"愛してる"の想いを 作:燕尾
どうも、燕尾です。
お久しぶりです。ものすごいお久しぶりです。
ここ1~2年いろいろと調子を崩していましたが
こういう同人活動的なものを再開できるぐらいの回復ができました。
今は休憩期間中で次の仕事が決まったらどうなるかわかりませんが、
こうして物語を想像したりするのは好きなので続けていきたいと思います。
では71話目です
ちょっとした悶着と真姫の可愛らしい一面がわかった後、それぞれ準備を整えてラブライブに向けての行動に移した。
ことり、海未、真姫はそれぞれ衣装、作詞、作曲へ。それ以外のみんなはトレーニングとダンス練習を始める。
俺も最初こそトレーニングなどを手伝っていたが、ダンス練習となると意見を言うことはできるがそれ以上のことはできないので、コテージに戻って皆の休憩用のお茶を入れたりしていた。
「ことり。お茶入れてきたから、合間縫って一息入れてくれ」
「……うん、ありがとう春人くん。もう少ししたら休憩するから、そこに置いてもらえるかな……?」
「ああ、わかった。それじゃあ海未たちにも渡してくるから、またあとで」
「うん……」
「……?」
「海未。少し休憩したらどうだ? お茶入れてきた」
「ええ……ありがとうございます、春人……一区切りついたら休憩しますのでテーブルに置いていてもらえますか?」
「……ああ。わかった」
「真姫。調子はどうだ?」
「………まあ、そこそこね」
「そうか。お茶入れてきたから、少し休憩しないか?」
「私は後で休憩するわ」
「根を詰めすぎてもよくないぞ」
「わかっているわ。ちょうどいいところになったら休憩するから」
「それじゃあ俺は皆のところに行ってくるから、何かあったらすぐ声をかけてくれ」
「ええ、ありがとう」
「……大丈夫だろうか」
真姫がいた部屋から出た俺は心配になって呟いた。
「三人ともいつものノートや楽譜が真っ白だった」
一区切りやら、ちょうどいいところと言っていたがそれがいつになるのかわからないレベルだ。
俺の心配が、形になって表れるのにそう時間がかからなかったのはこの後のことだった。
「ん、みんなどうしたんだ? にこと凛に至ってはずぶ濡れじゃないか」
大広間に戻ったら、外で練習していたグループが戻ってきていた。
事情を問うと絵里が苦笑いしながら答えてくれた。
「ちょっとトラブルがあって、二人が川に落ちちゃったのよ」
「何があったら川に落ちるんだ――ほら、タオル」
二人にタオルを渡す。
「リスにリストバンドをとられたのよ。リスだけに」
「それで追いかけていたら先が崖になってて、その下に川があって落ちちゃったの」
「ボケ言っている場合か……下手したら死んでいただろう。それ」
「本当に、川があってよかったわ。春人くんの言う通り、怪我なんてものじゃ済まなかったもの」
無事だったからよかったものの、下に川がなかったら命だって危なかったはずだ。
その点に関しては奇跡というほかないだろう。
「とりあえず風呂に入って体温めるなりしないと、風邪をひく。俺は真姫に風呂の準備の仕方を聞いてくるから、その間に体拭いて着替えておけ」
「「は~い……」」
「ハルくん、私も行くよ! ちょっと三人の様子も見たいし」
「ああ。わかった」
俺は真姫の方に、穂乃果はことりと海未の部屋へとそれぞれ向かう。
「真姫、浴場の準備について聞きたいことがあるんだが――」
真姫のいる部屋の扉をノックするが、反応がない。
「真姫?」
もう一度ノックするも返事が返ってくることはなかった。
あまり褒められたことではないが、俺はゆっくりと扉を開ける。
「真姫、どうしたんだ――ん?」
部屋の中を確認したがそこに誰もおらず、その代わりに窓が開いて風が吹き込んでいた。
「どこに行ったんだ……?」
「――ハルくん、大変!! 三人が!!」
疑問に思っているところに慌てた様子で穂乃果がやってきた。
