「まさかツナヨシくんがこちら側の人間だったなんて。月詠ちゃんだったかしら?あの子と模擬戦をするときは私も呼んでちょうだい。剣術の修行なら力になれると思うわ。」
「ありがとうございます。今まで黙っていてすいません。」
ツナは刀子にエヴァ達にした説明をして協力を取り付けていた。刀子からしたら魔法を知らない一般人と付き合うよりも、同じ秘密を共有する者同士なら弊害もないだろうと喜んで協力することを了承していた。
「問題は刹那ちゃんか。俺は話してもいいかと思ってはいるんだけど。エヴァちゃんはどう思う?」
「あいつになら話しても問題はないと思うぞ。お前や私よりも近衛木乃香や神楽坂明日菜に近い位置にいる分、敵対する相手が来ても時間くらいは稼げるだろう。あれが相手にできないほどの異変があればお前や私が気付くしな。」
「それもそうだね。じゃあ旅行から帰ったら話そうと思う。刹那ちゃんに話す時は刀子さんも同席してもらっても大丈夫ですか?」
「私は大丈夫よ。まだ交換していなかったし、連絡先を聞いてもいいかしら?協力関係になるなら今後も必要になると思うのよ。」
「ああ そういえば交換していませんでしたね。じゃあ改めてよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくね。」(やったわ!やっと連絡先を聞けた!今日道場に来て正解だったわ。)
「じゃあ俺は木乃香ちゃん達のところに戻りますね。」
「刀子はん。うかれているとこ悪いんやけど、あんさんはこのまま休みの間、月詠はんと道場に籠ってもろいます。うちから最終奥義を伝授しましょ。いまのままだとあんさんは足手まといになりますから。終わったら月詠はんを麻帆良まで頼んます。」
「はい。分かりました。よろしくお願いします。」
「すいませんが、後のことはよろしくお願いします。」
「構いません。ついでに詠春はんと素子はんの修行にもなりますから。」
ツナ達は刹那にも話すことを決めて道場を後にした。月詠は詠春への説明もしないといけないため、鶴子の元に残してきており夏休み中に麻帆良での再会を約束した。特訓を言い渡された刀子の瞳には光が感じられずに呆然としていたが、反対に月詠は戦いたいという欲求から瞳がギラギラとしていた。
~~~その頃の麻帆良学園では~~~
「学園長!!いい加減ネギくんの引受けを了承してください!彼には安住の地が必要なんです!我々大人が子供を守らないでどうするんですか!!」
ツナ達が京都に行っている間に高畑・T・タカミチが麻帆良学園に一時帰国しており、学園長に詰め寄っていた。その場には他の魔法先生の姿もある。
「高畑先生、何度も言っているようにネギくんの状況には同情をするが、ここに受け入れる事はできん。あの子は起爆剤でもある。それに大人がというのであれば、まずは祖父がきちんと動くべきじゃろ。あの子の問題行動はわしの耳にも入っておるぞ。問題児を押し付けられて一般人にまで迷惑をかけるわけにはいかんのじゃよ。守らんといかんのはネギくんだけではない。」
「でも!!ネギくんはナギの息子ですよ!英雄の息子の為に動くのが僕たちの役割でしょ!」
「その考えはおかしいのぅ。高畑くんわしから見たらナギは英雄ではないよ。あれは傲慢で自己のことしか考えず、戦う事しかできない、暴力での解決を選択した只のバカじゃよ。」
「あなたって人は!!なら僕は麻帆良から籍を抜いて向こうでネギくんの護衛に専念します!」
学園長と高畑・T・タカミチの話し合いは白熱し、と高畑は尊敬しているナギを馬鹿にされたことで頭に血が上って逆上し、ドアを荒々しく開けて出て行ってしまった。
「良かったのですか学園長?」
「いいのじゃよ。それが高畑先生が選んだ道というのであればわしは何も口にはせん。問題は明日菜くんへの説明かのぉ。京都にいる間で良かったわい。あの感じだと無理やり魔法世界に連れて行くという強硬手段にでる可能性もある。監視を付けて行動を見張らせようと思う。人選は任せた。京都にはわしから連絡をいれておく。」
「「「「「「はい!」」」」」」
その場にいた、瀬流彦、ガンドルフィーニ、弐集院 光、明石、シスター シャークティ、神多羅木の面々は頷いて高畑を追うように部屋から退出した。