IS:ボンド   作:田中ジョージア州

44 / 55
福音編

予定通り始めます。
例によりキャラ崩壊マックスで参ります。



39話 トラブルは終わらない

「ガタン、ゴトーン…ガタン、ゴトーン。」

 

「それ電車じゃない?」

 

横で何気なく同級生がボケとツッコミを交わす。

よく一組では一緒に話しをするコンビだ。

国道沿いを抜け山道に入った事で所々の整備の差から生まれる揺れをからかう二人に一夏は今日は入り込んで一緒に騒ぐ事はしない。

ただ窓際に設置されたクーラーからの涼しい風を出来るだけ体に当てようと対面積を増やしてじっとしている。

決められた座席表に従って座ってから少しのトイレ休憩を挟んだ後も継続しているこのだらしない体勢はひとえに窓一枚隔てた先の照りつく暑さから逃れるためである。

少しでも動き運動エネルギーを使用し発熱すれば最期だと言わんばかりにじっとしているスタイルには当初は他のクラスメート達にもからかわれたものだがそれでもやはり一夏は動かなかった。

こうしてガタンゴトン道に差し掛かる頃には誰もがもっと有意義な返答をしてくれる友人を話し相手に選び最早一夏のこのポジションに気を配る者は隣の席となったセシリアしか居ない。

 

「首を痛めますわよ?」

 

30分前のパーキングエリアでも同じ事を言った。

その時と同じく一夏は分かったような分からないようなそんな曖昧な声で返した。

 

セシリアは一組だ。

一夏と同クラス。

席も近いとは言えないがそれでも同室。 数席後ろの所。

彼の様子はこの数ヶ月間。 土日を挟んでも一日平均して数時間は確認している。

好んで意識している訳ではないがそれでも大抵の情報は入ってくる。

 

腑抜けた一夏は数日前に現れた。

 

大凡もって人生の転換点とも言えるあの日曜日。

外出許可の権利により島を抜け出し交通機関を通じてやって来た自然豊かな広場。

突如目に入ってきた巨大人参に目を白黒させながら篠ノ之束というビッグネームと久しぶりに対面し只でさえ現実味から剥離しかけていた彼の正常な価値観はその後の出来事に完全に持っていかれてしまった。

 

異世界人というSF作家しか使わないような造語以外では説明の付かないインパクトの数々。

真っ当な価値感ならプレゼンターの頭を疑って取り合わない。

それでも一夏は見てしまっている。

認識の範領を超えた前情報の正解を前に一夏の真っ当な価値感は拒絶よりも受け入れる事を選んだのだ。

 

その日以来、正確にはその次の日からの猛暑日以来一夏はこんな感じだ。

かつての猪武者を体現したような元気な姿は今ではまるでくたびれたジーンズのように色あせておりかつての健康優良児はゼロ距離の呼吸で白く曇る窓ガラス越しに移り変わる景色を見ていた。

 

「お、」

 

途切れの声は一夏。 何かを発見した彼の後に続くようにやにわに少女達の騒ぎに歓喜が混じる。

 

「あおいな。」

 

水平線が視界の全方位に広がる。

海は見慣れている。

IS学園では本当に全方位が海だ。

だというのに一夏な目には普段見慣れている筈の大海が新鮮なものに見えた。

「海なんて全部水続きなのになんでだろう」そんな考えが腑抜けた体勢から浮かんでやがて生ぬるい長考の果てボヤけて冷たい冷房の中に溶けていった。

代わりに潔白な声がハッキリと一夏の頭を心地よく叩いた。

 

青焔(せいえん)燃ゆる大円盤の彼方に…」

 

いつかのポエムのように一夏にだけ聞こえる声量でセシリアは囁いた。

 

「なに?」

 

慣れない言葉に一夏はやっと動く気になった。

振り向いた先で姿勢の良いイギリス淑女は微笑んだ。

 

「中島敦ですわ。」

 

「……うん。」

 

勿論中島氏はピンとこなかったが日本人としての負けず嫌いで取り敢えず頷く。

セシリアが見透かしたような笑みを浮かべた。

 

 

そこまで広くはない崖ぎわの駐車場を危なげなくバックに停車させた熟練の運転手はあくまでプロとして感慨無くアナウンスとともに前の扉を開いた。

教師の指示に従い後部座席から連なって移動する波に一夏も混じる。

前部に移るに従ってむわっとくる温度差に目が細められる。

しかし今更この流れに逆らって車内に戻る訳にもいかない。

逆流の最中もし怪我人でも出でもしたら一夏達一号車の担当教員である千冬に首根っこを掴まれ別の意味で涼しい目に遭わされる羽目になるだろう。

黙って蒸し蒸し地獄へと足を進める一夏は運転手に労いの言葉をかけてステップに足を付けた。

この時点まで来れば最早外気と車内の温度差は殆ど無いのだがそれでも刹那の間の躊躇の末に一夏はジャリっと砂利道を鳴らした。

そして組ごとの列に並んで、もう一度海を見て言った。

 

