そこで俺は目が覚めた。
「夢?」
先程の光景が頭から離れず、心臓は早鐘を打っている。
大きく深呼吸して肺の空気を入れ替える。久しぶりに息を吸うような気分だ
「おはようございます。ますたぁ」
声の方を向くと清姫が枕元にいた。
本来、驚くべき場面なのだが、何度もこのような経験があったため慣れてしまった。
「どうかされましたか?」
僕の様子が不自然だった為か清姫が訊ねる。
「君の夢を見ていた」
初めはごまかそうと思ったが、清姫の前で嘘はダメだと感じ、正直に答える。
「あら、それはマスターの側にいた甲斐がありましたわ」
清姫はフフッと笑う。どうやら満足したようで、それ以上言及しない。
正直に話したが、大切なことを話していないので、結果的にごまかしたことになるが、まあいいだろう。
「ところで清姫は聖杯にかける願いとかはあるの?」
「? 唐突ですね。私は嘘をつかない
……ですが」
と清姫は続ける。
「一つだけ知りたいことがあります」
「何?」
「何故、安珍様は嘘をついたのか……すまないと赦しを乞うくらいなら、正直に嫌いであったと仰ってくれなかったのか」
「それは……」
俺が言いかけると
「先輩! 緊急事態で……どうして清姫さんが先輩の部屋にいるんですか!?」
マシュが部屋に入ってきた。
「私は
「いろいろツッコミたいことはありますが、私はどうやって対清姫さんセキュリティを突破したのか訊いてるんです」
「対清姫さんセキュリティ?」
初めて聞くワードに首を傾げる。
「はい。先輩の部屋は私やドクターなど、一部のカルデア所員以外の人又はサーヴァントの方は侵入出来ないよう扉に 厳重なセキュリティを施しています」
なんと、俺の知らないところで、そのようなコトになっていたとは。
「特に清姫さんは
思った以上に、大掛かりな仕掛けがあったことに驚く――というよりは呆れる。
「マシュさん、貴女はどうやってこの部屋に入りましたか?」
「えっ!?」
「錠前をいくら頑丈にしていても肝心の扉が脆くてはいけませんよ」
「まさか!?」
マシュは部屋の入り口に向かう。
「そんな……扉が無い!? まさか」
「ええ、
「鍵が開かなければ扉を壊す……盲点でした。次からはもっと強固な扉を用意します」
「いや、感心するところじゃないんだけど……で、マシュどうかしたの?」
脱線していたので話を戻す。
「あ、はい。修復が終わったはずの第一特異点で奇妙な揺らぎを観測したので、確認するようにとドクターが」
「分かった。直ぐに行こう」
俺は清姫の方を見る。
「清姫も一緒に来てくれるかい?」
「ええ、言われずとも
俺と清姫とマシュは部屋を出てレイシフト目指す。
「そうだ、さっきの話の続きだけど」
後ろに振り返り清姫に話しかける。
「
「好きだから?」
「うん。好き嫌いでは解決できない事情があったから、嘘をついてまで逃げる必要があったんだ」
「…………」
「あと、最期の言葉は命乞いじゃなくて『君を哀しませてすまない』って言ったんじゃないかな」
彼が伝えきれなかった言葉を伝える。
「そう……でしたか」
清姫は納得したように頷く。
よかった、ようやく過去との決別が――
「やっぱりマスターは安珍様の生まれ変わりだったのですね」
「えっ!?」
「それでは
「えええーっ!?」
そして俺たちはレイシフトする――
清姫の影が待つ地へ――
おわり
あとがきのようなもの
清姫はマイルームで聖杯にかける願いは『嘘のつけない世界』と言っていました。
人は善悪に関わらず嘘をつくは生き物です。ですので彼女の願いは叶うことはないでしょう。ですが嘘を嫌う彼女が受け入れられる『優しい嘘』に満ちた世界を望むのならば幸せな未来が待っているのかもしれません。
あと、安珍が竹箒日記のような性癖でないことも祈ってます(笑)
それでは、最後まで私の作品を読んで頂きありがとうございました。