BLAZBLUE 黒の少女の物語   作:リーグルー

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第18話投稿。



CPのカグラ=ムツキのキャラが面白すぎる………。


第18話

第18話

 

 

 

…………何処まで落ちるんだろう。

 

 

 

イオは全く変わらない、赤い景色を見ながらぼんやりとそう考える。そもそも、周りの景色が変わらなすぎるせいで、落ちているかどうかさえイオには分かっていないのだ。ただ、今はもう見えていない、窯の入口が遠ざかって行ったから、そう判断しただけ。

 

 

 

(………このコート、中々優秀だよね。)

 

 

 

イオはふとそう思って意識を自らが纏うコートに向ける。このコートは、『黒の魔導書』の副産物の様なもので、『事象兵器(アークエネミー)』クラスのものでない限り、術式はコートにコートに近付くだけで消えてしまうし、今、イオがこの灼熱の火の海で平然としていれる様に、着ている人の周りの温度を一定に保ってくれる。

 

 

 

(でも…………こんな光景、前にも何処かで………。)

 

 

 

「………うぁ……!」

 

 

 

イオがそう思った時、イオの頭に強い痛みが走る。同時に頭に映像が浮かび上がる。それは、記憶だ。イオのものであって、イオのものじゃない、昔の記憶。

 

 

 

――――何人もの素体(わたし)が、助けを請いながら、世界を恨みながら、泣きながら、まるでゴミか何かの様に、殺されて、地面に打ち捨てられていく光景。

 

 

 

それは、全く知らない光景。/よく知っている、知っては行けなかった真実。

 

 

 

世界の酷さをそのまま表したような、百年近くにも及ぶ人の欲と、罪の話。/………でも私は、これを見ても何も感じない。

 

 

 

それは、閉じ込めた記憶。/■■の多くと一緒に、心の奥に押し込んで、忘れてしまったものだから。

 

 

 

そこまでを、頭の痛みによって少しずつ消えていく意識の中で考えたイオに、もう一つの記憶が流れ込んでくる。それは、紛れもないイオ自身の記憶。自分の武器の本当の力と、自分に与えられた、「意味」。

 

 

 

それらが全て頭の中に入って来てから、イオは思う。弟子入りする時に獣兵衛に言った自分のしたい事と、最後まで別の事を優先させたイオ自身の事を。獣兵衛に言った言葉は、あの時の自分の嘘の無い本心だった。しかし、自分のしたい事ではなく、別の事を優先し、何の迷いも戸惑いも無かったのも事実だ。

 

 

 

(そっか。私………「偽者だった」んじゃなくて。本当は、)

 

 

 

――――「偽者」になりたかった、だけなんだ。

 

 

 

そう、最後にそう思いながら、イオはその意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

「……………ん………。」

 

 

むせかえるような緑の匂い。そんな、「窯」の中ではどうやっても感じられない匂いと、二人分の足音に、イオは意識を覚醒させる。そのまま目を開けると、所々傷んでひび割れた板張りの天井が見えた。

 

 

 

「………ここ、何処だろ?」

 

 

 

イオはそう言いながら体を起こす。それと同時に、違和感を覚えた。体が、軽いのだ。見ると、ニューに刺された、かなり重症だった筈の傷が、綺麗に消えている。

 

 

 

「…………どうして?」

 

 

 

「あ。気がついたんだ、よかった。」

 

 

 

「ん?あぁ、気がついたか。大丈夫か?あんた。」

 

 

 

イオが呟くのと殆ど同時に、後ろから声がする。聞いたことの無い女性の声と、聞き慣れた男性の声だ。イオが声のする方を向くと、茶色の髪を一つに束ねた少女と、銀髪で、右目は閉じているが、左目は緑色をした、イオのよく見慣れた青年、

 

 

 

「………ラグナ?」

 

 

 

ラグナがいた。イオは、思わず名前を呟いた後、すぐに違う、と首を振る。目の前にいるラグナは、ラグナであっても、イオの知っているラグナではない。どこか雰囲気が違う。そう判断して、目の前のラグナが、自分の世界のラグナが窯から落ちた、という事の証拠ではないことに安心し、

 

 

 

「………あんた、何で俺の名前を知ってんだ?」

 

 

 

すぐに、自分の迂闊さに頭を抱えそうになる。相手から見れば、イオは名前も知らない他人である。そんな状況で名前を呼んだのだ、不審に思われない方がおかしい。イオは、いろいろと言い訳を考えて、

 

 

 

「………あははは。ちょっと貴方とそっくりな銀髪で左目が緑の知り合いと勘違いしちゃったみたい。ごめんね?」

 

 

 

何て、かなり苦しい言い訳をチョイスする。もちろん、

 

 

 

「銀髪で、左目が緑で、名前まで同じ知り合いがいるか!嘘つくならもっとましな嘘つけ!馬鹿。」

 

 

 

と反論される。イオは内心、ですよね〜。と呟きながらそれに反論する。

 

 

 

「いやいや、そんな事無いって。私の知り合いのラグナくんは、右目は赤だし、「ガントレットハーディス」とか、「闇に喰われろ」とか、突然大声で叫ぶ痛い人だよ?あなたもそうなら私には分かんなくなるけど、そうなの?」