「青いな。」

 

教師陣代表の千冬の号令で生徒達は旅館へと降りていった。

 

 

ーー花月荘

 

IS学園の影響力は世界各国、様々な界隈にてその実力を振るっている。

政から宿泊施設まで浅いも深いも別々だが広い付き合いを持っている。

彼女達が今夜から寝食のお世話を受けるこの花月荘もIS学園が創設されてからの付き合いだ。

作務衣を身につけた従業員であろう男女数十人が生徒の列を挟むように立ち並び頭を下げ息の揃った出迎えの言葉を述べた。

世界で唯一の専門校であるIS学園は難易度は兎も角学費の幅は一般校と大差しない。 より多くの可能性の中から才能を厳選する為である。 お国柄に合わせればもっと安い。

なので今年の一年である彼女達はエリートではあっても基本的には庶民が多い。

十五、六の人生経験は人それぞれだが少なくとも今期の生徒にはこういう経験した者はごく僅からしく皆目を光らせ至れり尽くせりの待遇に早くも高揚している。

そんな浮かれ具合を背中越しに感じながら千冬は横列の中より代表して現れた女性の姿を前に姿勢を正す。

 

背中で語ると誰が言い出したのか千冬が厳かな雰囲気を出すとはしゃいでいた生徒達も大人しくなる。 それを見て着物姿の女性は感嘆したように褒めた。

 

「お若いのにご立派ですわ織斑先生。」

 

いえ、とハスキーな低音で答える千冬は一礼してから振り返るとよく通る声で言った。

 

「こちらがこれから三日間お世話になる花月荘の女将さんと従業員の方々だ。しっかり挨拶をしろ。」

 

千冬の言葉尻とともに息のあった高い女子の声が揃って1つの単語を合わせた。

 

「お願いします。」

 

学園側が毎年恒例している事前の取り決めによる全クラス混合の挨拶は数回のリハーサルを経てピタリと型にはまった見事な物に仕上がっていた。

 

「今年も元気な一年生でなによりですね。」

 

手を叩いて喜ぶ女将さんに千冬はまたも低音で返答する。 女将は背筋の伸びた礼で彼女達を出迎えた。

 

「当旅館の女将の清洲景子と申します。皆さん宜しくお願いします。」

 

「お願いします。」

 

清洲に続き控える従業員達が繰り返す。 一夏達が悪いというわけではないが一朝一夕の前者比べても見事な完全調和(パーフェクトハーモニー)だ。

思わず生徒の中から嗚呼の感嘆が溢れる。

 

「今回は男子が一人混ざってますので更にご迷惑をお掛けします。」

 

一夏が小さく「混ざってるって…」と呟いた。 清洲は構わないと笑う。

 

「お気になさらないで、男性のお客様は初めてではありませんわ。」

 

そう言う清洲に千冬は再度頭を下げ一夏を前に出し自己紹介をさせる。

首根っこを引っ掴まれた形で前に出た一夏は衆目の中で照れながら千冬の言葉の中に含まれた単語に意識の興味を取られていた。

 

(一人だけなんだよな…男子。)

 

頭を下げる一夏の清洲を含めた従業員達の声がかけられた。

 

 

ーーIS学園

 

学園は基本的に空調設備が充実している。

教室は勿論食堂、室内の娯楽施設、図書、果ては廊下に至るまで壁と屋根がある所ならば全て人工の安らぎが吹いている。 確かな贅沢がこの学園にはある。

敷地面積だけならばIS学園よりも広大な学校は探せば多くあるだろう。

しかし忘れるなかれ。 ここは人工島。 国家予算を投じて生み出されたIS学園は数ある高水準な設備に数ある部屋を有している。

そして数ある部屋はその分有意義に用途の幅を拡散している。

 

ほかの部屋や廊下と同じく空調の効いたそのうちの1つの部屋は広さはちょっとした公共のトレーニングジムと同じくらい、というか実質トレーニングジムである。

トレッドミルやアブドミナルなどのマシン類から無論ダンベルやバーベルなどの手動器具果ては外部から招き入れた資格を有した専属のトレーナーまで取り揃える学園付属のトレーニングジムは今やその広さがそのまま寂しさを感じさせた。

普段ならば運動系の部活や専用機持ちの候補生。 更に日頃から実技で体を動かす教師陣などそれなりに盛況しているのだが流石に通常時より三分の一少ない今は空きが目立つ。

もちろん課外授業中も二、三年は授業がある。

それに時期的にも忙しい時だ。

2年はあと半年で最上級生。

3年は進路だ。

例年でもトレーニングジムを利用する生徒の割合は大半が一年であった事もありそこに各クラス毎の予定が重なると全くの貸切状態になる事も珍しくはない。

それにいくら国家予算とはいえタダではない。

資格持ちのトレーナーという金のかかる要素は出来る限り削減したいためこの利用者が減る時期である三日間は名実ともにここに居る()()()2()()の貸し切りであった。

