主役キャラとしてイマイチ足りないワンサマーは『セシリア・チョロコットイベント』を逃し更には無人機イベをワニさんにキャンセルされ、またそこでもかませ犬ポジションに甘んじる。
なんとか主役としての株を取り戻そうと蘭を振ってみたり、新番組を作ってみたり、1人だけ一人称視点が寒々の無理矢理テンションのギャグで目立ってみたり、と苦心するも芽は出ずに……遂にはオリジナルストーリーであるエロ婆ちゃんとシャコさん率いるそら豆戦闘員達とのバトルに1人だけ置いていかれスッカリ役立たずポジションになってしまった。
簪との回想シーンで何とか切り返したもののそこに来ていよいよ真っ当な原作イベが発動!
残り時間は10分!果たしてワンサマーは主役たちが来る前にこの事態を収拾し原作主人公ポジションへと帰り咲くことが出来るのか⁉︎
IS:ボンド!第33話!
《たっくん・魔王「ただいま〜」》
一夏「毎度思うけどこの謎テンション、後で死にたくなんね?」
本編は至って真面目に始めます。
振るわれた一刀、比類なき。
正体不明の元シュヴァルツェア・レーゲンを感じないのっぺりとした黒い泥の塊は拙いながらの装甲とISには必須である搭乗者らしき塊を携えた。
火花は打鉄弐式の近接武装、夢現。
押されたのも夢現。
不恰好と評価できる泥のISは手に持つ近接ブレードらしき塊を簪にぶつけた。
咄嗟以前の剣戟を受け止めたのは彼女の気構えから来る準備動作。
それでも生じた油断が彼女を吹き飛ばした。
「づっ、⁉︎」
速い剣さばきだとは思ったがそれでも備えていれば問題なく受け止められると思っていた簪は予想以上の鋭さと重さに驚愕した。
それは泥のISが不恰好だった事と手に持つ近接ブレードがISにとっては極々一般的な物だったから。 そこから訪れる謎の力に面食らいその手から夢現を弾き飛ばされた。
代表候補生としての反復練習から来る咄嗟の回避で泥のISの武器から予想される取り敢えずの攻撃範囲から離脱した簪は油断なく泥のISを度の入っていないガラス越しに睨みつけた。
地面に落ちた、自分からはやや遠い攻撃範囲内の夢現に意識を向ける。
ISの恩恵が離れた位置にある夢現へその希望を届けた。
指示を受けた夢現はその名前の通り現実味を感じさせないように粒子化し打鉄弐式のパススロットへと収納されていく。
意志力を伝える。
ISだからこそ成し得る夢現の如き現象。
簪は再度夢現を構え、
突進。
「!」
間髪入れずに襲撃して来た泥のISは唯一の武装である近接ブレードを構えその不安定な体からは意外な程俊敏な速度で簪に接近した。
しかし簪とて候補生。
直ぐさま春雷を連射し泥のISの足を止める。
しかし止まったのは春雷の方だった。
(まだボーデヴィッヒさんが中に居る!)
謎の事態に混乱しても冷静な簪は未だ安否不明のラウラの身を自分の攻撃が侵すことの可能性に春雷での攻撃を止めた。
そしてそれは抑えを失った泥のISが再び進撃を開始することに他ならない。
3度目の急襲に歯に力を入れながらも再度展開した夢現で近接ブレードを受ける。
しかし元のシュヴァルツェア・レーゲンの出力を受け継いでいるのかそれとも泥のISそのものの力か、泥のISの勢いは終始簪を押す。
試合中の如何なる時よりも神経を使う攻防は数秒と持たずにバックダッシュで逃げた簪はここに来て漸く他の事に意識を向けた。
既に場内アナウンスで来賓生徒の非難の呼びかけと観客席の防壁シャッターがその最後の隙間を閉じていた。
何時ぞやの時とは違い今度は観客席の出入り口がロックされるなんて事は無いようである。
同じように教師部隊もガジェットドローンの存在が居ないため後数分の内にこのアリーナにも届くだろう。
状況確認を終えた簪は続いてパートナーの一夏へと意識を向けた。
簪の怒涛の修羅場とは違い至って平穏に事の流れを過ごした一夏はプライベートチャネルに緊張のあまり無い声を向けた。
「一夏くん。」
「ボーデヴィッヒさんに何が起こったんだ。」
依然として簪を視線に捉えている泥のISを注視しながら簪は冷静に判断を下す
「シュヴァルツェア・レーゲンが原因。外付けか埋め込みかは不明だけど何らかのキッカケでああなるようにプログラムされてたみたい。」
