ロケット団員の襲撃に怯え切り、集団で「指を振る」を発動したピッピ達。
ツルハが伝え聞いていた通り、恐ろしい現象が起こった。
局所的ではあるが、立っていられない程の大地震。
そして数あるポケモンの技の中でも強力な「竜星群」。
ロケット団員達は命辛々逃げ出し、
スゥ達もメルティとファルナの力で何とか難を逃れた。
ピッピ達は強力な技を発動した反動で、疲労して動けない様子。
その危険な状況を作り出したダイチ。
彼はピッピ達の力を利用してスゥ達を陥れようとしたが、
無事な彼らを見て憎らしい顔をしていた。
「まさか貴様らがこれほど力を持っていたとはな。
・・・少々見くびっていた。」
ダイチはスゥに言う。
スゥは彼に向けて言葉を返す。
「ああ、みんな強くなったよ。
沢山特訓をして、タケシのイワークにも勝てるくらいにね。
もうこの子達の事をザコだなんて呼ばせない。」
彼の言葉に対し、ダイチは不敵な笑みを込めて
メルティに向けて言った。
「ククク・・・
確かに、リザードとピカチュウには驚いたぞ。
・・・それで、そのおこぼれにあやかろうとしてる訳か。
そこの『出来損ない』は。
自分の実力が上がった訳でもないクセに、
随分元気そうな顔をしてるじゃないか。
なあ、出来損ない。」
メルティはもうダイチの言葉に怯まない。
堂々と彼に言い返す。
「さっきも言いましたよね、ダイチ。
私は『出来損ない』なんかじゃないって。
メルティの言葉にダイチは苛立ちを持って返す。
「・・・その態度が気に入らない。
すばしっこいだけが取り柄の、ロクに勝てもしないザコが。
俺が一体どれだけ貴様のせいで苦しんだか・・・!」
彼の苦言を聞き、スゥは語気を強くしてダイチに言う。
「お前、本当にそればっかりだよな。
メルティから聞いたよ。勝てなかった原因を
この子ばかりに押し付けて・・・!」
「黙れ!!
貴様は運が良くて羨ましいことだな、強い、才能のあるポケモンを連れて。
さぞ自信もついて、やる気も湧くことだろうな・・・
そんな貴様に俺の気持ちが分かる訳がない!!」
ダイチはロケット団員になる前の、メルティと共に戦っていた時の事を
思い出しながら吐き出す。
まともに勝てず、周りのトレーナーからバカにされ続けた
惨めな思いを振り返りながら。
スゥは彼の気持ちも理解出来なくはないが、
やはり根本の考え方が間違えている気がしてならなかった。
「・・・ダイチ、お前は最初は優しい奴だったって、
メルティから聞いたよ。
いじけずに、メルティだけの責任にせずに、
この子ともっと強くなる方法を一生懸命考えなかったのか?」
「ハッ!
その出来損ないを強く・・・だと?
どう戦っても、ロクな決定打の無いソイツをか?」
ダイチはメルティを蔑んだ目で見ながらスゥに答える。
スゥはここまでの問答で、ダイチとのこれ以上の言葉のやり取りは
意味が無いと判断した。
「・・・ダイチ。
一度、正々堂々と俺と戦ってくれ。
俺はメルティを戦わせるよ。
本当に『どう戦ってもダメ』なのか、お前に見せてやる!」
スゥの言葉にダイチは妙な自信を感じ、苛立つ。
スゥの隣で堂々とした表情でいるポニータの様子も、
彼の苛立ちに拍車をかけた。
「一々カンに障る奴だ・・・
まるで『俺が使えば勝てる』とでも言いたげじゃないか。
・・・いいだろう、シュガー。
相手をしてやれ。そいつへの鬱憤を晴らすいい機会だ。」
ダイチはMープロトを取り出してシュガーを繰り出した。
「やっほー、『出来損ない』ちゃん!
