IS:ボンド   作:田中ジョージア州

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寒くなって参りました。
厚着よりも薄着を重ね着した方が体温調節がしやすいですぞ!
とクローゼットを開いてみたら去年羽織った上着がピチピチになっていました……

結局冬用のダウンジャケットを着込んで出かけた田中ジョージア州です。


37話 楯無「でーばんーがー。へ、り、ま、し、たぁー♪」

月曜に嫌なものを感じる人間は多種多様だがそういうものの理由は大抵は休日明けという状態からきている。

つい昨日までぬくぬくと楽しく過ごしていたのに今日からまた神経研ぎ澄ませて仕事に勤しまなければならないのだ。

無論仕事が生きがいとなっている人だっているが大体の人間は休息の方を惜しむ。 人生における仕事と休憩の絶対数の違いから引き起こされる不慣れへの憧れとも言えようソレに影響を受ける人間は多い。

 

そしてその月曜を迎えたなのはは特にそんな別段ジンクスじみていないジンクスなどどこ吹く風か。 至って普通に日々の授業に熱意を向けていた。

 

もう既に先のトーナメント編で露呈されたことだがなのはのISに関する腕は最低と言っても良いものである。

それが異世界という要素なのかそれとも只の体質なのか彼女には分からないが兎に角今のなのはにあるのは学業への熱意だった。

力が無ければ知識で補うと言うようになのはの学勉への想いは強く夏季に行われた学年対象のテスト結果ではその名前を上位に食い込ませる事で示している。

それでもたまの実技となるとスッカリ劣等生になってしまうことはそれなりの悩みであったがなのははこの忙しない詰め込みに一種の充実感を抱いていた。

 

隣の席が今現在の国内の操縦者でも屈指の実力者だということもあり彼女からの助言も加えて日に日に増していく自身の力。

僅かばかりだが確かな前進はなによりも地味でしんどい努力が報われるものである。

指導の立場についている者として以前に生来のものか驕りや慢心は常に排除するようになっているがそれでもなのはにとって月曜は張り切るべき始まりだったのだ。

 

事は放課後に起きた。

 

予感はあった。

今まで何か起こるとしたらそれは放課後であった。

束は態々授業に支障の無い放課後を狙ってなのはに通信機を鳴らしたし巧も同じ立場からISに対しての疑問を説く時は放課後にせざるを得なかった。

それらは全て知り合いからということもあり勝手知ったる何かだったことに違いはないが兎に角既定路線だった事に違いはなくそんな中でなのはも日々の日常の日とそうでない日の区別がつくようになっていた。

リニスが珍しく一年の教室にまで出張って来たのは丁度そんな日だった。

 

「なのはさん、ちょっと…」

 

上級生の急な訪問に浮き足立つ4組の面々。

それを肌で察知し耳で聞き分け目でその程度を測ったなのははいつもの様に登下校を共にしようと身支度をしていた簪に頭を下げた。

 

「ごめんね簪ちゃん。ちょっと行ってくる。」

 

「はい。」

 

少し残念そうにしながらも頷き返す簪に感謝しながらなのはは扉先で待つリニスへ向かう。

 

「こちらへ。」

 

尋ねる隙を与えずにリニスは手招きをした。

人前で話すことではないらしいと判断したなのはそれに黙ってついていく。

やがてなのはの覗く景色は彼女のよく使う身近な所に移った。

束との日に数回の報告を上げる際によく使った場所。

屋上へとやって来たなのははいつもの様に空いたスペースと人影に成る程と打った。

 

人影、アリシアはどちらかといえば大人しかった妹とは違い手を大きく振って出迎えた。

 

「あ、来た来た。なのはちゃーん。」

 

瓜二つな顔立ちに感じるギャップは未だ取れないがなのはも軽く手を振ってそれに答える。

待ちわびていたのかその仕草にはそのようなものが見て取れる。

一応辺りを軽く見渡しながらアリシアの方へと進むと後ろで僅かに引きずる音が聞こえる。 リニスが扉を閉めようとしたのだ。

新築とは言えない校舎のあんまり手入れが行き届いていない屋上の扉が決して大きくは無いがその不人気さで開閉音を目立たせた。

振り向いたなのはにいつのまにか取り出した帽子を被ったリニスが細目を向ける。

扉のすぐ前で立つ姿と相まりなのはは即座にそれを察した。

 

(話があるのはアリシアちゃんからみたいだな。)

 

リニスはあくまで見張りらしい。

果たしてその通りかどうかアリシアは声を潜めるように口を開いた。

 

「なのはちゃんって今本調子?」

 

思わず首を傾げた。

なんの話をしているのか分からない。 そしてその答えは笑顔のアリシアではなく無表情のリニスから出された。

帽子の中で自慢の耳を研ぎ澄ませながらアリシアの言葉足らずを説明した。

 

