"愛してる"の想いを 作:燕尾
どうも、燕尾です。
とてつもなくお久しぶりです。
ほぼ一年ぶりですね。
この一年、仕事のあれこれであらゆるモチベーションでず、
何をする気も起きず、気分の浮き沈みが激しかった状態でした。
正直今もあまりモチベーションがわいてこない状態ですが、
地道に頑張りたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
ラブライブで優勝することを目標として宣言した次の日。
俺たちにさっそく試練が与えられた。
「ラブライブ予選で発表できる曲は、今までで未発表のものに限られるそうです」
花陽からの情報に全員が驚きの声を上げる。
「どういうことなの!? 前はそんなことなかったじゃないっ。なんで急に変わったのよ!」
事情の説明を求めるにこ。
「参加希望のチームが予想以上に多く、中にはプロのアイドルのコピーをしている人たちもエントリーを希望しているらしくて」
「この段階で篩にかけるようってわけやね」
「これから一か月足らずで何とかしないと、ラブライブには出られないってことね」
「時間が少ないな。もっと早くに告知してくれればよかったんだが」
「ここまで規模がでかくなるなんて、きっと運営の人たちも思ってなかったんじゃないかな」
ことりの言う通り一か月という時間で新曲を作らないといけないというのは、運営側もかなり無茶を言っているのは分かっているはず。
だけどそうしなければいけないほど、前回の影響が大きかったのだろう。
「こうなったらば仕方がない!」
意識を切り替えようとしたところで、にこが声を上げる。
なにやらこの状況に適した秘策があるようだ。
「こんなこともあろうかと、私がこの前作詞した"にこにーにこちゃん"という詞に曲をつけて――」
「でも実際のところどうするん?」
「スルー!?」
「何とかしなきゃ!」
希にも穂乃果にも、とにかくスルーされたにこは不満そうにするもそれ以上何も言わなくなった。
「やることはただ一つ――極短期間で作るしかないわ」
真姫! と絵里は真姫に視線を送る。
「――もしかして?」
絵里の意図に気付いた真姫は苦笑いを浮かべた。
「ええ――合宿に行くわよ!!」
――――数日後
合宿を行うことが決まってから、とんとん拍子で準備が進み当日を迎えた――もちろん最初は不参加と言っていた俺も半ば強引に参加することになった。
電車に揺られること約1時間。真姫の家が所有する山の別荘の最寄り駅に到着する。
「わぁ…綺麗なところだね!」
「空気が澄んでるね」
皆がその情景に意識が奪われている中、俺は一つだけ違和感を感じた。
「何か、足りなくないか?」
「春人くん、何か忘れ物?」
「忘れ物じゃないが…何か不足しているような気がして――」
俺は周りを見渡す。するとその原因がすぐに分かった。
ことり、凛、花陽、真姫、希、にこ、絵里、海未――明らかに一人足りない。
「ことり、俺の荷物を頼む」
「ええっ! 春人くん、今戻ったら――!」
「大丈夫。皆は先に向かっていてくれ」
それだけを言って、俺は走って電車に乗り込む。
なんとか乗り込むとドアが閉じ、電車が走り出す。
間に合ったと、一息ついた直後に電話が鳴った。
『何しているのですか、春人!!』
電話に出ると、大きな怒声が電車に響く。
「悪い海未。説明している暇がなかった。目的地の場所は大方把握しているから皆は先に行ってくれて構わない」
俺の変わらない声色に冷静さを取り戻したのか、海未は一拍を置いて問いかけてくる。
「一体何があったというのですか?」
「そこに俺以外でいない人が誰なのかを見てくれ」
「はい? 全員いるはず――って、ああっ! 穂乃果っ!!」
そこでようやく気付いたようで、海未は大きく声を上げる。
「そういう事。幸い、一駅先はそう遠くないからそこで降りて戻るよ。電車やバスの時間がかかりそうだったらタクシー捕まえるから。先行っててくれ」
「でしたら、真姫の別荘の最寄りのバス停で落ち合いましょう。どのみち別荘まではタクシーではいけないでしょうし、そこからさきで迷ってしまうかもしれもせんから、ここは安全に全員合流してから真姫に案内してもらいましょう」
「わかった。じゃあ、最寄りのバス停で」
「はい、すみません春人。穂乃果のこと、よろしくお願いします」
海未との話し合いを終え、俺は先ほどまで座っていた車両まで歩く。
皆で座っていた付近まで行くと、おばあさんの隣で寝ている穂乃果の姿を見つけた。
人の気も知らないような穏やかな寝顔をしている穂乃果。
「穂乃果。起きてくれ」
