IS:ボンド   作:田中ジョージア州

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ついに原作開始となります。
これまでよく拙い文章に耐えた、ご苦労。 これからもずっと拙い文章だが、応援よろしく。


介入
1話 一夏入学


織斑一夏15歳。只今もっぱら緊張中。

「どうしてこうなった……」

思わずぼやいてしまったが、今はそれに恥じるよりぼやきたくなるこの状況を分かってくれる理解者が欲しい。というのも現在進行形で動物園のパンダ状態にされているのだ。観客は全員女、そこいらの私立校とは広さも設備も高級な教室、SF映画に出て来そうな机も全く目に入らない。教室に在籍する瞳の数だけ注目されるある種の責め苦に、そんなことまで全く気が回らない。

「どうしてこうなっちまったんだよ…」

再度、魂の底からの発言と共に机に突っ伏す。視線はそれでも緩まなかった。

 

IS学園

現在、世界でその権威を振るっているパワードスーツ、インフィニット•ストラトス。この学園ではISに纏わる様々な用途に対応出来る未来の人材を育成する事が目的とされている。

年を追うごとに受験者の数は増え、今では世界中から若き才能が集ってくる。海外展開する学園の試験場も、間に合わない程だ。倍率もえらい事えらいこと、教員も給料高いらしいし良いな〜程度にしか思っていなかった俺が間違っても入学出来るところではないのだ。

それなのになぜ俺がここにいるのかというと……まあ、かなり情けない話でね。

 

まあはっきり言うとね、試験会場間違って別の学校の試験受けちゃたんだ。

ハハハ、えっ受けない?受けなくても笑っときたい気分なんだよボケ。

ごめんボケは言い過ぎた。

 

兎に角おれが本来受けるはずだった『あいえつ』と『あいえす』の響きが似てたせいと会場案内をしていた女性が忙しさからか、俺の顔をシッカリと見ずに通してしまった所為で、えっ人のせいにするな?

じゃあこの生き苦しさは誰にぶつければ良いんだよバカ。息じゃないぞ、生きだぞ。

ごめんおれの自業自得です。ごめんなさい。

 

そんなわけで案内された通りに進んで入った部屋に足を踏み入れたんだが、そこで見たものの衝撃は差し迫った試験時間の事など頭から吹き飛ばしていた。

「IS…だよな、これ」

パワードスーツという位置づけだが、腕や足など本当に人体とは最小限の接点しか持たないISは、それ単体で置かれるとなにか味気がない。

 

何もない部屋にポツリと鎮座する姿を見て、少し興味が湧いた。なにせ世界でも500足らずしかない。しかもその中でも一般人が滅多に触る事なんて、それこそ下手すりゃこの試験くらいだ。

 

触って見たい。

 

この部屋に着くまでの通路で誰とも会わなかった事も手伝い、俺の足は自然と向かっていた。近くで見ると鎮座したISは意外に小さく、これが今世界で一番強い兵器と言われても信じられなかった。小学生の頃、地域民との交流の名目で校庭に止められた自衛隊の移動用の車両の重厚さと比べるとさらに信じられなくなる。「これが空を飛ぶんだよな。」

 

そう呟きながら細部を覗き込む。兵器と聞くとどうしてもコードとかボタンがブワーっとあるのかと思ったがISにはそんなもの一切ない。ただ金属の流線が外も内も続いている。

そこで辞めとけば良かった。

しかし興奮した俺に今更そんな抑えが効くわけもなく「手触りは如何だろうか?」なんて提案に抗う術はなかった。

ピカッ

ISに触れた途端先程まで物言わぬ姿だった機械が急に反応した。

 

「へっ?」

 

訳も解らず光に包まれた俺が光が収まった時に見たのは何時もより若干高くなった視点だった。混乱する俺の耳にドタバタと複数人の足音が届く。

後になって自分がここに相応しくない人間を通したと気づいた案内役の女性が、他のスタッフと共に慌ただしく部屋に走りこんで来た。

 

「きみ、こんな所入っちゃダメよ‼︎……エェっ⁉︎」

イヤ、入れたのアンタじゃん…そう言おうとした俺はおやっと思う。

女性達の様子が変だ。なにか信じられないものを目に映したような顔をしている。どうかしたのかと聞こうとした俺より早く、スタッフの1人が口にした言葉が俺の思考を貫いた。

