「月詠ちゃんはどうしてあんなことをしたの?」
「ん~???私からは何もしてませんよ~~?」
「ならどうして?」
「あの人達は自分達とは違う考えを持っている私のことが気に食わなかったんじゃないんですか~~?襲われたからやり返した、それだけですよ~~。それよりも!いまは師範やお兄はんと闘いたくてしょうがないんです~~。」
ツナは月詠と交流をしようと会話を続けていくが、月詠は会話よりも闘いを優先したいらしく目をキュピーンと光らせてツナから武器を奪おうと襲いかかる。
「武器ならちゃんと返すから慌てないで。」
「いいんですか~~?お兄さんは素手ですよね。神鳴流は無手でも戦えるんですよ~~。」
「俺のスタイルは近接格闘が主体だから気にしないでいいよ。今回は一撃で終わらせるつもりだけどね。」
ツナは月詠が近くにくると持っていた二刀をッポイ!っと投げて後ろに跳躍する。月詠は刀を受け取ると可愛らしく首を傾げるが、ツナの返答を聞き嬉しそうに舌なめずりをした。
「ちょ!!なんなんですかこの状況は!?まさか道場に襲撃!?素子さん!鶴子師範はどちらに?」
「待ってください刀子さん!!いまそちらには!」
「刀子はんかー。またタイミングが悪い時に来ましたね。」
「ふん。いまさらどうすることもできないだろう。いざとなれば記憶を操作すればいい。」
「鶴子師範!!それに・・・・エヴァンジェリンさんに・・・ツナヨシくん?」
「刀子はんとりあえず落ちついてこちらに来なはい。」
「二度も説明はせんぞ。ツナもこちら側の事情を知っている。そして道場で暴れたのは倒れていた門下生とあの小娘の喧嘩だ。少々やりすぎではあるが、あの小娘の話が本当なら門下生どもの教育もする必要があるぞ。」
「聞いても本当のことを言うかはわかりませんし、どちらにしても一から鍛え直しをするつもりどす。」
「な!!いつからツナヨシくんはこちら側のことを!学園長はこのことを知っているのですか!?」
「あのジジイにはいうなよ葛葉刀子!!いまは静かに見ていろ。この戦いに水を差すことは私が許さん!」
ツナと月詠が向き合って対峙している中、道場の方が騒がしくなり、勢いよく開けられた襖から葛葉刀子が飛び出してきた。飛び出した葛葉刀子は庭の状況を確認し、いるはずのない二人の存在が目に入ると驚いて動けなくなってしまう。すると鶴子は刀子を呼び寄せ、エヴァと一緒に状況の説明をして、手出しは無用だと釘を刺した。
「あら~~またお一人美味しそうなお人が、お兄はんもいいんですが、うちはどちらかというと強い女性の方が大好きなんですよ。だからすぐに終わりにしましょう。」
「そうだね。・・・お喋りはこれで終わりだ。」
ツナは一言呟くと手袋を装着し目を閉じた。すると手袋はガントレットに変化し綺麗な橙の炎を額と拳に灯し、隠していた闘志を剥き出しにした。すると闘志を向けられた月詠は倒れ込み、手では必死に立ち上がろうとしているが身体が言うことをきかないのか地に縫い付けられたように起き上がることができずにいた。
「ッ!!お兄はんやりますね~~。立つこともできないなんて初めての経験です~~。うちの首を取るならいまがチャンスですよ~~。」
「なんて圧力・・・・ツナヨシくん。」
「ふふふ 直に向けられていないうち達ですら足が震えて立っているのがやっとです。素子はんは・・・あかん月詠はんと同じようになってしまってますな。まさかこれほどとは・・・。エヴァはんは知っていたん?」
「ふん そこまで口が回れば十分だろう。前に一度だけ殺気を出したのを見たことがあるがこの比ではないぞ。あいつも相当な修羅場を潜っているんだろう。ん?手に炎を集めてツナのやつ何をやるつもりだ?」
ツナは柔の炎を集め両腕をクロスさせながら掌を月詠に向ける、背中からも炎が溢れ出し、その光景を正面から見ていた月詠は場違いにもまるで天使の羽のように綺麗だと感じていた。
「少し怖いかもしれないが我慢してくれ。・・・・・・・ XX BURNER!!」
ツナから放たれた炎は無慈悲にも月詠をのみこんでいった。