「何らかのキッカケって…」
一夏が反復するように記憶を巡らせる。
しかしそれは答えにたどり着く事は無い。 「強くなりたい」という想いとそれを引き起こした自分が間接的な原因とたどり着くには事前のラウラとのやり取りは限りなく健全だったからだ。
簪は早期にその特定は捨てており今回の一夏の反応で更にそれへの重要度を切り捨てた。
「とにかく貴方はそこのピットから逃げて、私はコイツを振り切った後で逃げる。」
正体不明で搭乗者の安否不明の敵を相手にし、簪は前者の異質さを危険視した。
分からない相手に必要以上に構う必要は無い。
簡単に離脱を提言した簪に対しプライベートチャネルを通じて声を荒げた一夏の重視したのは後者の不安であった。
「じゃあ簪さんが逃げて、俺が引きつける。」
「馬鹿言わないで。」
簪の言葉も効かずに一夏は更に減ったシールドエネルギーを気遣い零落白夜無しの雪片を掲げて泥のISに斬りかかった。
勿論切るわけではない。
注意をこちらに引きつけるために一夏はわざと目立ちやすいような振り方で雪片を回した。
泥のISが一夏に向かう。
「馬鹿。」
毒づく簪は間髪入れずに入れられた一夏の早口気味の言葉に続いて思いついた罵倒を押し留めさせられた。
「このまま放って置いてボーデヴィッヒさんが危険な状態になるかもしれないし今も危険なのかもしれない!」
怒りが上る中でも冷静に一夏の言い分を理解した簪はそれでも泥のISの攻撃を捌く一夏の援護に向かう。
レーゲンの絶対防御が機能出来るのかは未だ不明なため春雷は使わずにその分暇ができる邂逅までの時間に間髪入れずに簪は一夏に反論した。
「どうやって助けるの。」
一夏なりにラウラを傷つけないように全力で逃げているため中々追いつけない。
その分簪は一夏の決断を糾弾した。
教師に任せるべき。
下手をすれば命を落とす。
そもそもラウラ救出の方法はどうする?
どれも現状の問題点であり一夏の決意を揺らがせるための言葉だった。
それでも一夏は泥のISからは逃げていてもラウラから離れる事はしなかった。
「いいから逃げろよ。」
それどころかしつこい簪に嫌気が指したらしく告げられた声の調子はそんな感じであった。
「ふざけないで。」
カチンときた簪も返してから夢現を振るう。
漸く追いついた泥のISの攻撃から一夏を守りまた一夏とともに泥のISを引きつける。
今度は一夏も何も言わない。
ここまで近づいてはむしろ危険と簪に隣を許し共に攻撃を避ける。
まるでさっきまでのチーム戦のような息の合った動きで泥のISを相手取る2人は試合ならば先ずこの指示を無視した行動を見かねた教師から悲鳴が飛ぶことも無かっただろう。
「何してるんですか⁉︎」
真耶からの通信が入る。
聴いてるだけで顔を真っ赤にさせた真耶の顔が浮かびそうだと一夏は思いながら答えない。
今彼らはこれまでの戦法を取っている。
一夏が自由に動き簪がそれに合わせる。
ただそれだけの簡単な戦法を白式のポテンシャルと遠近揃った打鉄弐式とそれを操る簪の対応力で格上相手にも通用してきた常勝パターンだ。
今回は相手が近接ブレードだけを装備しているため前面に一夏が対応して機動性に優れる簪は一歩引いたところで危ないところをフォローしている。
だから一夏は一番忙しく簪のように分業も得意では無いためとても通信には答えていられない。
代わりに簪がオープンチャネルを入れた。
「ボーデヴィッヒさんの救出を試みます。」
「ダメです!退避して下さい!」
悲鳴を上げながら真耶は高い声で叫ぶ。
答える前に分業先の一夏が泥のISのブレードを大きく弾き体勢を崩した隙に何度目かのバック移動を行うのを確認したため自分も対応し下がった。
今度は一夏が叫んだ。
「嫌です!」
「だそうです。」
「い、いやって…⁉︎」
再び体勢を崩したまま襲い来る泥のISに今度は逃げを打った。
一夏の方から珍しく指示を飛ばし2人はスラスターを吹かせて退避をする。
その余裕が出来た間に真耶を処理しようというのが一夏の狙いらしい。
早速一夏が言った。
「あいつ、千冬姉の居合を使うんです。似てるんです。とゆうか暮桜ですあの姿。」