あんたが逃げ出してからアタシ、寂しかったんだから~☆
・・・イジメる相手が居なくてストレス溜まったわよ、
ボッコボコにしてやるから覚悟しな!!」
シュガーは爪を鋭く突き出し、メルティを威嚇する。
メルティは消しきれない彼らへの苦手意識から、
僅かに後ずさりした。
彼女の様子を見たファルナが心配して提案する。
「メルちゃん・・・
私の炎を使わない?『貰い火』があれば・・・」
メルティはファルナの気遣いに感謝しながらも、
意を決して言う。
「ありがとう、ファルナちゃん。
・・・でも、私は私だけの力であの人に勝ちたいです。
私だって、みんなの立派な戦力なんだってダイチ達に見せつけたいんです!」
ファルナは彼女の気持ちを汲み、それ以上は余計な事を言わなかった。
ただ一言だけ、彼女に伝える。
「わかった・・・
メルちゃん、頑張って!」
メルティはファルナに振り向いて笑顔で答えた。
「ありがとう、ファルナちゃん!
・・・スゥくん、私はいつでも大丈夫です。
やりましょう!」
スゥはメルティの心の準備が出来たことを確かめ、
ダイチに合図した。
「ダイチ!勝負だ!」
「フン・・・下らんが付き合ってやる。
・・・シュガー、毒針だ。
出来損ないに身の程を分からせろ!」
「はぁ~い☆
食らいなさい!『毒針』!!」
シュガーは得意の毒針をメルティに連射する。
細い針が何本も放たれる。
月明かりに針が反射し、銀色の雨がメルティに降り注いだ。
「メルティ、躱すんだ!」
「はいっ!」
メルティは降り注ぐ毒針を、自慢の脚力で駆け抜けて躱す。
シュガーは走り回るメルティを狙い続け、毒針を放つ方向を変える。
「チッ、相変わらず逃げ足だけは立派ねぇ!
ほらほらほら、好きなだけ逃げ回りなさいよぉ!!」
「メルティ、火の粉で毒針を燃やしてスキを作るんだ!」
スゥは毒針から逃げ続けるメルティに指示する。
彼女は手のひらに火球を持ちながら駆け回る。
「くっ、火の粉!!」
メルティはシュガーが連続して放つ毒針に火の粉を投げた。
ボウッと音を立てていくつかの毒針が燃え尽きた。
連続した毒針の筋が、部分的に途切れる。
「キャハハッ!!
何々?全然相殺出来てないんですけどー!
もっと走りなさいよ!」
シュガーの隙を突ける程の火力がメルティには無かった。
逃げの一手の彼女を見てダイチはほくそ笑む。
「フン・・・これだ。
結局何も出来なさそうじゃないか。
シュガー、時間の無駄だ。
アイツの動きを止めろ、『毒菱』だ!」
ダイチの指示を聞いてシュガーは残念そうに答える。
「はぁーい、もっと追い回して遊びたかったんだけどね☆
行くわよ、『毒菱』!!」
シュガーは一旦毒針の放射を止めた。
そして彼女の爪から紫色のモヤが発生し、結晶を成す。
それを地面に放った。
鋭く尖った、毒を帯びたまきびしが地面に大量に突き刺さる。
踏み抜けばダメージを受けるだけでは済まない。
足から毒が染み込み、体の自由が利かなくなってしまうトラップだった。
メルティは危うくその毒菱を踏み抜きそうになり、大きくジャンプした。
「くっ、毒菱・・・!
スゥくん、逃げ場が無くなってしまいます!
どうしましょう!?」
メルティは毒菱を避けながら、
再びシュガーの撃つ毒針から逃げ回っていた。
シュガーは毒菱をデタラメに投げ続け、メルティの逃げ道を絞っていく。
次第に追い詰められていくメルティを見て
思わず体が動き出しそうになるファルナとピコ。
しかし、彼女の「自分の力で勝ちたい」という意識を無下にしないよう
グッと堪えて見守っていた。
「やっぱり火の粉だけじゃ厳しいか・・・!
メルティ!まだ試してないけど、『アレ』をやろう!」
スゥは戦況の悪化を見てメルティに指示した。
『アレ』とは、メルティをピコ達と戦わせた後に彼女と考え合った技であった。
エコーと戦った時の『壁蹴り』もその一つであるが、もう一つ、彼らは試すべき技があった。
メルティはその言葉に答える。
「分かりました!」
彼女は脚に力を込め、大きく跳んでシュガーから距離を取った。
毒針が届きそうにない距離に逃げたメルティを見たシュガーは舌打ちしながら言う。
「チッ、アンタって逃げてばっかりよねぇ。
いつもいつも!