「んぅ~…おやつは洋菓子がいい~」
「そう言っている場合じゃない。降りる駅が過ぎてるぞ」
「ん、んん……」
肩を揺らすとようやく起きたようで、眠気を覚ますように目をこする穂乃果。
「ようやく起きたか、穂乃果」
「おはよ~ハルくん…そろそろ駅に着くのかな~?」
寝起きでまだ状況把握できてない穂乃果に俺は真実を伝える。
「残念ながら、もう降りる駅はとっくに過ぎてる」
「………………え」
周りを見渡して固まる穂乃果に、俺は苦笑いするのだった。
「たるみ過ぎですっ! 春人が気づいていなかったらどうなっていたか!!」
それから――一駅先で降りて直近のバスに乗り込んで皆と合流した穂乃果に海未からの叱責が飛んだ。
「だって、皆起こしてくれないんだもん! ひどいよっ!!」
穂乃果は自分が悪いと思いつつも、誰一人として気付かず起こしてくれなかったことに、涙目になりながら反論する。
「ごめんね。忘れ物確認するまで気づかなくて……」
「そもそも、昨日早く寝ていれば電車の中で寝ることもなかったはずです!」
「うぅ~!」
「まあ二人とも、言い合いもそこまでにしてそろそろ行かないか?」
「そうね。早く別荘に移動しましょう。今回は本当に時間がないんだから」
俺と絵里の仲裁に、二人とも振り上げたこぶしを下げてくれた。
「そうですね。時間もないことですし、行きましょうか」
よっこいしょ、と荷物を背負う海未に俺は目を剥いた。
「海未…その荷物は……?」
「山ですから」
「いや、確かに山中にあるけど、その荷物の量はなんだ?」
「山に行くのですからこのくらいは当然です。むしろ皆の方が軽装過ぎませんか? 山を舐めたら怖いんですよ?」
まあ万が一のことがあれば私がサポートしますが、と口にする海未。
まさかと思うが、登山と勘違いしていないだろうか。
「さあっ、行きましょう! 山が私たちを呼んでいますよ!!」
意気揚々と進みだす海未に何とも言えない表情をしてしまう俺たち。
中でも不安を抱えたいたのはにこだった。
「大丈夫かしら、あれ。海の合宿の時みたいに無茶言わなければいいんだけど」
「そうなったらさすがに俺も止める。それにみんなが言えば海未だってわかるだろう」
「だといいけどね」
意気揚々と進む海未の後に続きながら、俺たちは別荘へと向かう。
山の中にあった真姫の家が所有する別荘は海の別荘と同じくらいの規模でコテージのような作りをしていた。
「一軒家以上の大きさ…さすが西木野家だな」
「べ、別に大したことじゃないわよ…」
褒められて気恥ずかしいのか、そっぽを向きながら髪の毛をくるくるさせる真姫。
例のごとく、にこは悔しそうにしていたが、もはや誰も触れない。
「あっ! お金持ちの家でよく見るやつ!」
「こっちには暖炉があるにゃ! 初めて見るにゃー!」
別荘の中に入れば、さっそく猫のようにあちこちと見まわす穂乃果と凛。
他の皆も興味があるのかきょろきょろと見まわしている。
「暖炉つけてみたい!!」
「確かに! ここに火を――」
「着けないわよ」
言い切る前に断った真姫に穂乃果と凛はええー、と抗議の声を上げる。
「まだ寒くないし、それに――冬になる前に汚すと
「パパ……」
「サンタ、さん……」
真姫の口から思いもよらない言葉が出たことに反芻する二人。
俺もまさかそんな話が出るとは思わなかったので、少し驚いていた。
「素敵だね、真姫ちゃん」
「優しいお父様ですね」
「毎年この煙突は私が綺麗にしていたの。
証拠に、と真紀は煙突の中を指さす。
そこにはthank youという文字と雪だるまやサンタが描かれていた。
「「……」」
呆然とする二人に真姫はふふん、と自慢するように髪をかき上げた。
「ぷぷっ――」
すると、どこかから笑う息が漏れた。
ちらりと見ると、にこが目に涙をためながら、爆笑するのをこらえていた。
「あんた……真姫が、サンタ……」
「――っ、にこちゃん!!」
「それはダメよ!!」
決して言ってはいけない言葉を言おうとしたにこに気付いた花陽と絵里がにこを押さえつける。
「痛い痛い!! なによ!」
「駄目だよ! それを言うのは重罪だよ!」
「そうにゃ!真姫ちゃんの人生を左右する一言になるにゃ!!」
「だって真姫よ!? あの真姫が――」
「だからダメぇ――!!」
ドタバタとにこを取り押さえる皆。
「…なんなの、一体?」
「いや、何でもない。真姫はそのままでいいんだ」
「ちょ…なんで頭を撫でるのよ、春人」
純真な真姫が可愛かったからとは絶対言えず、俺は優しく真姫の頭を撫で続けるのだった。
いかがでしたでしょうか
皆さんも体調はお気を付けください。