最後にニセモノ野郎と毒づいた一夏に簪は目を丸くして泥のISに振り返った。
確かに一夏の言う通り剣に関しては簪は知りようがないが黒いのっぺりの形は言われてみれば資料で見た第1世代ISに見えなくもない。
身近な一夏には余程自身があり、同時にそれに誇りのようなものもあるらしくそのぶすっとした顔は怒っている。
ーー管理室
「織斑先生の…?」
真耶は最初こそ呆れながら2人に怒っていたがその後に一夏からの千冬との類似性を報告されふと怒りを抑えて眼鏡の縁を摩る。
「すいません、あれって。」
近くの教員に声をかけると彼女も同じ胸中らしく頷いてみせた。
他の教員たちも同じらしく皆真耶が顔を向ける前に声を出し肯定した。
「分かりました。」
真耶は合点がいったと先程までの謎の現象を説明づけた。
通信機に向く。
しかし今度は落ち着いた声で悲鳴ではなく指示を送った。
ーーアリーナ
「ヴァルキリー……何それ。」
「トレースシステム。過去のモンド・グロッソ選手のデータを元に操縦者にコピーさせて戦闘能力を向上させる違法システム。」
一夏の教えてという視線に簪が答えた。
「使っちゃダメなの?」
「国際レベルでダメ。」
簡潔な答えに感謝すると共に戦慄する。
そんなものがクラスメイトのISに付いていたとは思わなかった。
「でもボーデヴィッヒさんのはドイツ政府のだろ?なんでそんなもん堂々とつけてるんだよ。」
下手すれば国際問題な代物をよりにもよって軍人であるラウラの専用機に取っつける程の理由はさしもの簪も言葉を濁らせた。
「直接聴いてみないと分かんない。そもそもあんなにわかりやすい見た目だし…隠す気がないのかそれとも異常事態なのか。」
明らかに原型を留めていない姿に簪は目を細めた。
「取り敢えず後にしよ。」
ドイツのことは今は置いておこう。
簪と一夏は再び体勢を攻勢に転じさせ泥のISを迎え撃った。
ーー管理室
「いやだからなんで戦おうとしてるのあの子たち⁉︎」
再び悲鳴を上げる真耶と共に他の教員も一夏たちの行動に頭を抑える。
「教員部隊は残り40秒で交戦地に着きます。」
通信を使い救助に向かう教員部隊と連絡を取り合っている教師からの最新の報せに真耶は心で祈る。
数秒ですら待ち遠しかった。
しかし神さまは余程彼女を困らせたいらしい。
ーー
アリーナへのただ一つの関係者専用の通路は万が一の事態のための専用の通路。
教員部隊へと通じる以外の選択肢を持たない通路は教員部隊がより速くたどり着く為の専用の通路。
普段は隠れていてもその役割のため常に繋がっていなければならない専用の通路。
そんな専用の通路が開かなかった。
頭によぎる寒い物。
しかし混乱は一瞬。
管理室へ報告をすると教員達は動き出す。
リーダー格の指示で数人が原因解明に当たらせ残りの人員は急遽引き返す。
他にわき道など無い真っ直ぐな道を通り過ぎた彼女たちはそのままスムーズにISを待機状態に戻す。
人間用の扉を一番先頭の教員が開いた。
ーー管理室
「ええ⁉︎」
真耶が大きく驚く。
直ぐに原因の確認を求めるが返ってきた言葉は不明の一点だった。
「今先生達が地下の出入り口から直接アリーナ内を通ってピットへ向かっていますがなにぶん避難がまだ済んでいない中ですから時間がかかりそうです。」
返答した教員も困惑しているためか報告の途中に躊躇いが見える。
現在アリーナ内は観客席の人間数百人が狭くは無いとはいえ一斉にアリーナの通路に押し寄せている。
残り数分は足止めが懸念される。
「だったら……私が行きます!!」
えっとなる教師に構わず真耶が踵を返す。
居ても立っても居られない真耶が狙うはアリーナの闘技場にある本当に非常用のISだ。
しかしそのいざという時にはよりにもよって通路は闘技場内部に取り付けられておりこういう内部で敵が現れた時は先ず除外される。
それでも真耶はこうしている間にも危険と隣り合わせの生徒に動かざるを得なかった。
止める同僚達に構わず真耶は飛び出す。
諸君。
移り変わる場面展開にうんざりしている方は申し訳ないが私の話を一つ聞いてほしい。
諸君は普段の歩みで突如何も無いところで転んだり、足を引っ掛けたりはした事は無いだろうか?