「男が…ISを動かしてる‼︎」

……。

…………。

………………。

「ふぇ?」

そうして直ぐさま俺は精密検査としてその日1日、病院だか研究施設なんだかよく解らないところに放り込まれクタクタになりながら、しかし大人は待ってくれず。矢継ぎ早にIS学園への入学が決まった。しかも日本政府直々の決定だそうな。

 

 

「きみ春からここで生活してね。んじゃ」( ̄Д ̄)ノ

「ウェェェェェェェェェ⁉︎」Σ(0w0)

 

 

政府のお偉いさんに一言で済まされた時の衝撃といったらもう、疲れも吹っ飛ぶ大絶叫だった。

そして現在に至る。

相変わらず見られる視線の量は変わらず。しかし人間すごいもの、最初に比べれば幾分かマシになった。周りの環境に合わせて進化する。近代の文明の中でもこういう形で生命としての素晴らしさを体感できるのだから案外ここも悪くないかもしれない。

 

ハハハハ…えっ現実逃避するな?うるせぇアホ。

 

ガララッ

「おはようございます。」

するとここで救世主。ようやくショートホームルームの為に担任の先生が入って来た。緑色のショートにまとめた髪をした女教師。背は成人女性としては低く、大きな瞳とメガネ、そして幼い顔立ちも含めて教師と言うよりは普通に生徒として横の席に座っていても違和感がない。泣かれそうなので言わないが。

 

「初めまして〜今日から1年間みんなといっしょに勉強します‼︎山田真耶(やまだまや)です。みんな〜ヨロシクね。」

 

やっぱり子供っぽい。唯一大人の要素があるとすれば先程から動くたびになにかとボヨンボヨンと揺れるたわわに実った二つの女性の母性の象徴。

見た目と相待って非常にミスマッチ感が否めない。そんな考えなど知らず、山田先生はショートホームルームを進めていった。しかし肌に刺さる注目の視線は一向に止まず、俺はずっと気を張りっぱなしであった。

みんなは先生のお話はキチンと集中して聞こうね。

 

「……むらくん…織斑君‼︎」

急に耳をつんざく高い声。ずっと視線から耐えるため外界と神経を切り離していた俺にとってはダメージも大きく、思いっきりビックリする。目を向けるとすぐ目の前には目に涙を溜めた山田先生がオドオドしながら此方に謝罪してきた。

「ご、ごめんね。驚いちゃったかな?あのね、今自己紹介で…『あ』から始まって今は『お』りむら君なんだけど、自己紹介してるくれるかな?

ごめんね、ごめんね。」

今にも泣き出しそうな悲痛な表情で俺に頭を下げてくる山田先生に慌てる。

 

具体的に言えば頭を下げる振動で揺れ動く二つの母性に。

「い、良いですよ。すいません、すぐしますね。」

 

「ほんとう?大丈夫?怒ってない?」

 

「怒ってないですから大丈夫です。」

泣きそうな山田先生を必死にあやす。あれ、立場逆転してない?とも思ったが、取り敢えず自己紹介に移るため立ち上がる。一斉に視線も向くが、これは当たり前なので気にしない。

 

「初めまして…………」

 

 

 

(あかん、詰まった。)

トラブル発生。イキナリ言葉が出てこないという失態。自己紹介ってこんなに難しいものなんだー。やっべ、本当に真っ白でなにもでてこねーぞ。どうする一夏!?

 

必死に回らない頭で思案するもパニックになるだけでなにも出てこない。絶対絶命のその時だった。

(千冬姉…)

浮かんだのは俺のたった1人の家族。いつも俺の為に夜遅くまで働いてくれた自慢の姉。

姉の評価には、弟の俺の行動は常に影響してきた。

そうだ。千冬姉の名誉のためにもこんな所で躓けない‼︎

途端クリアになってくる頭、俺のこの発言に千冬姉の名誉がかかっている。失敗する訳にはいかない。

だから見ててくれ千冬姉。俺の‼︎自己紹介‼︎

 

 

 

「オ、オオ、オリムライチカデス。ヨロ、ヨロシク」ギクシャク

 

…………………。

ごめん千冬姉、無理だった。

辺りから投げかけられるえっ、それだけ?オーラ。うんそれだけだよ。

「以上です。」

ズコッ

一斉に転げ落ちる生徒たち。ノリいいな。思わず先程の失態も忘れて感心してしまう。そんな俺の頭目掛けて突如衝撃がはしる。

「うげぇ⁉︎」

あまりの威力につい、変な声が飛び出てしまう。一体なんだ?衝撃を受けた場所を抑えながら見上げると、そこには女性物の黒のスーツに黒のストッキングそして黒の長髪を後ろで纏めた真っ黒な。エンディング曲とともにゆっくりと延々歩いてそうなくらい真っ黒な人物が。この人は‼︎

