アクセル・ワールド~蒼き閃光Ⅱ~   作:ダブルマジック

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Acceleration Second87

 

 いよいよ《グレート・ウォール》との領土戦も終わりを迎えたかと思われた時、最後の1人だったはずの《アッシュ・ローラー》を倒した後にテルヨシ達の視界右上に新たな相手が表示される。

 冷静になればグレウォで撃破した数はまだ7人だったことに考え至ってからの本当の最後の1人の出現には納得のいくところだった。

 しかしその最後の1人というのが度肝を抜くほどの衝撃を与えてくる。

 《グラファイト・エッジ》。

 かつて黒のレギオン《ネガ・ネビュラス》の幹部《四元素》の1人にして、あの黒雪姫の剣の師匠でもあったレベル8バーストリンカー。

 

「……何であの剣バカが……」

 

 そのグラファイト・エッジ。グラフをこの中で直接戦った経験を唯一持つサアヤが、驚きで思考が停止気味になってしまう。

 ただそれはグラフの実力を知っていてそれを脅威に感じたとかよりも、ネガビュではなくグレウォに所属していることへの衝撃に思えたテルヨシは、話には色々と聞いていたグラフのことについて考察。

 

「グラファイト・エッジって、ここ2年くらい姿さえ見なくなってたハイランカーではなくて?」

 

「しかも元々の所属であるネガビュではなくグレウォに、か」

 

「……空白の第1席、か」

 

 その間に情報を確認するようにクラリッサと《チャイブ・リリース》が口を開いてくれて、事実として第1期ネガ・ネビュラスが解散という名の空中分解をした2年半ほど前からグラフはその姿を忽然と眩ませた。

 以降は黒雪姫やフーコといったかつての仲間さえその足取りは追えていなかったみたいだが、テルヨシはそこで1つの疑問が解けかける。

 実はずっと気にはなっていたグレウォの《六層装甲》。これはテルヨシが日本に渡った2年ほど前に《親》であるリュウジが第2席に落ち着いていたが、それも新学期辺りから脱退して一時的に空席が存在していたことになる。

 しかし現実ではその空席は当時の第1席だった《ビリジアン・デクリオン》がスライドして座ることになり、突如として謎の第1席が君臨したのだ。

 当然、六層装甲の席次はほぼ実力順なので、それほどのバーストリンカーならすぐに噂になって当たり前だったが、2年ほど経った今でもその第1席の存在は謎のままだった。

 だが今回のこれでその第1席に居座れるだけの実力者は極々限られた者になることはわかりきってることから、その謎の第1席がグラフだったのではと仮説が立つ。

 

「…………はぁ。あの剣バカに一喜一憂してたらキリがないわ。とにかく行きましょ。いくらあの剣バカでも数の暴力には勝てないわよ」

 

「確かに手負いとはいえこっちは6人いるしな。これで勝てないならそれこそ問題だろ」

 

「ふんっ。仲間が全滅しても姿さえ見せなかったやつだろ。薄情なんじゃねーのか」

 

「それをルールーが言うとなんか凄いな……」

 

 とはいえあくまで仮説。事実かどうかなど本人に確認するしかないし、今はグラフがグレウォのメンバーで領土戦に参加してるなら、倒して勝つ以外の選択肢はない。

 それに思い至ったか、はたまたグラフという存在にうんざりさせられてきた過去からか、大きなため息を吐いたサアヤもグラフの境遇などは考えるのをやめて領土戦に意識を戻す。

 それに呼応するようにテルヨシ達も相手が誰であれ6対1を覆すほど強いとは思えないと意見をまとめて移動を開始。

 

 ガイドカーソルはその動きを全く変えないことから、グラフは移動すらしていないのは間違いなく、必殺技ゲージも溜めている様子がない。

 そんなナメきってるようなグラフの調子にサアヤ辺りがイライラのゲージを上げていたが、フィールドの端っこに近づくことから、テルヨシはグラフの目的が領土戦にあるような気がしないと思えた。

 それを証明するように、いよいよガイドカーソルが中野区の南北に伸びる首都高速中央環状線に繋がる道路から一直線に伸び、その先の交差点で1人のデュエルアバターの姿を捉える。