 

「暑い…」

 

ぼやくのは器具に腰をかける乾巧。 無論その器具は彼が座って以降椅子以外の使用をされていない。

 

「クーラー効いてるよ?」

 

寝っ転がって答えるのは高町なのは。 こちらはキチンとベンチプレスの本来の役割を全うしている。

過去世界で確認された3つのイレギュラーのうちの2人目である巧はだからよ、と少し苛立ち気に答えた。

 

「暑苦しいんだよ!」

 

そう言う巧はすぐ隣でバーベルを上下させ音を上げながら爽快な汗を流すなのはに噛み付く。

感覚的に察したなのははスッと横目をずらして目線を合わせないようにするがもう遅い。

既に巧は口から文句を飛ばしていた。

 

「隣でギッシギッシ鉄の棒上げ下げしながら汗かきやがって、俺になんか恨みでもあんのかお前。」

 

「いや、無いけど…」

 

冷や汗を混じらせながらなのははなんとか巧の烈火を被らないように用心する。 しかし巧は止まらず猛火は更に強まる。

 

「やっと暑苦しい外から逃れて来たってのになんでわざわざ冷房の効いた部屋で汗臭くて暑苦しい思いしなきゃなんないんだよ⁉︎」

 

「……」

 

ギッシ…ギッシ…

 

「だからやめろっつってんだよ!」

 

言うが早いかなのはのロックアウトと共に巧の右腕がバーベルを中程から取り上げた。

 

「ちょっ…」

 

もちろん文句を言うなのは。 対する巧は憮然としながら、

 

「重」

 

落とした。

 

「あっぶ⁉︎」

 

数瞬後なのはの頭部めがけて落下して来た数十キロの金属の塊は間一髪で伸ばされたなのはの両手に受け止められ事なきを得る。

安堵の溜息をしなのははバーベルをラックにかけ起き上がり今度こそ大きく息を吐いた。

 

「巧君…」

 

ジト目で見るなのはに巧は罰が悪そうに目を逸らすがやがて観念したかのようにそっぽを向いたまま「悪い…」と謝りそれからはなにも喋らなかった。

途端に人気のなさが静寂の形でやって来る。

静かな空気の中でなのはの息を吐く息遣いが聞こえた。

 

「はあ…分かったから、もう汗臭い事しないから。」

 

若干汗臭いの部分が気にしていたのか少し力を込めて言われる。

横目で確認する前になのはが隣をすり抜けて行った。

恐らく備え付けにされてあるシャワールームで努力の成果を洗い流すためだ。

IS学園付属は伊達ではない。

結果的に汗臭くも暑苦しくも無い当初の涼しい部屋を手に入れた巧は何も言わずに一面ガラス張りの窓から流れる雲を見上げた。

 

やがて着替えを済ませたなのはがタオルを肩にかけて現れた。

巧はいつも通り高価な器具をただの椅子として使っている。

それを背後から眺めるなのははもうその正面に不機嫌は居座っていないことを確かめほっと安堵し近づいた。

 

(なんで私の方が気を遣わないといけないんだろ。)

 

元はと言えば巧のせいである。 その上こっちは危うく病院の世話になるところだったのだ。 なのはの心に一抹の不満が浮かぶ。

 

「ま、いっか。」

 

それでも流してしまうのがなのはという人物が持つおおらかさだ。

なのはは依然として雲を見上げる巧の横に座る。

 

「暇だね。」

 

巧が雲を見上げる時は手持ち無沙汰な時である。

するとなのはの予想通り、口を開いた巧の語調は心底退屈そうであった。

 

「海なんて行くよりかは楽だけどよ。なんでこんな何も無いところで缶詰喰らわにゃなんねぇんだよ。」

 

「そんなに泳ぐのが嫌い?」

 

「泳ぐのは好きだよ。」

 

巧は海嫌いの理由をなのはに打ち明けた。

巧曰く、塩水に浸かるという行為そのものが面倒だという。

 

「まず海の水は辛いだろ。」

 

辛いとは主に関西地方で言う「しょっぱい」と同意味な方言で全国を放浪していた巧に自然に身についた方言かぶれである。

うんと返すなのはに巧は続ける。

 

「そんで塩だから海から上がったら真水で洗い流さないと気分が悪いだろ。」

 

「そうだね。」

 

なのはは幼少期。 まだ肌が弱い時に訪れた海で乾いた塩水に軽くかぶれて痒みに襲われた事があるため頷く。

 