 

「ち、ちふy……ブラック!!!」

スパーン

「違う。嬉しいが違う。」

 

そういえば世代的にどストライクだっけ千冬姉。

再び俺の後頭部に手に持つ出席簿での一撃を叩き込んだ姉は、呆れたように俺に向けて冷たい眼差しを向けてきた。

「自己紹介もまともに出来んのかお前は。」

「ち、千冬ね……」

言い終わらない内に再び振り降ろされる出席簿(鉄槌)。三度机に顔を叩きつける事となる。

 

「織斑先生だ。ああ、山田君、クラスへの挨拶を押し付けて済まなかったな。」

「い、いえ会議はもう済まれたんですね。」

 

さっきまでとは打って変わって顔を赤くして千冬姉こと織斑先生を見る山田先生。代わりに壇上に立った織村先生は凛とした声を威勢よく張り上げた。

 

「諸君 私が担任の織斑千冬だ。」

 

あっ山田先生が担任じゃなかったんだ。副担任かな?

「私の仕事は若干十五歳を十六歳までの1年で使い物になるまで育てる事だ。私の言う事は よく聞き よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。逆らってもいいが私の言う事は聞け ーーーーーいいな」

 

うわぁお斬新

 

軍の訓練学校で教官がいうような台詞だ。まあ確かにISの指導ということに限っては訓練学校のようなものだが、それにしたって言い方がある。

 

つい最近まで中学生だった少女達にこれはきつiー『キャアアアァァァァァ!!!!!!!!』ぐわあああああ!!!?

 

「本物の千冬様‼︎」

「私 お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」

「私は埼玉!」

「千冬様にご指導頂けるなんて嬉しいです!」

「私…お姉様のためなら死ねます!」

 

教室中前後左右から同時に発せられた同発音の、所謂黄色い声は箱型の教室に使用された特殊素材の壁や天井に跳ね返り俺を襲った。続いて各々が其々別のセリフを目の前の憧れの人に述べる。単発単発が融合しまくりさながらマシンガン、要するに聞き取れない。そして俺と違い慣れていらっしゃるのか教室中からの好意を受けても少し顔をしかめる程度で済ます織斑先生。

 

「まったく、毎度よくここまで馬鹿が集まるものだ。」

 

確かにあの人こういうノリは苦手だった。それにしてもなんの仕事か言ってくれなかったけどまさかIS学園の教師だったとは、

 

イキナリの女子校生活で動転していたが、予期せぬ身内の登場に俺の精神は少し養われた。

 

そして続いて来た通常授業にすべて奪われた。入学式に授業なんかやるなよ……

 

 

 

「ちょっといいか?」

遂に来た!これまで遠巻きに眺められていたが、ここに檻はない。そう今の俺は触れ合い小屋の小動物、休み時間になれば来ると思っていたぜ。だが舐めるな!名も知らぬ女子生徒。お前がどんな美人だろうと微動打にせずにクールに乗り切っていじられキャラのポジション回避してやる‼︎

「あれ、箒?」

「ここでは目立つ、廊下に来てくれ。」

 

廊下ー

少しは視線も減るかと思ったがそうでもない。これから3年もこんな感じだったら俺ノイローゼになりそう。唯一の救いはクラスメートに幼馴染がいたことかぁ、あ、そういえば。

 

「剣道の全国大会で優勝したんだってな。おめでとう。」

このまえ小さくだが新聞に載っていたのを見た。懐かしさと誇らしさで覚えていたんだ。

 

「な、なぜそんな事をお前が知っている。」

「新聞で見たんだよ。」

できれば試合が観たかったけどな。

「な、なぜ新聞なんぞ読んでいる!」

ええ……ダメなの?