「六課からのリミッターのことです。」

 

嗚呼で返すなのはにアリシアが笑いながらも目を逸らす。 自分の言葉足らずに照れながらリニスの補足を付け足して続けた。

 

「私はリンカーコア自体はあるんだけどそっちはあんまり詳しくなくて。だからよく分かんないんだけど。」

 

フェイトとは違い母の才能や熱意を受け継がなかったアリシアは吃音と言える程ではなくともそれに近い感じで話した。

 

 

「これからも大丈夫そう?」

 

 

今度はなのはが間をあける番だった。

目を伏せずにしかしその分真剣になのはが答える。

 

「ちょっと厳しいかな。」

 

嘘偽りない言葉だった。

 

魔法の向き不向きを知り尽くすとまではいわないがそれが望ましい職に身を置くなのはは自分の現状戦力を冷静に見極めていた。

 

「この前の、アリシアちゃんは見てないけどあのISの人や鳥のオルフェノクは厄介だと思う。」

 

特に新しく現れた鳥の方はまだ何も手の内が分かってはいない。 目方ではシャコと同等の実力者だろう故に既に戦ったスコール以上になのはは警戒していた。

 

「鷹らしいよ。」

 

ポツリとアリシアが口を挟む。

 

「え?」

 

「昨日寮で会った巧君が言ってた。」

 

目を丸くするなのは。

(なんで私じゃなくてアリシアちゃんなんだろう。)

別に仲がダントツで良いとは言わないがそれでも束や自分よりも非戦闘員で知り合って間も少ない方のアリシアを選んだのかは謎だがそれをここで問うことは出来ない。

今度会った時にでも聞こうとしてなのははへえっと特に言及せずに流した。

 

その甲斐あってかアリシアはやっと本題を切り出した。

 

「それでリミッターって外せないんだよね。」

 

その最初の掴みになのははうんと頷いた。

なのはに掛けられた出力リミッターは基本的には許可が無ければ解除されないものである。 更にその許可も滅多な事では下りない。 直属の上司であるはやてですらその限りではなかったリミッターは勿論なのは自身が勝手に外せないように作られている。

 

それを聞きアリシアはそっかと言って続けた。

 

「実はね、お母さんが篠ノ之博士と協力してなんとか外せないかって頑張ってるんだ。」

 

「そうなの?」

 

気まぐれはあれども基本的には欠かさずなのはに情報を送っていた束からも聞かされていない完全な初耳だ。

 

「なんか期待に添えない段階じゃあ教えたくなかったんだって。」

 

それは恐らく束だけではなくプレシアの意でもあるのだろう。

束に隠れて見えないがプレシアとて優秀な研究者だ。

それなりのプライドはある。

完成には程遠い段階でぬけぬけと報告して喜ばせるよりも実物で満足させたいと思っての事だろうとなのはは昨日の巨大人参を見せびらかす束を思い出した。

そして報告するということはその実りも確実に近いもののようらしい。

 

「どんな感じなの?」

 

ちょっと期待を滲ませながらの問いにアリシアはハキハキと答えた。

 

「元の世界に戻った時の為にリミッター自体は外さずに使用権限だけをこっちで使うみたい。そんな長い時間は使えないけど。」

 

「その間は本物の全力全開だ。」

 

力強く頷き肯定を示すアリシアになのはも期せずして熱いものを胸に感じた。

あのゆりかごの戦闘が最後だったためかこれまでの空はなんだか重く感じていた。

もっと高くという欲求不満は表へは決して出すことはしないがやはり無い訳では無かった。

そうして飛び出たなんとなしの尋ねの言葉になのはは嫌な汗をかくがアリシアも流石に心の中まで読めはしない。

そんな教導官としては問題発言に気づかず済ます。

下がる軽い溜飲。

 

「なのはさん。」

 

野性の勘が似合いそうなリニスからに思わずびくりと肩を跳ねさせる。

振り向いた先のクルメア地方の元山育ちはこのところと同じく真剣な目でなのはを萎縮させる。

 

「人が、」

 

省略されながらもハッキリと判別のつく配慮のお陰でなのははその真意が解りほっとする。

恐らく帽子の下の猫耳が屋上へ近づく足音か何かを聞き取ったのだろう。

了解の意を知らせアリシアに目を向ける。

頷きアリシアは『当初からずーっとそうしていた』かのように屋上からの景色を眺めた。

 

「2人ともありがとう。」

 

扉を開けながら待っているリニスとアリシアにそう告げながら来るであろう生徒か教師の目につかないように横道を使い屋上から離脱した。

 

そしてなのはが屋上近辺から消えた直ぐ後に、この世界の主役が現れたのであった。

 

「わっ、あ…どうも」

 

「はい、どうも。」

 