 光源の少ない《世紀末》ステージでは遠目に確認しにくいが、その中でも一層の黒に染まっているデュエルアバター、グラフのシルエットには、ロングコート状の装甲と背中に差しているのであろうクロスした2本の剣が見えた。

 

「《ジェノサイド・カッター》!」

 

 その出で立ちからしてテルヨシ達をずっと待ってた節がわかったが、そんなのお構いなしに視界に捉えた瞬間に展開剣になっていた《ブレード・ファン》で必殺技発声し、16本の展開剣をグラフへと同時に射出したサアヤ。

 まさに有無を言わせずといった先制に距離はあっても明らかに慌てふためいた動きを見せたグラフのコミカルな動きはギャグだったが、どこか余裕もあるグラフは飛んできた展開剣が全て自分のところに収束することを見切って最小限の動きでステップ回避してみせる。

 その回避に舌打ちしつつも必殺技発動後すぐに突撃していたサアヤは、戻ってきた展開剣が再び扇子の状態に戻ったところで、今度は扇子状態でのジェノサイド・カッターを発動し肉薄。

 今度は風の刃とあってグラフも見切りが難しいと判断して背中の剣の1本を抜き、前で何度か振るうことで当たる分だけの風の刃を弾いて防御。

 会話すらしないと言わんばかりのサアヤの突撃には味方のテルヨシが面食らって、リクトとクラリッサとリリースも「何もそこまで徹底しなくても……」みたいな空気を醸し出しつつもサアヤの後ろをついていき、シズクだけが便乗してボウガンの《アポロン》を手に追撃していく。

 

「ちょいちょいちょい! ちょい待ちってエッピン! と、じゃじゃ馬ちゃん!」

 

「エッピン言うな!」

 

「くたばれぇ!!」

 

 超好戦的な2人を前にしてハッキリと声が届く距離にまでなると、なんともハイランカーらしくない制止を促す挙動で2人に呼び掛けるグラフに、全く取り合わないサアヤとシズクが激突する直前。

 別に多勢に無勢を卑怯だなどと思ってそう叫んでいたわけでもなさそうなグラフから話を聞きたかったテルヨシは《テイル・ウィップ》で2人を絡め取って強引に止めに入った。

 それがとても気に食わない様子で振り返ってどす黒いオーラを少し出していたサアヤとシズクにビクッとなりつつも、攻撃をキャンセルされた2人に不意打ちをするわけでもなく、むしろ安堵して剣を背中に納めたグラフに視線を移す。

 

「アンタがグラフか。話には色々と聞いてる。ずいぶんと周りに迷惑をかけてるみたいだな」

 

「ありゃ、どんな噂になってるのやら。まぁ俺がやることがいつも突飛で周りが反応に困ってるってのは否定しにくいな」

 

 領土戦の最中に呑気な挨拶は完全に場違いな空気がヒシヒシとするし、サアヤとシズクも挨拶が終わったなら攻撃再開するぞと物凄い殺気をテルヨシにさえぶつけてくる。

 それがわからないわけもないグラフが頭を掻きつつ手早く話をしようと、のんびりとしたマイペースな雰囲気から少し真面目な雰囲気へと切り替える。

 

「あんまのんびり話してるとこの2人が怖いから手短にいくぜ。まず俺がグレウォに厄介になってることの説明は……」

 

「そういうのいいわよ。どうせ聞いたってはぐらかすでしょ。それにアンタの行動に全く意味がないなんてこともない」

 

「はぐらかす気はないんだが、まぁいいならいいや。一応の口止めとして他言無用で頼む。俺がグレウォにいるのを知ってんのはグッさんとビリーと……《モンビ》だけなんだわ。んでだ。この領土戦はもうお前らの勝ちってことでいい。用件が済めば俺も自滅するくらいでいるしな」

 

 せっかく真面目になって話をしてくれるのに、最初から話の腰を折りにいったサアヤの無関心にはグラフもテルヨシ達も呆然としかけ、テルヨシ的には気になって仕方ないから割り込みたかったが、サアヤが言っちゃうとどうも足踏みしてしまう。

