BLAZBLUE 黒の少女の物語   作:リーグルー

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第19話投稿。



話がなかなか進まない…………。


第19話

第19話

 

 

 

………くそっ、俺は馬鹿か。こういう事になるのなんて、少し考えれば分かる筈だろうが!

 

 

 

ラグナは数分前の自分を責めていた。思えば、幾らでも気付く為のヒントは何処にでもあったのだ。それなのに、ラグナは、それら全てを油断して見逃してしまった。

 

 

 

だが、とラグナは思い直す。まだ、諦めるには早い。まだ、どうにか出来る筈だ。そう思いながら、ラグナは顔を上げ、

 

 

 

「…………なぁ、俺の気のせいかもしれねぇんだが、道、戻ってねぇか?」

 

 

 

そう言葉を発した。町は山のふもとにある筈、それなのに、道は緩やかに上り続けていた。しかもその傾斜はちょうど、廃村を出発した時と同じ位である。それを見ながら言ったラグナに、

 

 

 

「やだなぁ、そんな訳無いじゃない。ラグナって意外と心配性なんだね。」

 

 

 

「あははは、やっぱり?何か何処かで道間違えた様な気がしてたんだよね。」

 

 

 

セリカとイオはそれぞれの答えを返す。イオの方にもそれなりに言いたい事はあったが、道を間違えた事は分かっている様なので保留し、道の先に見えてきたものを指差した。

 

 

 

「へぇ。ならいいんだけどな。そんなら、あれは見間違いか?」

 

 

 

ラグナの指差した先にあったのは、廃村。間違いなく、ついさっきまでラグナ達がいた場所であった。

 

 

 

「…………あれ?」

 

 

 

「「あれ?」じゃねぇよ、てめえ馬鹿か!?やっぱ道戻ってきてんじゃねーか!」

 

 

 

「まぁまぁ、ラグナ。落ち着いて落ち着いて。」

 

 

 

「うっせぇ!ってかてめえもてめえだ、イオ!セリカが森ん中突っ込んでくの見て、「道間違えた様な気がする」程度って、てめえも方向音痴か!!」

 

 

 

「あははは………それ言われちゃうと、否定は殆ど出来ないんだけど………ってそうじゃなくて、何か近づいて来るから気を付けて。ラグナ。セリカちゃんも。」

 

 

 

そう言った次の瞬間、四足の獣が飛び出してきた。只の野犬の群れにしては様子のおかしい六匹の獣は、じりじりと距離を詰めてくる。イオは、いつもの様に黒い剣を出そうとして、

 

 

 

「…………あれ?」

 

 

 

手に現れたナイフぐらいの大きさの剣を見て、違和感に気付く。此処は魔素が薄すぎるのだ。それも、あり得ないほどに。仕方ない、と一つ溜め息をついてから、イオはやり方を変える。周囲の魔力を、一時的に魔素に変換させ、それによっていつもの大きさの黒い剣を作り出す。

 

 

 

「イオちゃん、それ………」

 

 

 

「これは後で教えるから。今はちょっと待って。」

 

 

 

「ってか、何だこいつら。」

 

 

 

「黒き獣のせいだよ。」

 

 

 

そう言ってセリカは目の前の獣達の状態を伝える。この獣達は、六年前に日本に現れた「黒き獣」の影響を受けて、凶暴化した野生動物なのだ、という事を。

 

 

 

「…………そういうことね。何かめんどくさそうな所に飛ばされちゃったなぁ。」

 

 

 

「んなバカな………!」

 

 

 

何か分かった様に呟くイオと反論を返そうとするラグナ。しかし、ラグナが言い返す前に、ラグナ達を円上に取り囲んでいた獣達が一斉に飛び掛かってきた。

 

 

 

「くそっ、うざってぇ!」

 

 

ラグナは腰に付けていた剣を半円を描く様にして振り払い、飛び掛かってきた獣のうち、二体を弾き飛ばす。そのままイオの方を振り向くと

 

 

 

「せっ!」

 

 

 

そんな掛け声と共に、イオが獣の一匹に黒い剣の柄を叩き込んでいた。その一撃は無駄がなく、獣の急所だけを捕らえている。他の獣達も、それの餌食となった様で、全員が地面に倒れ伏していた。

 

 

 

「………イオ。あんた、随分強えぇんだな。」

 

 

 

「ん?いや、そんなことは無いよ。ラグナだって右腕が使えればこの位簡単でしょ?」

 

 

 

「まぁ、そりゃそうだが………」

 

 

 

「あ、そうだ。」

 

 

 

イオは突然、何かを思い付いた様にそう言うと、剣を三本取り出してそれをぶつける。剣達はぶつかると、宙に浮く乗り物のようなものへと変化する。

 

 

 

「…………なにする気だ?」

 

 

 

「このままだと町に辿り着ける気がしないから、空から町の場所を見てくるよ。だから、ラグナ達は此処で待っててね?」

 

 

 

