「酷い目に遭ったわ……」
「まったくだ……」
「アイツ……絶対ぶっ飛ばす!」
レギオンの連係強化ミッションとして挑んだ女峰山の主とも呼ぶべき《神獣級》エネミー《タキリビメ》だったが、山頂全てがテリトリーのタキリビメはその山頂から逃げる者がいた時、即座に全員を弾き飛ばす問答無用な衝撃波を放ってきて、それによって女峰山の方々に落とされたテルヨシ達は、その再合流に5時間も要してしまっていた。
重量級の《チャイブ・リリース》は重さのおかげですぐ下の傾斜を転がる程度で済んだので、衝撃波からリカバリーしたテルヨシと難を逃れたクラリッサとは早くに合流。
次にアキラがリリースから1時間遅れで合流してきて、かなり下に転がり落ちて大変だった体験談を聞く。
その次に来たのが意外にもユリで、最軽量アバターのユリは想像以上に、テルヨシ達のいる場所とは真裏の方に吹き飛んだのだが、あまりにも勢いがあったからアビリティ《ディセント》で滞空中に体勢を整えて方向転換し、女峰山の中腹までは戻って来られたらしい。
そしてそこから3時間ほど経過してから途中で合流したらしいサアヤ、シズク、リクトが到着しタキリビメに対して恨み言を述べていった。
完全にタキリビメとの戦闘よりもここまで戻ってくることに疲れていたサアヤ達を気遣って、再び山頂の縁に登ってタキリビメの出現しない位置で休憩しつつ、先ほどの戦闘で得られた情報を整理。
「まずあれよね……あの衝撃波。このフィールドから誰かが離脱すると撃ってくるんでしょ」
「そうみたい。しかも重量級のリリースも一瞬で外に弾き出すくらいだから、強制ノックバックの効果もありそうだよね」
「それにこのフィールドからバーストリンカーがいなくなりますと、タキリビメのステータスもリセットされてしまうようですから、発動したら最初から、ということになりますわ」
「振り出しに戻るというやつだな。あのエネミーが言っていた《勇気》とはこういうことか」
「つ、つまり戦い始めたらフィールドから離脱して体勢を立て直すってこともできないわけ、ですよね?」
「だな。戦い始めたらあれを倒すまで逃げることは許されないってことだ」
「上等だ! 血祭りにあげてやるよ!」
そこでまず挙がったのは、今の状況を作り出してくれたタキリビメの衝撃波について。
すでにみんながその発動条件に理解がいったようで、みんなの中にわずかながらにあった『一時的な離脱による立て直し』や『フィールドの外からの遠隔攻撃』が潰されてしまった。
ただ、これがタキリビメの言う『勇気を示す』ということになるのか、テルヨシにはまだどうにもしっくり来ない感じはある。
タキリビメ自身がバーストリンカーの退路を断っている以上、挑戦者はタキリビメと戦うしか選択肢はないが、そもそもエネミーとは戦うのが大前提なわけで、それを考えればわざわざ勇気などと表現するものなのか。
単に考えすぎなだけかもしれないが、何かを結論付けるには早計かと、息巻いてタキリビメを出現させようと立ち上がったシズクを取り押さえつつ、情報共有を再開。
「あとはあれね。テイルがタキリビメに突っ込んだ時のあれ」
「それさ、待ってる間にシンデレラ姫から聞いたけど、マジでオレ自体が鏡に吸い込まれて反射させられてたの?」
「うむ、サイズに関係なくあの鏡は映し出したものを吸収し別の鏡から出すことができるようじゃった」
「近接も遠隔もダメとかどうしようもない気もするが……まだ可能性がないわけじゃねぇよな」
「そうだな。ヤツの鏡は全部で4つ。1つが吸収。1つが放出の役割を果たすならば、3つの攻撃をほぼ同時に放てば、その内1つの攻撃が通るかもしれん」
「あとあれ。速さにしっかりついてきてたぞ。あのエネミーが反応してるってより、あの鏡自体が勝手に動いてる感じがした」
