偽・盲目少女も異世界から来るそうですよ?   作:こいこいさとこい

4 / 7
誤字報告ありがとうございます。自分でやっていると気が付かないものですね。今後もおかしな所がございましたら報告お願いします。


妖刀と外門

「.......っは!今、一連の流れに呆気に取られてしまいましたが、その方は?」

 

「ん?おお、可愛らしいお嬢さんはじめまして。この"サウンドアイズ"の幹部の白夜叉だ。仕事の依頼ならおんしのその華奢な体を借りる事で引き受けるぞ」

 

その事を聞いてものすごく微妙な表情なってしまう伊邪那を見て店員は注意する。

 

「オーナーそれでは売上が伸びません。ボスが怒ります。それと、そちらのお嬢さんがドン引きしてます」

 

「うう.........まさか私まで濡れることになるなんて」

 

濡れた服やミニスカートを絞りながら水路から上がってきた黒ウサギは複雑そうにつぶやく。

 

「因果応報.........かな」

 

『お嬢の言う通りや』

 

悲しげに服を絞る黒ウサギ。

反対に濡れても全く気にしない白夜叉は、店先で十六夜たちを見てニヤリと笑った。

 

「ふふん。お前達が黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たということは.....遂に黒ウサギが私のペットに」

 

「なりません!どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」

 

ウサ耳を逆立てながら怒る黒ウサギ。どこまで本気かわからない白夜叉は笑って店に招く。

 

「まあいい。話があるなら店で聞こう。...ん?そう言えばあの銀髪の目を閉じた娘は?」

 

「オーナー、その方でしたら既に店の中の方に」

 

その言葉に白夜叉は驚いた顔をする。

 

「ん?珍しいな、おんしの事だから旗も持たない"ノーネーム"は店に居れないと思っていたのだが」

 

「いえ、純粋なお客様の様でしたので。それに、中々のものをお持ちのようでしたので」

 

店員がそこまで言うと、店の奥の方から呼ぶ声と一緒に刀を持った伊邪那が出てくる。

 

「すいませーん。この刀何ですが.....おや?皆さんどうしたんですか?早く中に入って見てください。すごいですよ。この刀なんて見て下さい。この素晴らしいずっしりとした重みに刀を納刀した際に響く凛っとした音それに...」

 

いつもより雄弁な伊邪那に呆気に取られていた十六夜たちだが、飛鳥がハッとして伊邪那を止める。

 

「天須さん、ストップ。貴女が刀が好きなのは大体分かったわ」

 

「そうですか。しかし、なかなかにいい存在感の刀です。妖刀の類ですかね。お金あるのなら直ぐにでも買いたいぐらいです」

 

その様子を見ていた、白夜叉は伊邪那の方へ歩いてゆく。

 

「おんし、その刀が妖刀だと分かるのか?」

 

「ええ。見える、見えないに問わず分かるものですよ?こうして普段使っているモノの事です、触れて感じるのもですよ」

 

そう自分の腰に下げている刀を見せながら話す。

 

「ふむ、中々のセンスだな。まあ、ここで話し込んでしまうのもあれだからな中に入るとしようか?」

 

「そうですね」

 

伊邪那は持っている刀を店員に返してから先に中に入っていく白夜叉達について行く。

「あいにくと店は占めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」

 

五人と一匹は和風の中庭を進み縁側で足を止める。

障子を開けて招かれた場所は香のようなものが焚かれており、風と共に五人の鼻をくすぐる。

 

白夜叉は和室の上座に腰を下ろし大きく背伸びしてから十六夜たちに向き直る。気がつけば彼女の着物はいつの間にか乾ききっていた。

 

「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門三三四五外門に本拠を構えている"サウンドアイズ"幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と人しておいてくれ」

 

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

投げやりな言葉で受け流す黒ウサギ。その隣で耀が小首をかしげる。

 

「その外門って何?」

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者達が住んでいるのです」

 

黒ウサギが描く上空から見た箱庭の図は、外門によって幾重もの階層に分かれている。その図を見た三人は口を揃えて、

 

「.....超巨大タマネギ?」

 

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

 

「そうだな。どちらかと言うとバームクーヘンだ」

 

うんと頷き合う三人を見てガックリと肩を落とす黒ウサギ。

 

「ふふ、うまいことを例える。その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。さらに説明するなら、東西南北の四つの区切り東側にあたり、外門のすぐ外は"世界の果て"と向かい合う場所になる。あそこはコミュニティに所属していないものの、強力なギフトを持った者達が住んでおるぞ。その水樹の持ち主などな.........して?誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?知恵か?勇気か?」

 

「いえいえ。この水樹は十六夜さんがここにくるまえに、蛇神様を素手で叩きのめしてきたのですよ」

 

自慢げに黒ウサギが言うと、白夜叉は声を上げて驚いた。

 

「なんと!?クリアではなく直接的に倒したとな!?ではその童は神格持ちの神童か?」

 

「いえ、黒ウサギはそう思えません。神格持ち一目見れば分かるはずですし」

 

「む、それもそうかしかし神格を倒すには同じ神格を持つか、互の種族によほど崩れたパワーバランスがある時だけのはず。種族の力でいうなら人と蛇ではドングリの背比べだぞ」

 

「そう言えば、白夜叉様とあの蛇神様はお知り合いだったのですか?」

 

「知り合いもなにも、アレに神格を与えたのは私だそ。もう何百年も前の話だがの」

 

小さな胸を張り呵々と豪快に笑う白夜叉。だがそれを聞いた十六夜ば物騒に瞳を光らせて問いただす。

 

「へえ?じゃあお前はあの蛇より強いのか?」

 

「ふふん、当然だ。私は"階級支配者"だぞ。この東の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者なのだからの」

 

"最強の主催者"その言葉に三人は一斉に目を輝かせた。

 

「そう.........ふふ。ではつまり、貴女のゲームでクリア出来れば私たちのコミュニティは東側で最強のコミュニティということになるのかしら?」

 

「無論そうなるのう」

 

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

三人はむき出しの闘争心を視線に込めながら白夜叉を見る。白夜叉はそれに気づいたように高らかと笑い声をあげた。

 

「抜け目の無い童達だ。依頼をしておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

 

「え?ちょ、ちょっと御三人様!?」

 

慌てる黒ウサギを後から伊邪那が服を引っ張る。

 

「まあまあ、落ち着いてください。焦っても良いことわありません、お茶でも飲んで落ち着いてください」

 

「ん?なんだ、おんしはやらんのか?」

 

黒ウサギを止めている伊邪那を見て白夜叉が聞くと、ニヤリと笑い刀を少し抜きながら答える。

 

「まさか、そんな筈は無いでしょう?」

 

「ふふ、そうか。しかし、ゲームの前に一つ確認しておくことがある」

 

「何だ?」

 

白夜叉は着物の裾から"サウンドアイズ"の旗印ーーー向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言、

 

「おんしらが望むのは"挑戦"かーーーーもしくは"決闘"か?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。