そのクセしてアタシらに文句ばっか、そういう所がムカつくのよ!!
ザコならザコらしく引っ込めっての!」
メルティはシュガーの言葉を受けて、ただの野次だとは感じていなかった。
・・・正直な所、彼女も自分で薄々感じていた内容であったからだ。
今まで、彼らと真正面からぶつかる力も無く、ただダイチの悪事に口出しする事しか出来なかった。
悔しいが、シュガーの言う通りいつも逃げ腰の姿勢で彼らと付き合ってきたのだ。
しかし、今は・・・
「っ・・・シュガー、あなたが言う通りです。
私、あなた達が怖くて、戦ってもどうせ負けるからって、
ずっと逃げていました。
そしてダイチからも・・・
でももう逃げません!!
・・・私の全力、見せてあげます!!」
メルティは右足の蹄鉄を左の踵にコツンと当てる。
すると火花が散り、ボウッ!と右足に炎が纏う。
同じように反対の足にも炎を灯す。
そして手のひらに火球を持ち、腰の帯に燃え移らせた。
メルティの腰の帯に纏う炎が、円型に回転しながら燃え盛る。
その姿を見たシュガーは目を見開いて楽しそうに言う。
「へぇ、アンタそういう事出来るんだ。
なんか見た目はカッコいいじゃん。
・・・かかってこいやァ!!!」
大きな声で啖呵を切るシュガー。
正面から見据えてくるメルティに、闘争心が湧いていた。
「スゥくん、みんな!
見ていて下さい!!」
そう言ってメルティは毒菱が撒き散らされた地面に向かって
全速力で駆け出す。
彼女が足に纏う炎。
毒菱を踏み抜く前に、その炎が毒菱を焼き尽くす。
今の彼女には、毒菱は何の意味も為していなかった。
そして一直線にシュガーに向かって走る。
腰の帯で回転している炎が、彼女が走る軌跡を螺旋状に彩る。
ダイチは毒菱を物ともせず駆け抜けるメルティを見て驚愕した。
「な、何だと!?
何だその技は・・・!」
シュガーは既にダイチの声は耳に入っていない。
意識を接近してくるメルティに集中し、真正面から『二度蹴り』を放つ姿勢で構える。
「来たわね・・・力比べよ!!」
「勝負です、シュガー!!」
メルティはシュガーが射程距離に入った途端、体を回転させながらシュガーに向かって飛びかかる。
回転する炎が、その勢いを手助けする。
体の回転に加え、更に腰のひねりを使って全力で『炎の蹄鉄』を振り出した。
スゥはメルティと声を合わせて叫ぶ。
「いけーっ、メルティ!!」
「はぁーっ!!」
『火炎車!!!』
「ナメんじゃないわよ!!『二度蹴り』!!」
メルティとシュガーの脚が激しくぶつかる。
強烈な衝撃波が発生し、2人は堪らず弾け飛んだ。
「きゃあっ!!」
バランスを取る余裕が無く、地面に叩きつけられるメルティ。
同じくシュガーも大きく放物線を描いてふっ飛ばされ、地面に倒れた。
「メルちゃん!!」
「メルねぇ!!」
ファルナとピコが彼女の名前を叫ぶ。
メルティはそれを聞いてよろよろと立ち上がった。
「っく・・・!
しゅ、シュガーは・・・?」
彼女は遥か遠くで倒れるシュガーを見て呟いた。
ダイチは倒れたシュガーを見下ろし、呆然としている。
「う、うぐっ・・・・
あ、アハハッ!!
やるじゃん、アイツ!!やられちゃったわ・・・」
シュガーは苦しんで立ち上がれていない。
しかし、妙に満足そうな表情で笑っていた。
ダイチは今の状況が理解できず、メルティに向かって叫ぶ。
「シュガーが力負けしただと・・・!?
そんな馬鹿な!!
ポニータ!