「外だよ、ハルくん!」
外? と首を傾げながらも窓の外を見てみると、
「「「はぁ……」」」
ことりと海未と真姫が膝を抱えてため息をついてたのだった。
『スランプ!?』
とりあえず、三人を中に呼んで事情を聴いた。
「まあ、そんなところだろうと思っていたけど」
「春人、あんたわかってたの?」
「さっきお茶を持って行ったときに三人ともノートとかが真っ白だったし、それになんか普段の迷いとは違う雰囲気だったからな。もしかしてとは思っていた――プレッシャーに思っているんじゃないか?」
「流石ですね…春人の言う通りです。気にしないようにして入るのですが……」
「うまくいかなくて、予選敗退したらどうしようって思うと…」
「ま、私はそんなの関係なく進んでたけどね」
「春人くんが三人ともノート真っ白だったって言ってたにゃ。ここに譜面あるけど真っ白にゃ」
「って、勝手に見ないで!!」
「見栄を張っても意味ないのは真姫もわかってるだろう」
「それはっ…まあ、そうだけど……」
言葉が尻すぼみしていき、俯く。
「うーん、やっぱり三人に任せきりっていうのもよくないかも」
「そうね。責任も大きくなるから、負担もかかるだろうし」
「じゃあ、みんなで意見出し合って話ながら曲を作っていけばいいんじゃない?」
「それでいいんじゃない? せっかく10人いるんだし――私としては、やっぱりにこにーにこちゃんに曲をつけて」
「なんだ、その頭の悪そうなのは」
「失礼ね! これはにこにーの可愛さを最大限発揮させる――」
「こんな感じで、みんなで話していたらいつまでも決まらないよ?」
「…そうね」
呆れたように言う希に苦笑いする絵里。
しかしそれもつかの間、絵里は何かひらめいたように表情を明るくさっせた。
「そうだ! みんなに提案があるんだけど――」
「それじゃあ、三班に分かれましょうか」
絵里の提案はいたって単純だった。
「ことりを中心に衣装を決める班と海未を中心に作詞をする班、そして真姫を中心に作曲をする班の三つよ」
別れた三つの班の内訳は、衣装チームがことり・穂乃果・花陽、作詞チームが海未・凛・希、作曲チームが真姫・絵里・にこだ。
ちなみに俺は、何かあった時のためにコテージで待機することになった。
「それじゃあ、ユニット作戦で曲作り頑張ろう!!」
『おー!!』
「……おー」
「おー」
穂乃果の鼓舞にみんなが拳を挙げたので俺も何となく挙げたのだが、
「……さすがにこれはどうなんだ?」
待機となった俺は特にできることもなく、ただ読書をしているだけとなっていた。
「やっぱり…何か手伝った方がいいのか?」
不安に駆られた俺は読んでいた本と閉じて、外に出る。
「あら、春人くん。どうしたのかしら?」
ちょうど同じくして、コテージの近くに立っていたテントの中から絵里が出てきた。
「絵里。いや、待機って言っていたけど、さすがに何もしないっていうのも居心地が悪くて。みんなの様子を見に何か手伝えることないか聞こうかと」
「そうだったのね。正直、私とにこができるようなことってあまりないのよね。真姫が気分転換や作曲に集中できるような環境づくりぐらいしか」
「それで十分じゃないか? 誰かがそばにいてくれたら真姫も安心感があると思う」
「そうね。真姫もまんざらでもない様子だったわ」
「だが、俺が手伝えることはなさそうだな」
「何かをするという意味では、こっちは今のところ大丈夫なのよね。ことりや海未の方に行ってみたらどうかしら?」
「ああ。そうしてみる。作曲、頑張って」
「ええ。ありがとう」
「あれ? はるとくん?」
「ん、花陽。それは?」
ことりたちがいるであろう方へ向かっている途中の森林で、花陽がかごに花を摘んでいた。
「今回の曲づくりのために何かヒントになるかなって思って。はるとくんこそ、どうしてここに?」
「みんなの様子を見ようと思って。待機と言えば聞こえはいいが、何もしてないのが気が引けてな」