 結局そのまま話は進んで、グラフがグレウォに所属している事実がレギオン内でも明るみになってないことを告げて口止め。

 その事実を知ってる中にはリュウジも含まれていたようで、やはりリュウジの離脱と同時に第1席に座ったのはグラフと見て間違いないだろう。

 さらにグラフはこの領土戦もすでにテルヨシ達の勝利で構わないと話し、そう言われてしまうとサアヤとシズクも好戦的な雰囲気を若干なくして、だったら何で領土戦のメンバーに入ってるのかと素直に疑問をぶつける。

 

「ホントはビリーにもしっかり戦うならとかなんとか言われてたんだけどよ。やっぱなんつーかその、お前らのやろうとしてることには俺も全面的に賛成の方向ってか、そういう感じなわけ」

 

「だからって手を抜かれるのはこっちとしてもふざけんなって案件よ。そんな例外を通したら真剣に戦ってくれたプロミとレオニーズに悪いもの。それともなに? アンタが本気で戦ったら私達が負けてたとでも言いたいわけ?」

 

「そ、そこまでは言ってねぇだろ! 俺1人の力なんてこの戦力差で簡単に覆るくらい微々たるもんだぜ? 俺が言いたいのは……あー、あれよ。つまりお前らの覚悟をしっかりと見ておきたかったってこと」

 

「…………要約すると何しに来たの?」

 

「簡単簡単。そっちの代表1人。つまり《レガッタ・テイル》。お前さんと1対1の勝負がしたい。勝ち負けは関係ない。お前らがどんだけの覚悟で臨んできたのか、それがわかりゃそれでいい。あとそうね。モンビの子ってのも興味の対象」

 

 ちゃんと戦えとデクリオンに言われておいてのこの自由奔放さなら、確かにサアヤや黒雪姫達が頭を悩ませるのも頷ける性格をしている。

 その1つ1つにツッコんでいたらキリがないのも事実なようなので、どうやら邪魔者なしでの1対1がご所望なグラフがテルヨシを名指ししたため、とりあえずサアヤとシズクを降ろしてリュウジの子として、レギオンマスターとして1歩前に出る。

 

「モビールとは仲良かったの?」

 

「まぁそうな。どっか遠くに行っちまうってのは半年くらい前から聞かされてたくらいにはよろしくしてたぜ。お前さんを子にすることをその時から決めてたのもな」

 

「なるほどねぇ……グラフ。アンタがうちのレギオンの覚悟にいちゃもんつけないように真剣に戦うよ。それとは別にオレの中の何かを見定めようってのは正直どうでもいいから、公私混同だけはやめてくれな」

 

「決まりだな。んじゃ残り時間も400秒ないし、ちゃっちゃと始めますか」

 

 リュウジのところにはテルヨシの日本行きは半年以上前に手続きなどを考慮して連絡はいっていたので、グラフが言うことに矛盾はないし、当時は違うレギオンでありながらそんな話まで聞いていたなら、相当な関わりがあったと見て間違いない。

 単にそれだけの興味ならいつでも通常対戦で乱入するタイミングはあったはずなのに、わざわざこんな面倒なことまでして接触してきたからには、テルヨシ達の《帝城》完全攻略と何かしらの意味があるように思える。

 考えたところでその答えはグラフにしかわからないので、サアヤ達を下がらせて集中力を上げていくテルヨシは、とりあえず今はグラフに覚悟とやらを見せつけようとする。

 

「たぶんアンタはテイルのことを色々と見て知ってるだろうから、情報アドバンテージをなくす意味で教えておくわよ」

 

「構わねーよ」

 

「テイル、アイツは全部のレベルアップボーナスをあの2本の剣に注ぎ込んだ生粋のバカよ。それだけあってあの剣はおそらく加速世界で最強クラスの剣よ。切れ味と靭性にはアイツの色であるグラファイト。黒鉛に由縁があって、切れ味はグラフェンって厚さが原子1個分の単一層が支えてて、剣の腹はハイパーダイヤモンドって物凄く硬い素材で出来てるから、それを使った防御力は半端じゃないわ」