大きく分類すれば原因は足の筋肉が弱っている。
視力の問題。
体幹が弱い。
他にも脳血管障害の可能性もある。 ほおって置くには中々危険度のある現象なのだ。
しかし大体の場合は単に脳が急ぎ過ぎて体がついていかずにズッこけるそうなのでご安心を。
真耶の場合は後者である。
現役時代は生身での格闘訓練も受けていたため決して運動神経が悪いわけでは無い。
ただ振り返った状態で無理に走ろうとした事で脳から信号が伝わり筋肉が始動するより速く気持ちがチョット先走った所為で、
ベチャっ
「ぶげっ」
あっと誰かが言った。
固まる空気の管理室。
ゆっくりと顔を上げる真耶に同僚は声をかけるかどうかも躊躇われた。
「……」
鼻血を垂らし顔を紅く腫らした真耶に教員達は暫し気まずく見つめた後、コンソールに向かい合った。
「……ヒグっ」
ーー駅
自動で開く扉は客の怪我に配慮し段階を付けてゆっくりと作動する。
まだ開ききる前に飛び出したのは一番小柄な鈴音。
続いて千冬が諌めながら追いかけセシリアが長いスカートに意外な速度で駆け出しそれを後からなのはと巧が続いた。
驚く駅員の横目をすり抜けながら5人はアリーナへと駆け出した。
相変わらず機能していない門の警備を通り抜け全力疾走でかける。
既に千冬に連絡が入ってから五分が過ぎている。
焦る足はしかし後更に1分はかかるだろう。
息を切らしながらアリーナへとたどり着いた5人はそこで見た光景に回転していた足を思わず止めた。
人の波。
避難を終えていない今でももう人だかりは数十人規模になっている。
唖然とする中今までの全力疾走の反動からか急激に酸素を求めた鈴音が膝に手をつき荒い息をする。
それを対して息を上げないセシリアと共に気遣いながらも人で塞がった出入り口を苦々しい顔で見る千冬は記憶にある他の出入り口を見て回る。
比較的息を上げなかったなのはと巧もそれを手伝う。 実はこっそり力で強化していたのだ。
苦い気持ちとは裏腹に何処の入り口も人の壁が出来ている。
あと少し、という想いが気を早らせる。
その時千冬の携帯が鳴った。 素早く取り出し通話ボタンを押した千冬は耳に当てるなり叫ぶ。
「どうした!」
この携帯は千冬が個人で使う私的な物。 携帯の番号を知っているものは束と一夏の身内以外では真耶しか居ない。 そしてその内一夏は交戦中。 束とも別に電話の約束をしたつい後のため必然的にかけてくる人物は限られてくる。
そして予想通り次の瞬間には聴き慣れた彼女の声が携帯のスピーカー越しに聞こえた。
「おびぶらぜんぜーいぃ」
「どうした⁉︎」
それが顔面の痛みに耐えながらでの声だと知らない千冬は急な涙声に一瞬緊急事態を頭の隅に置いて叫んだ。
そして泣いてもプロな真耶の説明から千冬は現状のアリーナの実情を初めて正しく理解した。
「隔壁が開かない理由は?」
「目下のところ不明です。今教員部隊が破壊しようとしていますがまだ時間がかかります。」
IS同士の戦闘を目的としたアリーナの壁に見せかけた隔壁は勿論強固だ。 こちらは諦めた方が良いと千冬は判断した。
残るは通路を足で走る教員たちだが真耶の報告では未だ避難が終わっていない生徒たちの渦に手こずっているそうとの事。
千冬はいよいよ顎に手を当てた。
頭の中で自分に出来ることを探し出す。
結論は数秒で出た。
「凰、オルコット、頼めるか。」
専用機持ちである鈴音とセシリアは現状の戦力でもっとも頼りになる。
鈴音は切らした息のまま力強く頷きセシリアも黙って頷いた。 千冬はそれを確認すると付いて来いと告げアリーナの横に回った。
入り口も無い中千冬が目をつけたのは地上から1メートル程の高さにある人が屈んで苦労して通れる程の大きさの窓。
千冬はそれを一つ一つ開けようと力を込める。
しかしそれは直ぐに止まる鍵の存在で失敗に終わる。
外部からの侵入者対策のため大きな大会の時は窓の類は全て閉めるようになっていたのだ。 ため息一つし千冬が拳を丸めた。
「仕方ない。下がっていろ。」
逸る鈴音を下がらせた千冬はそこから拳を掲げて走り出し、
髪に触れそうなくらいの至近距離を通り過ぎた特殊金属製のアタッシュケースが盛大にブチ抜いた。
「お、おい。」
驚き背後を向くと予想通り腕を振り抜いた巧となのはが居た。
「待っていろと言っただろ。専用機持ちでは無いお前らは足手まといだ。」
容赦なく宣告する千冬の前になのはが出る。
「でも、私魔法使いですし…」
しかしその前に千冬が黙らせた。
「無関係で未知のものを学園に介入させたくはないと言っているんだ。」
もう入ってるんだけどなぁとなのはが思う。
「これは教師としての命令だ。生徒である以上拒否権など無い。それから乾、後で反省文だ。」
