翌日の早朝、木乃香・明日菜・のどか・夕映・あやか・千鶴・刹那は昨日の夜に木乃香が話していた神社の湖を見に来ていた。
「・・・」
「朝陽が湖の水面に反射してとても幻想的な景色ですわね。」
「まるで絵本の中にいるみたい。」
「ふふふ のどかさんの言う通りね。京都でこんな景色を観れるとは思わなかったわ。」
「これは祠と祭壇ですか?どうしてこんな場所に?祭壇はなんのために?」
「このちゃん落ちないでくださいね。」
「大丈夫やよ。せっちゃんは心配しょうやな。明日菜どうしたん?」
「・・・え!?なんか似たような景色を見たことあるような感じがしたんだけど・・・気のせいかな。」
朝陽が湖に反射している光景に見惚れている中、明日菜は幼い姿の自分が男の人と一緒に似たような光景を見ている映像が頭の中に流れ込んできて混乱していた。また夕映は、設置されている祭壇に興味を示して色々と調べ始めていた。
「あら、誰か来ますわね。」
「ほんまや。眩しくて見えへんけど・・・・車椅子?」
「男性の方はご当・・詠春さんかと。車椅子の方は・・え!そんな・・・。」
「ちょ!刹那さん大丈夫!?」
「夕映。あんまり弄らない方がいいよ~~。」
「・・・そうですね。気にはなりますが、この辺でやめておきましょう。」
そんな中、逆光で顔までは見えないが、車椅子に乗っている人と車椅子を押している人の姿が目に入った。どうやら木乃香達の方に向かってきているようで段々と近づいてきていた。刹那は気配を読んで男性は詠春であることがすぐにわかり木乃香に伝えるが、車椅子に乗っている女性の気配を感じると驚き口を押えながら座り込んでしまった。
「せっちゃ・・・・え・・・お・・・母・・さま?」
「木乃香・・・・大きくなったわね。」
「あぁ お母さ・ま・・・おはよう。 ふぅ うちな・・・せっちゃんとな・・・仲直りしたんよ。他にも話したいことや・・・東京で・・・できた・・紹介したい友達が沢山おるんよ。ひぐっ でもな・・・うち・・・ずっと我慢しとったんや。・・・えっぐ だからな。いまだけは・・・許してほしいんよ。」
座り込んだ刹那を心配していた木乃香だが、人影が近づいてきて顔を見ることができると、車椅子に乗っている人物が母親である近衛紫であることがわかると目を大きく開いて口を手で押さえながらゆっくりと前に歩き出して母親に向かって込みあげてくる想いを呟いていた。母親の紫は木乃香の目を見ながら優しく微笑み腕を大きく広げる。
「あああぁああ お母様!お母様!ひぐっ 」
「フフ 大きくなったけど泣き虫さんなのは相変わらずなのね。寂しい思いをさせてごめんね。」
すると木乃香はその腕の中に飛び込み母親のことを呼びながら泣き出してしまう。近衛紫も泣きながらそんな木乃香を抱きしめて頭や背中など、娘の存在を確かめるように色々な場所は撫でていた。車椅子を支えている詠春もそんな二人を見ながら静かに涙を流していた。
感動させる表現って難しいですよね。ここは泣かせたい!って思ってても上手く表現できない自身の表現力のなさに萎えます。