「…………俺としては、そうしてくれると助かる。マジでセリカと山を降りられる気はしねぇからな。」

 

 

 

その言葉に軽く頷いたイオは、ひょいと乗り物に乗ると、空へと上って行った。

 

 

 

 

 

 

「…………成程ね。町はこっちか。………よっと。」

 

 

 

空から町の方向を確認したイオは、剣を一本だけ出現させ、刃の先が町の方向を指す様に剣を配置させてから地上へと降りていく。そうして、地上へと降りたイオは、隣にいたセリカに

 

 

 

「…………セリカちゃん、何でこんな事になってるの?」

 

 

 

と、状況の説明を求める。イオの目の前では、戦闘が繰り広げられていた。ラグナと獣人、眼帯はしていないが、恐らくはイオの師匠である獣兵衛の戦闘が。

 

 

 

「えっとね………?」

 

 

 

セリカは時々心配そうにラグナの方を見ながら説明を始める。要約すると、ラグナは、か弱い少女を襲う山賊に間違われたらしい。

 

 

 

「あははは、ラグナ、言葉遣い悪いからね。間違われても仕方ないと思うんだけど…………そろそろ止めないと不味いかな?」

 

 

 

ラグナが弾き飛ばされたのを視界の端に映したイオは、ラグナと獣人、ラグナに言っていた名前を聞くにミツヨシ、の間に入り込むと、ミツヨシの刀を両手の剣をクロスさせて受け止める。

 

 

 

「なっ!」

 

 

 

ミツヨシは驚いたように目を見開く。その瞬間、イオと目が合った。

 

 

 

――――ミツヨシ、君には、黒き獣の現れた原因、科学者シュウイチロウ=アヤツキを、私の元へ連れてきてほしい。

 

 

 

「…………っ!少し、お話を聞いてもらってもいいですか?ミツヨシさん。」

 

 

 

ほんの一瞬ミツヨシの過去を「観測(み)」たイオは、すぐに意識を引き戻すと、そう言って剣を下ろし、全く敵意の無い笑顔をミツヨシに向けた。

 

 

 

 

 

 

「はっはっは、なんだ、つまりは記憶喪失の行き倒れか!そうならそうと、早く言ってくれればよかったんだ。」

 

 

 

「あははは………私が聞いた感じだと、話を聞かなかったのはミツヨシさんみたいに聞こえたんですけど………。」

 

 

 

「そうだったか?いや、俺はてっきり旅の美少女が山賊にでも襲われてるのかと思ってな。考えてみろ。無理も無いだろ。大体、そうじゃなきゃ、何でこんな人気の無い山奥にこんな若いお嬢さんがいるんだ?」

 

 

 

ラグナはミツヨシのその言葉を聞いて、セリカにちらりと視線をやる。セリカは、

 

 

 

「あ、あははは………ちょっと迷って………。」

 

 

 

と笑いながら誤魔化した。

 

 

 

「それにしても、行き倒れ二人に迷子か。俺も長旅で色々な奴を見てきたが、お前達ほど愉快な組み合わせは見たことがないな。」

 

 

 

「………そこに勘違い野郎の獣人まで加わったってわけだ。」

 

 

 

「そう腐るな。悪かったって。細かいことにこだわっていると苦労するぞ、ラグナ。」

 

 

 

ミツヨシの言葉に渋面になるラグナを見て、イオは軽く笑う。ラグナも、師匠にそっくりな獣人にからかわれるのはありがたくないシチュエーションらしい。

 

 

 

「でも、じゃあミツヨシさんはどうしてここに?こんな………私が言うのもおかしいけど、人が通りそうもない山の中なのに。」

 

 

 

「俺は、日本に人探しに行く用事があってな。この山の下から日本に船が出ているらしい。それで、此処を抜けるのが一番早いから、近道だ。」

 

 

 

「ん?ミツヨシさんも日本に行くんだ。同じだね。」

 

 

 

セリカはそう言って人懐っこい笑顔を浮かべ、無邪気な目を向ける。

 

 

 

「その顔は………日本まで連れてってくれって顔か?全く、見かけによらず調子のいいお嬢さんだな。」

 

 

 

そう言ってミツヨシはラグナとイオに目を向ける。二人は、それぞれに無言の返事を返す。

 

 

 

「………仕方ないな。このままだと、遭難者を放っておくみたいで寝覚めが悪い。」

 

 

 

その言葉に、ラグナ達はそれぞれにお礼を言う。それを苦笑して見ていたミツヨシは、何かを思い出した様に尻尾をぴんと伸ばした。

 

 

 

「そうだ。日本に行くって事はセリカは日本に縁があるんだよな。一つだけ、シュウイチロウ=アヤツキっていう科学者を知らないか?」

 

 

 

その言葉に、セリカはその茶色い瞳を見開く。そのまま魂でも抜けたような表情をして、

 

 

 

「それ………私の、父さん。」

 

 

 

そう、呟く様に答えた。

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