IS:ボンド   作:田中ジョージア州

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みんな〜長らくお待たせ〜
えっ待ってない?そんなに人居ないだろ?
そんなこと言うなよ…(´・ω・`)

久しぶりで二転三転する場面展開。
ちょっと整合性を欠いているかもしれませんが続きです。


11話 乱入者

ーー管理室

 

アリゲーターオルフェノクが一夏達と交戦を始めて数分した後の事だった。

 

 

 

アリーナとの接続が途切れた。

 

 

 

映像が途切れ管理していたアリーナの安全装置等のシステムが急に手元から離れた。

 

「なにっ…⁉︎」

 

最初は単純に驚く。その後から戦慄が走る。

 

「状況確認!なにが起きた⁉︎」

 

立て続けに起きる混乱の要素にも千冬は精一杯の事務的要求を求める。しかし流石にオペレーター達も今度こそはまいってしまう。唯一真耶だけがそれに直ぐに応えたが。

 

「わ、わかりません!急にこちらからのアクセスを受け付けなくなって……。」

 

聞くからに混乱している。他のオペレーターもなんとか復旧に全力を注いでいるがこれで実質的に千冬達は戦力外となってしまう。

 

「大変です!」

 

歯軋りを隠さない千冬にオペレーターの1人が固定電話を片手に叫ぶ。

 

「アリーナ内部の至る所に謎の敵性勢力を確認、教員部隊と交戦中。」

 

今度こそ手を止めて驚く一同。

 

千冬と同期の教師である彼女はなんとか外部との連絡を取ろうとしてアリーナ内に一つあるこことは別の簡易的な管理人室へと連絡を取ろうとしており、そして繋がった途端雇われの初老の男性駐在人から怒鳴るようにこの状況を告げられたのだ。

 

「敵性勢力は無人の飛行体。数は不明。機体からはジャミングらしき強い電波が発せられておりISのチャネルも使用不能とのことです。」

 

彼女の場合は有線電話を使用していたためジャミングの影響を受けなかったため知り得た情報だ。

 

「それじゃあ生徒達の救援は⁉︎」

 

悲鳴をあげるように真耶が叫ぶ。

 

「駐在さんからの情報は以上です。今は管理室に立て籠もり護衛の教員が1人交戦中。」

 

IS学園はその重要性から守衛や駐在人にはもしものために武器の携帯が義務付けられている。

 

しかし武器といっても警棒が精々。対人用にしても拳銃の類は持ち合わせていない。極め付けに彼らは戦闘のプロという訳ではない。一応民間の警備会社から雇い入れてはいるが武装を積んだ兵器に太刀打ちできる術はない。今回の場合のように護衛に1人人員を割いただけだ。

 

しかし彼には悪いが今重要なのはハッキリと安否の確認が取れる駐在人ではなく未だに客席に閉じ込められている生徒達だ。駐在人の情報から考えても最悪まだ生徒の元へ到着していない可能性がある。千冬は絶望的な状況にも新たに入った明確な情報により少し冷めた頭でさっきの教師に言う。

 

「有線は繋がるんですね?」

 

はいと頷く教師を確認し指示を飛ばす。

 

「ホットラインを使用。警察か自衛隊に応援を求めてくれ。」

 

千冬の命令に真耶は少しして

 

「時間がかかり過ぎます。」

 

千冬の案はアリゲーターオルフェノクの襲撃時に誰もが頭によぎりそして一蹴したものだ。

 

国際的な立場を持つIS学園は日本の領海内に在るが実質的に独立国としての扱いを受けている。ホットラインが存在していることもそれが絡んでいる。それはIS学園の現在の世界情勢において重要性を示すと共に今の案を真耶が渋る原因でもあった。

 

千冬の策は日本政府がIS学園に干渉する事を大前提とする。

 

半ば有名無実化しているとはいえ国際規約で定められた不可侵を踏み越えることを意味している策だ。

 

それが武力介入だとすれば尚更。立場上最終的には受け入れられるだろうがそれなりの時を要する筈だ。たとえそれが10分経たずだとしても命の危機にその時間は致命的すぎる。

 

しかし既に選択の余地はとうに無くなっている。

 

「私が交渉に出る。少しでも確率は上げておきたい。」

 

ブリュンヒルデの名を出すとまで言う千冬に真耶も諦めホットラインを繋ぐ。

 

千冬はふうっと息を吐き気を集中させる。と、

 

「あ、あの。織斑先生…」

 

おずおずといった感じで千冬に話しかけるのは数少ない生徒のうちの1人。リボンの色から見て3年生だろう。

 

