IS:ボンド   作:田中ジョージア州

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映画トランスフォーマーを視聴後。
アメコミ的なマンネリなヒーロー物ストーリーとツッコミどころ満載な展開でしたが勢いと格好良さで押し切ってスッキリな気持ちで劇場から出してくれるのがアメリカ映画の良いところですね。
それとシンゴジラを見た後だと日米で核兵器に対する価値観は違うんだなぁと、フィクションですがだからこそそういったものが表れやすいのが映画だと思っています。


統合
14話 秘密の会談


日曜日

 

IS学園では自由行動が認められる日だ。多種多様な国と地域から集まる少女達だが過ごし方はそう変わらない。たまの休みに市街地に繰り出そうと朝イチで外出届け出を出して私服で、制服でモノレールに乗り込む者。そのまま冷房の効いた自室で疲れた体を癒す者。部活に入っている者の中には空いた時間を有効活用しようと部活動に励む者も居た。教員も寮の責任者や用事を持つ者以外は今日は休み。みんな様々な方法で英気を養って居た。凰鈴音は前者の過ごし方にするようだ。外出届け出を事務に提出し、年頃にしては少々気遣いの度外視された機能性重視の私服に身を包み、誰よりも早くモノレールに乗り込む。発車までのしばらくの間に手荷物をもう一度確認する。ボストンバッグ一つでどこへでも行けると豪語する鈴音だが流石に年頃。手ブラでは楽しめない。それでも有るのはズボンの左右や服の胸ポケットに突っ込まれた紙幣・小銭のみなのが彼女らしい。アナウンスが今乗っているモノレールの発車時刻を再度告げている。手動のボタン式の扉がプシュッと開いた。

 

「おはよ。」

 

「おう。」

 

巧と軽く挨拶を交わしそして巧は4席構成の車内で鈴音の2人席の隣の2人席に腰掛けた。

 

「出かけるのか。」

 

「ええ、朝から取り敢えず飲食店巡り。一度してみたかったのよ。」

 

「今することなのか?」

 

「今しないことなの?」

 

「別に。」

 

「でしょ。」

 

アナウンスが発進を告げる。モノレールが静かに動き出した。

 

「それにしてもちょっと驚いた。アンタって早起きできんだ。」

 

「できるに決まってんだろ。それにそれはこっちのセリフだ。」

 

なんとなしに冷やかしてみたがシッカリと反応を返す。こういう所は年頃だ。

 

「ねえ、巧クンはどっか行くの。」

 

流れる景色を見ながら残り数分の道中でそんな事を聞く。同じような姿勢で巧が応える。

 

「高町と待ち合わせしてる。」

 

ガバッと鈴音が巧に向き直る。目を見開いて静かな車内に響く声で言った。

 

「デート?」

 

「に見えるか。」

 

嫌そうに巧が返す。どうやらデートでは無いらしい。少なくとも巧はそう思っていない。

 

「魔女っ子の事と俺の知ってる情報をトレードする場を設ける。」

 

アリーナ襲撃事件の事だと直ぐにわかった。そうだったと鈴音がもう一席近く身を乗り出す。

 

「アンタ変な格好になってたわね。あの怪物の事知ってんの?」

 

「ああ。」

 

アッサリと答える内容にこっちの心境までアッサリしてしまう。感情で動く鈴音からすればイマイチ乗り切れずに珍しく冷静に突っかかる。

 

「教えてくれるんでしょうね。」

 

巧は無言だ。

 

「セシリアあれからなんか怖いのよ。」

 

目を向ける。

 

「アンタ昨日から呼び出し食らって居なかったから知らないでしょうけど、あの子アンタに会いたがってたような気がした。」

 

「気がした?」

 

こくりと頷く鈴音。

 

「千冬さんから巧クンは今日は相手出来ないって言われたら引き下がったけど、なんかね。怒ってたような気がしたの。」

 