 

 

 

「…………こいつは俺の事を知らねぇみてぇだな。ま、よろしくな。あー、」

 

 

 

「イオ。イオでいいよ。えっと、ラグナ……さん?」

 

 

 

「さんは要らねぇ。」

 

 

 

「うん、分かったよ。ラグナ。」

 

 

 

イオはそう言って、今度は少女の方を向く。

 

 

 

「えっと、初めまして。聞いてたかも知れないんですけど、イオっていいます。よろしくお願いします。えっと、」

 

 

 

「セリカ=A=マーキュリー。セリカでいいし、敬語も要らないよ。よろしくね。イオちゃん。」

 

 

 

「うん、よろしく。セリカちゃん。」

 

 

 

そうして、一通り自己紹介が終わったところで、イオは少女――――セリカに向かって、ずっと疑問に思っていた事を問いかける。

 

 

 

「えっと、一つ聞いて良いかな?私、気を失うまで、お腹の辺りにかなり大きい刺し傷があったと思うんだけど………もしかして、セリカちゃんが治してくれたの?どうやって?」

 

 

 

その質問に、セリカは少し困った様に頬を指先で引っ掻く。

 

 

 

「えっと、イオちゃんの傷も、ラグナの傷も、魔法で治したんだ………って言ったら、信じてくれる?」

 

 

 

「へぇ〜、セリカちゃん、魔導士なんだ。それもあんなに大きな傷を治せる位の治癒魔法。すごいね。」

 

 

 

「ラグナもだったけど………魔法の話、信じてくれるの?」

 

 

 

「別におかしい事じゃないよ?使える人はそんなに居ないだろうけど、それがある事と名前位は結構知ってる人、いると思うしね。」

 

 

そう言ったイオを、どこか茫然とした、それでいてある程度納得したような顔でセリカは見つめる。

 

 

 

「でも良かった。それなら魔法がどういうものか、とか説明しなくていいもの。」

 

 

 

「あははは。そうだね。あ、そうだラグナ。その右目、どうしたの?」

 

 

 

「………分かんねぇ。名前以外思い出せねぇからな。」

 

 

 

ラグナは少し面倒くさそうにそう言う。イオはそれに、少し考えこむ様な仕草をすると、

 

 

 

「成程ね。つまり、その右目が開くと、突然「ガントレットハーディス」とか「闇に喰われろ」とか突然大声で………」

 

 

 

「叫ばねぇからな!お前の知り合いと一緒にすんな!」

 

 

 

「あははは、ちょっとした冗談だって。そうだよね。ラグナはもっとこう、「ニューとラグナはずぅ〜っと一緒だよ。」とか」

 

 

 

「えっ?ラグナ、そんな事言うの?」

 

 

 

「言わねぇっつってんだろうが!!つか、明らかにそれ言ったの俺じゃなくてそのニューって奴だろ!対象にしたってお前の知り合いだろうが!それに、セリカまで乗ってきてんじゃねぇ!」

 

 

 

「まぁ、それは置いとくとして、セリカちゃん、何処に行くつもりだったの?普通、こんな廃村の近くなんて通んないし、行きたい所、あるんでしょ。」

 

 

 

「突然真面目な話に戻ったな。」

 

 

 

突然の事に対応出来ず、そんな事を言ったラグナに、イオは目を向ける。

 

 

 

「ほら、空気読んでよラグナ。今は真面目な話。」

 

 

 

「そうだよラグナ。今は真面目な話真面目な話。」

 

 

 

二人揃ってラグナをからかっていたくせに、今度はラグナを諌め出した二人に、ラグナは諦めたように、

 

 

 

「………いや、ふざけ出したのはお前らだろ……。」

 

 

 

そう呟いた。そうしている間にも話は進んでいき、そして突然、

 

 

 

「ラグナ、ちょっといいかな?」

 

 

 

イオがラグナを呼ぶ。ラグナは二人が話していた所に目を向けると、

 

 

 

「………何だよ?」

 

 

 

と答える。イオはちょっと困った様に、視線をさ迷わせると、

 

 

 

「あのさ………セリカちゃん、世界地図しか持ってないみたい何だけど………案内、セリカちゃんに任せちゃっていいかな?」

 

 

 

ラグナは、その言葉に咄嗟に否定の言葉を返そうとして、言葉に詰まる。確かに、世界地図を持ってきた、という点では信用出来ないが、聞けば、この山を降りた所が目的地らしい。ならば、此処の事を知らない自分や、イオよりも、セリカは道案内に最適だろう。そう判断し、

 

 

 

「まぁ、いいんじゃねぇか。」

 

 

 

そう返す。イオはその言葉に一つ頷くと、

 

 

 

「じゃあ、決まりだね。道案内、よろしくね。セリカちゃん。」

 

 

 

そう言ってセリカに目を向ける。セリカは、それに嬉しそうな顔を浮かべると、

 

 

 

「任せて!イオちゃん。行こ?ラグナ。」

 

 

 

そう言ってイオとラグナを引き連れて、すたすたと歩き出していった。

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