」

 

「お待ちなさい。日光って栃木県の日光市ですの? 直線距離でもここから100kmはありますわよ?」

 

 ブレイン・バーストに存在するエネミーは何かしらの神話や伝説をモチーフにしたゲームらしい部分があるのはもちろんだが、それら全てが何かしらの由縁がある場所に居着いたりではなく、伝説的に強い信仰などがあるから割り振られているというのがサアヤ達の主張だ。

 だから場所にこだわる必要はあまりないが、アマテラスが東京に存在するなら3女神の存在もまた近い場所にあるだろうという、ちょっとした矛盾は抱えているものの、メテオライトのために適当なミッションを探してくれていたのは事実なので、その努力に対しては敬意を払いたい。

 その中で出てきた地名は東京を中心に神奈川(鎌倉)千葉(八千代)栃木(日光)と面白いくらい3角形を作る布陣だったが、これが偶然とはサアヤとユリも思えなかったか、クラリッサの戦慄するような移動距離の悲鳴には反応が薄い。

 

「言ったでしょ。目的地までの移動でもエネミー狩りはしていくって。ルー子も《レイズ》を強化していけるし、ただ向かうよりも建設的よ。それにボンバーの話だと、そのエネミー達ってなーんか他のエネミーとは違うみたい」

 

「どう違うっていうんだ?」

 

「今はまだ推測の域を出んからなんとも言えんが、対峙してみて一様に感じたのは共通する違和感じゃったから……皆も実際に会うてみて判断してくれんか。言葉では説明しにくいでの」

 

「だったらさっさと行くぞコラ。話だけで時間かけすぎなんだよ」

 

「相変わらずお口の悪い人ですわね」

 

 リアルではこんなやり取りもしないのに不思議なもんだなぁと、ようやく終わった話に強化外装を出しながら移動の準備をするシズクと、行った先で待つエネミーとやらに疑問を持ちながらのテルヨシ達がとりあえずは足並みを揃えて日光市を目指していく。

 

 呑気に歩きながらでは時間が勿体ないので、走って北上しながら、目に入ったエネミーをシズクを攻撃の軸に倒してバーストポイントも補充していくのは予定通りだった。

 しかしやはりブチ当たる壁はあって……

 

「こらルー子! 私とボンバーで回避範囲を狭めてるんだから、余計な攻撃で範囲に逃がすな!」

 

「うるさいなオバさん! 倒せりゃいいだろ!」

 

「爆弾魔も猪突猛進も範囲攻撃をお控えなさいな。近接型のわたくし達が前へ出られませんわ」

 

「そもそも移動しながらの攻撃は近接型には難しい。殿をやるにしてもテイルやスピンほどのスピードがなければ隊列が乱れる……」

 

「っていうかリリースは攻撃向きじゃねーからだろ。シンデレラは文句言う前にルーレットより前で戦うとかあんだろ」

 

「あんな狂犬を背にして戦うことの方が危険ですわ。何かの拍子に撃たれかねませんし」

 

「け、喧嘩は良くないですよ皆さん……」

 

 ……仲悪いな、オイ。

 今回の主目的はあくまでレギオンの連係強化なのであり、これから向かうところはその目的達成に対する手段でしかない。

 だからこそその移動中でも無駄にはできないから、サアヤとユリも大レギオンで培った経験でチームプレイ初心者のシズクへの指導に熱が入るが、そのせいでクラリッサ達への視野が狭まって不満が噴出気味。

 シズク、サアヤとユリ、アキラとクラリッサとリリース、テルヨシとリクトという縦列編隊が出来上がったのは完全に自然な流れだったのだが、前線が中・遠距離型で真ん中の3人が近接型でやることがないということが非常にマズい。

 本来ならこの真ん中の3人を先頭にサアヤ達がフォローするのが編隊としてはいいのだが、まだまだ連係練度の低いシズクに背中を向ける行為自体に積極的ではないクラリッサ達が何かと理由をつけて前に出ないのだ。

 それは一重にまだこのレギオンに確固たる信頼関係が存在しないことの証明であるのだが、少し質が悪いのは《野獣級》エネミーくらいならこのちぐはぐな連係でもギリギリどうにかなってしまう『個の力』だ。

 伊達で集められたメンバーじゃないだけに、単体でほぼ完結できる程度には洗練されたテルヨシ達だからこそ、自己中でいいはずの個が連係の邪魔になってしまっている。

 

「さてさて、このレギオンがレギオンになるためにすべきことは……」

 

 シズクが手間のかかる子なのでサアヤとユリには引き続き頑張ってもらうにしても、最後列から全員を観察していたテルヨシは、期末テストの前にこのレギオンのマスターに昇格している。

 このレギオンに至ってはレギオンマスターの地位を主張すること自体ナンセンスに思えるが、それがイコール、レギオンマスターとしての役割を放棄していいことにはならない。

 リーダーはリーダーらしくレギオンをまとめる役割をこなす。少なくともレギオンの意思を発信するのはテルヨシがすべき最低限の役割なのだから、レギオンメンバーの声に耳を傾けることは決して間違っていない。

 

「なぁスピン。前のレギオンでお前ってどんな立ち回りしてた?」

 

「なんだ藪から棒に。別に今とそんな変わらねーよ。機動力を活かして先陣切ったり殿やったりだ。俺の動きにみんなが合わせてくれてたってのは、前の様子を見るとそうだったんだろうなとは思うがな」

