IS:ボンド   作:田中ジョージア州

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キュウレンジャー&エグゼイド!
マジで今年の当たり映画だわ!
堅実なストーリーでまさに『納得』が相応しい映画でした。

お盆で遅れましたが16話更新!
みんな大好きシャルルちゃんの入学だぞ〜
ですがその前に改変要素を1つ入れます。




16話 3人目の男子

みんな久しぶり、織斑一夏だぜ。

最近になってようやく延期になっていた外出が許されたんで珍しく家に帰ってみた。予想通り埃まみれの自宅の掃除をして、そして出てくる懐かしい品で気を奪われてるとあっという間に1日が終わってしまった。我ながらもっと良い休みの使い方をした方が良いと思う。しかし自宅をずっと放ったらかしにしておくわけにもいかない。この事は千冬姉とよく話しておく必要がある。

まあそれは置いておいて日曜日の今日は有意義な時間を過ごそうという訳だ。俺は前日に連絡しておいた中学時代の友人の元へ訪れていた。中学時代の友達で定食屋の息子であるそいつの家のインターホンを押す。少ししてガラッと戸を開けて1人の女性が出て来た。淡い赤の髪を後ろに纏めて、女性は俺を見るなりあらっと声を漏らした。

 

「一夏くんじゃない。久しぶりねぇ。」

 

五反田蓮さん、俺の悪友五反田弾の母親で五反田食堂の看板娘だ。

 

「お久しぶりですおばさん。弾くん居ますか?」

 

「やめてよ、お久しぶりなんてかしこまらなくて。弾なら今部屋にいるから勝手に上がってって。」

 

おばさんと話しているとなんだか中学時代に巻き戻ったようだ。おばさんが全然変わってないのもある。思わず俺はこの人がいつも自称していた『28から年をとっていない』を思い出した。

おばさんは再びあらっと声を漏らし俺の後ろを見るなり、

 

「ところでその後ろの人って

 

 

ガールフレンド?」

 

「違います。な?」

 

「……ああ。」

 

箒はいつもの仏頂面で答えた。

 

 

ーー

ガチャガチャとスティックが鳴る。ISがこの世に登場してから娯楽にも変化が訪れた。例えば俺たちがプレイしているこの据え置き型テレビゲーム。第一回から今まで開催されたモンドグロッソの大会で登場した各国の専用機が使用できる対戦ゲームだ。他にもシューティング、レースゲームなどのジャンルも出ているがそのジャンルの既存の人気作などが強くこの対戦ゲーム程ヒットは出て居ない。節操なく出てきているのは人気もそうだがやはりISというのは画期的でまだ未知数のコンテンツなのだ。

 

「無双ゲーなんかも出たらしいぜ、俺は知らねえけど。」

 

画面から目を逸らさず弾が言う。

 

「へえ、人気なかったのか?」

 

「他の人気ゲームに押されて売り上げが振るわなかったらしい。」

 

俺の問いに横でコントローラーを俺たちより大切に扱う箒が答える。

うおっ強え箒。

普通モンドグロッソの対戦は2人で固定でこのゲームもそれに準拠して基本は2人専用だがゲーム会社も商売でやっている。発売したばかりでより多くのユーザーに好まれたいから今みたいに3人対戦だったり4人対戦が可能。通信対戦ならもっと大人数も可能で他にもミニゲームや自分がモンドグロッソ大会に出場するストーリーモードもある。

うおっ弾にやられた。

因みに弾の家でやってるので当然このゲームは弾の私物。もちろんやり込んでいる弾が強い強い。しかもこいつ箒には手を出さずに俺ばっかり狙ってくる。女に優しい所をアピールすると共に俺が女子校で数ヶ月暮らしている事に嫉妬しているらしい(多分こっちが本音)。お前も経験してみれば俺の苦労が分かるさ。

しかし箒はこういう女だからって手加減されるのは嫌いなイメージがあったんだけど今のところ好意に甘えて俺を集中攻撃してくる。お陰で俺の残機だけえらい減っていく。すると箒は俺にだけ聞こえる音量で答える。

 

「私がこのゲームで弱いのは事実だからな。彼の好意に怒りを覚えるのは身の程知らずだ。」

 

か、かっこいい…っ!

 

何この人惚れそうだわ。なんか俺の周りの女子って俺より男前な子が多いと思うの。箒は武士だしセシリアはパーフェクト超人だし鈴はサバサバしてて小さいことは気にしないし。もしかして俺って一番女々しい? ガーン……バキッ『キャアア‼︎』 あっ。

 

「しゃあ!一夏死んだ。」

 

しまったああぁぁ!!!