何故・・・そんな力があるなら、俺の時に使わなかった!!!」
メルティは呼吸を整えた後、
ダイチの近くに歩み寄り、語りかける。
「ダイチ・・・
私自身、こんな戦い方なんて思い付きませんでした。
あなたが言うように、私なんてどう戦っても『力不足』だと思って疑いませんでしたから。」
「な、何だと・・・?」
「だけど、スゥくんは考えてくれました。
力の足りない私が、何とかして強い技を使える方法を。
それが今の『火炎車』です。」
「アイツが・・・考えた・・・?
クク、クククッ!
そうか、今こそ恨み言を言いに来た訳だ。
『俺は何も考えず文句ばかりだった』
ってな。」
ダイチは自嘲している。
メルティは彼の姿を見て、キッと睨んで言った。
「ええ、そうです!!
あなたに文句を言わせてもらいます!
私たちポケモンは『この人の為に頑張りたい』って思うから
今より強くなれるんです。
もっとポケモンを『仲間』だと思って下さい。
私たちをただの道具や武器だなんて思わないで下さい!」
メルティはずっと溜め込んでいた言葉をダイチに言い放った。
その表情は、決して彼を蔑むものではなかった。
彼が今後考え直し、ポケモンと信頼関係を築けるトレーナーに
なって欲しいと願うものだった。
しかし、今はまだダイチには彼女の願いを汲み取る事は出来ないようだった。
「クッ!!
調子に乗るな、人間に使われる側の分際で!!」
そう言ってダイチは隠し持っていたMープロトをメルティに投げつけた。
一瞬怯んだメルティだったが、そのボールが当たっても何も起きなかった。
オーキド博士の言っていた「防御プログラム」が働いているのだ。
驚愕するダイチ。
「な・・・何故、何も起きない・・・?」
メルティは悲しそうな表情でダイチを諭す。
「・・・もう、そのボールは効きません。
私だけじゃなくて、ファルナちゃん、ピコくんにも。」
ダイチは全てが上手く行かなかった憤りを吐き出す。
「クソが!!!
お前ら、見ていろ・・・!
次は更に強力なポケモンを連れて、必ず借りを返してやる・・・!!」
そう言ってダイチは倒れたシュガーをボールに戻し、
スゥ達の元を離れていった。
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・・・彼が出ていき、ようやくおつきみ山に静かな時間が戻ってきた。
スゥ達はメルティの元に集まっていた。
それに気付いたメルティは、複雑な表情をスゥに向ける。
「スゥくん、ありがとうございました。
・・・ダイチには、私の言葉が届かなかったみたいです・・・」
スゥはスッキリしない表情のメルティの髪をクシャっと撫でて言った。
「メルティ、大丈夫。
何度でも、あいつが変わらないまま立ち向かって来たら
俺たちが戦って倒そう。
・・・きっといつか分かってくれるよ。
・・・
そんな事よりも、凄かったよメルティ!
火炎車、お見事だった!」
メルティはスゥの言葉に励まされ、明るい表情を取り戻す。
「えへへ・・・初めてです!
こんなに充実した気持ち・・・!」
「メルちゃん、カッコ良かったよー!!」
ファルナは興奮した様子でメルティに抱き着いていた。
「わぷっ!
ファルナちゃん!
ありがとう、見守っていてくれて・・・
ピコくんもありがとう。
心配かけちゃいました。」
彼女の言葉の後、ピコはファルナの肩に飛び乗って
メルティに顔を近づけて話した。
「ほんとに心配したよーっ!!
あんな凄い技が有るんだったら、先に教えてよ!
メルねぇがピンチになってる時、ボク泣きそうだったもん!」
涙目をしているピコに、メルティは申し訳なさそうに答えた。
「ご、ごめんなさい!
まだ『火炎車』は試した事がなくて、
みんなに言えなかったんです・・・」
ピコは彼女の言葉を聞いて、むくれて言う。
「むぅ~、だけどあんなに上手に決まってたじゃん!
何だかんだで自信有ったんでしょ、メルねぇ。」
「あ、あははは・・・
はい、実は割と・・・」
メルティはバツが悪そうにピコに答えた。
そして、ツルハが抱えているエコーの方を向いて続けて言った。
「でも、自信を持てたのはあなたのお陰です。エコーくん。」
エコーは、思いも寄らなかった彼女からの感謝に戸惑う。
「キキッ!?な、なんで俺感謝されてるの!?