野生的な鈴音の感性はセシリアのごく自然な振る舞いに感じた怒りのようなものに底知れない不安を抱いていた。知り合って1週間程度だが鋭い鈴音はキチンと彼女に純粋なものを感じ取っていた。セシリアは良い子だ。そんな彼女が抱くどす黒い理由を彼女は知りたかった。そしてそうならない状況に憤りを感じていた。巧はそんな鈴音を暫し見つめる。モノレールはあと少しで本土へと到着する。正直今それは話せない。時間が足りないのもあるが今話すのも何か違う気がした。

 

「分かった。いつか話す。」

 

「……絶対よ。」

 

「分かってる。」

 

モノレールが減速を始めアナウンスが到着を知らせた。

 

 

 

 

 

ーー

 

モノレール乗り場を降りた2人だがここで早くも行き先に違いが出る。巧は一般の出口ではなく駐車場の方へと足を運んだ。

 

「バイクで来てんだよ。」

 

「へえ。」

 

興味を惹かれた。まだ時間がある鈴音はそのまま巧に着いて行く。教師や来賓の為にIS学園行きのモノレール乗り場には大きめな駐車場が設けられており自転車やバイク用の駐車場も有る。巧のバイクはその中の奥の方で鎮座していた。

 

「へえ、カッコいいじゃん。」

 

曇らない銀色の光を放つオフロードバイクに巧は跨る。ヘルメットを被りキックスターターを踏みこむ。雄々しいエンジン音が鳴り閉鎖された空間に響いた。巧は2回ほど軽く吹かし久しぶりの調子を確認する。

 

「出口まで送るぞ。」

 

「さんきゅ。」

 

言うが早いか鈴音はヘルメットも被らず後ろに飛び乗る。巧はローギアのままゆっくりと駐車場内を走った。

 

ーー出口

 

「どうせなら最初の店まで送ってほしかったけど。」

 

「ヘルメ一つしか無いんだ。道路はダメだ。」

 

交通量が少ないとはいえ流石にそれは不味い。見つかった場合一番困るのは巧だ。鈴音も冗談で言っていたようで直ぐに笑って自分の足で歩道を歩いて行った。巧はもう一度見渡し発進した。

 

 

 

 

 

ーー待ち合わせ場所

 

ビル群の景色から民家そして種を蒔き終えた田を通り学園からそれなりに離れたところにある緑豊かな公園。数十キロに渡る森林群や再開発を免れた緩やかな川が今日も綺麗に太陽光を反射している。町からだいぶ離れているのと遊具が少ないという点、さらに道路も少なく交通の弁が悪いことで普段からあまり人は寄り付かない。再開発を免れた所もコストの割に利点が少なかったからだ。だが手入れは行き届いており巧は気に入った。バイクを停め取り敢えず近くのベンチに腰を下ろした。

 

「………」

 

こうして邪魔されない静かな空間に身を任せるのが巧は好きだった。もうこのまま一日が過ぎてもいい気がした。自分以外の音がしない空気を楽しみながらも暫くして感じた人の気配に遂に巧は自分の時間が終わったのだと残念がった。

 

入口の方から1人の女性が歩いて来る。巧を見つけるとこちらへと足を進める。そして目の前まで来るとニコリと微笑みかけてきた。表面だけ取り繕った、何を考えているのか分かったもんじゃ無い、女の笑みはそんな種類のものだった。

 

「初めまして、乾巧くん」

 

黒髪を肩甲骨まで伸ばした女は若く中々の美人だったが黒縁の眼鏡とオシャレを感じさせない服装に身を包ませている為かなり地味だった。街中に紛れれば5秒で視界から消えてしまいそうなその女はフルネームで巧を呼ぶ。

 

「誰。」

 

怪訝に言うが女はそのまま変わらぬ笑顔で続ける。

 

「なのはちゃんはもう来てるよ。」

 

どうやらこの女、なのはの関係者のようだ。そういえばと巧は昨日のやり取りを思い出す。待ち合わせ場所も時刻も全てなのはが提示していた。言われるがまま来てみたがなにやら想像以上に手の込んだ事をしているらしい。