俺を倒して、多分女子との初めての共同作業という事もあってご機嫌の弾。余裕そうに箒に向き直り、

 

「どうする篠ノ之さん?このまま辞めて他のミニゲームする?レースゲームならそこまで力量差関係ないけど。」

 

この野郎、弾の奴。余裕ぶっこいて調子のいいこと言いやがって、ええい箒、やっちまえ!

しかし箒は構うことなく。

 

「いや、勝負事は途中で投げ出さない主義なんだ。五反田君も手加減する必要は無いから最後までやろう。」

 

あ、姉貴っ!

なんてかっこいいんだ箒の姉貴!

 

「どうだ!どうだ!俺の幼馴染はよく出来ているだろう?お前にはやらん!」

 

「くっこいつ、負けたくせに。」

 

「お前にはやらんか……ふふっ。」

 

そして昼過ぎまで俺たちはゲームをプレイした。相変わらず対戦モードでボコボコにされる俺と箒だが中々楽しく時間も忘れて夢中になる。流石に家の人が休憩を挟むように言ってきた。

 

「お兄、お昼できたよ。」

 

蹴破るように勢いよく弾の部屋のドアを開けた蘭はまだ夏には早いというのに極めて薄着でいる。しかし蘭さんや、ズボンのチャックまで開けるのはどうかと思うぞ。案の定弾が文句を言う。俺も久し振りの再会に挨拶をかける。

 

「よお蘭。」

 

「一夏さん?」

 

俺を見つけた蘭は急に目を丸くさせ次に下を、多分今のラフな部屋着姿を見て慌てて壁に隠れた。

 

「来てたんですか。」

 

ヒョッコリと顔だけ出して笑顔で向けてくる蘭はやっぱり妹みたいで可愛い。しかしいつも顔を合わせる弾には見慣れたものらしく動じず文句を言う。

 

「お前な、客が来てんだからそのだらし無い服やめろよ。」

 

むっと蘭が顔を歪める。

 

「ちょっとお兄、人が来るなんて言ってないよ。」

 

弾がそうだっけと首をかしげる。

 

「もう、それよりお昼出来たから食堂に降りて来てよ。一夏さんの分もありますからねーってあれ、もう1人いる?」

 

混乱しながらもばたばたと走っていく蘭を見て俺たちもゲーム機を片し始めた。

 

 

ーー食堂

準備中で貸切状態の食堂で俺たちは4人がけの席で昼食が届くのを待っている。少ししたら白のワンピースに着替えた蘭が器用に3つお盆を持ってやって来た。いつも食堂で出すメニューの1つだ。

 

「いただきます。」

 

流石に料理で商売しているだけあって絶品だ。IS学園の食堂の規模も凄かったがやはり学校と料理屋では食事にかける手間やコストに差が出来るらしい。箒も満足そうに頬張っている。俺は隣にずっと立っている蘭が気になった。

 

「蘭も食べないの?」

 

「あ、私はもう済ませました。」

 

蘭は明るい笑顔でそう言う。そうか、久し振りに兄妹と食べてみたかったんだけどな。俺はあと1つ気になった事も聞いてみた。

 

「ところで粧し込んだみたいだけどどっか出かけるのか?」

 

蘭はさっきよりは驚いたようにあ、と言ってから次に困ったようにいいえと小さく呟いた。なんか変な感じだなと思ったんでここはいっそからかってやろうかと思い。

 

「分かった!彼氏だろ?」

 

すると蘭はハッキリと違いますと前のめりになって答えて来た。急な豹変に俺も驚く。蘭は直ぐハッとなりゴメンなさいと言うとお盆で顔を隠して厨房へと消えて行った。どうやら俺はおふざけには向かないタイプの人間らしい。

 

「お前な、学校でもそんな感じな訳?」

 

弾が呆れたように俺に聞いてくる。わざとやっていると思われるくらい変だったのか?

