偽・盲目少女も異世界から来るそうですよ? 作:こいこいさとこい
和を基調とした家の一室に一人白髪の少女は、瞑想していた。
「...ZZZZZZ.........」
.....いや、寝ていた。
彼女の容姿を見ると、長い白髪は邪魔にならないように後ろで一つに結んであり服装は、動きやすいように工夫された桜吹雪が描かれている黒い和服である。一つだけ奇妙なところを上げるならば、その細くか弱そうな腰には当体似合わない刀があった。
「ふぁ.....おや?もうこんな時間でしたか、少し一休みのつもりでしたが寝すぎてしまいましたね」
そう言って立ち上がり外の方へ歩いていくがその彼女の目は塞がったままであった。そう、彼女はとある事情により盲目の生活をしているのだ。
「眼を使わない生活も十分に慣れてきましたね、まぁもともとそういうつもりでいましたので支障になりませんが…」
そう言うと彼女は台所に行き慣れた手つきで味噌汁を作り始め、出来た味噌汁とご飯を食べる。その姿は、本当に目が見えていないのかと疑うほど普通に過ごしていた。
「さてと....?おや?」
彼女がまた部屋に戻ろうとした時、少し空いていた窓から一通の手紙が入ってきた。
「ふむ?これは手紙ですか?風に乗って入ってきたようですが…しかし、まるで私の家にそれも私の元に狙って来たようにも感じましたが…」
彼女は手で手紙の表面を撫でるとそこにある紙の材質のわずかな変化で宛名を読む。
「『天須 伊邪那 様』....、ご丁寧にふりがな付きで『あます いざな』と書いてありますね。どうやら、この手紙の送り主は私宛に随分と珍しい投書をなさるお方のようですね。少し興味が湧きました」
そう言うと、少女改め伊邪那は手紙を開けた。その時の顔は少し期待がこもっている笑みを浮かべていた。伊邪那が手紙を開けるとそこには、文字が書かれていた。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能を試すことを望むのならば、
己の家族を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの"箱庭"に来られたし』
その瞬間光に包まれた。
「ヤハハハハ!」
「わ!」
「きゃっ!」
「ミニャャャャャ!」
三人と一匹の悲鳴と笑い声が響いている中、伊邪那は一人冷静に判断していた。
(空気と言うか世界そのものが変わった感じがしますね?こういうの初めてですが…それに私以外に三人.......と一匹ですが、かなり高いところから落下している感じですが私を含めてですが大丈夫ですかね?このまま地面に落下して...いえ、その心配はないみたいですね。幸いにも下に水があるようですし大丈夫?なのかな?)
伊邪那がそんなことを考えていると、伊邪那を含めた四人と一匹は水膜の様なものに当たって水に落とされた。
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四人と一匹は岸に上がった。そんな中、黒髪リボンの少女と金髪ヘッドホンの少年が罵詈雑言を吐き捨てていた。
「信じられないわ! まさか問答無用で引き摺り込んだ挙げ句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
「………いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」
「俺は問題ない」
「そう。身勝手ね」
互いに「フン」と鼻を鳴らして服をの端を絞る、金髪ヘッドホンの少年と黒髪リボンの少女。
このやりとりを見て伊邪那は自分のびしょびしょになったお気に入りの和服を絞りながら、こんな喧嘩をこの二人はまたするんだろうなぁと感じていた。
猫を拭き終えたらしい茶髪ヘアピンの少女は、自分の服の端を絞りながら、
「此処………何処だろう?」
と呟いた。
「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、何処ぞの大亀の背中じゃねえか?」
そのつぶやきに呟きに答える金髪ヘッドホンの少年はとりあえず、全員が服を拭き終えたのを確認して
「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」
と聞いた。それに対して黒髪リボンの少女が答える。
「そうだけど、まずは"オマエ"って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱き抱えている貴女は?」
「………春日部耀。以下同文」
「そう、よろしく春日部さん。野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」
「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」
「取り扱い説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」
「マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」
そんな彼らの様子を伊邪那はまたやってるなぁと感じながら刀を拭いていた。
すると、そんな彼女に気付いたらしい十六夜が寄ってきて話しかける。
「で?さっきから静かに刀を拭いてるお前は?」
「おや?私で最後ですか?」
「あぁ、そうだぜ?」
そのことを聞くと、彼女は丁度拭き終えた刀を腰に差し直し自己紹介を始める。
「私の名前は天須 伊邪那です。これでいいですか?」
「よろしく天須さん」
そう自己紹介した伊邪那に返した飛鳥は一つ気になり伊邪那に聞いた。
「貴女、先ほどから目を閉じてるけど、どうしたの?」
「その事でしたらご心配無く、元々こうでして...俗に言う盲目と言うやつですので」
伊邪那がそう言うと、飛鳥は申し訳なさそうな顔をして
「ごめんなさい」と謝った。
「いえ、大丈夫ですよ」
と言って彼女の謝罪に対して言っているところをヤハハハハと笑いながら見ている十六夜。
それに対してイラッときたのか十六夜から顔を背ける飛鳥。
我関せず、無関心を装う耀。
まだ濡れている服が気になるのか服をまた絞っているマイペースな伊邪那。
そんな彼らを見ていた黒ウサギは思う。
(うわぁ....問題児ばっかりみたいですね.......)