 

「こっち。」

 

女は悩む巧を急かすように手招きをして注意書きを貼られた立ち入り禁止の扉を躊躇なく開いた。一瞬ギョッとする巧に構わず女は扉の向こうへ消えて行った。仕方なく巧もついていく。

 

管理人用に作られただろう部屋は公園に比べて手入れが滞っていた。どうやら見えるところだけ掃除しておくタイプのようだ。埃がかった部屋を抜けてもう一つの部屋に女は入る。

 

「いらっしゃい巧君。ごめんねこんな遠くに呼び出して。」

 

先程と比べて小綺麗に纏まった家具の中でプレーンなプラスティック製のテーブルを中央に置かれ、高町なのははその向こうの椅子に腰掛けていた。なのはは直ぐに立ち上がり部屋のポットを使用し巧にお茶を出した。湯気がもくもくと上がり巧が顔を顰める。なのはは次に巧の分の椅子を出しそして女の分の椅子を自分の隣に置いた。

 

「ありがとうございます束さん。素敵な場所ですねここ。」

 

女は束というらしい。束は別にと素っ気なく答えさっさと椅子に座った。3人が座ったところでなのはが改めて巧に向き直る。

 

「えーっと、なにから話そうか。取り敢えず………おはよう。」

 

束とは違う本物の笑顔でなのはが笑う。

 

「おはよ。」

 

答える巧になのはは人懐っこい笑みを絶やさずに

 

「まず自己紹介だね。」

 

「私は高町なのは 19歳です。」

 

「……マジか。」

 

驚いた。

 

どうやらこの少女年齢詐称をしているらしい。そういえば幼顔ではあったがどうも雰囲気的に同年代かそれ以上と接している感じがして不思議だった。あれは本当に年上だったからだったのだ。

 

「それから職業は……」

 

なのはは少し間を開けそして照れたように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔法少女です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……マジか。」

 

ドン引きだ

 

 

 

 

 

 

 

ーー

 

なのはの告白。

 

状況進展のためにそれなりの覚悟を抱いて口にしたのは良かったがどうやら予想以上の衝撃だったらしく、正面を見れば冷ややかな目を向けられており隣を見れば変装をした、自分をこの世界に招待した女性が頬杖をつきながらアッチを向いて肩を震わせている。

 

「えーーー……」

 

いたたまれなくなったなのはは取り敢えず茶を啜った。

 

あっ美味しい

 

「………」

 

しーんと静まる空気と刺さる視線が痛い。

 

(とにかくジーッとしててもドーにもならない。私が行動しないと!)

 

「にゃ、にゃはは…ビックリした?正確に言うと魔導師って言って、分かりやすく言えば魔法使いかな。まあ、兎に角……」

 

「変態ってことだろ。」

 

ぐさっ

 

「あうっ」

 

撃ち落とされたエースオブエースが机に突っ伏した所で束が遂に吹き出した。

 

ーー

 

ーーーー

 

ーーーーーー

 

「あー笑った。笑ったらあっつい、もうコレいらん。」

 

漸く収まった束がカツラを投げ捨てた。紫色の長い髪の束がばさっと現れる。

 

「ああ、束さん折角の変装なのに。」

 

いつもの快活さが鳴りを潜めたなのはが注意する。しかし束は巧しか居ないんだから良いだろうと返して悪びれない。

 

「それに束さんの趣味じゃないの。」

 

(そりゃ貴方の趣味で合わせたら目立って仕様がないんだもん。)

 

仮面を脱ぎ捨てた束は漸く本物の表情で巧を見やった。人の価値に興味の有る無し以上の判断基準を持たない人物。天災篠ノ之束の本来の姿で巧を観察する。

 

「名前は聞いたよね?乾巧くん。篠ノ之束です。」

 

特に抑揚を付けずに淡々と単語を連ねる束。なのはがそれを見てあちゃーと頭を抱える。

 