「悪いが他の教師に言ってくれるか。」

 

少々ぶっきらぼうかと思うが仕方ない、これから一国を相手に交渉をするのだ恨むならタイミングを恨んでほしい。しかし生徒はでもと食い下がる。

 

「織斑先生が連れてきたんですよね?」

 

「?なんの話だ。」

 

流石に気になったので話させる。

 

なにか嫌な気がした。

 

 

 

「金髪と黒髪の一年生…いつの間にか居なくなってて。」

 

背筋が凍るのを感じた。

 

 

ーーピット内

 

クロエの黒鍵を中継させ管理室のシステムにハッキングしアリーナの映像を落とさせた束は空中モニタに映像を写させ急に飛び出して行ったなのはの姿を確認する。

 

「写ってない……な。」

 

そこにバリアジャケットを着込んだなのはの姿が写っていないことを認めると取り敢えず安堵する。

 

この時点で千冬になのはの異世界人としての正体を知られることは事態がより混雑化してしまう。

 

それは好ましくないと判断した束はなのはが突入する前に既にクロエに命じて侵入していたIS学園のシステムを通じ監視カメラの映像を切ったのだ。と同時に発見した謎の無人機(ガジェットドローン)の存在が現在の束の興味の対象となっている。

 

自分の発明家としてのベクトルとは違う機構を用いているであろうガジェットドローンに束は暫し全ての事を忘れそうになる。恐らくの余地もなくこれはスカリエッティという土台が入ったモノだと束は確信した。

 

やはりの響きがより強く頭に響いた。

 

「ジャミングか……解除してやる事も出来るんだけど。」

 

その気になれない最後の躓きの石は矢張り秘匿性の霧散の危険性。ジャミングの解除をしてやれば千冬に勘ぐられる確率が上がる。スカリエッティに付け狙われる可能性が少しでもある以上束は動く気が起きなかった。

 

「……」

 

束は不意に取り残されたらしい生徒の事が頭に浮かび無言になる。

 

篠ノ之束は基本的に自分が認めたモノ以外には関心を全く示さない。しかしそれは必ずしも冷酷さに繋がるとは限らない。彼女とて自分の愛妹と同い年程の少女達の生命の危機を前に思うところが無いわけではないのだ。それでも踏み込めない。

 

ここで親友の危機を取るほどの域にこの360人は至って居ないのだ。

 

暫しの時間の内 束がふうっと息を吐く。

 

「考えてみれば箒ちゃんも危ないんだし、解除しなきゃダメか。」

 

そう言って束はクロエに指示を飛ばしジャミング解除の準備を始めさせる。それは飽くまでも箒を念頭に置いた結論だったがそれに入るまでの過程となったのは紛れもなく、束にとってはなんの思入れもない無名の少女達だった。

 

 

ーーアリーナ

 

 

杖状デバイスに形状を変えたレイジングハートを構え高速機動補助魔法のアクセルフィンを自身に掛け宙に浮かぶなのはは静かにアリゲーターオルフェノクへ視線を向け思案する。

 

硬い。それも生半な硬度ではない。

 

なのはが放ったディバインバスターは管理局の思想に反して対物理設定にしてあった。一切の手加減なしに放つなのはの砲撃魔法は立派な兵器だ。しかしISのビーム兵器と遜色ない攻撃にも関わらずアリゲーターオルフェノクのダメージは軽微。

 

(表皮が硬すぎて魔力自体に対しての耐性が出来てる。こいつには私の砲撃魔法よりスバルの打撃の方が効くかも。)

 

分析しながらなのはは自分の勝率を弾きだす。

 

正直高くはない。

 

そもそも一対一に向いているとは言えないなのは。それでも空戦魔導師としての強みで本来なら充分勝機があるのだが今回は条件が悪かった。

 

一夏と鈴音、この両名を護衛しなくてはならないのだがこれがなのはの足を引っ張る。

 

まず2人を気遣い全力が出せない。

 

はやてほどではなくとも彼女の攻撃魔法で高威力なものはそれなりに広範囲に被害を及ぼす。先ほど放ったディバインバスターは2人に危害を加えない範囲内での最大火力だった。つまり現在のなのはではアリゲーターオルフェノクを倒す手立てはない。

 

そしてアリゲーターオルフェノクの実力が予想より高かった事。

 

上級には届かずとも中の上程度のポテンシャルに加え場馴れを思わせる佇まいには今の所隙は認められない。バインドからの不意打ちですら咄嗟に尻尾を身代わりにし、今もなのはが攻撃を手加減しなければならないことを即座に見抜き2人から一定の距離にいる。