 

「ああ、こんな感じだ。」

 

「あやっぱり。」

 

箒が代わりに答える。そこまで変だったのか、気づいていたなら幼馴染として言って欲しかった。笑う弾に文句を言いながら俺は蘭について聞いてみた。他愛の無い『好きな人は出来た?』って話題を振ると弾は見るからに馬鹿にしたような顔をしてくる。

 

「はあ?マジで言ってんなら尊敬するよお前。」

 

弾はお茶を一口飲んでから再度呆れたように言った。

 

「中一からずっとお前一筋だっつうの。」

 

マジかよ。

驚く俺はだってと若干真剣味も混ぜて反論する。

 

「いや、小6の時ならまだしももう蘭も高校だろ。」

 

そりゃ昔はよく家で遊んだりしたから一番身近な身内以外の異性ということで憧れられてた自覚はあった。しかし蘭ももう年頃の女子だ。しかも俺と違って頭の出来もいいから既に進学先も決まっている。俺じゃあ逆立ちしても入れない超一流校だ。俺みたいな馬鹿といるよりいい男は居るさと弾に言ったところで飯の続きに入る。やっぱ焼き魚の火加減が絶妙だよな。

 

「そう思うなら本人に言ったらどうだ。」

 

えっとなり横を見ると箒が俺の目を真っ直ぐと見ていた。箒の竹刀のように一本芯の入った強い目に俺は思わずたじろいでしまう。

 

「本当にそう思って居るならばさっさと蘭さんに言ってやった方が良い。」

 

「ずっと叶わぬ恋を追っていくんだ、早々に切り捨ててやった方が彼女の為だ。」

 

箒はそう言う。横では弾がウンウンと頷いている。

 

「そうだぞ。お前は少し女に節操がなさ過ぎだ。」

 

なんかこいつの説教は純粋に腹がたつな。

 

「今まで何人の告白した少女たちがこいつの無神経な返答に沈んでいったか。」

 

おい、人聞きが悪いぞ。

 

「お前は親友の妹ですら無残に捨てていくのか、このひとでなし!」

 

「おいお前後で表出ろ。」

 

弾を窘めると今度は箒が言ってくる。

 

「一夏、惚れさせた責任だ。」

 

 

ーー厨房

蘭への説明を口実に2人から食器の片付けを命じられた一夏が厨房に観にいくと蘭は直ぐ見つかった。厨房の洗い場で頭から水を浴びていたのだ。一瞬ギョッとしたが食器の片付けに丁度邪魔なので声をかけた。

 

「一夏さん?」

 

一夏の声に気づいた蘭はばっと顔を上げる。勢いよく動いたものなので被っていた水が思いっきり辺りに飛び散ってしまった。幸い下ごしらえをした鍋類などは被害が無かったがそれでも後で軽い掃除が必要だろう。ワンピースまで濡らした蘭はあわあわと狼狽えて顔を赤くさせる。

 

「やっちまったな。」

 

苦笑いをしながら取り敢えず食器だけ洗い場に置いた。一夏は懐からハンカチを取り出し蘭に差し出す。慌てながらすいませんとありがとうございますを混雑させて受け取った蘭は若干赤みを増して拭き始めた。ここまで取り乱すとは思わなかった一夏は飛び散った水滴を見ながらなあと蘭に声をかける。

 

「はいなんですか。」

 

こんな状態でも愛想よく笑顔で明るく答える蘭を見てうっと思う。さっきの弾の言葉が頭に強調された。

五反田蘭は一夏の事が好きだ。

にこやかな相手だが気まずい雰囲気に暫し固まりながらやがて一夏はすうっと息を吸い込む。

 

「蘭。」

 

「はい!」

 

「俺の事好きか?」

 

「はい?」

 

ぴたっと止まる蘭の笑顔に一夏はやっぱり自分は真剣な話も向いていないと後悔した。

 

 

ーー食堂

 

「あのさ、篠ノ之さん。」

 

「なにかな。」

 

一夏が蘭の誤解を解きに行った暇な間、先に耐えきれなくなったのは弾だった。変わらぬ真っ直ぐな目を向ける箒に弾は改めて箒の美貌に緊張する。咳払いをして笑って尋ねる。

 

「篠ノ之さんってさ、ぶっちゃけ一夏の事どう思ってるんすかね。」

 

箒は変わらず目を背けないままじっと黙りその間弾は目も外せずドキドキとしていた。しかし一度整理を付けるとハッキリと口を開くのは姉譲りだ。

 

「愛している。」

 

ぶっと吹き出す弾。流石に急すぎたかと目を外さず反省する箒。咳き込んだ弾は暫し息を整えると再び目を合わせて。

 

「愛してるの?」

 

「愛している。」

 

今度は吹き出さずに代わりにハハッと乾いた笑いが漏れる。緊張がほぐれたのかいつもの調子を取り戻した弾は人の良い笑顔で箒に言う。

 

「あいつモテるなー。やっぱ学校でもそんな感じなの。」

 

「どんな感じかは説明しづらいが、まあ想像通りだ。」

 

