ビックリしましたが、有り難うございます。
衝動的に先生と呼ばれる人物の言葉に上手く乗せられ、頷いて仕舞った今日この頃。
テレビに流れるニュースを見て、私は遂に自分の目が狂って仕舞ったのではないかと何度も何度も目を擦っては見開いてを繰り返していた。
資料を読み上げるニュースキャスターは、最近よく見掛ける女性で時折浮かべる笑みが素敵だと施設で働く人たちが言っていた気がする。
『国が管理する
一瞬、ニュースキャスターが何を言っているのか分からず画面の下に流れるテロップと、画面いっぱいに広がる私がいた施設の襲撃を受けた後の映像を見詰めながら、
「はぇ?」
間抜けすぎる声を上げた。
「何、間抜け面しながら奇声上げてんだよ」
昼でも夜でも相変わらず顔色が悪い死柄木くんに言われて、私は苦笑いをするしかなく、すぐな視線をテレビへと向けた。
そこには、私の顔写真がドーンと載せられており、私は頭痛を感じた。
『脱走したのは、
ニュースキャスターの声が遠くで発せられているような気がして、私は頭痛を感じる米神を抑えた。
「嘘でしょう……」
項垂れる私を見て、口角を吊り上げる死柄木くんに避難めいた視線を向ける。
死柄木くんは、かさついた唇をニタリと歪ませて私に視線を向けると、口を開いた。
「施設から
楽しそうに笑う死柄木くんに私はついついけず、これからどうしようかを考えていた。
私自身、自分の個性をそこまで使ったことがないため、一体どれほどの効力があるのかは分からない。
せいぜい、私を虐めてきた子にたいして個性を発動させて、怪我を移したりだとかはしたことあるけれど、それ以上はとくにない。
どうしましょうか……。
もう、外にもまともに出られない。
落胆していると、カランとドアに付けられたベルの音が鳴り響いた。
完全に堅気の人じゃない黒霧さんが営んでいるため、ここの“バー”に来るお客さんもそっちの人だったりするのが多い。
「いらっしゃいませ」
黒霧さんに頼まれて、店番を少しの間だけ任されている。
死柄木くんはそもそも、店番なんてしないから必然的に私がしなくちゃいけなくなる。
特に不満はないけれど、私はお酒はつくれない。
「あ?お前……。今朝ニュースでやってた施設から脱走した奴」
……出来れば名前で覚え下さいよ。
「何だよ。やっぱりお前もこっち側の人間なんじゃねぇか。ぜってぇ
ニッと口角を上げて笑みを浮かべた男性に何とも言えない感情を抱きながら、黒霧さんが帰ってくるまで世間話へと持ち込んだ。
話の内容は、
男性は昼間だっていうのに何杯もお酒を煽って、千鳥足で帰っていった。
「あの人、早くて今日中に
私の言葉を聞いていた死くんが、クツリと喉の奥を震わせて笑い声を上げた。
「お前に随分親しそうにしてた奴に、ヒデェこと言うのな」
そんなこと思ってないくせに、そんなことが言える貴方のそのお口を私は褒めたいですよ。
「他人ですからね。相手が親しそうにしてただけで、私は彼の事を全く知らないので」
「……何で今まで、
何を言っているんですか、私はいつだって善良な一般市民な方であったんですよ。
それを崩して、崩壊する原因をつくったのは貴方たちなのに。
「そう言えば、
「有り難くないんですけどね。これで、あまり外に行けなくなりましたよ」
肩を竦めながら、黒霧さんが食器を拭く手元を見ながら、一つ溜め息を零す。
「私は、
私の小さな呟きに、死柄木くんも、黒霧さんも何も答えてくれなかった。
まだ、原作にはいかない……。