召喚しておいてあれだか、彼らが協力する姿はどうやっても想像がつかない。陰鬱そうに黒ウサギはため息を吐き彼らの前にどう現れようか考えていた。
そのためか、黒ウサギは気づけなかった。
伊邪那が刀に手を置いたままこちらの方を向いていたことに
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「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」
「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」
「………この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」
「いえ、私が言えたことではないですが...貴女も十分に落ち着きすぎているかと思いますよ?」
そう言って各々待たされ過ぎてイライラしてきたのか罵詈雑言を吐き始める。黒ウサギは最後に伊邪那が言ったことに対して
(全くです。目をつぶっている方は唯一の常識人なのでしょう)
と心の中で納得していた。
もっとパニックになってくれれば飛び出しやすいのだが、落ち着きすぎているため彼女は出るタイミングを測れないでいた。
(まあ、悩んでいても仕方が無いのデス。これ以上に不満が噴出する前にお腹を括りますか)
黒ウサギが覚悟を決めた時ため息混じりに十六夜が呟く。
「ーー仕方がねぇな。こうなったらそこに隠れている奴にでも話を聞くか?」
今まさに出ようとしていた黒ウサギは、驚いてもの陰に隠れた。
「なんだ、貴方も気づいていたの?」
「当然、かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちのお前らも気づいていたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「元々ここにいる人数分の声と心拍音が一致してませんでしたから。あっ、今私達に気づかれていたことに気づいて心拍数が上がりましたね」
「へぇ?面白いなお前達」
軽薄そうに笑う十六夜の目は笑っていない。伊邪那を除いた三人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠った冷ややかな視線を黒ウサギに向ける。黒ウサギはやや怯んだ。
「や、やだなぁ御四人様。そんな狼みたいな怖いかっ
そこから先の黒ウサギの言葉は続かなかった。何故なら、伊邪那が黒ウサギに刀を振るっているからだ。
「ヒャァァァア!?」
「おや?避けましたか?なかなか鋭いですね?」
「ちょっと、お待ちを!!私は貴方達を呼ばせていただいたものでございますヨ!?」
「ふむ....そうでしたか。てっきり猛獣か何かが私達を狙っていたのかと」
「さっき言いかけたことの続きにもつながりますがむしろ黒ウサギの天敵です。ええ、古来より孤独と猛獣はウサギの天敵でございます。なのでここは一つ穏便に、ONBINにお話を聞いていただけたら嬉しいのでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「いきなり斬りかかったお詫びもありますので、手短にならいいですよ?」
上から十六夜、飛鳥、耀、伊邪那というふうに返された黒ウサギはバンザーイと降参のポーズを取りながら、
「あっは、取り付くシマもないですね、あと最後の方ありがとうございます!」
と言った。しかしその目は冷静に四人を寝踏みしていた。
(肝っ玉は及第点、この状況でNOと言える勝ち気は買いです。まあ、扱いにくいのは難点ですけどもあと白髪の方は強いですね。刀を抜いて黒ウサギに斬りかかるまでとても速かったデスね...)
黒ウサギはおどけつつも、四人にどう接するべきか冷静に考えを張り巡らせていた。
すると、耀が不思議そうに黒ウサギの隣に立ちうさ耳を思いっきり引っ張った。
「えい」
「フギャ!」
それはもう、引き抜くぐらい引っ張った。
「ちょっと、お待ちを!!触るまでなら黙って受け入れますが、初対面で私のステキ耳を引き抜きにかかるとはどういう了見ですか!?」
「好奇心のなせる業」
「自由にも程があります!」
「へぇ?この耳本物なのか?」
今度は十六夜が右耳を、
「.......じゃあ私も」
「ちょっと、お待ちをー!!」
飛鳥が左耳を掴み引っ張る。黒ウサギは言葉にならない悲鳴をあげ絶叫する。そのとき我関せずのマイペースな伊邪那は、
「ZZZZZZ....」
話が進むまで寝ることにした。
深夜のテンションで書いてあとがきの時見直すとかなり酷いですね、これは黒ウサギが苦労ウサギになるのもあり「ありません!」......
はい、すいません。無いことを祈ります、はい。