「それに着替える場所とかの不便もある。」

 

全国の海水浴可能な砂浜に全て十分な脱衣所が有るとは限らない。

 

「もし外で物陰に隠れて着替える羽目になったら靴脱いだりする時に足裏にいちいち砂が張り付いたりで鬱陶しいしな。」

 

そう言い巧はとりあえず口を閉ざした。

それを見計らいなのはが尋ねる。

 

「だから海が嫌なの?」

 

幼稚ではあったが理由としては十分に首を縦に触れるものである。

暇つぶしの意味もありなのははこの話題を続けるつもりであった。

そして巧は首を横に振りながら暇を潰した。

 

「臨海学校とか、行事で行く海が一番面倒くせぇ。」

 

「どんな感じで?」

 

巧にとって最も心ざわりの悪いものらしく力を込めて憎々しげに吐き捨てるのをなのはも少し熱の入った目で動向を見守る。

 

「小学生の時に行事で海に行ったんだよ…」

 

言葉足らずをそのまま進めようとする巧になのはがあっと漏らす。

 

「もしかして潮干狩り?」

 

「おう、なんで分かったんだよ。」

 

「だって小学生で海に行く行事なんて潮干狩りくらいじゃない?」

 

「多分な。」

 

巧はそれだけ言って補足を踏まえてから脱線した流れを修正した。

 

「そんでよ、俺らはそこまで学校から歩いて行くんだぜ。」

 

「あ〜私も歩いたよ。海近かったから。」

 

「修学旅行の時はバス使う癖に何でああいう時は歩きなんだろうな。」

 

「そりゃあバスってお金要るもん。それに歩いたってことは近いってことでしょう。」

 

態々数キロそこらの海まで行くのに使うのはせいぜい自家用車までだ。

バスなんてチャーターするものではない。

しかし巧ははなから納得するつもりは無くふん、と吐き捨てた。

 

「バスで行けばな。なん十分汗だくで歩いてやっと海に着くわけだ。」

 

「そっからも何かあるの?」

 

「おう、やっと水ん中に入って涼めると思ったのにセンコーにクラスごとに並ばされてクソ長い話を聞かなきゃならないんだよ。」

 

「でもそれって大事な事だと思うよ?」

 

点呼だとか海の危険だとか教師は確認しなければならないだろう。

今は休憩中だが指導員をしているなのははそう巧に述べた。

 

「でも暑いだろ。」

 

ハッキリと嫌悪を告げる巧になのはは笑った。

 

「それで服は脱がずに汗だくのままジュースも買えずに歩いて帰るんだよね。」

 

「ああ。」

 

「たしかに面倒くさいね。でも友達と貝の大きさ競ったりそれはそれで楽しかったけどなぁ。」

 

「見せ合いっこするような奴なんていねーよ。」

 

「あらら。」

 

なのはが笑い巧にも笑みが生まれた。

誰もいない涼しい部屋が夏の猛暑とは別の要因で暖かくなった気がした。

 

居ないはずの一学年。

それを迎えるのも勿論居ないはずのイレギュラーが相応しい。

 

ガチャリ…

 

扉の開閉音にドキリとする2人。

一学年である2人が使われていないトレーニングルームに入り浸っていたのはなにも涼みに来ていただけではない。

学園側にバレたら一大事な我が身を隠すためである。

思わず身構えて固まる巧と即席で認識阻害の魔法をかけようとしたなのはは歴戦の勘だからだろうか、香ってきた安堵の所為に一息とともに声を上げその人物を労った。

 

「暑い中ありがとうございます。」

 

イレギュラー。篠ノ之束は変装用のかつらとメガネで飾った顔でぶっきらぼうに言った。

 

「準備出来たから。」

 

その言葉とともに扉から離れて視界から消える束を2人は追った。

 

 

ーー

誰もすれ違わない。

授業が被る絶妙な時間を狙って天災篠ノ之束が用意した逃走経路を通りながら一同は言いようのない不安感を抱いていた。

特に魔法なりですべのあるなのはと違い一眼見られれば一瞬で正体が発覚しかねない巧はその細めた瞳で前後左右を注視している。

それに触発されたかなのはも塗装と断熱材と骨組みで出来た壁の向こう側からの通行人に気を遣って何となく先行する束の影に隠れている。

しかしそんな気遣いと緊張をするのは2人だけのようで前を行く束は変装のためかそれとも生来の図太さからかは2人には不明だが今はそんな無神経もも気を紛らわせる。

それでも止まないソレに流石の無神経も手に取れるものがあったのか前から素っ気ない声がかけられた。

 

「大丈夫。」

 

言い終わると直ぐに先々へと行ってしまうのを少し止まった状態で見送る2人は顔を見合わせる。

 

「気遣われたのかな?」

 

「さあな。」

 