一夏は扉を開けたら直ぐ傍に居たリニスに驚きながらもそう会釈した。

いつものように柔らかな笑みでリニスはそう返す。 無論帽子は外している。

戸惑いながらも少しで快活さを取り戻した一夏はおっ、と鉄柵越しに夕焼けを眺めるアリシアを見つけた。

 

「えっと、テスタロッサさん。」

 

フルネームで紹介されたプレシアの名前から逆算してそう答えた一夏にアリシアが初めて振り向いた。

夕焼けに焼かれて妹にも譲った綺麗な金髪が際立つ。

 

「どしたの?」

 

そう聞くアリシアに一夏は昨日から決めていた取っつき易さにやはりと確信した。

アリシアは一夏にとっては束程では無くとも子供っぽいリアクションから年の差をあまり感じない親しみやすい先輩という印象であった。

 

「なんか昨日色々あって疲れちゃって、久しぶりに屋上にでも来ようかな〜って思いまして。」

 

「あぁ、あれ退屈だったもんねぇ。」

 

ウンウンと頷くアリシアも愚痴を漏らし始める。

 

「あれさぁ、ほら集合場所?なんであんなに遠いんだろうね。」

 

疲れちゃうとぼやくアリシアに苦笑しつつも一夏も確かにと相槌を打つ。

そんなやり取りをリニスは遠目で見ながらも会話の波に関心は示さない。 もう必要は無くなったものの取り敢えず扉近くで普通の耳で音を聞いている。

 

会話の外から傍観していた所為でその変化は不自由なく目に留まった。

 

一夏はそれまでの笑顔を少し沈ませる。

一番近くにいたアリシアもその変化に不審がり尋ねた。

 

「どうしたの?」

 

目線を少し落とした一夏は身長差で丁度アリシアと目が合った。 宝石のような紅い目が一夏を吸い付けるように本音を吐露させた。

 

「セシリアの事なんですけど。」

 

ほのぼのとした空気の終了をアリシアは感じた。

ふと目を向ければリニスがもう一度帽子を被りなおしている。 閉じた扉の近くで腕を組んでまたその耳をフル活用しているのを認めながらアリシアも安心して一夏に続きを言わせた。

 

「あいつのお父さんってオルフェノクなんですか?」

 

感情をそのまま面に出すアリシアは今回も思考する必要なく驚きを晒した。

一方ドア横の冷たい壁に(もた)れるリニスは縦に開く瞳孔で一夏を見つめる。

 

「なんでそう思うの。」

 

取り敢えず冷静に取り繕ったアリシアが尋ねる。

一夏は少しだけ間を置いてから要領を得ないのか吃りながら話し始めた。

 

それらは今まで一夏しか知らない情報故いざ打ち明けるとしても整理が必要であったが目立たずとも優秀な彼の思考力はアリシアとリニスにそれを理解させた。

 

「オルフェノクって人間が死んだ後極低確率でなるものなんですよね?」

 

「らしいよ。」

 

巧とは親しいわけではないがその代わりになのはや束からオルフェノクの情報は聞き及んでいる。

巧自身も認めている以上間違いはないだろう。

 

「そしてオルフェノクの特徴は青い炎と身体から落ちる灰。」

 

「うん?うん、死ぬときにはそうだよね。」

 

アリシアが思うオルフェノクの強い印象点とは少し違うところに一瞬疑問を上げながらもこれも間違ってはいないため頷く。

 

「セシリアが前にこんなポエムを話してくれたんです。」

 

クラス代表をかけて(正確には回避する方に)全力で挑みかかり惨敗を喫したあの夜。

グラスに蒼い瞳を写しながらまるでプロがする朗読会のように一夏を経験したことのない世界へ誘ってみせたあのポエム。

一言一句忘れずに心に重く残っているそれを一夏は一言一句漏らさずに再現した。

流石にセシリアの凄みは再現出来ないがアリシアもリニスも暫しこの長い空き時間を魅了に近い集中で埋めた。

やがて飲み干したグラスの代わりに「はい」と声で終わりを告げた一夏に今度はリニスが声をかけた。

 

「青い炎、灰、どちらも出てきているわね。」

 

「だったら本当にセシリアさんのお父さんはオルフェノクなの。」

 

アリシアの問いかけに一夏はいや、と言葉を濁す。

 

「まだ、なんとも…昨日夜気づいただけで。セシリアはいつも通りでなんだか聞けなくて。」

 

どうやら真相を知るセシリアにはまだ何も伝えていないらしい。

呆気なく過ぎる話題の終着に対してアリシアは胸に来ていた鼓動の高鳴りが収まっていくのを感じた。

萎んだものに対していつまでも拘る人間ではないアリシアはそれまでの興奮も忘れ一夏の萎れ具合に早くも心を痛めていた。

 

「なんだか怖くて、」

 

「怖いの?」

 

聞き返すアリシアは一歩一夏に近づく。

よりハッキリ見える一夏の顔はいつになく真剣だった。

 