かーっと額にペシンと手を当てる弾。乗ってきたのか段々と普段通りの自然な会話になっていく。

 

「実はさ今凰鈴音って奴がそっちにいるんだけどさ。」

 

「ああ鈴なら私もよく話す。」

 

「へえ、社交性高えからなあいつ。じゃああいつが一夏の事が好きってのも知ってる?」

 

「ああ、お互いアプローチをしているが見事に空回りだ。」

 

「あはは。」

 

「おい、笑うことは無いだろう。」

 

今日知り合ったとは思えない意気投合を見せる2人。別段相性が良いわけでも性格が似ているわけでも無いが話題が一夏ならそれだけで成り立つ所が彼の人望という訳だろう。

 

「五反田君は良いのか。」

 

「なにが?」

 

「蘭さんが一夏を好きな以上、私と彼女は恋敵ということになる。」

 

胸の内を吐露する箒には罪悪感にも似た感情があった。

 

「思ったことを告げてやれと焚きつけた私に兄として思う所が有るんじゃないか?」

 

「正直言って私は一夏がいなくなった瞬間きみに殴られるかとも思った。またそれもしょうがないと思っている。」

 

普段から邪険にされているがそれでもたった1人の妹だ。弾もそれ相応に大切に思っている。しかし弾は箒の心配を見当違いだと笑った。

 

「恋に関しちゃあ俺がとやかく言う事じゃ無いしさ。もう直ぐあいつも高校生になるから良い機会だとも思ってる。」

 

箒の男気に苦笑しながら最初に感じた取っつきにくい印象はどうした事か萎んでいくのを認めながら弾はここからでは見えない厨房へと目を向ける。

 

「結局はあいつが決める問題だからな。」

 

 

ーー厨房

止まった時間。

目の前には表情をなくした蘭がまるでビデオの一時停止のように止まっている。髪から滴り落ちる水がまるで蘭の感情のように一滴落ちるごとに蘭の顔から表情が無くなっていく。

一夏の問いかけに対して固まりながらも肯定したその言葉。一夏の言葉足らずの質問に対して蘭がついに実った恋だと勘違いして告白をしてもそれは仕方のない事だった。それに対して一夏が彼女の意にそぐわない解答をしてもそれは責められない事だった。

 

「ゴメン蘭、お前とは付き合えない。」

 

佇む蘭の目から涙が流れる。溢れ出る感情がそのまま目からも流れ出していく。表情を無くした顔のまま泣き続ける蘭に一夏はなにも言えなかった。

 

 

ーー

日が暮れてきた。そろそろIS学園に戻らないといけない時間帯だ。俺たちは五反田食堂の前で見送りをしてくれる弾に手を振って帰路へと着いた。箒は相変わらず寡黙でなにも話してはくれなかったが俺の問いかけには口を聞いてくれた。

 

「箒、あれで良かったと思うか?」

 

「なにがだ。」

 

「蘭泣かせちゃった事。」

 

ああっと箒がその事かと思い出したように声を上げる。箒はこちらに目を向けずそのまま歩きながら言った。

 

「知らん、良いんじゃないか。」

 

「んな簡単に言うなよ。」

 

曲がりなりにもお前が言った事なんだからなと俺は内心思いながら蘭の姿を思い出し後悔する。あの後蘭は食器を洗って片付けたら直ぐに部屋に戻って行ってしまった。ちなみに弾も俺が蘭を泣かせた事は知っている。しかし弾は俺を咎めることはしなかった。

 

「このまま諦めてくれたら俺も一々友達のお前に気を使わなくて良くなるんだけどな。」

 

と至って短絡的に捉えていた。

 

「泣かせといてアレだけど、なんか弾も冷たくないか。お前も。」

 

思わず自分の非も棚に上げてしまうがこれはどうかと思う。しかし箒は平気なもんで、

 

「私は兎も角、五反田君は兄として見守るつもりなんだろう。」

 

一見冷たく見える対応も本人の意思を尊重するという兄心だと箒はみているらしい。

 

「それにお前は別に蘭さんの恋心に答える責任は無い。正直に言ったお前になんら罪は無い。」

 

そう言われても目の前で涙を流す蘭の姿を思い出すとやっぱり気が引けてしまう。俺が悩んでいると最後のだめ押しか箒がこちらに向き直りハッキリと告げた。

 

「お前は必要以上に人の悩みに干渉したがる癖がある。それで助かる人間がいるのも確かだ。」

 

「だが今回はお前が行っても逆効果だ。フラれた相手に元気を出せと言われても出せるものか。」

 