小声でやり取りをする2人は再び束を見てからもう一度目を合わせて肩を竦めた。

 

「遅れないで。予定が狂う。」

 

少しきつい声に慌てて足を速めた。

速めた足は幸い途中で遭遇による停止はなく不安視していた割にはスムーズに文字通り最後の関門へとたどり着いた。

 

これまでも秘匿性を重んじる必要があった彼らが何とか潜り抜けてきた学園の門と在住する職員はそれまでと同じ攻略法で機能を奪われていた。

見上げる先にある監視カメラは例により2つとも電源を落とされており内と外を見張る本来無休な筈の無人の目は数日ぶりの休みを満喫していた。

有休な管理人もこちらは交代制なため同一人物かどうかは知らぬがそれでも門は休みを頂いていた。

 

「駅は普通だから。」

 

束が門を素通りしながらそう言う。

二度目の説明は少し優しさにかけたがそこは経験積みだ。

以前と同じように「そうゆう風に」繕った3人は今日も通常営業である駅員たちの目を掻い潜り無事に無人の車内の同じ座席に陣取った。

再びむしっとした空気から解放され巧は息をつく。

10分もすればこれも再び元の木阿弥(もくあみ)である人工物と自然物の混じり合いの気温になるのだが取り敢えず落ち着いたことで生じた暇と余裕からリニスの時と同じく何事も無しに切り出していた。

 

「んで、なんで俺らは臨海学校をサボることになったんだ。」

 

巧の問いかけは未だ黙したままで腕を組む束に向けられていた。

 

「私も聞きたいです。実は結構楽しみにしてたんで…」

 

どうやら真相を知りたいのはなのはも同じ様子で巧の質問にいち早く反応して束に詰め寄る。

 

実はこの騒動の間違いなく中心人物てある2人は自分たちのズル休みの理由や方法もまるで知らなかったのだ。

彼らがしたのは前日に束に連絡を貰いその日のうちに校舎のトレーニングルームに移り一日寝泊まりしただけである。

肝心なことは何一つ知らないのだ。

 

すると顔だけ上げて束がアクションを起こす。

 

「それはごめん。でも花月荘自体には行くよ。」

 

キョトンと小首を傾げるなのはに束は続けた。

 

「まず君たちをどうやって休ませたのかは、ここ最近海外から飛行機とか船とか経由して入ってきた新種のインフルエンザの事は知ってる?」

 

こくりと2人は頷く。

まだメディアでも大きく取り上げていない程発生件数の少ない事例だがIS学園はその手の話題には敏感だ。

それぞれ担当教員から聞き及んでいる。

 

「なのはちゃんはそれに感染したって事にして私が保護者名義で申請した。」

 

成る程となのはが頷く。

それと同時に今度は巧が首を傾げた。

 

「…俺は?」

 

束はすぐに答えてくれた。

 

「ちーちゃんだよ。」

 

巧は目を丸くした。 にべもなく聞く。

 

「千冬さんからはなんも聞いてないぞ。もしかしてあんたの差し金か?」

 

睨む巧に今日初めて束がフッと笑みを浮かべた。

束は首を横に振る。

 

「うんにゃ、ただ時間が無かっただけだよ。学園のすべての関係者にはバレちゃいけなかったからね。」

 

「タイミングも考えて準備とかも無くて昨日の申請も正味ぶっつけ本番で済ませて成功したようなもんだからさ…報せる時間なくてね。」

 

悪戯っ子のような笑いを含ませながら束はメガネをクイっお上げる。

 

「ちーちゃんは私より大変だったろうから乾くんにも言えなかったんだろうね。」

 

取り敢えず仮病の経緯は聞けた。

次は目的だ。

しかしなのはが言う前に巧は噛みついていた。

 

「んで?」

 

「ん」

 

束は分からない。 しかし不機嫌である事は知ったようで珍しく気をつかう。

 

「…ごめん、なにかな?」

 

そのお陰でか巧は特に爆発とかせず(不機嫌なのは変わらず)に質問の全文を教えた。

 

「なんでトレーニングルームなんかに押し込んだんだよ。」

 

あ〜、と束が手を打って思い出したかのように笑う。

若干眉間に皺を寄せる巧の理由はやはり寝心地が悪かったからであろう。

なのはも取り敢えず暑がりな巧を説得し体に悪影響の無いくらいに冷房を調節してふかふかベッドをベンチプレスの台で代用した所為でいつもより眠り難かったから分かった。

束はニヤニヤとしながら答える。

 

「あ〜のね〜……やっぱインフルだし、全寮制なら即帰宅事項じゃん?」

 

何故か歯切れが悪い束。

ぽりぽりと頰をかく。

 

「でも2人とも家無いじゃん。」

 