 

「あれはじゃじゃ馬のお守りにしか見えないけどな……でもスピンはスピンなりにこのレギオンでの役割を考えてくれてるんだな」

 

「……どいつもこいつも個性が尖ってるんだ。だったら誰が何をするか考えるより、まず俺が出来ることは何かって考える方が建設的だろ」

 

「ごもっともで」

 

 人が増えればそれだけ個性が増えて戦術の幅も広くなる。それと同時に役割に縛られてもいく。

 それは互いに出来ること出来ないこと。得意なこと不得意なことがより明確になるからこそ、個々で特化した形が顕著になることを意味するが、足りないものを補い合うにはお互いの理解は必要不可欠。

 理解とはすなわち相手を受け入れることと同義。相手のことを自分のことのように考えられるようになれば自然、相手のやろうとしていることにも理解が及び、自分がやるべきことを決定できる。

 メテオライトとしてはその第1歩を踏み出すための今回のミッションだが、先は長そうだ。

 それでも隣のリクトから話を聞けば、自分なりにどういう立ち回りをするべきかをすでに考えてはくれているようで、それが全員そうなら光明は見えてくる。

 長らくライバルとしてしのぎを削ってきた関係だから、一朝一夕でといかないのは当たり前だし、まだ知らないことだってたくさんあるだろう。

 だがライバルだったからこそ、ある意味で相手への理解があるのもまた事実で、その辺が上手く転じてくれさえすれば一気に互いの距離も縮む……はずだ。

 見れば前線のサアヤ達と言い争いながらも、中列のアキラ、クラリッサ、リリースの3人も何やら雑談かわからないが会話をしているのが雰囲気でわかる。

 

「スピン、もう少し話そうか。殿も前が頼もしいしサボってもバレなそうだから、シンデレラ達と合流しちゃおうぜ」

 

「単に暇なだけだろお前……まぁ殿としての役割があんま機能してないのは同感だし、俺も目的地に着くまでにアイツらとは話せるだけ話すべきとは思う」

 

「よし決まりぃ。シンデレラ姫ー。お話に混ーぜてっ」

 

「うるさいのが来ましたわよ……」

 

「無駄話には付き合わんからな」

 

「も、もっとオブラートに包んでもいいのではないですか……」

 

 前線の3人は相変わらず騒ぎながらエネミーを蹴散らしてくれているので、そちらに意識を2割ほど残して中列の3人の輪の中にリクトと飛び込み、クラリッサとリリースがどういった役割をこなしてきたかを尋ねる。

 

「わたくしは最前線ではなく、相手の隙を突いてヒット&アウェイとアビリティや必殺技での撹乱が主でしたわ。まぁ元々が黄色系ですから、テイル達のように最前線で足を止め続けるには色々と工夫が必要になってきますから、仕方のないことですけど」

 

「俺はお前達が知る通り、これを纏っているうちは動きも鈍いし然したる攻撃力も持たないからな。ネット用語で言えば《タンク》が主体になっていた。ダメージを蓄積してからはダメージソースになることも可能だが、こういった行軍で消耗するのは正直、俺としては望むところではない」

 

「そういうことはちゃんと言わないと誤解を生むよ? ガッちゃんとか『アンタも戦いなさいよ!』って普通に言うタイプだし」

 

「消耗したらしたで『そんなの1回死ねばいいだけでしょ』とかも言いますね」

 

『ああ……言いそう』

 

 改めて各々がこなしてきた役割を聞いてみると、不思議と被らないのが面白いところ。

 テルヨシとリクトは被ってはいるが、チーム戦では前線の枚数は元から多くても問題ない。というか枚数がないと突破されて中・後列が打撃を受けてチームとしての機能を失う事態になる。

 そこから考えて今のメテオライトを3つの隊列に分けると、テルヨシ、リクト、リリースが前列。サアヤとアキラとクラリッサが前列と中列を担えるバランス型。

 ユリが中列で、中・後列を担えるシズクが後ろからバンバン攻撃するといったフォーメーションが理想に思える。

 

「んー、まぁ遠隔があと1人欲しいところだけど、チームとして考えればそこまで悪くないんだよね、このレギオン」

 

「遠隔が欲しいのでしたら、ご自分の《子》を引き入れればよろしいでしょうに。あの子もまだ未所属なのでしょう?」

 

「あー、アンね。アンはなぁ……残念ながらもう他のレギオンに入っちゃったのよねぇ」

 

「えっ? 初耳ですけど」

 

「だって入ったの現実時間で2時間くらい前だもん。このミッションの終わりにサラッと報告しようかなって思ってたことだしね」

 

 チームとして機能さえすれば、7大レギオンにも負けず劣らずのパフォーマンスは十分に可能と思わせる材料はあることがわかって少し安堵するが、やはりチームを万全で機能させることは難しいので、最低でも2隊に分けられるバランスが好ましいと漏らしてしまう。

 そこでその穴を埋められるマリアの存在がクラリッサから挙がったものの、以前からマリアはレギオン加入に関しては決意を固めていて、現実時間で2時間ほど前の飼育委員の仕事のあとに加入を済ませてしまっていた。

 もちろん、飼育委員の仕事のあとということは、マリアが入ったレギオンは黒のレギオン《ネガ・ネビュラス》に他ならなかった。

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