「つまりあの鏡による反射はエネミーの任意で発動するタイプではなく、オートで発動する自動防御機能ということですの?」
「かもしれんって話だバカが」
先の戦闘で得られた他の情報としてサアヤが挙げたのが、テルヨシには実感すらない、タキリビメに突っ込んだはずが別のところにいたクラリッサに突っ込んでいたあの不思議な現象について。
もちろんテルヨシもその現象を別視点で見ていたクラリッサやリリースから待つ間に聞いていたが、タキリビメの後ろに控える4つの丸鏡はどうやら攻撃性のあるものを自動で吸収・反射して防御する機能だと推測。
2枚1組で機能するなら発動する回数は2回までが道理だが、仮にそうでも発動にタイムラグがあるのかも今はまだわからないし、シズクの推測が正しいと証明されたわけでもない。
ただシズクがまともに会議に参加して意見を述べたことにテルヨシ達は多少驚いたし、それでもやっぱり煽るような台詞を言うことにクラリッサがキレかけたのをなんとか制止。
シズクにも挑発する言葉は控えるように注意しつつ、おそらくみんなが気づいたはずの最後の1つの情報をテルヨシを皮切りに口にする。
「んで、タキリビメの攻撃の要になってるのがたぶん……」
『あの剣だ』
「これはほぼ確定だろうね。水を操る力もあの剣が力の源って感じだし」
「狙うならあの剣の破壊。もしくはタキリビメの手から奪ってしまうことね。それができれば勝率もグッと高くなる、と思いたいけど」
「そう上手くはいかんじゃろうて。じゃが次にやることは決まったんじゃから、ここからはそのためにどうするかを話し合うべきじゃろう。無策に飛び込んでまた衝撃波で振り出しは精神的にキツいでの」
「それはいいが、あの剣ってなんかモチーフあったりしないのか? 神話とかにあるなら弱点とかリンクしてるかもだろ」
「あれは《
「その辺は儂も調べたが、握り拳10個分の長さの剣という広義の名称らしいぞ。皆が聞いたことのあるもので言えば……
「でもそういうのってちゃんと所有者がわかってる剣でしょ。だとすればタキリビメが持ってる十握剣はそこまで飛び抜けた性能ってこともないって考えられるわけね」
「それは楽観的過ぎやしませんこと?」
剣自体に力があるのか、タキリビメが持つから剣に力が宿るのか、はたまた剣を触媒にしてタキリビメが力を使っているのかは不明だが、剣なしで水を操る力は発揮できない可能性はみんなが気づいてくれていて、鏡の攻略も見えてきたことから話は試作の段階に移行。
さすがにまだまだ不確定要素が多いので完全攻略を目指す段階にはないが、どんなゲームでもボス攻略というのは基本的にトライアル&エラーを繰り返すもので、それは《帝城》の四方門を守護する《四神》も例外ではない。
もちろんその試行錯誤の回数が少なければ少ないだけ良いわけだが、それを可能にするのは1度の戦闘でどれほど敵の情報を引き出し分析できるかなので、次の戦闘では可能性を試しつつタキリビメの別の行動パターンを引き出さなければならない。
その話し合いに移行してあれこれと言い合い始めたサアヤ達を見ながら、真面目な話なのはわかっていても、ついこの状況に笑い声を漏らしたテルヨシに、話をしていたサアヤ達が睨むような雰囲気で見てくる。
「ちょっとテイル。真面目な会議してるんだけど」
「ハハッ、悪い。機嫌を悪くさせたなら謝るよ。ただ不思議な感覚だなって。顔を合わせれば戦うライバルだったオレ達が、同じ目標を持って集まって話し合ってるって状況が、なんかおかしくて」
1人だけ場違いな感覚になっていることを自覚してはいたものの、込み上げてくる感情を抑えられなかったのでサアヤ達に謝りつつも正直に今の気持ちを吐露する。
