第一問 こうして、俺のFクラス行きが決定する。
「ふぁ〜〜」
俺こと比企谷八幡は目を覚ます。
今日は、俺が通う学校、文月学園の、進級テストがある。進級テストとは、文月学園のみで行われるテストであり、このテストの結果によって文月学園に存在する
多分俺は、多く見積もってもBクラス以上には入れるだろう。
そんなことを考えていると、俺の部屋のドアが開く。
「八幡、起きてるー?」
「ん?優子か、おはよう」
こいつの名前は木下優子。俺の幼馴染の少女であり、同じ文月学園に通う同級生だ。優子は俺より頭がいいのでAクラス入りは絶対だろう。優子とは、家が隣同士で、昔から仲がいい。毎日のように朝俺の家に来れば、朝ごはんを作って起こしてくれる。
「もう朝ごはんあるわよ」
「おう、今行く。んで、秀吉は?」
「下にいるわ」
「わかった」
木下秀吉。もう一人の俺の幼馴染にして、優子の双子の弟だ。女のような顔立ちをしている。
「もう私たち食べ終わってるから先に学校行っちゃうわね」
「了解」
俺を置いて行っちゃうんだなあと思いながらも、俺は下に降りた。
─×─×─×─
俺は、優子が作ってくれた朝飯を食べて、作り置きしてあったお弁当を手に取り家を出る。
振り分けテストの復習はそれなりにやったつもりだが、数学が不安だ。優子から、勉強を教えてもらっていたにしても、数学だけは不安である。
俺の予想だと、俺がB、優子がA、秀吉がFだろうと思っている。
……秀吉に関しては姉に全部持っていかれた感が否めないが、多分秀吉の方ができるやつが一杯あるだろう。例えば歌などは、優子のは聴いていられないレベルである。
そんなことを考えていた俺は、ふと立ち止まる。信号が赤だから当然っちゃ当然なのだが、俺はついつい見てしまった。
横断歩道のど真ん中に立つ犬を。中学時代にも、この光景を見たことが一度だけある。あの時は、アホな飼い主が犬のリードを離してしまったことだ。俺は無意識に走り出して
ガン!そんな鈍い音と、犬の鳴き声が聞こえた気がした。
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バカテスト 数学
【第一問】
問 以下の問いに答えなさい。
『2x^2yー4xy^2を因数分解しなさい。』
木下優子の答え
『2x^2yー4xy^2=2xy(xー2y)』
教師のコメント
正解です。特に言うことはありません。
木下秀吉の答え
『2x^2ー4x^2=2x(xー2)』
教師のコメント
君はyに何か恨みでもあるんですか。
比企谷八幡の答え
『 』
教師のコメント
数学だからって諦めて埋めないのはやめましょう。
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「─────ちまん!は────ん!」
「────────────八幡!」
「ん?」
見知らぬ天井。俺の天井を見る視界を遮るのは二人の天使………じゃなくて、優子と秀吉が俺を覗き込むように見ていた。(いや、確かに天使なのだが)
「お、起きたわね⁉︎」
「ワ、ワシがわかるか?」
「……ひ、秀吉と優子だろ?」
俺はベッドから起き上がろうとすると、足に激痛が走り、つい「いっつ……」と声を漏らしてしまう。………中学の時もこんな感じだった気がする……。
「八幡。じっとしてて足を折っちゃったみたいなの」
「退院は明日らしいから、それまでじっとしているんじゃぞ」
「わ、わかった」
俺はもう一度ベッドに横になる。そして、それと同時に俺は重要なことを思い出す。
「……なぁ、俺の振り分けテストって……」
「なしよ」
「Fクラス決定じゃの」
「…………ん?聞こえなかった。もう一度言ってくれ」
「再テストはなしよ」
「Fクラス決定じゃの」
「嘘………だろ⁉︎」
「「本当よ(じゃ)」」
はぁ……。結構勉強は頑張ったんだがな……。この事故のせいで俺は
「……秀吉。一緒にがんばるか」
「何でワシがFクラス確定みたいな流れになっておるのじゃ⁉︎」
「いや、あんたはFクラス確定でしょ」
「何を今更言ってんだよ。秀吉」
「あぁあ‼︎ もううるさいのじゃ‼︎ あ、」
突然、秀吉が何かを思い出したような顔をする。
いや、いきなりどうした。口をポカンと間抜けに開けて。まぁ、なんか可愛い気もしなくはない。ていうか可愛い。
「八幡」
「?……どうした?」
「そういえばさっき明久から聞いたのじゃが───────明久も姫路さんもFクラス確定だそうじゃ」
「…はぁ⁉︎姫路が⁉︎」
俺はついつい大声を出してしまう。
姫路瑞希───Aクラス相当の頭脳を持つ少女。
吉井明久───学年一の大バカ者。
今のを見ればわかるだろう。姫路という少女は頭がすごくよく、通常なら余裕でAクラスに入れるであろう頭脳を持っているはず。学年2位を維持するだけあって学年次席は取れたはずだろう。
「…
「明久が言うに、熱で倒れたらしいのう。それで倒れた姫路さんを保健室に連れていくために……とか言ってたのじゃ」
「熱ならしょうがないな……」
「そうじゃの……」
「ねぇ、私も会話に入れてくれる?」
俺と秀吉の会話に優子が入ってくる。そういえば忘れてたな……………。
「てか、優子がそんな素直に言ってくるなんて………」
「姉上も成長したのう………」
「そ、そんくらいはできるわよ」
あ、やべぇ、お怒りになっておられる。
「それじゃあ、八幡。また明日くるから姉上は頼んだのじゃ」
「お、おい。待て秀吉。お、おい!」
「は〜ち〜ま〜ん〜」
「お、おいちょまって、お願いだから!」
その日、この病室からは、恐ろしいほど長い悲鳴が聞こえたという。
。。。
文月学園、1年生入学、2年、3年のクラス替え発表の日。俺は無事退院して、足の骨折も軽いものだったので、すでに治っていた。
桜が芽吹き、俺たちにとって2回目の文月学園の春が訪れた。
クラス振り分けについては俺はもうすでに諦めている。その理由はテストの日に交通事故にあったため、強制的にFクラス行きとなっているからだ。まぁ、一応同じクラスの奴らが気になるけど。
─×─×─×─
「比企谷、木下、木下、受け取れ」
木下2人いるんだから呼び方変えろよ。と思いつつ、今話しかけてきた先生・西村先生から封筒を受け取る。
この先生のあだ名は『鉄人』。
声がドス黒く、肌が浅黒い。そして、あだ名は趣味のトライアスランから来ているらしい。
「比企谷、今回は本当に残念だったな」
先生の言葉を聞き、俺は封筒を開け、中身に入っていた紙を見てみる。
『比企谷八幡……Fクラス』
俺の予想通りの文字が記されていて、秀吉と優子のを見てみると、
『木下優子……Aクラス』
『木下秀吉……Fクラス』
そう、記されていた。
こうして、俺と秀吉の最底辺のクラスでの生活が始まる。
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