そう言った千冬は割れた窓ガラスに気をつけつつ鍵を動かしサッシを開け中へと入った。 次の鈴音が一足跳びで、その次のセシリアも軽やかに1メートルの高さを飛び越え直接窓の奥へと消えて行った。
なのはも続こうとしたが、
「わっ。」
飛んで来たアタッシュケースを受け止める。 勢いよく投げられた威力が腕越しに拒絶の意思を物語っていた。
ーー
流石に息が切れて来た。
伝う汗に構わず千冬と専用機持ちの2人は闘技場への誰も居ない通路をひた走っていた。
千冬たちが入った場所は位置的に観客席の出入り口とアリーナへの出入り口に続く通路からは離れた場所のため教員部隊のように生徒の波に捕まることなく後ははち切れそうな肺との格闘を後少し我慢するだけであった。
そしてやがて汗も滴り息が荒れて来た頃に3人はピットの地点に着いていた。
千冬は初めて自分の教え子の変わり果てた姿を見る。
「…」
VTシステムの事は真耶から既に可能性として聞かされている。
曲がりなりにも自分が面倒を見た思入れの強い少女が自分の姿を模して弟と生徒と争っている光景に細める瞳に悲痛さが入る。
それも一瞬で終わらせた千冬は逸る気持ちで甲龍を展開しようとする鈴音のその恐らく精神状態と心肺機能に負担がかかった状態に気づきすんでで諌める。
「待て、その状態で戦いに参加しても役には立つまい。気持ちは分かるがだからこそ落ち着け。」
それに八重歯を出し奥歯を噛み締めながらも従う鈴音は悲痛な表情で直ぐ目の先で戦う友人2人を見る。
休息に感じる長い焦燥感の鈴音とは対照的に然程慌てずに息を整えるセシリアは見える範囲の景色からふと見慣れたポニーテールを見つけた。
「箒さん?」
それに千冬が反応する。
「なに?どこだ。」
指差す方向を向くとその通り。
相手方のピットでISスーツ姿の箒が同じく心配そうな表情で戦いを見ている。
驚く千冬はしかし今は危険は無いと捨て置くことにした。
下手に大声を出し泥のISにより危険に晒される可能性があるからだ。
「千冬さん!」
息を整えた鈴音が千冬に今か今かと指示を待つ。
「織斑先生だ。よし!」
それだけで十分。
再び飛び出した鈴音は赤い光に包まれ甲龍を纏って飛び上がった。
「お前は篠ノ之を頼んだ。」
頷きながらブルー・ティアーズを展開したセシリアは千冬を巻き込まないようにゆっくりとピットを出てその直後目にも止まらぬ加速を見せた。
「
千冬は再度彼女の底知れなさを痛感しながら千冬は変化する戦いを見上げた。
「一夏!」
「お?」
急な登場と共に泥のISに飛び蹴りをかました鈴音に一夏が間抜けな声を上げた。
空間把握能力の高い簪は一夏よりも前に鈴音の到着には気づいていたが彼女はそれよりも箒を救助する際にセシリアが使った二重加速に興味を持っていた。
「アンタは本当に……まあいいわ。んで、アレがラウラ?」
ああと頷く一夏の睨む先で泥のISは新たに増えた攻撃対象に警戒している。
鈴音は真耶からの報告でVTシステムに侵されたラウラは絶対防御が解除されているかもの可能性を知っていた。
龍砲をいつでも撃てるように構える鈴音の横に箒を千冬に預けて来たセシリアが並ぶ。 試合を終えてすぐに飛び出したため展開しているBT兵器の数は欠けている。
「とにかくあの泥を切れれば中のボーデヴィッヒさんが出て来るらしいんだけど、」
その先を言い淀む一夏に代わり簪が続けた。
「太刀筋が鋭くて近づけない。」
その見方を変えれば泥のISを褒めるような言葉に一夏はバレないようにムッとするがそれを幼馴染の鈴音は逃さなかった。
視線を逸らす一夏に今度は溜息を吐き告げた。
「なるほど、それで逃げなかったわけね。」
呆れたような独白だった。
「なんだよ…」
横目でジト目になる一夏。
泥のISが居なければもっとはっきり表情を出していただろう。
それでも長い付き合いの鈴音はその目つきの苛立ち要素を看破した。
「要するに大好きな千冬さんを真似されてキレてんだ。」
「ばっ…」
顔を赤くして一夏が慌てるも時すでに遅し。
セシリアと簪は相変わらず泥のISの動きに注視しているがハイパーセンサーを使う距離でもなくバッチリ聞かれている。
鈴音はケラケラ笑いながら言った。
「シスコン。」
「なん、いいだろ!家族なんだから好きでも。」
「うんうん、構わない構わない。」
「お前な…」
間の2人の茶番を挟みながら敵に集中していたセシリアも頰が緩み簪に話しかける。
「どうやら敵対行動に優先して反応するようですわね。」
頷くのはこれまでずっと相手の動きを見定めてきた簪だ。
簡潔にセシリアと新たに来た鈴音にも説明する。
「うん、それと先生たちからの話ではあの黒いのはナノマシンの集合体で中のISはまだ動いてるらしいから、」
