偽・盲目少女も異世界から来るそうですよ? 作:こいこいさとこい
しまった...と伊邪那は思っているだろう。
なぜなら、それは今の現状を見ればわかる。
十六夜は何もかもを見下すような視線で一言、
「この世界は.........面白いか?」
.....そう、彼女は黒ウサギの説明を寝過ごして全く聞いていなかったのだ。伊邪那は場が落ち着くまで軽く寝ていよう程度の仮眠を取るつもりだったが、程よい太陽の日差しが彼女を深い眠りに落とした。
頭に違和感を感じて目を覚ますと、頭の上には鳥がとまっていて黒ウサギの説明が終わり全員に質問をしている場面であった。
他の二人の反応を感じ分かったのは、恐らく十六夜が最後の質問をしているのだろうということぐらい。
そして十六夜の質問の『この世界は面白いか?』という質問の答えに対して期待の思いで返事を待っている感じだろう。
「ーYES。『ギフトゲーム』は人を超えた者達だけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証致します♪」
この時、伊邪那は一つ疑問を感じた。この世界は箱庭と言うらしいが何故黒ウサギは『安心』しているのだろう?自信満タンにに今の言葉を言うならわかるが、伊邪那の黒ウサギから感じた心拍数や呼吸のリズムは安心した感じだったのだ。まるで何かを隠しているようなそんな感じがした。すぐに、確認を取ろうとしたが自分は寝てたため今の得られる情報だけでは判断しかねるため取り敢えず様子見をすることにした。
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黒ウサギのコミュニティに向かう道中、十六夜が伊邪那に話しかけた。
「なぁ、一緒に世界の果てを見に行かないか?」
本当なら、断って黒ウサギの隠していることについて調べたかったが世界の果てというものに興味が湧いた伊邪那は
「はい、わかりました」
「んじゃ、行くか。あっ、そうだ春日部にお嬢様。黒ウサギには適当に言っといてくれ」
「分かった」
「天須さん気をつけてね」
その言葉を聞いたあと、十六夜は伊邪那を抱えてすごい速度で走っていった。
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十六夜に抱えられている時に伊邪那はあることが気になったので聞いてみた。
「十六夜さん、貴方は気付いていますね?」
「...へえ?じゃあ、お前も気づいたんだな黒ウサギの嘘に?」
そう試すように十六夜は伊邪那を見る。
「目が見えない代わりに他の感覚がいいもので、ちょっとした呼吸のリズムや心拍数で嘘や動揺はわかるんです」
「なるほど、やっぱりお前面白いな」
「それで?いつ黒ウサギに話すんですか?」
「そうだな....、世界の果てを見たらとかでいいんじゃね?っと、はい到着」
十六夜とそんなことを話していると大きな滝の前に着いた。
「なかなか大きな滝だな」
「滝?確かに空気中に水分が多いので滝に来たと分かりましたが?ここが世界の果てですか?」
「いや、ここから歩いていこうと思ってな?」
黒ウサギにわざと追いつかせるためだろうことは分かった。そこで伊邪那は、寝ていて聞きそびれたことについて聞こうとした時水面から大きな蛇神が現れた。
『ここに人が来るのは珍しいな?どうだ、貴様らを試してやろう!試練を選ぶがよい』
「だそうですが、どうします?」
「はっ、俺がこいつを試しといてやるよ!お前はそこで見ていな」
その言葉を聞いて伊邪那は近くの木に寄りかかってことの経過を待つことにした。
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「もう、一体どこまで来ているんですか!?」
あれからちょっとして十六夜が蛇神を沈めてすぐに髪の毛を緋色にした黒ウサギが追いついた。
「世界の果てまで来ているんですよ、っと。まあそんなに怒るなよ。しかしいい脚だな、遊んでいたとはいえこんな短時間で俺に追いつけるとは思わなかった」
「むっ、当たり前です黒ウサギは『箱庭の貴族』と謳われる優秀な貴族です。その黒ウサギが」
アレ?と黒ウサギは首を傾げる。
(黒ウサギが.........半刻以上もの時間、追いつけなかった?)