「3日前のアリーナを襲撃した怪物についてきみが知っている事を全て話しなさい。こっちもそれ相応の情報は開示するよ。それと、一応フレンドリーにはするつもりだけど優しくするつもりは無いから。それだけ。」

 

「なのはちゃん後お願い。」

 

早々にバトンタッチした束は椅子に斜めに腰掛けて足を組みまた頬杖をついた。呆気に取られる巧になのはが一言謝り束を咎める。

 

「束さんもう少しフレンドリーに…」

 

「した。」

 

「もう、」

 

呆れたようになのはが再度ごめんを口にする。

 

一応言っておくとこれは束なりの気遣いだ。口下手な自分では交渉ごとには向かないと判断した上で最低限の事だけ話してなのはに譲った。

 

しかしその気遣いもなのは自体は分かってはいるが肝心の巧には単に愛想のない奴にしか写っていない。

 

何時もより二割り増しの眼光でそっぽを向く束を睨んでくる。

 

「取り敢えず、私から話すね?」

 

空気を読んだなのはが仲裁し漸く本来の目的に入った。

 

 

 

 

 

ー少女説明中

 

 

 

 

 

「てことで、私はこの世界とは別の世界の人間なの。」

 

取り敢えず束の言う通りでは無いが包み隠さず全部の情報を開示したなのは。異世界の話題はもう少し時期を見るべきかとも思ったが下手に隠すとこれから協力して貰うのにトラブルが起きるかもしれない。話すときは全てだ。そのお陰でそれなりの時間と情報量になってしまったが持ち前の要領と巧の物分かりの良さのお陰で問題なく伝わっているようだ。巧は取り敢えず自分なりに噛み砕いて解釈し終わると冷めた茶を口に含みそして口を開く。

 

「あの時の姿はISじゃなくて魔法少女としての姿だってことか?」

 

「バリアジャケットって言うの。後ごめん、少女って付けるのやめて。」

 

再び肩を震わせる束に一つ睨みを効かせ気を取り直してなのはは巧に番を譲った。

 

「次は巧君の番だよ。あの灰色の怪人の事と巧君が変身した姿について教えてくれる?」

 

灰色の怪人。

 

今までどの管理外世界でも遭遇したことがなかった未知の生物。人型ながらなのはの砲撃にも耐える肉体の強靭さは大型の魔法生物にすら勝るやもしれないものだ。そして独自とはいえ門外漢な魔力を解析した束ですら解明出来ない彼らの身体の構成。手詰まり感が出てきた中で巧の存在は魅力的とも言える新要素だった。巧が座り疲れたのか姿勢を変える。

 

「いいぜ。」

 

緊張が走る。束ですらさっきまでと比べると頬杖を付きながらだが真面目に集中している。一挙手一投足を逃すまいと冷静にその両の目を巧に向けている。珍しい束の表情になのはまでも緊張してきた。巧はそんな中、少し間を開けて自身の持つ事実を2人に語った。

 

 

 

 

 

ーー森林

 

管理人室から程ない距離に位置する緑の憩い場。そこにある一株の木。その枝先に軽やかに乗る1人の少女。リニスは学園の時は着けていた帽子を取り耳を露出させている。そのお陰でよく聞こえる管理人室の音声を魔法でここからまた少し離れた広場のベンチに腰掛ける主人に中継していた。送られてくる音声に対して逐一思考を巡らせる母親に魔力が無いため状況を知れないアリシアが少し頰を膨らませて声をかける。

 

「どう母さん?」

 

母親は漸く娘の気分を損ねてしまったことに気づき一旦思考を後回しにして娘に構う。

 

「興味深いわね。」

 

やや紫がかった黒髪が風に揺られる。

 

「まさかあの時のお嬢ちゃんが管理局のストライカークラスになるなんてね。」

 

純粋に娘の友人の成長に賞賛の想いを寄せる。もう1人の娘は実際に会ったことは無いため実感は持てない。

 

「どんな子だったの?」

 

母親は当時を思い出しながらアリシアに語る。

 

「んー、少し話しただけど。ちょっと頑固っぽくて。」

 