その言葉にサアヤ達も言われてから何かに気づいたのか、みんながみんな顔を見合ってから微妙な雰囲気で無言になってしまった。
「……これからもオレ達が互いに競い合うライバルなのは変わらないけどさ。レギオンになったからには、ただのライバル以上の関係を築けていけたらって本気で思ってる。だから今日のこれがその1歩になってくれたらって、そう願うよ」
「……テイルのくせにクサい台詞だな」
「本当ですわ。そういうことを言うキャラではないでしょうに」
「……鳥肌立ったぞ」
「チームとしてまとまれるかどうかは別問題になるがな」
「アンタらは素直によっしゃあやったる! とか言えんのか」
「レギオンのノリもまだ確立しておらんしの。旧プロミなら今のような場面でオー! とも返せたわけじゃが」
「じゃ、じゃあ今からやるべき、なんでしょうか」
柄にもないことを言ったなぁと思いつつも最後まで自分の気持ちを吐き出したテルヨシにサアヤ達もまた満更でもないような、よく読み取れない感情を雰囲気に纏わせ、それぞれらしいことを返してくれる。
その中でアキラがレギオンらしくまとまったかけ声でもやろうかと提案してきて、そういう熱血っぽいノリが恥ずかしいところはありつつ、テルヨシがあえて振り切って「よっしゃあ!」とその手をみんなの前に差し出す。
それを合図に躊躇っていたサアヤ達も気合いこそ出さないものの順番にその手をテルヨシの上に重ねていき、最後にシズクが馬鹿馬鹿しいと恥ずかしがって逃げるところをサアヤとクラリッサが掴んで強引に重ねさせる。
「まだレギオンとして、チームとして全然バラバラに近い状態だけど、個性を殺してまでレギオンのためになろうとしなくて大いに結構! それぞれがらしくやりながらオレ達は今よりもっと強くなる。その第1歩として、まずはタキリビメを倒すぞ!」
『おー!!』
これがおそらくテルヨシがレギオンマスターとして初めてレギオンのためにと動いてみせたことだったが、それを生意気だとか茶々を入れる者もいなく、言葉のあとにはみんながその手をグッと下に持っていってから、同時に上へと振り上げて手を放したのだった。
「いやぁ、青春してるねぇ」
「完全に部活のノリね」
「というよりも、この中に部活に入ってる方はいますの?」
『…………』
「聞いたわたくしが悪かったですわ……」
この感じには何も言わずにはいられなかったせいで尾ひれがついてしまったが、部活のノリとか言うサアヤに思わず疑問を口にしたクラリッサに答える声はなく、そもそも今日の放課後に全員が集まれた時点で部活に入ってないことは明らかで、愚問だったと聞いたクラリッサが反省。
空気がまた微妙な感じになりかけたので、切り替えるようにサアヤが「そういえば」と何かを思い出してテルヨシを見てくるので、はて何かな? と首をかしげてみる。
「アンタ、さっきの戦闘でちゃっかりシンデレラの胸揉んだでしょ。そういうのはどうなのかしらねぇ?」
「それはもう死ぬほど謝ったもん! シンデレラも次に会ったら1つ願いを叶える形でとりあえず許してくれたもん! っていうか角度的に見えてなかった人もいるんだからシンデレラを辱しめないであげて!」
「そんな大声で弁明するあなたもあなたですわよ!」
戦闘中は全員がほぼフィールド全域に散らばっていたので見えてなかったら良かったなぁと思ってたことが普通にバレてて、その辺で抜かりはないテルヨシがサアヤへの報告の義務を怠りながら必死の弁明をする。
リリースが来るより前にクラリッサへの謝罪とその処遇については供述通りでまとまったのだが、それをみんなに聞こえる声量で言うからクラリッサも恥ずかしさで声がちょっと裏返りながらツッコミを入れていた。
