偽・盲目少女も異世界から来るそうですよ? 作:こいこいさとこい
「グリフォン.........嘘、本物!?」
「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。"力" "知恵" "勇気"の全てを備えたギフトゲームを代表する獣だ」
白夜叉が手招きする。グリフォンは彼女の元に降り立ち、深く頭を下げて礼を示した。
「さて、肝心の試練だがの。おんしら三人とこのグリフォンで"力" "知恵" "勇気"のいずれかを比べ合い、背にあたがって湖畔を舞うことが出来ればクリア、ということにしようか」
白夜叉が双女神の紋が入ったカードを取り出す。すると虚空から"主催者権限"にのみ許された輝く羊皮紙が現れる。白夜叉は白い指を奔らせて羊皮紙に記述する。
『ギフトゲーム名 "鷲獅子の手綱"
・プレイヤー一覧
逆廻 十六夜
久遠 飛鳥
春日部 耀
・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。
・クリア条件 "力" "知恵" "勇気"の何れかでグリフォンに認められる。
・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の元、ギフトゲームを開催します。
"サウザンドアイズ"印』
「私がやる」
読み終わるや否やピシ!と指先まで綺麗に挙手をしたのは耀だった。彼女の瞳はグリフォンを羨望の眼差しで見つめている。比較的に大人しい彼女にしては珍しく熱い視線だった。
「ふむ。自信があるようだが、コレは結構な難物だぞ?」
「大丈夫、問題ない」
耀の瞳は真っ直ぐにグリフォンに向いている。キラキラと輝くその瞳は、探し続けていた宝物を見つけた子供のように輝いていた。
「OK、先手は譲ってやる。失敗するなよ」
「気をつけてね、春日部さん」
「うん、頑張る」
春日部はグリフォンに近きまず慎重に話しかけた。
「えーと。初めまして、春日部耀です」
『!?』
「ほう、あの娘、グリフォンと言葉を交わすか」
白夜叉は感心したように扇を広げる。
「私を貴方の背に乗せ、誇りを賭けて勝負をしませんか?」
「なに!?」
「貴方の飛んできたあの山脈、あそこを白夜の地平から時計回りに大きく迂回し、この湖畔を終着点とします。貴方は湖畔までに私を振るい落とせれば勝ち、私が背に乗っていられたら私の勝ち。.........どうかな?」
グリフォンは如何わしげに大きく鼻を鳴らして尊大に問い返す。
『お前は、私に誇りをかけろと持ちかけた。確かに娘一人を振るい落とせないならば、私の名誉は失墜するだろう。だがな小娘。誇りの対価に、お前は何を賭す?』
「命を賭けます」
即答だった。あまりにも突飛すぎる返答に、黒ウサギと飛鳥から驚きの声が上がった。
「だ、ダメです!」
「か、春日部さん!?本気なの!?」
耀の提案に慌てる黒ウサギと飛鳥。それを白夜叉と十六夜、伊邪那は厳しい声で制す。
「双方、下がらんか。これはアノ娘から切り出した試練だぞ」
「ああ。無粋なことはやめておけ」
「少し、お茶でも飲んで落ち着いては?」
「そういう問題ではありません。同士にこんな分の悪いゲームをさせるわけには.........と言うよりまだお茶飲んでたんですか!?」
グリフォンはしばし考える仕草を目見せたあと頭を下げて乗るように促す。
『乗るがいい若き勇者よ。我が疾走に耐えれるかその身で試してみよ』
耀は頷き、手網を握って背に乗り込む。
「始める前にひとつだけ。.........私、貴方の背に跨るのが夢だったんだ」
『そうか』
決闘前に何を口走っているのやら、グリフォンは苦笑してこそばゆいとばかりに翼を三度羽ばたかせる。前傾姿勢を取るや否や、大地を踏み抜くようにして、薄明の空に飛び出す。
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結果を述べるなら、春日部は勝利した。
春日部の試練が終わり、しばらくは春日部のギフトに関しての話題になっていた。そして、白夜叉は伊邪那の方に向き直る。
「またせたな、ではさっそくおんしとの決闘を始めるとしようか?」
「いえいえ、全然待ってなどおりませんよ?それにおかげで貴女を倒すイメージはだいたいできました」
「それは楽しみだの。ルールは簡単でいいだろう。どちらかが負けを認めたら終了だ。これで良いか?」
白夜叉は羊皮紙を出しながら、伊邪那にそう言い終わると羊皮紙を伊邪那に投げ渡す。
『ギフトゲーム名 "真剣勝負"
・ プレイヤー一覧
天須 伊邪那
・クリア条件 相手に負けを認めさせる。または戦闘不能にする。
・クリア方法 白夜叉との戦いに挑み勝敗を決める。
・敗北条件 自分の負けを認める。または自身が戦闘不能になる。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
"サウザンドアイズ"印』
伊邪那は手でなぞりながら文字を読み静かに頷いて了承の意を示す。
「でははじめるとしようかの。黒ウサギは合図を頼む」
白夜叉がそう言い終わると同時に、二人は前に出る。
白夜叉は、扇子を閉じて伊邪那の様子を見る。
伊邪那は刀の柄に手を添えて白夜叉に対面する形をとる。
その場の雰囲気が鋭く突き刺さる様な空気になる。その空気に冷や汗を流しながら黒ウサギは合図を出す。
「それでは、決闘.........始め!!」
黒ウサギが言い終わると同時に伊邪那は瞬時に白夜叉の懐に潜り込み刀を振る。
しかし、白夜叉も扇子で刀を防ぐ。
激しい火花を散らしながら金属のぶつかる音が白夜の世界に響き渡った!