 

なぜか箒さんの機嫌が悪くなっていく。ここは話題を変えよう。どうやら箒にとって新聞はNGワードらしいのでそれ以外の話題を

 

「久しぶり6年ぶりだな。すぐ箒だってわかったぞ?」

 

うんこれだ。というかこっちを言うべきだったな。さりげにご機嫌取りも忘れない。久し振りに会った友達に覚えられているのは誰でも嬉しいだろう。

 

「む、よく覚えているものだな」

「そりゃ幼馴染のことは忘れないだろう」

 

結構強烈なキャラしてるしな。箒は久し振りの再会に照れているようで顔が赤くなっている。

こいつもこんな可愛い一面見せられるようになったんだな。しかし、すぐに視線を厳しくして

 

「私もすぐお前だとわかったぞ!!」

同じ答え。

でも嬉しくない、てか恐い‼︎

なんで睨むのこの人⁉︎

 

千冬姉ほどではないまでも鋭い目付きに圧倒される。さっきまでの視線の方がまだマシだった。誰か助けて〜

キーンコーンカーンコーン

ありがとうチャイムさん!

 

その後なんとかその場を切り抜けた俺は次の時間。事前に配られていたISの参考書を古い電話帳と間違えて捨ててしまった事でまたちふ…織斑先生から雷が落とされた。

 

そして迎えたホームルーム。しかしこの学園は俺を休ませてはくれないらしい。クラス代表という言わば委員長のような役職だが、それを決めるための自薦推薦を始めた所、事もあろうか真っ先に俺が推薦されたのだ。慌てて取り消そうとしたが織斑先生は聞き入れてくれず、このままでは更に神経を減らしてしまう。しかし流れ的に自薦は期待できない。ここは誰かに恨まれようとも此方から推薦をしなければ、箒!あかん、凄い睨んでくる。どうしよう、実は殆どクラスの子の名前覚えてないんだよなぁ…

 

このままじゃ決まっちまう。

 

「他に推薦する者はいないか?………決まりか。」

 

ええい、一か八か。

俺は勢いよく立ち上がり、集まる視線にも今回ばかりは負けずクルリと後ろを向いて勢いよく指を突き刺した。

 

「きみを推薦する‼︎」

当てられた子がキョトンとするのを構わず次のフェイズに移る。

 

「お嬢さん、お名前は?」

「織斑…お前、推薦する相手の名前も知らなかったのか。さすがにそんな適当な推薦は…「勘違いしないで下さい先生。僕が聞いているのは下の名前ですよ。」なに?」

 

そう!これぞかつて日本国の首相である田中角栄が使用した人心掌握術。知らない相手に対して少なくとも苗字は知っている素振りを見せ、彼は部下達の信頼を勝ち取ったのだ。

「もう一度聞きます、貴方の名前…ファーストネームを教えて下さい。」

どうだ⁉︎

………………………。

………………………………。

………………………………………。

………………………………………………。

………………………………………………………。

………………………………………………………………。

………………………………………………………………………。

………………………………………………………………………………。

……………………………………………………………………………………。

「…セシリアです。」

おっしゃ来たー‼︎

「先生!セシリアを推薦します‼︎」

「……まあ良いだろう。いいかオルコット?」

「構いませんわ。」

乗り切ったー‼︎つい呼び捨てで呼んでしまったが助かったー。後はジャンケンか何かで決まるだろう。そこで勝てば……

 

「ではどちらがクラス代表になるか模擬戦で決めるとしよう。」

「え?」

 

は?模擬戦?

 

「ここはISの操作技術を学ぶところだ。良い訓練にもなるだろう。」

 

いやいや、そりゃ筋は通ってるでしょうけど。

 

「勝者が決定権を得る。文句はないな?」

ギロリ

うわっこわ。

箒とは比べものにならない鋭い眼光を向けられては言い返せない。だが、可能性はゼロではない。この子だってISに乗るのは入試が初めてなんだ。知識では負けるかもしれないがそこは気合でカバー‼︎そう意気込んでいると急にニヤニヤと含み笑いをした織斑先生が俺に告げてくる。

 

「良かったな織斑、代表候補生とやり合える機会なんてなかなか無いぞ?」

……(この描写しつこくてごめんね)ふぇ?

「代表、え?」

「なんだ知ってたんじゃないのか?オルコットはイギリスの国家代表候補生で、女子では唯一入試で教官を倒している。無論運で勝ったお前と違って実力でな。」

 

 

つまり……俺は振り返ってオルコットさんを見る。あっよく見たらスゲェ美人。

 

 

 

「オルコットさんって…メチャつよ?」

オルコットさんは艶やかな笑みを浮かべて、

「まあ、それなりには?」

あぁ俺終わった。

 

 




インフィニット・ストラトス本編の開始です。
一人称と三人称を使うので一夏の心境と他の文で「あぁこう思ってたんだ。」と思われるように頑張っていきたいです。

※人気投票の開催。詳細は活動報告にて
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