出会いが出会いだったためどうしてもそんな感想が前面に出てしまう。

 

でも、と付け加えプレシアはアリシアに微笑みかける。

 

「いい子よ。」

 

 

 

 

 

ーー管理人室

 

オルフェノクー

 

それが巧の口から語られた灰色の怪人の正体だった。心の奥でずっと固まっていた氷がやっと溶けたような清涼感に頭がスッとする。そして次いで放たれた衝撃が彼女達の理解をダイレクトに揺らす。

 

 

 

「死人が蘇る……っ?」

 

 

 

死を迎えた人間が極低確率で覚醒した異形の姿。それこそがオルフェノクなのだ。

 

「なんか詩人だの神、天使だっけか?神話から取って付けた名前らしい。」

 

そう言う巧の顔は至極どうでも良さそうである。彼にとっては名前についてなど道端のアスファルトに生じたひび割れと変わらないのだ。埋めれば消えるがそうするのも忘れてしまうほど有って当たり前の当然の事。巧にとってオルフェノクとは最早日常と呼べるレベルの付き合いなのだろう。

 

「趣味の悪い……」

 

沈黙を破るように呟くのは束。似合っていない。ポエムの趣味は無いが詩人が才能と想像力豊かな人間のことを指すのは知っているし、天使など恐らくこの世で最も神秘の塊だろう。それがあんな派手でも地味でも無い色の概念すらなくした燃えカス。そんな代物が自分を今まで煩わせていたのかと思うと苛立ちが産まれる。

 

「で、弱点は無いの。」

 

一刻も早くこの世から消してやりたい。そんな想いが入った問いに巧はガリガリと頭をかいて、持ってきたアタッシュケースをテーブルに置く。ゴトリと重量感がある音に安い造りのテーブルが頼りなく感じる。巧は慣れた手つきで使い古された感のあるケースを解錠して中をなのは達に晒した。

 

「これって……」

 

なのはがあっと声を上げる。変身した巧の腰に付けられていたベルトだ。変身を解除しても消えなかった所から予想していたがこうして出されてこのベルトが巧にとってのデバイスだと確信した。ケースの中にはベルトの他にライトやカメラらしきものが鎮座しており巧はその中から蓋に取り付けられていた紙の冊子を手に取り目の前に出してきた。

 

「ほれ、取説。」

 

「説明書あるんだ。」

 

「『SMART BRAIN』…へえ、随分挑戦的じゃないこの会社。」

 

言いながら巧から引ったくった取説に束は目を通し始める。ベルトの解析は束に任せるとしてなのはは巧に専念することに決めた。

 

「それで巧君の事について聞きたいんだけど……出身はどの世界?」

 

オルフェノクの関係者である以上巧も異世界人である可能性は高い。束となのはだけでは情報を集めるのにもそろそろ限界が来ていた。新たな協力者がなのは達には必要である。

 

「分かってるよ。俺も気になるしな。」

 

なのはの言わんとする事を感じ取ったか鬱陶しげながらも好意的な協力の意思を出す巧。

 

良好。

 

幸先の良いスタート。

 

なのになにか。

 

ーー

 

(なんだろう……)

 

気分が悪い。

 

判別するならば罪悪感に似た感情が駆け巡る。巧を自分達の都合に巻き込ませてしまっているような…いや、実際に巻き込んでいるのだ。今更ながらにこれで良いのかと疑問が過ぎる。

 

暫く黙った後なのはは真っ直ぐと巧を見て言った。

 

「……ごめんね。」

 

一言。そして、

 

「ありがとう。」

 

心から出た笑顔。

 

不意を打たれた形となった巧はイキナリの素敵笑顔に固まる。「なんだよ気持ち悪りぃ」と気を狂わされた巧はガシガシと頭を搔いた。

 

そんな様子になのはは新たに決意する。

 

(頑張ろう。)

 

敢えて具体案を出さないのは精神的な決意だから、漠然としたモノを自分に課し続けることは容易では無いがなのははだからこそそれを選んだ。

 

