「あ!ツナさんや。おかえり〜エヴァちゃん達と一緒やったんや?」
「ちょっと道場の見学に行かせてもらってたんだ。みんなはこれからどうするの?」
「木乃香さんと刹那さん、葛葉先生以外は今日帰る予定ですし、見たい名所は回りましたから今日はお土産を見に行くくらいですわ。」
「夕映さんとのどかさんはこのままご実家でしたっけ?」
「はいです。私とのどかはこのまま実家に帰らせていただくです。」
「私と夕映の実家は麻帆良を経由するよりも直接の方が近いので。」
「いいんちょとちづねえは関西空港に迎えが来るんだっけ?」
「ええ。せっかくならツナさんを両親に紹介したかったのですが残念です。私はそのまま北海道にある別荘を経由してから海外に。あやかも最初はいつもの島に行くのよね?」
「そうですわ!!今度、みなさんを島に招待いたしますわね!!」
「それはそうと近衛木乃香。いい加減こいつをなんとかしてくれないか。鬱陶しくて構わん!!あぁーもう離さんか近衛紫!」
「いいじゃないエヴァ。久しぶりなんだから、減るもんじゃないし?」
道場から戻ってきたツナ達は大広場で寛いでいる木乃香達と合流し、最終日の予定を確認した。
木乃香と刹那、刀子はそのまま京都に残り、夕映とのどかは直接実家に帰宅、あやかと千鶴は家族がプライベートジェットで空港まで迎えに来てそのまま旅行の予定となっていた。
麻帆良に戻るのは、ツナとエヴァに茶々丸、明日菜の四人になる。
そんななか、近衛紫はエヴァが部屋に入ってきた時から、どうやったのかは不明だが車いすを高速移動させてエヴァを膝の上に抱え込んでいた。
エヴァも最初は無視を決め込んでいたが周りからの視線に耐えきれなくなり暴れ始めた。
「お母さんとエヴァちゃんは知り合いだったん?」
「木乃香は知らないかもしれないけど、エヴァの後見人ってお父さんなのよ。10年位前かしらエヴァが日本に来た時に一緒に挨拶をさせてもらったの。」
「そうやったんか~~。エヴァちゃんも一言いってくれればええのに~~。」
「後見人ってことはエヴァンジェリンさんのご両親は・・・・」
「同情などいらんぞ。雪広あやか!那波千鶴!その胸を私に近づけ ムギュっ!」
「そっか・・・エヴァちゃんもなんだ。高畑先生はどうしてるんだろう。あいたいな。」
「これで全員か。最後の最後まで泣け叫び命乞いしかしないとは・・・情けない。」
あれから幻騎士は呪いをかけるように指示をしていた一派を皆殺しにしてまわっていた。
「・・・シッ!」
キンッ
「気づかれるとはね。君は何者だい?魔法使いではないようだけれど。」
「貴様に答える名前などない。生身のない人形風情が!!」
「へぇ どうやらこっちのことは知っているみたいだね。君は危険だからここで石になってもらおうかな。」
視線を感じた幻騎士は近くにあった水溜りに刀を突き立てる。すると刀が刺さる前に少年が飛び出してきた。
少年は幻騎士に探るような視線を向けて一つ二つ会話をすると右手を挙げて呪文を唱え始めた。
「千刃黒耀剣(ミッレ・グラディー・オブシディアーニー)、万象貫く黒杭の円環(キルクルス・ピーロールム・ニグロールム)、小さき王(バーシリスケ・ガレオーテ) 八つ足の蜥蜴(メタ・コークトー・ポドーン・カイ) 邪眼の主よ(カコイン・オンマトイン) 」
「フッ」
幻騎士は向かってくる無数の石の剣を二本の刀で捌きながら、後ろに跳躍する事で石化の針を避ける。
「空中では逃げ場はないよ。時を奪う(プノエーン・トゥー・イゥー) 毒の吐息を(トン・クロノン・パライルーサン) 石の息吹(プノエー・ペトラス)!!」
呪文を途中まで詠唱していた少年は、空中に避けることを狙っていたかのように、近くまで跳んできており幻騎士の胸に両手を当てて石化の呪文を唱える。
「悪いけどこのまま砕かせてもらうよ。」
石になった幻騎士の頭を踏み砕くために、脚を高く挙げて振り落とした。
次回「幻騎士死す」。デュエルスタンバイ!