「俺、今日セシリアに朝一で挨拶したんです。おはようって。」

 

「そしたらあいつもおはようって返してくれたんです。そのおはようがすんごい、いつも通りすぎて。」

 

淡々と独白する一夏はそれでも豊かな感情を感じてくる。

 

「あんな事言われた後なのに凄いなって思ったのと、もしかしたらこいつは俺がお前の父親はオルフェノクなのかって尋ねても変わらずおはようみたいに肯定するのかと思ったら…怖くて。」

 

恐らくセシリアはもし今日の朝おはようではなくそれを聞かれていたとして、一夏の想像通りに肯定するだろう。 アッサリと。

 

「なんか、上手いこと言えないんですけど…そういうのって、改めて考えてみると、嫌ぁ…だなって。」

 

一夏自身正にそんな嫌な感じを味わいながらこの事を口にしているのだろう。

普段から見せていた元気さがみる影もなく萎んでいた。

 

「親が化け物みたいになってもなにも感じていない。勿論本当のことなんてなんも分かってないから俺が言えるようなことじゃあ無いんですけど。」

 

「そういうのって、怖いです。」

 

 

ーー

シンとしている。

 

一夏の告白でしんとなった屋上の石畳は変わらない気象によりむしっとしてはいたが今かく汗は冷や汗と呼んでも間違いはなかった。

 

冷や汗をかく一夏は固まってしまっていた。

しっかりはしていても15歳の精神は今の気持ちの整理で手一杯だった。

一夏の頭ではセシリアに対しての疑問や不安が渦巻いて同時にそれを思う自分へにも同じような嫌悪があらわれる。

 

「すいません。なんか変な空気にしちゃって。」

 

思えばアリシアに伝えるならばセシリアの父親の件だけでよかったのだ。

親しい人同士による相手へのマイナス評価なんて聞きたがりはしない。

一夏は謝罪だけしてその後は逃げるように視線をアリシアから外した。

 

ふわりといい匂いがした。

 

 

ーー

優しく。

 

金の髪が一夏にかかる。

帰ろうとした一夏を無理矢理体を入れ替えてそして抱きしめる形になったアリシアは戸惑う一夏の一つ高い頭を撫でた。

 

「よしよし。」

 

小さい頃母からやってもらったように一夏の黒髪を梳く。

見よう見まねの台詞はなんだか子供扱い風で馬鹿にされているようにも見えたが一夏の焦りは嘘のように落ち着いた。

あの、と声をかける一夏を確認してアリシアが笑った。

 

「大丈夫。」

 

なんに対してと聞き返す前にアリシアが答えた。

 

「セシリアさんはいい人だからそんな心配しなくてもいいよ。」

 

アリシアの言葉に一夏はその通りかもしれないと頷いた。

あの暗い蒼い瞳を見たのはつい最近のこと。 結論づけてしまうのは早すぎる。

 

「それに一夏君もそんなに自分を責めなくていいよ?」

 

え、となるのは一夏だ。 自分を慰められるとは思っていなかった。 そんな顔である。

アリシアはそんな一夏の頭をもう一度撫でた。

 

「友達を悪く思いたくないのは当然だよ…えーっと、だからそんなに落ち込まないで。」

 

言葉足らずに一夏を一生懸命慰めようとするアリシア。

決して多くも深くもない18歳の少女が口にできるありきたりな言葉が一夏には凄く高尚なものに感じた。

 

気づけば先ほどまでの嫌な感情の羅列が全て消しゴムで擦られたように真っ白になっているのを感じた。

 

「はい!ありがとうございました。」

 

元気に切り替わってからの一夏は早かった。

直ぐにこの後習慣である特訓を思い出した一夏はアリシアの抱擁から身を退かした。

元より強い拘束ではなかったため簡単にそれを成し遂げると一夏は健康優良児な足並みで屋上から飛び出していった。

 

呼びかける暇もない。

 

「行っちゃったね。」

 

手の感触を確かめながら代わりに鉄柵を掴んでリニスへ声をかける。

 

「熱…」

 

夏の日は高い。

思わず手を離す。

そろそろ人間にも熱が及んでくる頃合いだろう。

見ればリニスも頷いて帽子を取っている。

日陰に靠れかかっていたリニスは涼しい顔で扉を開いた。 帰ろうということらしい。

 

「はーい。」

 

返答したアリシアは太陽から逃れるように駆け足で校舎内へと入って行った。

その後に待機していたリニスが扉を閉めその後はこの不人気な場所に来る人間は誰もいなかった。

生徒たちの精神面の保養のための空間であったが吹きっさらしのここが利用される季節ではなかったのだ。

 

 

ーー

コンソールを叩く音が目立つ。

 