俺は何もしてないけど・・・」
少しツルハは考えて、思い当たる事が有ったようだ。
「あっ!分かった!!
エコー、あなたと戦ったからよ。
メルティちゃんが自信を持って『火炎車』を使えたのは。」
「キッ?どういう事?ツルハ。」
ツルハは答えが正しい事を確かめてもらうように、
メルティとスゥに向かって言った。
「火炎車って、凄い勢いで体を回転させてるじゃない?
その中で正確に相手を蹴り飛ばさないといけないのよ。
それって、凄い『バランス感覚』が要るのじゃないかしら。」
ツルハはエコーの頭を撫でながら、答えを言う。
「『どんな姿勢でも目を回さない練習』に、あなたが付き合ってあげたのよ。
そういう事でしょ?メルティちゃん。」
メルティは笑顔でツルハに答える。
「はいっ!
エコーくんと戦う中で『壁蹴り』に慣れていなかったら、
きっと火炎車は失敗してたと思います。
ぁ・・・でも、エコーくんのお腹を思いっきり蹴っちゃってごめんなさい・・・」
メルティは済まなさそうな顔でエコーに顔を近づけて謝った。
彼女はエコーに勝った時、初めて勝てた喜びで浮かれてしまっていた。
すっかり彼の体を気遣う事を忘れてしまっていた事を、
今になって申し訳なく思っていた。
メルティに顔を近づけられたエコーは顔を真っ赤にして、
慌てて答える。
「キ、キキッ!!
だ、ダイジョウブです!!
お姉さんの役に立てて良かったです!!」
「ふふ、ありがとうね。エコーくん。」
メルティは彼の答えに安心し、柔らかい笑顔で改めて礼を言った。
「は、はい・・・!」
エコーは上ずった声を上げ、顔の前で翼をパタパタと振っている。
その様子をニヤけた顔で見るツルハ。
「あらぁ?エコー、どうしたのかしら?
顔真っ赤にしちゃって。
てっきり文句の一つでも言うと思ってたのに。
ふふふ♪」
「あ、あうあう・・・」
ツルハの言葉に口ごもるエコー。
メルティの顔立ちは、控えめに見ても『美人』の部類に入る。
そんな彼女に顔を近づけられ、彼は心穏やかでいられないようだった。
ツルハは初めて見るエコーの照れた様子に、
もう少しからかいたい気持ちが湧いたようだ。
彼女はスゥにしたり顔で言う。
「ふふん、スゥ!
エコーに感謝しなさいよ!
この子、多分メルティちゃんにいい所を見せたくて
頑張って『超音波』を出してたんだから!」
「ちょ、ちょっとツルハー!」
エコー達の話を聞いていたスゥ達。
彼らはあまりエコーをからかうと気の毒だと思い、真面目に答えた。
「ま、まあ理由はともかく!
本当に助かったよ、エコー!ありがとう。」
「エコーくんのお陰で、あんなに大勢の相手を倒せたよ!」
「んにっ!ちょっとボクまでクラクラしたけどねー。
でもありがと!」
三人の感謝に、エコーは満足気に言う。
「キキキッ、みんな見直したかー!
俺だってやれば出来るんだ!」
・・・まだその件について感謝を述べていないメルティ。
彼女は、優しく微笑みながらエコーの頬を撫でて言った。
「私たちを手助けしてくれて、ありがとうございました♪」
「キッ!!キュウ~・・・」
エコーは頭から煙を出しながら、目を回してしまった。
メルティにとっては、感謝を込めてサービスしたつもりであったが、
エコーには刺激が強かったようだ。
二人の様子を見ていたスゥ達とツルハは皆、
顔から汗を流していた。
ファルナが皆の気持ちを代弁してメルティに言う。
「め、メルちゃん・・・
もしかして、結構いたずら好き・・・?」
ファルナの言葉に、メルティは指を口元に当てておどけて笑う。
「ふふふっ、どうでしょうか♪」
・・・何はともあれ、メルティは皆のお陰で
随分と自信を取り戻せたようだ。
おつきみ山編も残り僅かです。
ようやくメルティにも強力な技を使わせてあげられました。
火炎車のシーンは個人的にかなり書きたいシーンでしたので、
本話はハイペースに書き上げられました。