そんな安定のやり取りをテルヨシとサアヤがするから、付き合いの長いユリやアキラはやれやれと笑い、リクトとシズクも何やってんだかと苦笑を漏らす中、人一倍笑い声をあげたのは意外にもリリースだった。
「フッ……フハハハハッ……ハハハハハッ」
さすがにそれは予想外すぎてテルヨシ達もリリースを見てしまったが、ひとしきり笑って満足したリリースは謝罪を入れながらその本音を語る。
「すまない。お前達はもうリアルでも顔を合わせているんだったか。少し前までは顔を合わせれば対戦ばかりだったお前達が、こんなやり取りをしているのを見るとなんだかおかしくてな。まるで昔から友人だったように話す」
リリースが大笑いする姿など見たこともなかったテルヨシ達は、その理由を聞いてなんだか意外に思う。
ただ気になるのは言い方がどこか客観的で、その括りに自分を入れていない節があるところか。
「俺にはまだお前達の作る輪の中に入る資格はないが、改めて思ったよ。出来る限りお前達の力になりた……」
「なに言ってんのリリース。お前だってもうメテオライトの一員だろうが」
「そういう他人行儀なのはシラケるんだけど」
「レンタル移籍の扱いとはいえ、こうして一緒に行動しとる以上、主は紛れもなく儂らの仲間じゃ」
「んな小せぇこと気にして1歩退かれる方が困るんだよ」
「そうです。リリースさんに遠慮されたら、誰がこの人達をコントロールするんですか」
「レンタルであれ移籍した以上、あなたはわたくし達にも《
「今さらんなこと気にしてんのか。バカか」
それを証明するようにテルヨシ達への遠慮があったリリースがそのままの立場で話すので、そんなことと一蹴するような割り込みで言葉を遮り、各々がリリースを受け入れる言葉を投げかけた。
なかなかクサい台詞もあったので返事がないと恥ずかしさが込み上げてくるので、何気に失礼なことを言ったアキラをみんなでいじめていると、それを見たリリースがまた笑い出してしまう。
「フハハッ! お前達は本当に面白いな。こんなことで遠慮していた自分が馬鹿らしくなったぞ」
「懐は広いからな。んじゃリリースに遠慮がなくなったところで、タキリビメ攻略作戦を練るとしますかね」
レギオンとしてこれで気持ちが1つになった。なんてことは全然ないが、少なくとも全員がメテオライトにいることを不快に思っていないことだけは今のでわかったので、なんとなく雰囲気も良くなったのを利用してそのまま作戦会議に戻っていった。
約1時間ほどの作戦会議を経て、2度目──テルヨシとクラリッサの2人で突っ込んだのはノーカンだ──のタキリビメ戦に挑んだテルヨシ達は、前回と同じような台詞のあとに臨戦態勢となったタキリビメに対して事前にフォーメーションを組む。
役割の被るメンバーを対面に配置する円陣でタキリビメを囲み、各々で定めた範囲で水のつぶてを避けることで被害を最小に留めつつ、今回の攻撃で最低限の確認作業に入る。
「行くぞオラぁ!」
その1つ目であるタキリビメの丸鏡による反射防御。
その特性を見極めるべくシズクが作戦通りに合図をしてからアネモイのホーミング弾《ノトス》を2発。1秒の間を空けて放つ。
それと同時に対面のユリが《リトル・ボム》を作り、ノトスの弾丸が2発ともタキリビメに射出したのに合わせてタキリビメへと投げ入れる。
予想通りタキリビメの丸鏡はタイミングをズラして飛んできたノトスの弾丸を2つの丸鏡で吸収して、別の2つの丸鏡から反射してテルヨシ達を狙うが、ノトスの弾丸は1度ロックオンした対象に当たるか撃ち落とされるかしないと対象を捕捉して飛び続ける。
その特性で反射されても距離さえあればテルヨシ達に当たる前に制止から再びタキリビメに向けて飛んでくれる。
