前半はオリキャラ視点、後半はクラヴィス視点です。
一人称が戦争をしてるように混乱してる、カオスです。
主にオリキャラが。
新時代、旧時代
- 新時代に訪れる
意識を引き戻した時点で、灰色の空間に囚われてるのが、はっきりと分かった。なにやら非常に高いテクノロジーで作られた檻に視線を向け、案外柔らかいベッドの上に横たわったまま、考える。
気絶する前はなにがあったか?なぜここで目を覚ましたか?なぜ私が知ってる技術より遥かに進歩してるのか?答えは至って簡単で、頭でも狂ったのかと、言われざるを得ない答えだ。
ここは、私の『時代』や『世界』ではない。可能性は十分にある。
「そこにいる誰かさん、俺のメガネを知らない?」
さっきから気配が駄々漏れしてる『誰かさん』に話しかけると、少しばかり驚いた雰囲気を感じ取ったあと、軍服を着た男が檻の前に移動してきた。ややブルネットで、整えられた左分けの髪型、ブルーの瞳に、欧米の風貌。相手は、アメリカの軍人、しかも特殊部隊の部類、私達スパイにとって一番厄介な相手だ。主に、正面からやり合う局面でだが、厄介なのは変わりない。
全くの無表情でこちらを窺う男の目には、感情がない。むしろ、魂すらも存在しない、そういう気配を感じる。
「メガネがないと、よく見えない」
「あれなら処分させてもらった」
開口一番でメガネ殺した発言、どーも。感情もクソもない、さっき感じた動揺すらも綺麗さっぱり消えてる。この男、本当にただの特殊部隊?それとも、新時代のテクノロジーで強化された兵士?どっちにしろ、私にはまだまだ把握しきれない情報が山ほどあるらしい。厄介な時代に訪れてしまったな、一体どうなってるんだ。
目覚めてから自分に手錠がかけられていない事に気づき、私の脱走を
「これでも結構、大事にしてたんだ…せめて残骸だけでも残して欲しかったな」
メガネが私にとってどれだけ大事なのか、君は分かってないようだ。半分本気で眉間にシワを寄せると、メガネに対する執着を感じ取ってくれたのか、男の眉は一瞬だけ跳ねた。少しだけ引かれた気もするが、知るかそんなもん、メガネ返せこのヤロー。
そこで、男はなにやらポケットから箱を取り出して、檻の隙間から私の方に投げた。両手の掌を上に向けると、ぽてっと、手の中に納まった。完璧な力の制御に、おもわず「おぉ」と驚嘆してしまった、スパイなのに本音出してどうするんだ。
箱を見つめ、蓋を開く。そこには……私がずっと愛用していたメガネが、置かれていた、しかも丁寧に拭かれてる。視線を男に戻す。さっきと変わらない、無表情ではあるが、少しだけ申し訳ないという気配が漂ってくる。
「…騙すつもりはない、許せ」
騙されてた、はい、スパイ失格!てか君特殊部隊でしょうが、なんでスパイ騙せた。やっぱり私が元凡人だから?元平和ボケだから?むしろ両方で、旧時代の人間だからか!おまけにその謝ってる気ゼロの雰囲気ヤメロ、感情抑制しすぎだろ!意味悪いぞ!
「はっきり言わせてもらう、あんたは一体、何者だ」
メガネを着用した直後、クリアになった視界に入ったのは、こちらを睨みつける男だ。ブルーの瞳に明白な感情こそ秘められてないが、探りを入れてる目つきは、誤魔化せない。恐らくではあるが、私に関する資料や情報が、一切見つからなかったからこそ、騙しもしてるし、探りもしてる。もしくは、残した旧時代のデータで私がいて、まだあの時のままの若さを保ってる事の原因を、知りたがってるだろう。
あーあ、本当に面倒くさい。
「第二次世界大戦に向けて、日本が設立したとある諜報機関のメンバー……霧雨、そう呼んでくれ」
口元を歪ませ、得意の笑みを見せ付ける。男は、目を見開く。
さてさて、果たして私は、スパイらしく、笑えただろうか?
- 旧時代の忘れ形見
ペンダゴンの中で奇妙な噂が流されていた、とびっきり奇妙な噂だ。旧時代の忘れ形見を発見した、などという馬鹿げた噂だ。もっとも、ぼくはその件で呼ばれたのは、間違いないが。ともかく、大佐に呼ばれた以上、軍人として赴かなければならない。たとえ、どんな仕事がぼくを待ち受けてるとしても。
「……すみません、今なんと?」
「約81年前の旧時代スパイを発見した、よってお前に尋問の任務を下す」
『旧時代の忘れ形見』とは、大佐が今言ってる、旧時代のスパイ、だろうか?そもそも、81年前といえば、1939年、第二次世界大戦直前じゃないか。確かに、あの時代ではスパイが暗躍していたのは、じゅうぶん承知している。たとえ見つかったとしても、すでに老人か、もしくは死んでる……いや、愚かな思考だった。しかし、ぼくが尋問を担当?
