"愛してる"の想いを   作:燕尾

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どうも、燕尾です。
ラブライブ第三十二話です。





32.週末のある一幕

 

 

 

「ねえねえ、君、いま一人なの?」

 

「暇しているなら私たちと一緒に遊びにいかない?」

 

週末の秋葉原――俺はいま、絶賛ナンパ中。ただし、それは俺から女の人へのものではなく、女の人から男の人へのいわゆる逆ナンといわれるやつだ。俺より二つか三つぐらい年上と思われる二人の女性。服装や雰囲気からして恐らく高校三年生、というよりも大学生だろう。

そんな彼女らに俺は軽く頭を下げる。

 

「すみません、いま人を待っていますので。その人と約束破るわけにはいきません」

 

「それって女の子?」

 

男友達であれば食い下がるような目をしている女性。

 

「はい――ちょうど来たみたいです」

 

だが、ちょうどいいタイミングで穂乃果の姿が見える。

 

「おーい、ハルくーん!」

 

遠くからブンブンと手を振って、元気に走ってくる穂乃果。

 

「穂乃果」

 

「もう来てたんだ、待たせちゃってごめんね?」

 

「俺もちょっと前に着いたばかりだ。穂乃果を待たせるのはなんか違うと思ったから」

 

「えへへ、そっか……嬉しいなぁ。ありがとね」

 

「気にしなくていい」

 

 

 

「「……」」

 

 

 

「あ……」

 

そんな俺たちのやり取りをじっと見つめている女性たち。ずっと見られていたのだと思うとなんだか急に恥ずかしくなってきた。

 

「ハルくん、この人たちは?」

 

俺しか見ていなかった穂乃果は女性二人の存在をするときょとんと首を傾げる。

 

「えっと、なんていうかその……」

 

どう説明したものかと思っていると、女性の一人があはは、と笑う。

 

「ちょっと彼に道を教えてもらってたんだ」

 

ね、と言う彼女にもう一人の女性はうんうん、と頷いた。さっきは俺のことを誘っていたのだが、穂乃果に対する配慮なのだろうか? ナンパをする人ってどこか強引で自分勝手な人が多いと思っていたから、意外だ。

 

「そうなんですか?」

 

「そうそう、あなたたちはこれからデートかな?」

 

「で、デート!?」

 

デート、という単語に過剰に反応する穂乃果。

 

「いえ、デートというわけでは……」

 

俺みたいな男とデートと勘違いされるのは穂乃果も嫌だろう、と思って言おうとした言葉は、途中で女性に肘で突っつかれて止められた。

 

「こらこら、いくら恥ずかしいからって男の人がそんなこと言っちゃ駄目だぞ? 彼女は大切にしないと」

 

「いえですから、彼女では――」

 

「だから、そういうことは言わないの」

 

その前にあんたらには人の話しをしっかりと聞いて欲しいと言いたい。

俺の咎めるような視線はどこ吹く風の二人。

 

「それじゃあ、私たちみたいなお邪魔虫はさっさと退散するかな。彼氏さん、お幸せにね?」

 

「彼女さんをしっかり繋ぎ止めておきなよ~?」

 

 

そう言って立ち去ろうとしたとき、一人が立ち止まり、何か穂乃果に耳打ちをする。

 

「ふぇ? なんですか?」

 

最初こそなんだろうというような表情をしていたが、次第にその顔は紅く染まっていった。

そして、最終的には成熟したトマトのように耳まで真っ赤になっていた。

 

「んじゃ、今度こそバイバイ~!」

 

「お邪魔しました~♪」

 

にっこりと笑いながら去っていく女性たち。

 

「「……」」

 

残された俺たちはなんとも言えない空気になっている。

 

「穂乃果、最後にあの女の人からなんて言われたんだ?」

 

そんな空気を少しでも換えようかと穂乃果に話を振ったのだが、

 

「内緒! ハルくんには絶対内緒だから!」

 

これ以上ないというぐらい顔を真っ赤にさせた穂乃果に、俺はもう何も言えなくなるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人組みの女性たちと別れてから、俺たちは目的もなくアキバの街をただ散策していた。

 

「相変わらず人が多いねぇ~」

 

俺の手をとりながら隣を歩く穂乃果。彼女の手のぬくもりが俺の手に染み込んできて、暖かい。

 

「まぁ、最近の秋葉原は娯楽施設や店が色々と増えたからな」

 

俺も、振り払う理由などないのでそのまま受け入れながら答える。

昔みたいな電気街、というわけではなくなったのだろう。だがその分、人種が多くなったというか、色々な人が行き交っていた。

 

「ハルくんはどこか行きたいところはない?」

 

「特にないな」

 

「即答!? むぅ、せっかくのお出かけなのに」

 

「そういわれてもな。秋葉原であまり買い物はしないし、唯一買いに来る本もつい最近買ったばかりだから」

 

むむぅ、とちょっと不満げの穂乃果。

 

「そういう穂乃果はどこか行きたい所はないのか? 一応穂乃果が行きたいって言い出しただろ?」

 

「……」

 

そこで穂乃果は目を逸らした。どうやら彼女もあまり考えてはいなかったようで苦笑いする。

 

「あ、あはは……じ、実は、私もどこに行くかまでは考えていなかったんだよね」

 

そんなことだろうとは思っていた。誘ってきたときもどこか勢い任せに言っていたような雰囲気ではあったから。

 

「まあ、穂乃果だからな。仕方が無い」

 

「その言い方はちょっと傷つくよ!」

 

「冗談だ。半分は」

 

「半分!? それってもう半分は本気だってことだよね!?」

 

「それは内緒だ」

 

「もう、ハルくんの意地悪! そんなハルくんにはこうしちゃうんだから!」

 

穂乃果は手を放すと、今度は俺の腕を取ってギュッと抱きしめてくる。

穂乃果だってもう高校生。身体も成熟している年頃。そんなくっつき方されると意識しなくても体の柔らかさを感じてしまう。

 

「穂乃果。歩きづらいんだが」

 

不自然にならないように穂乃果に注意して、少しでも離れようとするが、それを感じ取った穂乃果はさらに抱く強さを強めてきた。

 

「こ、これは罰だから、ハルくんは受けるしかないんだよ!」

 

そういう穂乃果の顔は少し紅かった。彼女も彼女で少しなにか無理をしているみたいだ。

俺は絡めてくる穂乃果の腕を振りほどく。あっ、と小さく声を漏らす穂乃果それはどこか悲しさを含んでいた。だが気にせず、今度は俺から穂乃果の手を取って、キュッと握る。

 

「あっ――」

 

「こっちの方が穂乃果も無理をしなくていいだろ? それと――」

 

俺は穂乃果の頭を撫でる。

 

「俺は穂乃果の隣で歩いて話するだけでも楽しいし、嬉しいよ」

 

「……」

 

「穂乃果?」

 

「~~っ!! なんでもないよ、うん! 確かにこっちのほうがいい、かな……えへへ」

 

嬉しそうにはにかむ穂乃果に、俺の鼓動は少し早くなった。

 

「そうだね、今日は色々と見て廻りながらゆっくりしよっか!」

 

穂乃果は握り返して、楽しそうに俺の手を引くのだった。

 

 

 

 






いかがでしたでしょうか?
穂乃果とのデートの内容は皆さんで補完してください。
ではまた次回に(・ω・)ノシ
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