 

その距離10メートルほど。

 

2人自身からの攻撃にも気を配った故だろうやや離れた位置取りは、しかしアリゲーターオルフェノクの脚力を持ってすればなのはよりも速く縮められる。それがなのはの動きをさらに制限していた。

 

人質救出では後手に回らざるを得ないとはいえアリゲーターオルフェノクの戦運びの巧さはなのはを上回っていた。戦技教導官としては悔しいものがあるが認めなければならない。

 

 

「………」

 

ダメだ浮かばない。

 

この状況下で2人を救出する策が無い。

 

表情こそ変えなかったが高町なのはの胸中は焦りに占められていた。

 

永遠に続くかとも思えた膠着状態を先に破ったのは爆音とともに飛び出したアリゲーターオルフェノクの突進だった。

 

傷を負いながら未だに健在な尻尾を地面に叩きつけ反動でなのはに向かって飛び出す。空中で回転しながら振り下ろす尻尾の一撃をなのははバリアタイプの防御魔法プロテクションEXで防ぐ。10年前から格段に上がった練度により精製されたプロテクションは奇襲の一撃を易々と防いでみせる。

 

「ーっ!」

 

一瞬顔を僅かに歪めながらもアリゲーターオルフェノクを撥ね返す。くるりと事も無げに元の位置に着地してみせたアリゲーターオルフェノクを睨みつつ頭の中で戦術を組み立てる。そして意識を外さぬまま周囲を見渡す。

 

両目に映るのはアリゲーターオルフェノクと未だに動く事のできない一夏達。

 

不意に念話が繋がる。

 

《AMFですmaster》

 

レイジングハートの指摘にコクリと相打つなのは。彼女の居たピットとは別方向のピットに数機程のガジェットドローンが浮遊している。

 

(アンチマギリングフィールド…新型か。)

 

プロテクションを発動させ実際に攻撃を受けるまでまったく気づかなかった。より対魔導師用に特化させた改良型のAMFだ。

 

幸い元より低いのか敢えて抑えているのか、出力は大したほどではないため支障は出ないがこれで益々不利になった。

 

再度身を屈めるアリゲーターオルフェノクに身を固めながらなのはは逆転の策のために頭を巡らせる。

 

そしてアリゲーターオルフェノクは二度目の跳躍をした。

 

 

ーー選手控え室

 

束の前に既に教師達の手によって差し止められ映らないアリーナの映像画面を見上げながら退屈そうにパイプ椅子に座る巧と、彼から少し離れた位置で腰掛ける簪はこの騒動に不安を感じていた。

 

相変わらず映らないデバイスの映像に巧を気にしながら溜息を吐く。

 

ーーアニメでも見よう

 

「なあ。」

 

ーーまたか

 

「な、なに?」

 

若干怯えながら今度は出来るだけ速く返答する。賢い彼女は巧の機嫌を損ねた理由が分かっていた。

 

「さっきの水色の髪の女。アンタの姉さんか?」

 

楯無の事だ。

 

「うん、私のお姉ちゃん……なにか?」

 

「いや。……」

 

……………………………………………………………

 

「あの。」

 

「なんもない。」

 

「あ、そう。」

 

お互い口下手なため話が進まない。

 

陰鬱な空気となる室内。

 

それでも不思議と簪は不快に思わなかった。

 

無論性格的には巧は苦手な部類だが会話のし易さに限って言えばなのはよりも合っていたのだ。

 

やがて簪は自然と自分の名前を巧に告げていた。

 

「私、更識簪。」

 

「更識……」

 

復唱するように巧が続ける。

 

「俺は」

 

「知ってる。乾巧でしょ?」

 

有名人だ。

 

呼ばれた名前に巧は不満げに溜息を吐いた。

 

ーー

 

他の場所と違いほんわかとした柔らかい雰囲気を出しながら、巧の意識は再来した()()()()へと向けられていた。

 

モニターの映像では土埃で見えなかったが巧は間違いなくオルフェノクの強襲だと確信していた。

 

無論直ぐにアリーナへ駆けつけようとしたのだが場所が悪かった。

 

対オルフェノク武装であるファイズギア一式は入学以来ある場所、オートバジンに備え付けたままになっている。

 

それにそもそも自分は道に迷っていたのだ。アリーナどころか駐車場すら分からない。それにこの状況で簪を危険地帯に巻き込む事も気が引けたためこうして一緒に待機している。

 

あの女の言う通りなのは癪だが巧に選択肢は無かった。

 