「なるほど。それじゃあ、絵里ちゃんたちのところはもう行ったんだね」
「ああ。特に手伝えることはないから、次はこっちの方に来たんだが……どうやらもう終わってるみたいだな」
「うん。ちょうどことりちゃんたちのところに戻ろうとしてたとこなの」
この分だと、こっちも手伝えることはなさそうだ。
「はるとくん、ちょっとテントに寄って行ってほしいな。はるとくんが様子見に来てくれたらことりちゃんも喜ぶと思う」
「特にできることはないと思うが…」
「様子見に来てくれるだけでも、嬉しいものだよ」
「そういうものか」
うん、と頷いた花陽についていく形で、ことり達が張っているテントのところまでついていく。
「あ、春人くん! 花陽ちゃんもお帰り」
「ことり、お疲れ様。調子はどう?」
「うん、さっきよりは進んだかな? 今はちょっと休憩中。この空気が気持ちよくて」
目の前の川辺と周りは森林になっていて、ここはかなり自然を感じられる場所であった。
川のせせらぎに、草木の香り。ことりが言うようにこの自然の空気が何ともいえない気持ちよさがある。
「そういえば穂乃果は?」
「穂乃果ちゃんならテントの中で気持ちよさそうに寝てるよ」
「……そうか。まあ焦ってもいいことないから」
「はるとくん、苦笑いしてるよ」
「でも穂乃果ちゃんが寝ちゃうのもわかるかな? こう…私も眠気が……」
「確かに……気持ちよくて…寝ちゃいそう……」
「…ふふ。それじゃあ俺は戻るな?」
「春人くん、一緒にテントで寝ていく?」
「遠慮しておく」
「あっ――そんな逃げなくても――」
流石にそれはできるわけもなく、俺は引き込まれる前に逃げるように離れる。
最近のことりは何をしてくるかわからない時がある。それこそ穂乃果と同じような感じで、強引さが出てきたというか。
感覚としては穂乃果二人が二人に増えたようなものだ。
この前にこや絵里に苦言を呈されたので、少し気を付けないといけない。
――いい? いくら仲が良いとはいえ、距離感というものを少しは考えなさい。
――穂乃果たちが望んでいるから、その望むように、だけでは駄目よ。
二人に言われて、穂乃果とことり、それと海未の2年生以外の感覚を基準に距離感に関する問題を渡された。
結果は、まあ酷いものだったが。それでもそれなりの考え方というものを知ることはできた。
「行動に移せているかは別だけれど――ん?」
コテージに戻っている最中に、着信が入ってきた。
画面を見ると凛からの電話だった。
「もしもし――」
『春人くん、助けてぇー!!』
「――っ!」
突然の大声に耳が痛くなり、思わず電話口から頭を話した。
『春人くんっ!? 春人くん!! 聞こえてるっ!?』
「ちゃんと聞こえてるから、少し声の量を――」
『こっちはそれどころじゃないよ!! 今日はこんなのばっかりにゃー!!』
『凛ちゃん、ファイトやよ!』
『気を抜くと死にますよ、凛!!』
「……作詞のために、何をしているんだ?」
聞こえてくる希と海未の言葉に、俺は状況が想像できずついそう言ってしまう。
『凛だって聞きたいよ! なんで山登りしてるのか!!』
「……」
流石に言葉が出なかった。
そして助けてと言われたが、そこまで離れてしまっては俺もどうしようもない。
「……帰ったらラーメンに付き合うから、無事を祈る」
『春人くんの薄情者~!!』
凛の非難を受けながらも、俺は通話を切る。
テンションがおかしかったが、希もいるし、そこまで無茶はしないだろう。
日も落ちてきてオレンジ色になりかけている空を眺めながら、俺は凛の無事を一応祈っておく。
「結局、手伝えることはなかったな」
それもまたしょうがないと、俺は諦めつつコテージに戻り本を読みながら時間を過ごすのだった。
いかがでしたでしょうか?
エイプリルフール、嘘をつこうとして考えているうちに
一日が終わってしまった燕尾でした。