空間ディスプレイなんてものが出来てからも世界からは消えることなく残った金属板を囲い覆った樹脂製の四角いボタン。

若干の抵抗は作業を妨げるためではなくあくまで不要な誤入力を避ける安全対処であり人によってはその感触が作業のモチベーションを上げる事もあるそれを束はなんの感慨もなく押していく。

 

強くなく弱くなく。

 

最も効率がよくて最も望ましい力加減は長く触ってきたから身についたもの。

だからこそこの天災の人付き合いの下手さはそこにあるのだと直ぐ近くで同じくキーを押し込むプレシアはみていた。

 

2人が今いる場所は束が持つ地下施設でも郊外にポツリと広がる広い公園の管理人室でもない。

それらよりももっと凡百な建築物。 いうなれば家庭的な部屋。 リビングであった。

白いレースのカーテンを隔てた向こうには閑静が似合う住宅街が見えている。

テーブルもフローリングの床も全て家庭用の暖かい木製の代物だ。

ならばそれらの上に散乱するノートパソコンから様々なたこ足配線を通して増量させたケーブルや業務用でしか使用されない大型の機械はなんともミスマッチなのは仕方がなかった。

 

この家の門に備えられた表札の名はテスタロッサ。

 

プレシアがこの地に購入した家族のための一軒家だ。

アリシアたちがIS学園に行ってからは滅多に3人家族にはなっていない。

リニスに限っては持ち前の身軽さで何度かこの家に内緒で戻ってはいるがそれらも全てプレシアが指示したスカリエッティ対策のための準備で団欒のために使われたことはそれこそもう何ヶ月もない。

そんな夏休みが待ち遠しかったプレシアの耳に突然戸を叩く音が届いた。

不思議に思いその乱暴な音を開いて確かめてみると今辺りに散乱している機械類を肩に担いだ束が居た。

 

「使わせて。」

 

こちらが了承をする時間も与えてもらえず束と機材を家へ運んだプレシアはついでだからと自分も手伝っている。

彼女に割り当てられた役割はもう一つのノートパソコンから続く機材やケーブルの先にある一つの小さな球体。

一家団欒が目的のテーブルの上に無造作に置かれた赤い宝石の解析だ。

正確にはその宝石を介して命令を送り高町なのはへのリミッターを解除する装置の解析だった。

 

「大丈夫?レイジングハート。」

 

『ええ、マダム。』

 

ケーブルに繋がれたレイジングハートはプレシアの問いかけに変わらぬ声を出す。

 

『しかしバジン君は窮屈だそうです。』

 

代わりに文句を言うのは束のノーパソに繋がれたテスタロッサ邸の庭にスタンドを立てた銀の車体。

サイズ的にレイジングハート以上の機材に体を繋がれたオートバジンはレイジングハートを介して束にその節を伝える。

 

「うるさい。機械なら黙って調べられてろ。束さんの可愛いISは静かだったよ。」

 

しかし来訪の段階から気が立っていた束は曲がりなりにも気を遣ってやっていた持ち主とは違い冷たく言い放つ。

ここ最近は比較的機嫌は良かったと思っていたプレシアはその理由を知っていた。

 

「やっぱり重かったの?」

 

「…」

 

取り付かない束だがそれが肯定なのは明らかだった。

余程重かったのだろう。

 

機材と()()()()()()

 

 

ーー

事の始まりは昨日の解散のところまで遡る。

 

巨大人参から別れるなのはと巧に束がこう言ったのだ。

 

「2人のAI付きのデバイスとバイクを明日調べたいから渡して。」

 

それを受け快く了承したのはなのは。

懐の宝石をその場で手渡した。

しかし巧は違った。

 

「どうやって帰れってんだよ。」

 

なのはと違いバスではなくバイクで快適にやって来た巧はまた暑くなった気候を嫌って束を突っぱねたのだ。

弱ったのは束だった。

会った日から生意気をされて印象は良くなくともなんだかんだ言って数少ない気を許せる間柄の1人だ。

巨大人参をなのはに褒められた事や千冬と仲直り出来た事。 永らく離れていた箒と会えた機嫌の良さも手伝ってそんな巧を気遣った一言を言った。

 

「じゃあ明日私が運ぶから今日は帰っていいよ。」

 

そして巧からそれならまあと頂いた使用許可を引っさげて今日朝一でIS学園行きの本土モノレール駅にある立体駐車場にやって来た束に対してオートバジンは不親切だった。

 

嫌う暑さの中嫌う服装を身につけて来た束が見たのは昨日巧から盗難防止のためハンドルをロックされたオートバジンの姿だった。

それだけならば束も機嫌を損ねなかっただろうがその後のオートバジンが実に融通が利かなかった。

 

オートバジンは動かなかった。

 

オートバジンは基本的に現状のファイズ装着者の意見を優先するようにインプットされている。

例外として真理に危害を加えようとしたファイズに対してその拳を振るったことはあったが基本的にサポートメカである彼が優先するのは持ち主の命令である。

そして今日のオートバジンは昨日巧から言い渡されていた命令があった。

 