異世界人である2人には基本的に住所不定で出生不明だ。

勿論家なんて無いしアパートを借りようにもそういう類は大体身分の証明が必要となる。

なのはは束の巧は千冬の尽力のお陰でIS学園にて身分を手に入れ暮らしている訳だがそれはあくまで仮のしかも限定的なものであった。

 

「それでもネカフェとかカプセルくらいならなんとか誤魔化し効くかもだけど〜やっぱりもしもの時ってあるじゃん?」

 

もしそこでトラブルになれば学園側に知られることとなる。

 

「それに帰宅届けとか必要なカルテとか色々めんどくさいし…」

 

「あ?」

 

「いやなんも?」

 

ということで、と束は締めくくった。

 

「取り敢えず普段授業とかで平日午前中は利用者がいないそこを選ぶことにしたんだ。」

 

以上がズル休みの仕組みの部分である。

なのはが分かりましたと説明を咀嚼し改めて聞いた。

 

「なんでそんな事をしたんですか?」

 

「うん…」

 

刹那の意図せぬ束の言葉の節で使われた息継ぎが予期せず緊張を生んだ。

 

 

「襲撃に備えるため2人は自由が利くようにしたかったんだ。」

 

嫌な汗が流れた。

 

 

ーー

 

「襲撃?」

 

2人が同時に言った。

束はいつになく真面目なテンションで答えた。

 

「ISは全てコア・ネットワークって奴で繋がってて束さんには手に取るように状況分かるって話は一度したよね?」

 

なのはは勿論巧も聞かされていた。

開発者である束は全世界のISの記録情報を全て網羅することが出来るのだ。

 

「そんでアメリカとイスラエルが合同で開発してた第三世代の銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)って軍用ISがあるんだけどね。」

 

そこにきて「えっ」と声を上げるのはなのはだ。

なのはは確認するように軽く話に入ってきた。

 

「ISって軍事利用禁止ですよね…」

 

「約束破る人なんて何処にでもいるんだってこと。」

 

かつての犯罪者達を思い出して黙ってしまうなのは。

しかし今掘り下げるべきなのはそこでは無いため束に譲る。

 

「最近それがネットワークから外れた。」

 

静かにふつふつと上がるものを抑えるように束が吐き出す。

ISは束にとっては娘同然だ。

無断で弄られるだけでも本来なら不本位な所をスカリエッティにより仕方なく認め、そして今回の身勝手な使用法は完全に束の神経を逆撫でしていた。

その怒りを押し込めるのは偏に目的の重要性が高いからだろう。

巧となのはも黙って次を待つ。

 

「最後の記録ではその福音は丁度今日の午後2時に箒ちゃん達の居る花月荘に向かうって記してあったんだ。」

 

驚きの代わりに冷静な緊迫がなのはと巧を襲った。

 

「だから俺らで迎撃ってことか。」

 

「いや、違う」

 

巧の言葉を遮ったのは束だった。

混乱に少し緊迫が弱まる。

束はなんとなしに言った。

 

「ISの暴走だけならこの世界の問題だから君らに迷惑かける気は無いよ。」

 

それは束なりの気遣いだった。

目を丸くする巧に優しい笑みを浮かべるなのは。

しかしそんな2人だがその脳裏と心は先程よりも冷静であった。

 

「つまり」

 

「その暴走の原因って」

 

巧が言いなのはが繋げた。 更に一息持って束が

 

「君たちサイドの問題なの。」

 

()()()()()サイドの、即ちそれはスカリエッティが福音の暴走に一枚噛んでいるということを示していた。

 

「確かなのか。」

 

「証拠の痕跡は沢山見つかった。魔法の痕跡もオルフェノクの痕跡も…まるで見つけて欲しいみたいにね。」

 

質問の返答に巧は顎に手をやる。

スカリエッティ達の不気味さが読めなかった。

 

「リニスちゃんは念のため学園に残って貰って今はプレシアさんに先に花月荘で待ってもらってる。」

 

リニスを残したのはもしも福音の暴走が陽動であった場合取り敢えず頭に思いつく限りで一番関連が高いIS学園を見張らせるためである。

高ランクの魔導師であるリニスならば例えスコールクラスの敵でも渡り合える筈だ。

 

「2人はこれから福音の経路上にある2つの離れ小島にそれぞれ下ろして福音に同行してるだろう魔導師かそら豆軍団。或いはオルフェノクを倒して欲しい。」

 

「福音はどうすんだよ。」

 

束の話では確かに重要だがそれでは肝心の箒達の危険を排除し切れない。

巧の疑問に目の前の天災は少し力強く答えた。

 

「私が叩く。」

 

巧にも引っかかる認識阻害を持つ束の瞳はそれでも印象に残った。

「言ったでしょ。IS関係なら()()()()問題だって…」

 

走行音の少ないモノレールの振動小さくなっていくのがしっかり伝わってきた。

停車のアナウンスが流れ瞬間意識が横にズレる。

 