黒ウサギはその事についていろいろ考えたがあることが気になり十六夜に聞いた。
「そう言えば、伊邪那さんはどちらに?」
「そこの木に寄りかかって寝てるよ、まあ蛇との戦いが詰まんなかったからな飽きちまったんじゃねーの?」
そう言いながら、伊邪那の居る木を指差す。
「ふぅ、まあ何がともあれお二人共無事でよかったです。さあ、早く戻りって...えっ?今なんと?」
黒ウサギは伊邪那の所在を聞いた時になんかとんでもない事を言われた気がして思わず聞き返す。
「飽きちまったんじゃねーの?」
「いえ、その前です」
「蛇との戦いが「そこです!」....それが?」
出来れば黒ウサギの聞き間違いであって欲しかったが、現実は非情である。
「その蛇様はここに住む水神様でこざいますよ!?」
そう黒ウサギが言った瞬間、川面からその巨躯が現れた。
『まだ、試練は終わっていないぞ小僧ォォォォ!』
「いったい何をしたらこんなに怒らせられるんですかぁー!?」
ケラケラと笑う十六夜はことの顛末を話す。
「なんか偉そうに試してやると素敵なことを言ってくれたからな、俺を試せるのかどうか試させてもらったのさ。結果はまあ、残念な奴だったが」
『貴様....付け上がるな人間我がこの程度で倒れるかァァァァ!』
蛇神がそう叫ぶと巻き上がる風が水柱を上げて立ち昇る。
「十六夜さん、下がっ「うるせぇ、これは俺が売って奴が買った喧嘩だ手を出せばお前から潰すぞ?」っ」
『心意気は買ってやる、それに免じてこの一撃を防げば貴様の勝利としてやる!』
「寝言は寝ていえ、決闘は勝者を決めて終わるんじゃない。『敗者を決めて終わるんだよ』」
その傲慢極まりのないその言葉に蛇神も黒ウサギも呆れて閉口した。
『ふん、それが貴様の最後の言葉だ!!』
竜巻く水柱は計三本。それぞれが生き物のように唸り、蛇のように襲いかかる。
「十六夜さん!」
黒ウサギが叫ぶがもう遅い。木々を捻り切り、十六夜の身体を激流に飲み込む!
「ハッ、しゃらくせぇ!」
十六夜は激流の中、ただの腕のひと振りで嵐を薙ぎ払ったのだ。たった1本を残して、そしてその1本は伊邪那のいる方へ向かっていく。黒ウサギはそれに気付いて伊邪那の方へ向かうが間に合わない。
「伊邪那さん!」
黒ウサギは叫ぶ、その声と同時に水柱が音もなく切り裂かれた。
「十六夜さん、わざとですね?」
目を擦りながら伊邪那が木の影から現れた。
「嘘!?」
『馬鹿な!?』
驚愕する二つの声。蛇神は全霊の一撃を弾かれ放心するが
、十六夜はそれを見逃さなかった。
「ま、なかなかだったぜお前」
大地を踏み砕く爆音。胸元に飛び込んだ十六夜の蹴りは蛇神の胴体を打ち、蛇神の巨躯は空高く打ち上げられ川に落下した。その衝撃で川が氾濫し水で森が浸透する。
また全身を濡らした十六夜は、ばつが悪そうに川辺に戻った。
「くそ、今日はよく濡れる日だ。クリーニング代くらいは出るんだよな黒ウサギ」
「あの、クリーニング代とかそんなのはいいので、私の方に残した攻撃について説明をしてください?」
冗談めかした十六夜の声や十六夜に対して文句を言っている伊邪那の声は黒ウサギに届かない。彼女の頭の中はパニックでもうそれどころではなかったのだ。
(人間が神格を倒した!?それもただの腕力と刀のひと振りで!?そんなデタラメが!)
ハッと黒ウサギは思い出す。彼らを召喚するギフトを与えた『主催者』の言葉を。
「彼らは間違いなく、人類最高クラスのギフト保持者よ黒ウサギ」
黒ウサギはその言葉をリップサービスか何かだと思っていた。信用できる相手だったが、ジンにそう伝えた黒ウサギ自身も『主催者』の言葉を眉唾に思っていた。
(信じられない.........だけど、本当に最高クラスのギフトを所持しているのなら.........!私たちのコミュニティ再建も、本当に夢じゃな気かもしれない!)
黒ウサギは内心の興奮を抑えきれず鼓動が早くなるのを感じ取っていた。