「混乱するのも分かるが、お前にしか頼めない仕事だ」
当該の対象に関する資料が記載されてるファイルをぼくに渡し、頼んだぞ、と言う。軍人である以上、任された仕事はきっちり完遂する。敬礼をしたのちに、ぼくは部屋をあとにし、ペンタゴンの地下にある独房の階に向かうために、エレベータへ向かった。途中で、渡されたファイルを眺める。
1914年7月21日生まれ、歳は25、男、祖国は日本。第二次世界大戦直前にて、『D機関』と呼ばれる諜報機関にスカウトされ、メンバーの一人となった。彼が何通りの偽名を所持し、世界各国で姿を現した事がある。D機関内で使われてる名は『霧雨』、としか書かれてない。おまけに、今の時代のIDを持ってない、存在しない人物に等しい。そんな男に尋問を、任された。頭が痛くなってきた、一体なぜぼくにこの仕事を。
エレベータの前で指紋認証を済ませ、中に入って地下を示す階を押す。エレベータが動き出すと同時に、ぼくは手に持ってる資料に視線を戻す。個人情報欄の隣に張られてる写真を見つめ、やつの容姿を頭に叩き込む。ジャパニーズの顔立ち、どこにでもいる市民と変わりない、特徴的と言えるポイントとしたら、あのタレ目だろう。まさに、スパイ向きの容姿と言わざるを得ない。だが、今になってはすでに100歳越えの老人になってるのでは?という考えが頭を過ぎった。だとすれば、尋問する必要もないはずだ。なぜ、そんなやつに尋問をする必要がある?我々に害をもたらすからか、それとも単に旧時代の情報を引き出そうとしてるのか。
『地下5階に到着しました』
思考を廻らせてるうちに、すでに到着してしまったらしい。気を引き締めて外へ移動し、荷物置き場に目を向く。メガネの箱らしき物体が、置かれていた。年代感のあるそれは、アジア風のデザインをしており、蓋には『R』というイニシャルが刻まれてる。恐らくではあるが、これは、ぼくが今から尋問する相手の私物だろう。そこに置かれてるという事は、検査済みでなんの装置を付けられてないからだろう。
諜報機関のメンバーが、実は目が悪い、だと?一体どうやって訓練し、仕事をこなしてきたというんだ。ぼくたちのようにオルタナがある訳ではなく、肉眼で確認しなければならないあの時代で、目が悪くても諜報機関に入れるのか。ますます、疑問に思う。一応箱を懐に仕舞い、せめて必要な時は返してやろう。
霧雨を収めてる檻の近くまで接近し、モニターに映ってる中の様子を窺う。寝かされてる男を目の当たりにし、一瞬だけ肝が冷えた。なぜなら、男の容姿は老人ではなく、資料に載った写真と全く同じ容姿をしてるからだ。しかも、手錠もつけておらずにいる。だがやつが旧時代の人間だと思い返し、檻のロックを易々と解除できるはずもないと知り、
その時、男は目蓋を開いた。天井を見つめ、ゆっくりと檻の方に向く。なにやら考えてると思えば、口を開き「そこにいる誰かさん、俺のメガネを知らない?」と、まるでぼくに向かって話しかけてるようだった。いや、違う。彼は確かに、ぼくに話しかけてる。カメラに気づいた訳でもなく、やつはぼくの『気配』を感じ取ったのだ。仕方なく檻の前に姿を見せると、彼は横たわったまま、目を細めてこちらを見た。自分とは違うブラウンの瞳が、ぼくの全身に釘を刺すように、下から上まで舐めるように視線を這わせる。
この男は、観察してる、情報を手に入れようとしてる。一刻も早く、自分に置かれてる状況を把握したいのだろう。だが、なぜよりによって、ぼくを?いや、疑問に思うのは確かだが、感情をあらわにしてはならない。そもそも戦闘適応感情調整を施されてる、起こるはずもない。
「メガネがないと、よく見えない」
「あれなら処分させてもらった」
咄嗟に偽りのことばを出したら、今まで淡々と話していた霧雨は、こちらを睨みつけるように、眉間にシワを寄せる。
「これでも結構、大事にしてたんだ…せめて残骸だけでも残して欲しかったな」
こちらに怨念を送るようにずっと目を細めてる姿も、思わず驚いてしまった。眉が跳ねた程度ではあるが、やつが自分のメガネに対する愛情が、どれだけ深いかを思い知らせてくれるのにじゅうぶんだった。やはり、目が悪いから、常にそうやって目を細めてるのだろうか。
このままだと尋問もままならなくなるので、懐に仕舞った箱をやつに投げる。それをキャッチし、蓋を開いた直後に、予想もつかなかったのか、再びぼくに視線を向ける。謝ってはみたものの、どうやら効果はないらしく、やつは返事を返さないままメガネをつけた。気を取り直して、ぼくは一番気に掛かった事を問いかける。
「はっきり言わせてもらう、あんたは一体、何者だ」
その一言に反応したように、男は頭を上げてぼくを直視し、無表情でこちらを窺う。笑みを浮かべるやつは、まるで「そのセリフを待ってた」と伝えてるように、緩やかに口を開く。
「第二次世界大戦に向けて、日本が設立したとある諜報機関のメンバー……霧雨、そう呼んでくれ」
その『スパイ』の笑みは、まるで「ことば」と同じように、人を惹きつけるナニカが秘められていた。
ほとんどの設定や資料がウィキ先生を頼りにしてるという…
それからうろ覚えの知識群、頭の悪さが目に見える。