「絶対防御も存在する。ですのね。」
コクリと頷く簪は力強くセシリアがこの情報に抱いた一抹の不安を打ち消した。
ラウラ救出のめどが立った。
その希望にさっきまで交戦していた一夏は勿論ここまでずっと不安を抱いて息を切らせて来た2人も余裕が生まれる。
しかし一安心という訳にもいかない。
教師陣からの報告は希望と共にさらに切羽詰まる内容を孕んでいた。
レーゲンに搭載されたVTシステムは持ち主であるレーゲンとはかなり相性が悪かったらしく発動している間にもレーゲンは勿論ラウラ自身も危険な状態になっていくというのだ。
一夏たちは知らないがそもそもこの泥のISの姿自体が本来なら異常な事なのである。
恐らく無理に発動させた結果レーゲンかラウラのどちらか、又は両方の特質が変化し今の偽暮桜を作り上げたのだろうと簪は締めくくった。
緊張とともに焦燥感が三度舞い降りる。
それを切り裂くように簪が口火を開いた。
「目標ーー」
先ほどとは種類の違う指示の仕方に一同の意識が無意識に切り替わる。
「胸部中央。使用武器は近接武器のみ。」
どちらもこれまでの情報を統合して簪が導いた結論だ。
代表するように夢現を構えた簪に従うように3人も其々武装を構える。
元より近接ブレード一本の一夏は決意を固めるように基本の構えに戻り、鈴音は備えていた龍砲から意識を断ち長大な双天牙月を二、三回して右手におさめ、セシリアもブルー・ティアーズを戻し静かにインターセプターを左手に展開し自然体に立った。
展開された武装に反応して泥のISが無機質な動きで近接ブレード、暮桜ならば雪片だろうか。 それをコピーした千冬の動きで構える。
何度目かの沈黙だが今度は一夏たち側に確かな強い気持ちがあった。
それに反応したか泥のISは今まで以上の速度で先ず先頭の一夏にブレードを突き出す。
高い金属音の後にエンジンの轟音。
一夏がこちらもまた千冬から教わった剣技でブレードを弾き4人は打ち合わせ無く其々上下左右別々に躱した。
感情の無い目を白黒させながら泥のISは暫し動きを止める。
人間ならば隙であるその動きもしかし泥のISの判断力は四方向の誰かが急旋回を見せたコンマ数秒以下でそれを追撃し攻撃する。
だからこそその一撃を決めたのは彼女の実力の高さを表していた。
この中で唯一武器のリーチで負けるショートブレードを操るセシリアはその欠点を一切感じさせず接触した刃を這うようにインターセプターを滑らせ必中の軌道を変えそして指示通りガラ空きの胸へ切っ先を突き立てたのである。
火花を散らしそれと共に刺さった箇所から漏れ出る泥のような液体は恐らく結合したナノマシンが切断された箇所から溢れているのだろう。
しかし浅い傷口は直ぐに新たな泥に覆われ再び泥のISを形作る。
そしてダメージを感じない斬撃をセシリアの頭部へ繰り出す。
ワンオフアビリティまではコピー出来ないそうだがそれでも強烈の速度をセシリアは首を傾け本物の髪一重で避け容易く離脱した。
追いかけることをしなかったのは矢張り機械としての判断能力か。
二撃目を狙う鈴音が振り回す双天牙月に泥のISはブレードを今度は突きの形で狙う。 素体となったレーゲンのパワーを含めた膂力を達人でもある千冬の姿勢移動で強化した突きに鈴音は回転を上げた双天牙月を横合いからぶつけた。
まるで暴風雨のような盾でブレードの威力を削ぐ。
そしてついに暴風雨が巻き込む。
武器を直ぐに引き戻せない僅かの間に鈴音は素早く双天牙月の柄を中央から分離。
二本の青竜刀の片方でブレードを押さえつけもう片方を万全の体勢から振り下ろした。
天に昇る月をも喰らわんが如く。 数は欠けてもその威力は泥のISを大きくノックバックさせた。 ナノマシンの鮮血を撒き散らしそれでも整えようとする体勢を最強の妹が逃さなかった。
上空に上がって事の様子を見守っていた簪はココ!という瞬間に飛び出していた。
狙い澄ませたという他ないくらいに泥のISは迎撃を間に合わせる事が出来ずに奇襲は驚くほど呆気なく泥のISを地面に叩き落とした。
のそりとしかし痛覚の無い泥のISはそれでも出血を留める事は出来なくなっていた。
同じく静かに佇む一夏は泥のISのセンサーを一瞬誤魔化す程戦意に欠いていた。
一夏は最初の展開からずっと地上に居たのだ。
雪片をだらけさせた一夏はまるで日常的な程簡単に、しかしそれでもこれから起こる運命の方向はそういうのを感じられない泥のISですら予感した。
「お前が最初に使った剣はな、俺が嫌がる千冬姉に無理矢理教えてもらった初めての真剣の技なんだよ。」
当時既に真剣での訓練を許されていた千冬に憧れ日中夜何度も頼み込んで漸く折れた千冬が師範代である柳韻に内緒で一夏に教えたものだ。