 

「あー、なるほど。それで矛盾存在か。ありがとね、ガッちゃん」

 

 その勝負が始まる前にと、グラフの戦いに関する情報をサアヤが簡単に教えてくれ、グラフもそのことには平等という意味で了承。

 さすが黒雪姫の剣の師匠というだけあって話だけでも厄介さが滲み出ている。

 そして何故みんながグラフのことを矛盾存在などと呼ぶのか、その理由についてもサアヤの説明で理解が及ぶ。

 元々、矛盾という言葉は『何でも斬れる矛と何でも防ぐ盾。なら双方をぶつけたらどうなるのか』という話から来ているらしいが、グラフの双剣がまさにその話を実現し得ることから来ているのだろう。

 そんな最強の矛と盾を持つ相手、グラフを前にして臆するどころかワクワクしてきている自分が相当な変わり者だなと自覚しつつも、同じ高みであるレベル8に至った自分がどれほど通用するのか、それを確かめるようにグラフへと突撃していった。

 テルヨシの突撃を見ても背中の双剣に手もかけないグラフの余裕の姿勢には侮られているのかと考えてしまうが、あの見切りを見れば剣を抜くまでもないことも多々あるのだとわかる。

 その中に含まれてしまうなら、まずは剣を抜かせるところからか。

 ただしいつ抜かれるかもわからない最強の矛を警戒しないわけにはいかないので、対黒雪姫戦を想定した戦い方に自然と意識が切り替わる。

 黒雪姫とは違ってグラフは手の延長として剣を装備するため、四肢が剣の黒雪姫よりも接近戦はしやすい。

 特に接近戦でもボクサーなどの間合いに当たるインファイトならグラフでも剣を振るだけのリーチを確保できずに困るはず。

 当然、その辺の対策など経験値で克服済みなのは間違いないが、初対面の相手に対して相手の間合いで勝負してやる道理もない。

 剣が抜きやすいように一直線でグラフに肉薄しにいったテルヨシに、少し構えはしても剣には手を伸ばさないのを確認。

 おそらく剣なしでの迎撃方法は黒雪姫にも使える『アレ』だろうと予想しつつ一層強い踏み込みで一瞬早くグラフへと接近し、渾身の飛び蹴りを体の中心にぶち込んでやる。

 しかしグラフはこの飛び蹴りにも動じることなく右手を添えるように触れさせてくるんっ。

 円運動をしながら腕を引きテルヨシの足を引き込むと、たちまちその威力を吸収して止め、間髪入れずに飛び蹴りの威力を反転させて弾き返してきた。

 これは黒雪姫もどういう原理かは説明されてもよくわからなかったが使う技術で《柔法》と言い、相手の力を利用してカウンターに繋げる攻防一体の技。

 こればかりは黒雪姫から散々食らっていたので、その対策は以前からいくつか練られていた。

 弾き返された足ごと体全部が後ろに吹き飛ぶのをテイル・ウィップで強引に止めて、そのまま空中に留まったまま体だけをぐるんっ! 素早く縦回転させて左足でのかかと落としを放つ。

 それにはグラフも「おっ」と小さく驚く声を出したが、テルヨシのかかと落としはバックステップで回避に動き、本能か経験か回避に合わせて右手が背中の剣に伸びる。

 回避に動くことはテルヨシも予測の1つにあったので、左足が地面に触れて着地した瞬間に超低空スライディングへと繋げて右足でグラフの足を払いにいく。

 その右足を切り落とさんとグラフの剣が鋭く抜き放たれて振り下ろされるが、速度は想定より上ながら誘い込んだことに変わりないその一撃をテルヨシは避ける。

 払いにいった右足で《インスタント・ステップ》の足場を蹴って強引なブレーキを掛け、即座に左足でも蹴って両足を後ろへと引っ込める。

 それで紙一重でグラフの剣を空振りさせて、引っ込めた両足を両手を顔の横で地面に触れさせて止め、引き絞るようになった両足を両手を伸ばすのと同時に前へと押し出して体を回転させ威力を上げて空振りしたグラフを狙う。