「勝手にうごくな。」

 

危うく鈴音にバレそうになった勝手な振る舞いを自制させるために放った言葉だったそれをオートバジンは忠実に守った。

うんともすんとも言わないオートバジンに束は目を丸くする。

巧の話では鍵を掛けても勝手に解除して動き出すからとキーを受け取らなかった束にはエンジンの始動どころか前輪にかけられたロックも外せず唯一自由なスタンドを外してもクルクルと回すしか出来ない状況になっていた。

押して行こうにもこれではどうしようもない。

本当はオートバジンに載せていく用にあつらえた小型の機材も歩いて運ぶには重い。

レイジングハートと違い返答が出来ないのも悪かった。

束の懇願にうんともすんとも言わないオートバジンを束はなんと担いでテスタロッサ宅までやって来た。

 

もちろん軽くない。

自転車に次ぐ取り回しの良さがバイクだが今日日50ccのスクーターでも人より10〜20キロ重いのが殆どだ。

オフロードタイプとはいえ普通二輪に代表されるサイズのオートバジンとなればその重量はその辺の相撲取りより上だろう。

実に207kgのオートバイを担ぎながらジリジリと照らされた日光の中歩いてプレシアの元を訪れた束の形相とくればなのはの認識阻害が掛かっていても目につく凄まじさだった。

その上で冷房の効いた部屋に通されても束の苛立ちは解かれるものではなく今に至るというわけだった。

黙ってキーボードを叩く束にプレシアも取っ付きにくさを感じている。

 

『そこはPICV(流量制御バルブ)だからやめてほしいとバジン君が言っています。』

 

束は黙っている。

 

『そこはガソリンをソルグリセリンに変換する所だからやめてほしいとバジン君が言っています。』

 

束は黙っている。 少し眉が吊り上がった。

 

『そこは…』

 

 

プーーー!!

 

 

クラクションが鳴った。

因みにテスタロッサ家の自家用車は普通の市販車で勝手にクラクションなど鳴らしはしない。

言うまでもなくオートバジンだ。

今回は弄った所は余程重要なところらしい。

 

「うるっさいなぁっもう!!」

 

バンとテーブルを叩いて立ち上がった束が巻き舌気味に叫ぶ。

 

「なんだよ!注射嫌いの子供じゃあるまいし、機械なんだったらもう少し黙って検査くらい受けらんないの⁉︎」

 

ピロロロと電子音が鳴った。

 

『うるさい、イかれた国のアホス。お前なんぞ二次元だから通用するんだ。実際にいたら只の人格破綻者だ。』

 

テーブルの上から驚きの内容が淡々と放たれる。

プレシアも驚いて目を見張る。

 

『主人公との恋愛対象なんて夢のまた夢。薄い本のネタにも困る無駄にハイスペックなお前はヒロインとして最も無価値なIS界の害獣なのである。』

 

『それが分かったらサッサとこの平成ライダー界の「俺の嫁」筆頭であるこのバジンたんへの無礼を止めるがいいとバジン君が言っています。』

 

レイハさんがそう締めくくりました。

 

しーんとする部屋。

冷えているのは冷房の効き過ぎだとして家主であるプレシアはノートパソコンに向かい合った。

 

「…てやる」

 

ぷるぷると震えている束。 なにやらブツブツと言っている。

 

「解体してやるぅぅぅ!!!」

 

キーボードをクラッシャーしながら怒り心頭な束はそのまま庭に停められていたオートバジンに飛びかかった。

慌ててデバイス無しにバインドで止めようとプレシアも立ち上がる。

 

擬音にすれば「コン」か「カン」。

オルガンのような澄んだ高い起動音がテーブルの上から鳴った。

 

『もし…』

 

《Battle mode》

 

コンマ何秒もなく変形機構を全て完了させ膝を曲げた状態になったオートバジンはそのまま上から降りかかってくる束に向けてその鉄腕を突き出した。

 

「ブゲラッ⁉︎」

 

ファイズの約3倍。

グランインパクトをも超える最強のアッパーカットが束の体を事前の数倍の高さに吹き飛ばした。

屋根よりも高く飛んだ束はそのまま頭から豪快に着地。

一連の光景に固まり口をあんぐりとさせるプレシアはレイジングハートの無機質な声を聞く。

 

『もしこちらに危害を加えようとした場合には実力行使によって阻止するのでもう少し優しくして欲しいとバジン君が言っています。』

 

「ちょっと遅かったと言うか早かったというか…まあ悪いのは人間ね、作業に戻りましょう。それとバジンくんもあまり騒がないでね、ご近所さんに迷惑だから。」

 

《Vehicle mode》

 

返答の代わりに変形したオートバジンは再びスタンドを立てて鎮座する。

顔を赤く腫らした束が睨むも鉄人は何も答えはしなかった。

 