勿論刀は振らせてくれなかったがあの時の技はその時持った真剣の重さと共に一夏の心に残っていた。
「いいかニセモノ。」
一夏が叫んだ。
「千冬姉の技は千冬姉が小さい頃からずっと努力して身につけたモノなんだよ。」
自分が剣道を習うもっと前から血豆を作って、手の皮を剥いて木刀を振っていた姉の姿が一夏の日常であった。
「何のためにそんな事してるの?…遂に今の今まで聞けなかったが俺には何となく分かった。」
まだ物事を正しく判断し切れなかった時代に不在の両親を訪ねた時は千冬がいつも小さい弟を抱きしめながら自分にも言い聞かせるように言っていた。
「大丈夫だ お前は私が守る」
一夏の頭にあの時の言葉が反復した。
「お前がどんなに千冬姉の居合や剣筋を使ってもお前のそれは紛い物だ。」
千冬が身につけた剣の技は何時も一夏や周りの人間のためにしか使われなかった。
いつのまにか一歩、また一歩と泥のISに進んでいた一夏を他ならぬ泥のISの電算処理が驚愕した。
「それだけならまだ熱烈なファンって事で許してやったけどな。」
一夏が雪片を構える。
「弟の俺から言わせてもらうぜ。」
泥のISが上段に剣を構えた。 試合の千冬ならば相手への無礼に当たると先ず使わない手だ。
「千冬姉を真似るんなら覚えときな。あの人はなぁーー」
泥のISの瞬撃の剛撃の鋭撃に一夏は後の先で待つ。
「教え子に手は上げても、危険には晒させはしねぇんだよ‼︎」
一番最初に教わったのは防御の方だった。
頰を膨らまし見るからに残念がる一夏に苦笑しながら一生懸命千冬が教えた。
泥のISの剣が完全に手から弾き飛ばされた。
武装を失った事が機械式の脳味噌に一瞬の思考停止を与える。
防御不可能の今を一夏は今一度声を張り上げた。
「俺の友達返せよパチモン!!」
斬
ーー
ーーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーー
目を覚ました時に感じたのは背中からの硬い感触と消毒液などに代表される薬の匂い。
IS学園の医務室で目を覚ましたラウラは訓練に裏打ちされた冷静さで自分の置かれた立場を拙いながらも理解した。
自分は怪我人だ。
怪我人に声がかけられた。
「目が覚めたか。」
衛生兵では無い。 これは、そうだ。
「鬼軍曹だ。」
「なに。」
ヤバイ、声に出ていた。
慌てるラウラに千冬は流石に怪我人にあげる出席簿は無いのか釈然としない顔で流した。
「お前がそんな冗談を言うとはな。感謝しろよ学校で。」
軍隊時代だったら容赦しなかったらしい。 少なくとも今は無くとも後で何らかの罰を与えられていた。
「ほら、お前の専用機だ。」
えっとなり懐を弄るがあるはずの待機状態のレーゲンは居らず。 代わりに千冬が自身のポッケから取り出してすぐ隣に有った机の上にコトリと置いた。
「同意が無いから違法などと言うなよ。知っているとは思うがここにいる以上優先されるのは職員の判断だ。」
「いえ、理解しています。しかし……」
いつも通りキビキビとした言葉遣いが流石に今度ばかりは言い淀むラウラは未だに気持ちの整理が付いていないか混乱が解けていなかった。
千冬はああと納得し説明した。
全てを話した。
VTシステムの事も教員部隊による救出作戦が上手くいかずに彼女の友人達がそれに当たった事。
ラウラはその間も直立不動は千冬から止められたがそれでもベッドから体を向け背筋を伸ばして聞いていた。
「ーーっと、分かったか。」
「はっ。理解しました。」
混乱があった先程までは少しは年頃らしさが感じられたが情報を貰った今は医務室に備えてある着替えの姿以外何時ものままだ。
相変わらず可愛げの少ない奴だと千冬は思った。
自分が指導する前からこうらしい。
同世代の人間に囲まれれば少しは変わるかとこの転校の報せにはそれなりの楽しみを置いていたのだが。 千冬は見せないように肩を落とした。
「織斑先生。一つ質問をよろしいでしょうか。」
呼び方は変えてもこの堅苦しさはとても年頃では無い。
VTシステムからは解放されたが
先程は寝起きの冗談で内心は嬉しかったのだがあれはやはり何かの間違いだったようだ。
「なんだ。」
自然と何時もの仏頂言葉が更にあの時のようになる。
千冬は自分に対しても嫌気を覚えながらせめてラウラの質問くらいには丁寧に答えてやろうと思い聴いた。
「一夏はどうしていますか。」
「ああ、…うん?」
千冬は軽いが有り得ないものを聞いたというような顔をする。
「失礼しました。織斑君はどうしていますか。」
空かさずラウラが訂正を入れた。
そこで正しく理解した千冬が慌てて手で制する。
