「そんで漸く話は終わったか?」
俺たちの話が終わったところで骸骨マスクから男の声がカナメに向かって話しかけて来た。
「あぁ、丁度終わったところだ。そしてアンタには相談がある。まずはさっきの借りを返す。」
そう言ってカナメは骸骨マスクの膝の上に三つのリングを置いた。
「借りだぁ?情けをかけたつもりはねぇんだけどな。」
骸骨マスクが嫌そうに呟く。
「もしアンタが俺たちに敵対しないと誓うんなら、縄を切って銃を返してもいいぜ。」
「なんだ、そりャ?何を企んでやがる…と言いたいところだが要件はさっきの会話で分かってる。俺に手ェ組めってんだろ。」
表情はマスクで分からないが若干声が高ぶっているように聞こえた。
「察しがいいな。そんで返答は?」
「その返答をする前にまず俺の質問に答えてもらう。あのクソは本当にこのイベントに参加してやがんのか?」
声がまた低くなりこちらへ質問して来た。
「あのクソとはひょっとして王の事でしょうか。それなら間違いなく参加してますよ、私の“相棒”が直接見て来ていますからね。」
相棒の所で胸を張りながらそう答える。
気に入ったんだなその呼び方…。
「そうか、奴がホントに参加してやがんのか。…いいぜ、その即席クランの話俺も噛ませて貰うぜ。」
何かを思い返すかのように少しの間黙った後、そう言って承諾の返事をした。
そろそろ話は纏まったみたいだな。
「それじゃあこれから打倒エイスについて作戦会議といこうぜ。」
俺が話を区切って先へと進める。
「まずはアンタ顔のマスクは脱いでくれ。表情が見えないのはソロなら強みになるがチームプレイをする上では邪魔になるからな。」
「あぁ、分かった。」
そういうと男は骸骨のマスクを脱ぐ。
中から出て来たのは外人系のイケメンだった。
カナメもレインも意外なものを見た顔をしている。
「なんだよ?」
俺達が、呆然としていると痺れを切らし話しかけて来た。
「いや 何でもねえ…、ちょっと知り合いに似てたから…。」
カナメがそう言う。
「私は もっと凶暴な面構えを想像していたので。」
「ハァ⁈」
おいおい、レインはぶっちゃけ過ぎだろ…。
俺も思ったけど。
拗ねたのか又マスクをかぶろうとする。
「いや、今更かぶんなよ、話しにくいし。」
それをカナメが制す。
「それでこれからの話だけど、アンタ–」
「リュージだ。Dゲームではそう名乗ってる。」
リュージはカナメのセリフを遮りそう言う。
「ところで、俺以外の連中はどうした。そっちは戦力にしないのか?」
コイツ以外にもまだ生き残ってるやつがいたのか。
「あなた以外の方は私がそれなりに負傷させてしまいましたから、リング3個だけ渡して解放しました。」
どうやらレインの異能補助付きの射撃にやられたらしい。
「はっ、温情主義だなオイ。」
リュージがやれやれとそう言う。
「リングの数があったって目立って敵を引きつけるだけだろ。これでいいんだよ。」
確かにカナメの言う通り現時点でリングを持つのは敵に見つけて下さいと言っているようなものだ。
持っていられるのは襲われても平気なくらい強い奴か、チームを組んで集めてるやつぐらいだろう。
「そのリングですが結局残ったのは15個です、内訳はトパーズ8、ペリドット2、ラピスラズリ2、ルビー1、サファイア2、エメラルドとダイヤは0…合計で3800pですね。」
俺たちにレインが現在此処にあるリングを数える。
「約束通りヒイラギのオッサンに金額の半分は渡す、残りの半分は俺たち四人で分ける。」
おっとここは話をしておかなければいけない事が有る。
「いや、その分け方はやめてくれ。」
「やはり、私が貰うのも変な話だな、君が文句を言うのも当然だろう。今回は命があっただけでも運が良かったと言うべきか。」
ヒイラギさんが残念そうにため息をつく。
「いやいやいや、そういう事じゃないんだ。取り分に俺のはリング3個だけでいい、俺の残りの分はレインにやってくれ。」