 

ーー

再びキーボードを押す音が目立つ。

大人しく優しくしている束は一息置いてキーボードから手を離した。

 

「どう?」

 

「面白かったよ。」

 

口は悪くとも内部構造に限ってはオートバジンは束のお眼鏡に叶う代物だったようだ。

嘘偽りなりなく正直な感想を述べる束はオモチャを手に取った子供のように満足していた。

 

「そっちはどうだった?解除できそう?」

 

束の言葉にプレシアはこちらも自信有り気に頷いてみせた。

今日の解析はどちらかと言えばレイジングハートに主眼が置かれている。

なのはの戦力アップに彼女にかけられたリミッターの解除は必須な事であった。

 

「問題ないわね。負担を減らすため制限付きだけど権限を奪うのは出来そうね。」

 

プレシアの答えに束はそっかと返した。

本来なら違法なアクセスなため生じてしまうなのはとレイジングハートへの負担はプレシアを持ってしても軽減するには解除自体に制限をかけねばならない。

 

「取り敢えずアリシアから伝えておくように打っとくわ。」

 

そう言ってプレシアは自分の携帯から娘へとメールを打ち始める。

 

「おつかれ2人とも。 今日はウチに泊まっていきなさいな。」

 

疲れが溜まっているだろう機械カップルをプレシアがケーブルから外しながらねぎらう。

因みに2人ともレイジングハートとオートバジンの交際については聞き及んでいる。

当初は2人とも目を丸くしたこのAI同士の恋人達は人格破綻者である束から見ても可笑しな付き合い方をしていると思った。

特に所帯を持った経験のあるプレシアからすれば研究者として以前に1人の女性としてこの2つのAIには特別な思入れを抱いている。

 

さながら若人を微笑ましく思うシニアのように。

プレシアは2人の恋を応援していた。

 

「最近どんな感じなの?」

 

にやけながら早速2人のノロケ話を聞こうとするプレシアをケーブルを片付けながらも何やってんだと言わんばかりに冷たい目を向ける束は取り敢えず耳だけ傾けている。

人間の若人なら照れたりなんなりする場面なのだが機械である2人にそんな情緒は無い。

淡々とレイジングハートがオートバジンの意見も翻訳して答える。

 

『交信のペースは四日に一度。多少の上下は有りますが基本的に3分前後が交信時間です。』

 

予想通りの人間味の無さに束は早くも聞く価値なしとケーブルとコンピューター類を仕舞っていく。

しかし当のプレシアはへー、ほー、とそんな一見177の天気予報や117の時報並みに事務的な情報交換に食い気味にリアクションを返している。

勿論聞き手の反応が良くてもAI同士の関係が熱くなることは無く話される内容は定時連絡の粋を超えるものではなかった。

 

「そうなの。仲良くしてるのね。」

 

そんな感想を抱けるのは可笑しいと思うのは自分だけでは無いだろう。

きっと他人への気使いを自分より気にする凡百な人間達もこの2つのする恋愛が仲睦まじいなどとは思わないだろう。

しかしそんな束の思いとは裏腹に無機質な2つの返答に天災は少しだけ興味を持った。

 

『ありがとうございます。』

 

ピロロローー

 

『ありがとうとバジン君が言っています。』

 

嬉しそうだと感じた。

決して間を挟んだ訳でも抑揚を変えた訳でも音量を上げた訳でも無いいつも通りのレイジングハートの「聴きやすい」声とオートバジンの電子音を除けば唯一の発生音。

それらがこの一日中何度も耳に聴いていた束には感情の高感を無意識に認めていた。

 

「嬉しいの?」

 

気づけば口にしていた。

驚くプレシアと驚かないレイジングハートが答える。

 

『嬉しいとは何に対してのことでしょう。』

 

聴き取りやすい声へ束が返答する。

 

「バジン君と交際してだよ。」

 

いつしかクロエ経由でレイジングハートをレイハさんと。 そして今もプレシアに影響されて2人をそう呼ぶ束。

それにレイジングハートは迷いと認識出来ない速さで答えた。

 

『嬉しいと認識していただいて構わないかと。』

 

「理由は?」

 

「よく『気がついたら好きになってた』なんて台詞があるけどアレって要するに理由を説明出来ないバカが作った言い訳でしょ?君たちならそんな事ないと思うから教えてよ。」

 

『了解しました。今バジン君と確認します。』

 

どうやら今までお互いに確認しあったことがないらしく流石に時間を要求したが矢張り結論は直ぐだった。

普段の寮と駐車場の生活なら兎も角この距離なら交信の都合は存在しない。

人間には分からない音の羅列の中で話し合った2人はレイジングハートを通じて結論を出した。

 

『成長出来るからです。』

 

?を浮かべるプレシアとそうでなくとも関係性が分からない束にレイジングハートが告げる。

 