「せめてそこは責任取らなきゃね。」

 

束の浮かべた柔らかい表情の種類は正しく判別出来なかったがなのはと巧はそれが物凄く誇らしげに見えた。

 

モノレールが停まった。

 

 

ーー

 

青いのは光の反射である。

そんな事は高校生の一夏なら解っている事ではある。

聞き飽きた海に対する美意識。 それを表現する言葉やポエム。

多くの小説家や歌手までもがそんな小学校で習う光の屈折現象を言葉巧みに言い換えてセンチメンタルに浸っているのは不思議に思えた。

 

「海は広いな、大きいな。」

 

ふと浮かんだ歌が一夏にはそれの回答のようにしっくりきた。

多分海がとっても大きいものだからそんなに大げさに感情表現をするのだろう。

コップ一杯だけで起こる光の屈折に一々職業人が食いついたりはしない。

きっと途轍もなく大きい海だからこそ人が惹かれるのだ。

一夏は次にフォーカスを絞って1日目の自由時間を満喫するクラスメートを見た。

浅瀬や少し足のつかない所を悠々自適に楽しむ姿は本当にたのしそうだ。

 

おれも泳ごう

 

折角海まで来たのに泳がずぼーっと日光浴だけするなんて、それはそれで乙だが勿体ない。

起き上がり尻に付いた砂をパンパンと払い一夏は海に向かって足を進めた。

 

 

 

 

「いっちか〜〜!!!」

 

 

 

「ウミネコォ⁉︎」

 

勢いよく背後から飛びついた鈴音がそれなりに鍛えてある足腰を揺らす。

なんとか耐えた一夏は丁度肩車のような体勢ではしゃぐ鈴音に固定された首の代わりに目を回して抗議をあらわにする。

 

「おい鈴あぶないだろ。」

 

「うっさい。良いじゃん受け止めたんだから。」

 

先程のご機嫌を少し不機嫌に変えて反論する鈴音は本当に気まぐれな猫のようだった。

 

「降りろよ。」

 

「一夏、あれ見える?」

 

聴いていない。

肩車によって高くなった低身長で変わった景色を満喫する。

 

「こういうのは乾くんとかにしろよ。あいつの方が背高いんだから。」

 

「ばっか居ないじゃないアイツ。」

 

「それに一回今みたいに肩車させたら酷い目に遭ったもん。」

 

「なんかあったの?」

 

少し不機嫌な鈴音が気になって一夏は文句も忘れて話を掘り下げる。

頭の上で鈴音が忌々しげに声を出した。

 

「一昨日の夜、寮でアイツ見かけたから飛び乗ってみたらそのまま扉のへりにぶつけられたのよ。」

 

うわあ…、と一夏は想像して額をさすった。

 

「その後喧嘩してぇ…寮長が千冬さんだったからたっぷり絞られた。」

 

「ああ、一昨日なんか騒がしかったのってそれか。」

 

「うん。」

 

スッカリ肩車については気にしなくなった一夏はそのまま海まで散歩に出ていた。

するとやはり目立つのだろう。

寄ってくる人混みに茶化しやちょっと羨まれたりするのを少し気恥ずかしく思いながら海まであと数歩の所で本格的に捕まった。

 

「一夏、ちょっと良いか?」

 

呼び止めたのはラウラだ。

何故かラップタオルで身を覆っており隣のシャルロットがそれを見て満足げな笑みを浮かべているのが気になった。

 

「なによ?譲んないわよ。」

 

既に定位置に愛着を持っているのか睨む鈴音。

もし毛並みがあれば見事に逆立っていただろう。

ラウラはそんな鈴音を相変わらずの真面目顔でなだめた。

 

「いや、そこを君から奪う気は無いよ凰候補生。ちょっと織斑君に水着を見てほしいだけだ。」

 

「はあ⁉︎」

 

しかしその内容は鈴音の琴線を思いっきり踏んづけていた。

一夏も若干混乱しており鈴音は以前の首絞めの件もあり恨み込みで今にも飛びかからんとしている。

 

「大丈夫だよ鈴。ラウラは一夏をきみから取ったりしないから。」

 

代わりに止めに入ったのは傍観していたシャルロットだ。

柔らかい空気が張り詰めそうになっていた鈴音を和ませる。

 

「ラウラ元々一夏に水着を選ぶのを頼んでたんだけど一夏が断ってぼくが選んだんだ。」

 

「本当なの一夏?」

 

「ほ、ほんとほんと。」

 

何故か睨まれる一夏は慌てて下手なことを言わないように肯定だけをした。

あははとシャルロットが笑い続きを言った。

 

「で、折角選んだんだから一夏に見てもらおう、てぼくが誘ったんだ。」

 

ラウラがそれを肯定する。

事の推移は以上のようだ。

しかししこりが残ったのは鈴音だ。

 