 

「ぐおっ」

 

 そのスピニングドロップキックとでも呼ぶ攻撃でグラフは空振りした右腕にこそ当てさせたが柔法での防御は間に合わずに吹き飛び、しかし直前で自ら後ろに跳んだことでダメージはそれ込みで思ったより……も大きい。

 特色の黒の分類になるためカラーサークルとしては三原色のどこに寄るといったことも出にくいところだが、サアヤの言うようにレベルアップボーナスを全て双剣に注いだというのは事実のようで、グラフ本体の耐久は赤系統クラスに柔らかいらしい。

 だがこれで終わりではない。

 グラフが体勢を崩している間にテイル・ウィップで再び体全体を支えて地面に落ちる前に姿勢を変えてグラフに《インパクト・ジャンプ》で体当たりを敢行。

 その怒濤の追撃にグラフもとうとう左手で2本目を抜き二刀流になると、ハイパーダイヤモンド製というその剣の腹を正面に見せてクロスガード。

 その最強の盾へと突っ込んだテルヨシはなんとか膝蹴りでぶつかるが、ここでまさかの最強の盾で受け止めてからの柔法を加えたカウンターに繋げてきて、かなりのエネルギーでぶつかったこともあってその返しのエネルギーも相当なもので、まるでトラックに轢かれたかのような衝撃で真後ろへと吹き飛んだ。

 ダメージも全身を駆け巡ってガヅンッ! と2割以上も削られてしまったが、吹き飛ぶ中でカウンターをしてしっかり地に足を付けたグラフがすかさず踏み込んできたのが見える。

 グラフの双剣は現実的に考えて受け止めることは不可能なので回避するしかないが、それも難しい状況を強いられてしまい頭には諦める選択肢が不意に浮かぶ。

 それも経験から来る1つの現実なのを受け止めつつも、ここで諦めるなど頑張ってくれたサアヤ達に申し開きも立たない愚かな選択だと振り払い、迫るグラフの動きに全神経を研ぎ澄ます。

 如何なグラフでも完全にキャンセル不可能なタイミングは必ず存在する。

 そのタイミングのみを狙って左手の剣が下から上へと斬り上げられた瞬間、テイル・ウィップを前面に盾のようにとぐろ巻きで展開し防ぐが、テイル・ウィップは豆腐のように斬り裂かれてしまう。

 だがそれでいいと、その一瞬でグラフとの間に視界を遮ったことで予想外を生み出し、ポリゴン片となって消えるテイル・ウィップを足場にして蹴り、バック宙を切りギリギリで体勢を整えて両足で着地。

 依然として迫るグラフが第2の刃である右手の剣で斬り上げてきたところを間合いを見切ってリーチギリギリで躱す。

 ただそれだけではグラフに連撃を許すため、何よりも速くグラフに肉薄して両手首を掴んで剣を封じる。

 

「うらぁああ!!」

 

 そこから小ジャンプして両足を畳み、グラフとの間に無理矢理ねじ込んでからのドロップキックをお見舞いしてやれば、その威力でグラフの左腕が肩から外れて欠損。

 相当なダメージを与えられはしたが、無理にドロップキックをしたことでテイル・ウィップを失ったこともありテルヨシはグラフのそばで不時着し、かろうじて残った右腕が握る剣を避ける間もなく腹へと突き刺されてしまった。

 

「……いやぁ、参った参った。まさか片腕を持っていかれるとはな。でもまっ、お前らの覚悟ってやつは見せてもらっ……」

 

 あまりにも無抵抗に刺さった剣の切れ味が恐ろしくて、そのまま動かされたら体は豆腐のように切断されてしまうだろうことを確信したテルヨシだったが、刺したままでわざわざ口を開いたグラフは、そこからテルヨシをどうこうするような気配を完全に消して称賛の言葉と共に覚悟を認めてくれた旨を伝える。

 しかしその言葉は最後まで言い切る前に決着と見たサアヤ達が有無を言わさずに倒しにかかって、なんとも締まりのないグレウォとの領土戦はそれで幕引きとなったのだった。

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