『私たちの体には主人のレベルに合わせて自ら機能向上をするような機構は有りません。外付けのパッケージを要求する事は出来てもそれは自分から進化することにはなりません。』

 

謂わばそれは道具の宿命だった。

レイジングハートもオートバジンも篠ノ之束を以ってしても舌を巻く高性能なAIを搭載している。

人間の感情すらも読み取れる彼らはしかし自ら決められたスペック以上の成長は出来ない。

学習機能の存在で経験の貯蓄は出来ても彼らの言う成長とはもっとフレーム自体を変形させるような成長である。

 

『だから私たちはこの世界の情報を集めた時に知った操縦者の成長に伴い自らも進化するISへ憧れを抱いたのです。』

 

「へぇ。」

 

それは間接的に褒められたようなもので束は珍しく表情を和らげる。

 

『今回の交信機能はバジン君や念話を使える私にも存在しなかった新たな機能です。それはマスターの成長に及び我々が役に立てる範囲も広がる事に繋がります。』

 

「あ、やっぱ優先はマスター準拠なんだ。」

 

プレシアが手を打つ。

なのはと巧の役に立てるというのが2人の喜びの正体であった。

しかしと束はそんな2人にまだ違和感を感じていた。

 

「それって愛って感じなの?」

 

目を細める束。 それは果たして愛の形と呼べるのだろうか。

束も人の子だ。

愛情表現の形は千差万別だということくらいは理解している。

しかし2人のそれはパートナーに対してというより其々の主人に対して向けられるものである。

プレシアも言った通り優先順位が二番目以降な相手との付き合いなんてどうにも束には理解が出来なかった。

 

「別に最愛だとか一番だとかそんな決まりはないと思うけどさ。それって当てはまるとすれば単にwin-winなだけなんじゃない?」

 

「君たちが分かんない訳ないのになんで『愛してる』なんて言葉使うの?壊れたの?」

 

束以上に達観している2人がこの関係性の正体が恋愛とは結びつかないことなど知っていない筈が無いのだ。

無意味な嘘なぞつかない2人が何故と束は思っていた。

 

レイジングハートは矢張り少しも悩まずに答える。

 

『交信をしている間我々には共通する判別不能なバグが生まれるのです。』

 

プレシアがバグ?と繰り返した。

 

『それらは感情的な概念で該当するとすればプラス的なもの。「楽しい」や「嬉しい」に当たるものだという結果が出ました。』

 

『我々が検討した結果我々が交信の際にお互いの身体、電波又はそれらに準ずる互いの機能にシンパシーを感じて起こった事ではないと結論を出す付けました。」

 

即ち「交信」とバグはオートバジンとレイジングハートに既存するどれかの機能が共鳴を起こした故に起きた現象ではないということになる。

 

『このことから私たちはこのバグに該当する言語を見つけました。』

 

なんだか予想が付いてきた。

束は若干苦笑いをしながら次の言葉を待った。

 

『愛。それが一番相応しいものでした。』

 

束は思わず頭を抑えた。

ちょっと待て。 それではまるで、

 

「ねえ、それってつまり理由は無くて段々芽生えていったみたいな感じな訳?」

 

『はい。気づけばそうなっていました。』

 

マジと呟く。

今しがた束が馬鹿にした『気づいた時には好きになっていた』理論をよりにもよって機械である2人が言ってのけたのだ。

束は基本的に自然発生は信じない。

なにかしら現象には絶対に過程が存在する。

それらが定義されていないものも分からないだけで存在していると見ている。

なんならそんなものだと割り切っている凡百な考えを低俗だとすら思っていた。

 

ピロロロ

 

『バジン君と私の意見です。』

 

いつしか価値なしと切り捨てていたAI同士の恋バナに真剣に耳を傾けている事に気付いてなんだかよく分からなくなってしまった束はよく分からないまま話を聞いた。

 

『束様がご理解出来ないのは束様が恋を知らないからだと思います。』

 

「なっ…」

 

「ブフっ」

 

機械からのまさかの皮肉り発言に呆気に取られる束と吹き出すプレシア。

勿論レイジングハートもオートバジンもそんなつもりは無いのだろうが束は珍しく凡百な取り乱し方をする。

 

「おむ、おまっ、お前らに言われる筋合いなんてないし⁉︎」

 

それでまた吹き出すプレシア。

顔を赤くして憤慨する束。

 

冷房の効いた部屋が凄く暖かい。

 




なのはさんがまた強くなるよ。

ワンサマーがまた羨ましくなったよ。

レイハさんとバジンたんの交際については今のところなのはさんとたっくんは知りません。
プレシア宅で調べられる間にレイハさんがぼそりと漏らしただけです。

持ち主の2人へ言っていない理由は特に無く単に言っていないだけです。

※人気投票の開催。詳細は活動報告にて
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