「それでなんで一夏に見せることになんのよ…」

 

ジト目で文句を言う鈴音に今度は一夏が制した。

 

「いいじゃないか。元々は乗りかかった船だしおれもどんな水着になったのか気になるよ。」

 

一夏に認められては鈴音も大きく出られない。

頰を膨らませながらも引き下がる。

 

「かなり可愛いよ?」

 

「そうなのか?それは楽しみだ。」

 

シャルロットが茶化しながら一夏を焦らす。

対して面白く無さそうに頭の上でそっぽを向く鈴音。

当のラウラは期待度の高さに頭を掻きながらしかし直ぐにタオルの留め具を外した。

 

「あんまり期待されても困るが…これだ。」

 

おお〜〜っと一夏と周りの見物人から声が漏れた。

シャルロットがラウラにあてがった水着はなんとビキニであった。

黒い布地は派手さは無いが腰横のリボンや控えめなフリルが実に可愛らしい。

 

「さ〜ら〜に〜」

 

見とれる一夏に空かさずシャルロットが動く。

バッとラウラの長い銀髪を優しくしかし素早くまとめツインテールにしたのだ。

普段はクールで寡黙過ぎるため丁度いい塩梅となりあまり気にしなかったラウラの本来の可愛らしい容姿が際立った。

 

「いいな。」

 

掛け値無しの賞賛にいつのまにか遠巻きに見ていた他の一年達もそれぞれ好印象な感想を述べた。

 

「いいでしょー?」

 

「いいかなー?」

 

シャルロットが我が事のようにニヤケ、鈴音も口と表情では酷評しながらもラウラの可愛らしさは認めていた。

ラウラも流石に気恥ずかしくなったのか少々顔に朱を混ぜながらも満更でもない様子を見せた。

 

「それは良かった。呼び止めてすまなかったな。遊んでくる。」

 

「じゃあね。」

 

本当にただ見せびらかしたかっただけらしくアッサリとラウラとシャルロットはそれぞれ他の友人達の元に遊んで行った。

残った一夏は少し迷った次に再び海の中に鈴音を肩車して入って行った。

冷たい感覚が気持ち良い。

足首程度だった浅瀬も今や腰、胸、肩まで浸かっておりここまでくると鈴音も足が浸かっている。

そして一夏は自分が息が出来ない寸前になると足を止めた。

なんとなしに水平線を眺めている。

特にする事は無かった。

 

「なあ、泳ぐ?」

 

一夏が肩に担ぐ鈴音に聞いた。

頭に小柄な体重を預けながら鈴音は否定した。

 

「暫くこうしてる。」

 

「そっか。」

 

結局砂場で日光浴をしているのと殆ど変わらない静かな楽しみを2人は暫く満喫した。

 

 

ーービル街

 

何処かの街並みが広がる景色を遮る物のない故によく見える一面の窓から男は眺める。

 

「会長。」

 

もう1人の男がその男に声をかけた。

三十代そこらの東洋人。

村上だ。

 

よく見れば会長と呼ばれた男はかつては立場の逆であった男だ。

かつてシャルル・デュノアの正体が一夏に露呈した情報をその時は会長と呼んだ村上に報告した男が今は村上からそう呼ばれていた。

 

「村上社長。」

 

村上は社長になっていた。

相変わらず感情を読ませない。 それでいて不快に感じさせない程度の親しさで男は村上に話す。

村上はあの時と変わらず笑顔を称えながら男に対した。

 

「我が社の経営は順調です。」

 

会社の経過報告を村上は一言で済ませる。

本来ならもう少し具体的にすべきだろう所も村上はそれだけで済ませた。

しかし男がそれを咎める事はない。

 

「そうか…」

 

一言だけで男は片付けた。

しかしそれは不敬なわけではなく村上の狂気に触れないための最低限の発言だった。

村上は相変わらず笑顔を消さずに男を見る。

スカリエッティも笑顔が狂気を印象付けているが村上のはもっと静かで這い寄るような狂気だ。

スカリエッティが圧倒的な力で他者を飲み込むのなら村上は相手が気づかない所で静かに蝕んでいく。

男はそれを出来るだけ関わりを避ける事で防いでいた。

 

「では私は仕事が有りますのでこれで。」

 

そう言って村上は何もない部屋から退出をした。

異世界人の事を知る男はこの部屋が彼らにとっての隠れ蓑だという事を知っていた。

そしてこのビルからかれらが出る事はこの世界にとって良くない事である事を男は気づいていた。

気づいた上で男は黙ったままであった。

 

何もない部屋が今度はこの世界の住民であるはずの男を捉えていた。

 

 




たっくんとなのはさんはインフルに感染して自宅待機になりました。
しょうがないね。

※人気投票の開催。詳細は活動報告にて
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。