現在巧は苛ついている。

 

安全のため簪に付いているがもし教師が救助に来た場合はその教師に預けてあとは自力で急行するつもりでいた。

 

しかし待てども教師は一向に来ない。

 

流石に遅すぎる。不安になってくる巧は無理やりそれを押し殺す。

 

もしかしたらISでオルフェノクを鎮圧しようとしているのかもしれない。案外自分の出番も要らないのかもしれない。

 

「少し出てみるか。」

 

居ても立っても居られないので巧は扉を開けようとドアノブに手を伸ばした。

 

「乾君ダメだよ。」

 

簪が慌てて止めようと席を立つ。構わずノブを回そうとすると不意に耳に聞き慣れた動音が入った。

 

 

オートバジンのエンジン音だ。

 

 

「あいつ。」

 

しかめっ面をしながら簪の制止も聞かずドアを開ける。目の前に銀色のバイクが居た。

 

正確には轟音を轟かせながら正面の壁含めて根こそぎ()()()()()()()愛車が巧の目に入る。

 

「わ、なんの音……え⁉︎何コレ!」

 

簪も驚いているようだ。特に壁の方に。

 

右手中指にはめている待機状態の打鉄二式を構えるのを手で制し巧は丁度良かったとオートバジンを叩く。

 

「おい、助けはいいからこいつ頼んだぞ。」

 

(こいつ)を親指で刺す持ち主にバイクは何も答えない。

 

構わず後部座席にくくりつけているアタッシュケースを取り出す巧に簪は右手に手を掛けながら恐る恐る近づく。

 

「い、乾君?」

 

混乱している簪を見て巧はあっとなる。

 

アリーナの場所をまだ聞いて居なかった。

 

「アリーナってどこ。」

 

「えっ…そこの通路から階段登れば案内板有るけど。」

 

意外に単純な内容だったことになんだと思いながら巧は礼を言って駆け足で出て行く。

 

ーー

 

「サンキュ、じゃな。」

 

と言ってあの子は私の言った通りに出て右に直ぐの階段へと走っていった。

 

「え、えっちょっと待ってよ⁉︎」

 

慌てて乾君の後を追う。

 

さっきの爆発が侵入者によるものなのは何と無く解っていた。専用機のない彼では直ぐにやられてしまう。

 

一応代表候補生なので止めないと。下手すれば専用機と候補生の名を剥奪されてしまう。

 

しかし、

 

《Battle mode》

 

男の人の声が聞こえたかと思うと目の前の不法侵入および器物損壊バイクがブワッと急に起き上がった。

 

私は

 

「わっ」

 

となり尻餅をついてしまう。

 

「痛っ」

 

傷害罪も追加だ。

 

私に気にせずそのバイクは変形を続けやがて2メートル超えの銀色の鉄人となった。

 

 

「………」

 

ピロロロと顔のバイザーを光が走った。

 

乾君大丈夫かなぁ……

 

 

ーー

 

先に飛び出して行った教員と級友のことがふと浮かぶ。ふと浮かんで二度と思い至ることはなかった。

 

改造したロングスカートから伸びる長い脚が規則正しく床を踏む。

 

妖しくしかし艶かしくない程度の絶妙な魅力を出す、齢らしからぬ動作を自然と晒しながらセシリアオルコットは人気のない廊下を進む。

 

日常生活には充分だろうが緊急自体には彼女の立ち振る舞いは少々優雅すぎた。怨敵の同胞とこれから死闘を繰り広げようというのにこの道中それとは関係ない事ばかりが頭をよぎる。

 

最近になって漸くルームメイトが浪費は美徳ということに理解を示してくれたこと

 

先週改善するように求めた食堂で出されるサンドウィッチのパンが未だフワフワだったこと

 

鈴音がいつにも増して張り切ってアリーナで特訓しているのを見かけ何故か一緒に参加させられたこと

 

ふと巧が犬みたいに思えてきてつい頭を撫でたところ一部で変な噂が流れて巧に頭をはたかれたこと

 

 

終始日常の雰囲気で廊下を進みながら途中から現れた謎の飛行物体。ガジェットドローンを部分展開したビットで片っ端から撃ち落とす。魔力弾を除けば薄い装甲しかない防御域はスポーツ用に出力を抑えたビームでも易々と貫けた。

未だ突入直前で疎らなガジェットドローン達は姿を晒した瞬間ビットの餌食となっていった。

世界最強の兵器を力を見せつけながらもセシリアに優越感は無い。むしろ次々と現れる無人機達の物量に感心する。

 