ノトスの弾丸は2発とも防御されてしまったが、確認したかったのはその先だったので、丸鏡が反射までを完了させる前にユリのリトル・ボムがタキリビメへと迫った時、剣を頭上の水球にかざしていただけだったタキリビメが初めてその剣をリトル・ボムの迎撃に動かしてきた。
当然、リトル・ボムは剣に触れた瞬間に爆発し、その爆発でタキリビメにはささやかながらも確かなダメージが通る。
さらに畳み掛けるように反射されたノトスの弾丸が捕捉し直して再度タキリビメに迫るが、その時にはもう丸鏡の防御が復活してまた反射させられてしまった。
3段攻撃が通用することはこれで証明されたので、次に確認するのはその防御が復活するクールタイム。
ノトスの弾丸が反射されて捕捉し直し、再び反射されるまでにあった時間は約4秒。
その時間を正確に把握するために今度はユリがリトル・ボムの投げるタイミングを秒刻みで調整。
ノトスが再射出される直前の4秒からスタートし1秒刻みで短くしていくと、3回目の2秒後の攻撃が通ったので、今度は2.5秒を狙ってみるとこれも通ったので、
「3秒じゃな!」
あまり半端なクールタイムはないので、丸鏡による防御は3秒で復活すると確定させ、ユリが叫んだと同時に戦闘も次の段階に移行。
3秒の猶予があればテルヨシ達もシビアではあるが攻撃に出ることは可能だが、より確実に攻撃を通すために出来ることが、あの丸鏡を破壊してしまうこと。
それが可能かどうかもやってみないとわからないが、水のつぶてを避けながら3秒の間に攻撃するのは近接型には厳しいと言わざるを得ないので、防御だけでも崩せれば形勢はずいぶんテルヨシ達に傾く、かもしれない。
仮に丸鏡が破壊できたとしても、それをトリガーにまた新たな攻撃が繰り出される可能性もあるから、単に有利になるなどと安直な思考ではないが、何度も言うようにボス攻略は情報戦。引き出してなんぼなのだ。
ノトスの弾丸が丸鏡の防御を無効化する隙に中距離攻撃が出来るサアヤとユリが《ブレード・ファン》の展開剣とリトル・ボムで確実に丸鏡に攻撃を当て始め、シズクも弾丸を徹甲榴弾の《ボレアス》にして《レイズ》の強化も乗った強力な爆撃で丸鏡を攻撃。
丸鏡にダメージを与えても強化外装と同じようにタキリビメ自体にダメージは通らないようだったが、観察眼に優れるテルヨシが逐一で観察を続けていると、4度目のシズクのボレアスが命中して爆炎の晴れた視界で丸鏡の1つの鏡面に確かな亀裂が入ったのが見えた。
「ガッちゃん達! 続けて!」
タイミングに集中しているサアヤ達は丸鏡の状態を細かに観察する余裕はなかったはずなので、代わりにテルヨシがダメージが入っていることを伝えると、一層の気合いが入ったサアヤ達は「よっしゃあ!」と叫んで攻撃に力が入る。
そしてついにサアヤの展開剣が亀裂の入った丸鏡を叩いた瞬間に、鏡面のみならず丸鏡全体がパリィィイン! といった軽快な音と共に砕け散り破壊され、ユリのリトル・ボムの爆発でまた1つ。シズクのボレアスでまた1つと砕け散り、1つになっては防御も機能しないのか、切り返してきたノトスの弾丸を吸収したはいいが、出所をなくして炸裂し鏡面が砕け散った。
『────《
丸鏡の完全破壊に思わずガッツポーズやらをしてしまったテルヨシ達だったが、それをトリガーにタキリビメが新たな攻撃を仕掛けてきて、掲げていた剣を逆手にして両手で持ち真下に振り下ろすと、足元の見えない空間を剣先で叩いたタキリビメの動作に合わせて、頭上の水球が突如として10倍以上に膨れ上がる。
それにギョッとする間もなく肥大化した水球は途端にその形を崩して自由落下を始め、タキリビメのいる本殿だけを避けるように空洞状態でフィールド全体へ外側に押し退けるような巨大な波となって襲ってきたのだった。