偽・盲目少女も異世界から来るそうですよ?   作:こいこいさとこい

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太陽と白夜

 

「おんしらが望むのは"挑戦"か?ーーーーもしくは"決闘"か?」

 

刹那、三人の視界に爆発的な変化が起きた。

三人の司会は意味をなくし、様々な情景が脳裏で回転し始める。

記憶にない場所が流転を繰り返し足元から四人を飲み込んでゆく。

 

四人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔 そして『水平に太陽が廻る世界』だった。

 

「なっ.........!?」

 

あまりの異常さに伊邪那を抜いた三人は同時に息を飲んだ。

箱庭に招待された時とは違うその感覚は、もはや言葉で表現できる御技ではない。

遠く薄明の空にある星は只一つ。緩やかに世界を水平に廻る、白い太陽のみ。

まるで星一つ世界一つを創り出したかのような奇跡の顕現。

 

「ふむ、世界その物が変わりましたね」

 

伊邪那は落ち着いて現状を把握し、ほかの三人は唖然と立ち尽くす。

 

そんな四人に今一度白夜叉は問いかける。

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は"白き夜の魔王"ーーーー太陽と白夜の星霊・白夜叉。

 

おんしらが望むのは試練への"挑戦"か?それとも対等な"決闘"か?」

 

 

魔王・白夜叉。少女とは思えぬ凄みに、再度息を呑む三人。

 

「星霊....なるほど、貴女は"与える側"の存在ですか。そして...魔王.....ですか。....ふむ」

 

冷静に分析を続ける伊邪那に白夜叉はニヤリと笑う。

十六夜は背中に心地いい冷や汗を感じながら、白夜叉を睨んで笑う。

 

「水平に廻る太陽と.........そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現しているってことか」

 

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私が持つゲーム盤の一つだ」

 

白夜叉が両手を広げると、地平線の彼方の雲海が瞬く間に裂けて、薄明の太陽が晒される。

 

「これだけの土地がただのゲーム盤.........!」

 

「如何にも、しておんしらの返答は?"挑戦"を望むならば、手慰み程度に遊んでやる。

だがしかし"決闘"を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り戦おうではないか」

 

「.........っ」

 

飛鳥と耀、そして十六夜でさえ即答できずに返事をためらった。

白夜叉が如何なるギフトを持つか定かではない。だが勝ち目がないことは一目瞭然だ。しかし自分たちが売った喧嘩を、このような形で取り下げるにはプライドが邪魔した。

しばらくの静寂のあと、諦めたように笑う十六夜がゆっくりと挙手し、

 

「参った。やられたよ。降参だ白夜叉」

 

「ふむ?それは決闘ではなく試練を受けるということかの?」

 

「ああ。これだけのゲーム盤を用意できるんだからな。あんたには資格がある。

いいぜ。今回は黙って『試されてやるよ』、魔王様」

 

白夜叉は堪えきれず高らかと笑い飛ばした。プライドの高い十六夜にしては最大限の譲歩なのだろうが、『試されてやる』とは随分可愛らしい意地の張り方があったものだと、白夜叉は腹を抱えて哄笑をあげた。

ひとしきり笑ったあと白夜叉は笑いを噛み殺してほかの二人にも問う。

 

「く、くく.........して、他の童達も同じか?」

 

「ええ。私も、試されてあげてもいいわ」

「右に同じ」

 

苦虫を噛み潰したよう表情で返事をする二人。満足そうに声を上げる白夜叉。

 

一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ホッと胸をなで下ろす。

 

「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!"階層支配者"に喧嘩を売る新人と新人に売られた"階層支配者"冗談にしても寒すぎます!それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

 

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

 

「はてさて、どうだったかな?...そう言えばと、おんしにはまだ聞いていなかったな?」

 

そう言って白夜叉は伊邪那の方に向く。

 

「さて、おんしが望むのはどちらだ?」

 

「はて?それに対しての答えは既に言ってあるはず、貴女がこの世界に引きずり込む前に私は貴女と決闘をする意思を出していましたが?

 

故、貴女との決闘という答え以外無いわけですが?」

 

「ほう、圧倒的な力の差を見せつけてなお挑むか.........蛮勇かそれとも自身の力に対する慢心か....はてさて、どちらにしても褒められたことではないな」

 

白夜叉は伊邪那の答えに対してニヤリと笑い挑発的な言葉で返す。

 

「おや?蛮勇かどうかはともかく、慢心....ふむ、慢心ですか。いやはや、自身の力に対し慢心をしているのは果たしてどちらでしょうね。圧倒的な力の差を見せつけてなお?ふむ、どうやら『最強の主催者』様とやらはこれ以上のことはもう出ないそう言いたいのでしょうかね?これはこれは最強が聞いて呆れますね?」

 

白夜叉の挑発的な言葉に更に挑発で返す伊邪那にノーネームのメンバーは冷や汗を流す。しかし、白夜叉は伊邪那を見下ろしてから笑い声を上げた。

 

「く、くくくく。ふはははははははははは!いやはや、この私に対してここまで挑発してくるとは中々...くく...、よい!いいだろう。貴様との"決闘"受けよう!ここまで私に言ったものは久しい!だがまずは挑戦の方を先にやらせてもらうが構わんか?」

 

「ええ。構いません」

 

伊邪那はそう返した時、彼方にある山脈から甲高い叫び声が聞こえた。獣とも野鳥とも取れるその叫び声に逸早く反応したのは春日部耀だった。

 

「何?今の鳴き声。初めて聞いた」

 

「ふむ.........あやつか。おんしらが三人を試すには打って付けかもしれんの」

 

湖畔を挟んだ向こう岸にある山脈に、チョイチョイと手招きをする白夜叉。すると体長5mはあろうかという巨大な獣が翼を広げて空を滑空し、風の如く現れた。

 

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