箒の言葉はズバズバと俺の心に刺さっていく。

 

「いいか一夏、お前は理不尽な不幸が大嫌いだが。」

 

 

「お前の行動も時としてそれ(理不尽)に繋がるという事を知っておけ。」

 

夕暮れ時に放たれたその言葉がその日はずっと頭から離れなかった。

 

 

ーー

ーーーー

ーーーーーー

 

「今日は皆さんにビッグニュースがあります。」

 

教卓の前でこのクラスの副担任こと山田真耶がいつも通りほんわかとした笑顔で休み明けの生徒たちを癒す。

 

「やまや元気だね。」

 

「まーやん今日も可愛いよ。」

 

「まややん休み中彼氏出来た?」

 

数人の声と共にクラスメートから笑いが起こる。真耶は困っているが決して馬鹿にしているわけでは無い。4分の1年の月日で彼女たちなりに教師として真耶に親しみを込めての愛称だ。真耶もそれを分かっているため余程のことでは怒らないが、やはり教師として友人のような扱いには思う所が有るらしく注意を諭したりしているが

 

「あの、先生に対してそれはちょっと。」

 

「いいじゃんまやまや。」

 

「まやまや?」

 

「いいじゃんやまヤンマ。」

 

「トンボみたいですね。」

 

ツッコミながらも生徒たちとの馴れ合いに楽しく感じてきたのかちょっと笑顔だ。痺れを切らした千冬が声を上げる。

 

「静かに。転校生を紹介する。」

 

ざわっとクラスがどよめく。真耶がそうだったとポンと手を叩く。

 

「はい、フランスからの転校生です。入ってきてください。」

 

扉の向こうにいる転校生を呼ぶ。ガラッと扉が開いてIS学園の制服に身を包んだ生徒が入ってくる。転校生は向けられる目線に対して少しくすぐったそうにしながら教卓の横に立った。空間ディスプレイが転校生の名前を映し出す。

 

「シャルル・デュノアです。みんなよろしくね。」

 

金髪を後ろで束ねた少年は爽やかな笑顔で答えた。

 

その日一番の悲鳴が沸いた。

 

「君が織斑くん?よろしくね。」

 

 

ーー2組

 

「うっさいわね。」

 

「うっさいな。」

 

隣から聞こえてくる黄色い声に眉を挟める2人。空気を察した教員が転校生によるものだと説明した。

 

「え、転校生って男なの?」

 

2組からその日一番の悲鳴が沸いた。

 

「ま、女子じゃないだけ良いか。」

 

「それで良いのか。」

 

 

ーー4組

 

「うるさいですね。」

 

「何かあったのかな。」

 

簪の言った通り立て続けに起きた黄色い声は気になる。巧との会談の中で簪とのトラブルの一部始終を説明させる事に成功。情報を得たなのはは再度簪と楯無に巧を交えて仲直りの場を設けた。完全にわだかまりが解消されたわけでは無いが、特に楯無に関しては巧のぶっきらぼうな態度に腹を立て新たなわだかまりが出現してしまったが取り敢えず再度謝った巧のお陰でこっちは比較的良好な関係に戻った。

 

「ああ、1組の転校生が原因ね。」

 

4組の担任が笑って理由を説明した。

 

「え、転校生って男なの?」

 

4組からその日一番の悲鳴が沸いた。

 

 

ーー3年1組

 

「単純ねIS学園って…」

 

「なんか言った?リニス。」

 

自慢の耳を使って様子を伺っていたリニスは突如響いた奇声に痛む耳のせいでやや苛立ちげに言い放つ。アリシアが聞き直すもリニスは「これ以上耳は酷使しない」と言って両耳を塞いでしまった。

 

IS学園は今日も平和である。

 

 

 




五反田店に箒を入れました。これからの展開で弾たちはどうしても出しにくいのでメインヒロインとの絡みを入れました。
箒と弾の焚きつけで蘭に現状での恋愛感情を抱いていない事を一夏が正直に告白しました。蘭のファンの方はゴメンね。
それと前々回の会談でテスタロッサ家族とのその後を描かずすっ飛ばしたみたいに成りましたが、別に大した事はしていませんので蛇足と判断し割愛しました。
因みに何したねんというと、

1プレシアが驚くなのはを尻目に束に連絡先を渡す。
2また会おう。テスタロッサはクールに去るぜ。
3なのはが正気に戻る。

であっという間に帰りました。

※人気投票の開催。詳細は活動報告にて
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