「それは別に良いがなんでそんな事をするんだ?」
カナメが不思議そうに聞いてくる。
「レインは逃げることが多くてな、本当に逃げ切れないときは何時も降参しているんだ。今後のためにポイントが切れちゃいけないからな。」
「成る程、よっぽどレインのことが大切なんだな。」
カナメが納得する。
「何だ、テメェら出来てやがんのか、お熱いこった。でもよ、それじゃあオマエ…ユウとか言ったか、お前はまるで逃げずに勝つことができるって言ってるみたいだぜ。」
リュージがからかうように笑う。
「いや、俺もレインと同じで逃げ専さ、降参はしないけどな。」
話をしているとレインが真剣な顔でスマホの画面を見ている。
俺は顔を近づけて画面の中を覗き込む。
「何みたんだ、レイン。」
「ヒャツ!ちょ、ちょっとユウ!顔いきなり近くに置かないでください。」
レインは可愛い声を出して飛び上がった。
「もう…、見てたのはこれですよ、イベントルール。このポイント表が変だと思っていたんです。」
そう言われて全員がレインのスマホを覗く。
「いや、別に。」
「なんかあるかァ?」
「レインにゃ悪いが俺にも分からんな。」
しかしレイン以外に気づける者はいなかった。
「まぁ、男性は宝石の事などあまり興味がないのかもしれませんが…トパーズのポイントがラピスラズリより低いのは変です。」
「ラピスラズリは半貴石と呼ばれる格の落ちる石で貴石であるトパーズとは本来比較になりません、それに通常四大宝石と言えばダイヤ、ルビー、サファイア、エメラルドの順になります。この表、一見すると宝石の序列でポイントが決まって居るように見えますが、実際の宝石とは全くいっちしていません。」
俺にはチンプンカンプンだが女性のレインが言うならばそうなのだろう。
「そんなのDゲームの制作者が適当に決めただけなんじゃねぇの?実物はただの金属の輪っかにペンキが塗ってあるだけだしよォ。」
リュージがそう言うが何かあるような気がするし、それにこんな単純なミスを運営が犯すだろうか?
「それに、このルールの文章も変ですよ、かなり不自然です。」
それは俺も気になっていた。
「もしゲームがクリア出来ずに制限時間が過ぎた場合[リング]の所有数が3個未満のプレイヤーはゲームオーバーですの部分だろ。これじゃあ何を持ってゲームのクリアとしてるのかが分からんくなってる。」
「そうなのですゲームクリアをリング3個を集めることならゲームクリアできずに制限時間が過ぎた場合などと限定する意味もありません。」
読み返すとどうもおかし過ぎる。どういうことなのだろう。
「確かに言われてみると他にも変な所があるなこの文章、改めて読み直すと、」
カナメがそう言って、
「[リング]が[シブヤの街に隠された宝とは一言も書いてなくねぇか?」
核心に迫る考えを口にした。
「でもよォ、正直こんな話今はどうでも良くねぇ?今はエイスをどう潰すのかが先じゃねえか?」
数秒の静寂の後リュージが話始める。
「ところでカナメ君、そろそろ君の友人がホテルに到着する頃ではないのかね?」
ヒイラギさんも話を変える。
しかし、カナメの友人…って。
「シュカのことか?」
「シュカを知ってるのか?」
カナメが聞き返す。
いやでも、
「シュカは俺より先にこのホテルに向かったはずだ、このホテルの少し前で空飛んで先行していったからな。何でいないのかは着いた時に気になってたんだが。」
チャララチャチャチャ〜♪
そこまで言ったところでカナメのスマホにメールが届く。
「え…助けてって…何かの冗談…だよな?」
それは不穏なカナメへのヘルプコールだった。
主人公喋りませんね…。私の力じゃ大幅な原作改変は厳し過ぎます。
精進していきたいです。
あと、お気に入り二桁越えたの嬉しいです。感想もいつもありがとうございます。