トラブルが重なった為一時は延期となった今期初となるIS学園の外出許可はこうして終わった。

 

 

 

 

 

ーー

 

「はいこれ返す。」

 

「おう。」

 

束から読み終わった取り扱い説明書投げ渡され受け取った巧はアタッシュケースに戻す。管理人室から出た所で一風暖かい南風が吹く。春の感覚も慣れた一同がそれに浸っている中その少女は上から降って来た。

 

「こんにちは皆さん。」

 

地上数メートルの高さの木から猫のように軽く着地して見せたリニスは開口一番に礼儀正しく頭を下げた。あれっとなのはが首を傾げる。

 

「どこかで、お会いしました?」

 

なのはの言葉にリニスは苦笑しながら更に後ろの2人に対して声をかける。

 

「プレシアー、やはり私ではピンと来ないそうです!良い機会ですからたまには面倒ごとは自分でして下さーい!」

 

その言い草に文句を言いながら現れた2人になのはは目を見開いて驚いた。

 

 

 

 

 

ーー

 

「あん?」

 

「なに?」

 

懐疑的な視線をそれぞれ違う方向に向ける束と巧。束は自分が用意した秘密の会合場所に感知しない存在が居る事に対して嫌悪感を抱いた。彼女たちが自分に構わず極めてマイペースに事を進めるのも自尊心の高い束には神経を逆なでする事だった。巧の方は同じくリニス達がここに居る事を問題視していたが批判の目を向ける相手はなのはの方。秘密の場所と言ってこんな遠いところに連れて来た癖にこれは詐欺と言っていい。睨みを効かせる巧だが当のなのははまったく気づかない。

 

「ファイトちゃ…違う、それに…」

 

一言で言い表せば驚いていた。新たに登場した2人組の容姿が彼女を情動させる。

 

『Master。落ち着いて。』

 

「あ、うん。ありがとうレイジングハート。」

 

いち早く主人の心拍数の跳ね上がりを感知したレイジングハートがなのはを落ち着かせる。取り敢えず冷静に成れたなのはにプレシアは微笑む。

 

「相変わらず良いインテリジェントデバイスね。」

 

プレシアはあの頃と変わらないなんなら少し若返ったようであった。大魔導師は自分に怪訝な目を向ける巧と束に対しニッコリと笑ってみせるとかしこまって挨拶をした。

 

「初めまして篠ノ之束さん乾巧くん。研究職をやっております、プレシア・テスタロッサです。」

 

続いて元気一杯な金髪の少女と猫女がそれぞれ頭を下げた。

 

「娘のアリシア・テスタロッサです。IS学園の三年生で君たちの先輩だよ。」

 

「家政婦をしておりますリニスです。同じく三年生です。」

 

 

 

無作為に施行された改変の要素達は自ら安定を望むべく今統合される。

 

 

 

IS:ボンド 統合編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




簡単な設定。

公園
IS学園に通じる大都市から数10キロ離れた森林地帯と隣接した小さな町。
そこのマンションが所有する公開公園。
広大な土地を持つ広場だったが維持費の問題で放置され今では人間の使用スペースは限られ一見綺麗にまとまっているように見えるが単なる偶然。
土地の価値も下がり国も再開発が難しいため引き取りたがらずマンション側も手放したがっていた所を束が買い取った。
ゴーレムとクロエの管理のお陰で取り敢えず道に飛び出す植物は処理し散歩コースとしては使えるようになっている。


ファイズドライバーのケース
ファイズドライバー
ファイズフォン
ファイズショット
ファイズポインターが収納できる。
強固な作りでオルフェノクに殴られても平気。
取り扱い説明書は日本語の他に英語、中国語、ハングル文字で記されている。


モノレール
IS学園と日本本土を繋ぐ唯一の陸路。
車両は二種類存在し、
対面式のロングシートと電車に対して横向きに取り付けられ通路を開けて二席づつの転換クロスシートの車両をそれぞれ使っている。

※人気投票の開催。詳細は活動報告にて
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