「待て、お前今『一夏』と言ったか。」
「申し訳ありません。失礼が過ぎました。」
「いや、そんな大それたことじゃない…少し気になってな。」
普通ならそこまで問題視する事でもない身近な者に対する敬称の変化。 しかし軍人であるラウラにとってこの学園生活は仕事の内。 何時もは無理だとしても流石に元教官の弟で世界で初の男子操縦者ならば接し方というのはそれこそ細心の気遣いをするだろう。
実際に自分が知っている自己紹介時の呼び方は君付けだったしあれから変わるにしてもラウラに限っては疑いがあった。
「私にはこの学園で名を呼び捨てにする人間が1人居ます。」
初耳である。 思わず聞いた。
「誰だ。」
「布仏本音です。」
まさかの自分の受け持つ生徒の名前に目を丸くする千冬は同時に納得もする。
あののほほんとしか言い表せない雰囲気は千冬ですら説明がつかなかった。
ラウラの堅物を治せるとしたら先ず彼女だろうと思っていたため然程驚きは持続しなかった。
「そうか。それで、何故今回織斑にも呼び捨てに?」
ラウラは少しの躊躇いもなく何時もの事務的な報告を続けた。
「彼から私とは友達だと取れる発言を救出の直前に聞きました。」
「意識があったのか?」
驚く千冬に返事を返す。
「あの時だけはありました。そして織斑君の発言から少なくとも織斑君の認識では私と織斑君は友人関係にあると判断し呼び捨てにしました。」
ただそれだけ。 そう言うようにラウラは何の感慨も無く報告を終わらせた。
千冬は暫しキョトンとするがその後嬉しそうに少しだけ笑った。
「そうか。分かった。しばらくは横になっておけ。時間はかからんそうだ。」
「はっ。痛み入ります。」
千冬はそう言ってラウラの感謝の言葉を聞きながら医務室から出て行った。
残されたラウラは千冬の言う通り横になり体をじっとさせた。
彼女にとってはこれも命令の一つだ。
真面目な休息の中でラウラの脳裏には任務遂行の決意以外無かった。
それでもラウラは確かに変わっていた。
第33話 たっくん・魔王「ただいま〜」如何でしたでしょうか。
先ず最初に……………前書き詐欺でした。
ワンサマーは主人公になりました。
話の初めから今までの主人公達視点のシリアスと比べて今までよりスラスラと軽い展開になりましたが一夏はなのはや巧よりも明るく学生らしい勢いを付けようと思いこうしました。
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それでもやはり冷静になって読むと勢い任せで色々設定的に無理があるところがありますが、そこも勢いで放置することにしました。(コラっ)
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田中ジョージア州は余程まややんを困らせたい……
教員部隊はああしないと絶対助けに入ってきちゃうしちーちゃんがいない以上一夏の救出イベントもなりたたないので謎のトラブルという形で対処しました。
教師の皆さんが生徒をかき分けピットに着いた頃にはラウラ救出イベントが終わって、汗だくの皆さんは千冬からの依頼でラウラを医務室まで運びました。
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なのはさんはあの後自分も窓から入ろうとしたのですが反省文が増えるのを面倒くさがったたっくんに止められアリーナの外で生徒と一緒に避難しています。
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モッピーは逃げる機会と選択肢が頭になかったのでピットで観戦していました。
千冬からは大丈夫かの言葉と何故逃げなかったのお叱りを受けた後特にお咎めなしで避難させられました。
ーー最後にラウラの展開ですがーー
ラウラの扱いは今作では小さい理性的な大人という感じで一夏に対しては今まで作り笑いで接しており、それはドイツ政府の代表として問題を避けるための仮面でした。
しかし一夏の人となりと周りの代表候補生組と本音の存在から段々と緩和していました。
何気にのほほんさんが居なければ今回の展開は存在していなかったので彼女は実はかなりの功労者です。
最後は一夏からの「ダチ」発言でラウラの仮面が外れて軍人という殻からラウラ・ボーデヴィッヒを出すキッカケになれたというオチにしました。
でもやっぱり脚本ガタガタの勢いだけの展開なのでお叱りを受けても仕方ないですけどww
それではまた次回にお会いしましょう。
因みにリニスさんは猫耳モードの身体能力と認識阻害の魔法を駆使して無事に学園に帰還しました。
※人気投票の開催。詳細は活動報告にて