「キリが無いわね。矢張り時代は『安価』『無人』ですわね。ISはコストも燃費も悪いんですもの。」

 

戦争には使えないと呟きながらも壁を突き破って現れたガジェットドローンのカメラ部分を正確に撃ち抜く。

 

「粒子変換のメカニズムが特定されればISも完全にお役御免ですわね。」

 

今の一般思想とはかけ離れた持論を持ち出しながらも着々とセシリアは現場へと近づいて行く。

流石にそこまで行けばガジェットドローンの突撃も激化してきたがセシリアは豪雨のように襲いくる無人機達をビットと新たに展開したスターライトmkⅢの並列射撃で撃ち抜く。

 

やって来た者から残骸になっていく風景を英国淑女は優雅に進んで行く。

 

そして遂に。

 

 

ーーアリーナ

 

管理局が誇るミッドのエースオブエースはそう呼ばれる所以の大半をアリゲーターオルフェノクの戦法に潰されていた。

 

次々と繰り出される近接攻撃の数は未だ止むことなく。組んず解れつ、一定の線を保ったまま一方的に攻撃をプロテクションで防いでいる。

 

なんとか反撃のためにバリアバーストを頼っているがどうやら存在を知られているらしくバースト瞬間にはもう体勢を持ち直して再び攻勢に転じて来るアリゲーターオルフェノクになのはは攻められずにいた。

 

「………っ。」

 

顔を歪める。

 

ダメージからでは無い。

 

一向に人質救助に迎えない自身への歯痒さゆえだ。

 

攻撃の密度とガジェットドローンの影響もあり魔力弾の生成も困難となっているのもそれを加速させた。

 

しかしこのままのんびりしている訳にもいかないのが事実。

 

今一夏と鈴音は現状把握のために状況が一番理解出来ているこのアリーナ内が安全と判断して残っている。

 

実際ガジェットドローンがどの程度広がっているのか分からない上一番危険とされるアリゲーターオルフェノクはなのはが抑えているため、このまま燃費節約のため留まって救援を待つというのは悪くなかった。

 

しかしそれもなのはがアリゲーターオルフェノクを打倒出来ればの話。

 

実力的には充分可能なため手間取っている事が焦燥感を抱かせた。

 

「………」

 

一切の声も漏らさずに淡々と攻撃を続けるアリゲーターオルフェノク。しかしその胸中は余裕とは逆のものだった。

 

目の前の魔導師は情報として仕入れていたものを参考にして組み立てた仮想敵より強い。

 

威力に限れば予想より大分下だったが判断力においては彼の予想を遥かに超えていた。先程から怒涛に攻めているが肝心な所にセーフティを敷かれこれ以上を踏ませない。

 

こちらを阻む壁をより堅実にしながら冷静に両の目で自分を分析している。

「自分の戦力では目の前の敵は妥当出来ない」そう判断するも攻撃の手は緩めない。

出来る出来ないは兎も角アリゲーターオルフェノクに選択の余地はない。

今はガジェットドローンが抑えているとはいえ救援部隊が来れば彼の生死は決まる。

一夏の殺害が出来ない以上ここに留まっている道理は彼には無い。

 

早期決着。

 

長引く流れに逆らいながらの思考に両者は落ち着く。

生存するため攻勢に転じ続けるアリゲーターオルフェノクと生存させるために起死回生を見出そうとするなのは。

 

地面を蹴る音、肉を叩きつける音、障壁が弾く金属音にも似た甲高い音。

 

限定された音程だけがアリーナ内に響き渡る。

 

動きながらに停滞したと誰もが共感した。

 

そんな中。

 

 

モノアイを貫かれたガジェットドローンの耳障りな崩壊音がビットから聞こえた。

全員振り返る。そして見る。

 

琥珀のような透き通った金色の髪。

ビットに蔓延るガジェットドローンを全機破壊したセシリアオルコットが今まで見たことのないくらいの恐い顔をしてアリゲーターオルフェノクを睨みつける。

 

「覚悟なさい。」

 

受け手によって違う開口一番。

 

一夏はそのまま素直に恐ろしく感じ。

 

鈴音は少なくない間柄を傷つけられた事への怒りと受け取り。

 

なのははより黒いナニカを勘ぐり。

 

アリゲーターオルフェノクはより正確にそれが憎悪の種類だと気づいた。

 

 

 

反転反転する混乱の舞台。

漸く終焉に近づいてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょろコットさんが少しキャラ立ちすぎかしら?
次辺りで一応決着をつける予定です。

※人気投票の開催。詳細は活動報告にて
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