侵入者による襲撃で、クラス対抗戦は結局中止となり
デザートフリーパスの権利が消失したことで多くの生徒達に悲劇が襲ったが、それを打ち消す事件がすぐに起きた。
GWを翌日に控えたその日、日本を震撼させるニュースが報じられた。
ニュースが報じられる2日前に検察庁や警察庁、全てのマスコミ宛に倉持技研の不正の情報が匿名で送られて来たのだ。
その情報をもとに倉持技研に捜査のちメスが入った。 容疑は研究費の不正流用に不正受給。 多額の使途不明金に部品メーカーとの贈収賄、政治家への不正献金など様々な罪状があきらかになった。
日本が世界に誇る第2世代機[打鉄]を世に送り出した研究機関の余りにも大きな不祥事に、あらゆるメディアが連日連夜、様々な角度から伝えている。
その中には日本代表候補生の専用機の開発を立候補して受けておきながら、男性適性者の専用機開発の話が上がると政治家や官僚に手をまわして、倉持で開発するように仕向け、そして先に請け負っていた代表候補生の専用機の開発を無期限凍結しほったらかした。
というのもあった。
GW後半、2泊3日の温泉旅行から戻ってきたシュート達は生徒会室でテレビを見ながら昼食をとっていた。
テレビでは相も変わらず倉持技研の事を報じていた。
「まだまだ話題がつきないわね。 タバネ姉さんも徹底的にやったわね。どうなるのかなこれ?」
マドカがサンドイッチを食べながらそう言った。
ちょうどその時に理事長に呼ばれていた刀奈と虚が戻ってきた。
「今、理事長から話があったんだけど倉持は閉鎖されて研究機関としては二度と再開出来ないように解体されることになったみたい。 職員と研究者は全員解雇が決まったわ。」
刀奈がそう報告してきた。
「処分が決まるの早くないか? 」
「どうやら長引かせて日本のIS研究最先端のイメージを悪くしない為にも早期決着をするための方針みたい。 」
余りの処分の早さに驚くシュートに刀奈が説明する。
「倉持技研が所有していたISコアは4つ、それらは日本政府が1度回収してから再分配するそうです。 そして再分配先はすでに決まっており、更識重工に1つ、最上重工に1つ、そしてイスルギ重工に2つとなっています。」
「ちょ、ちょっと待って虚さん。 うちや最上が再分配でコアの数が増えるのはわかるけど、なんで実績も開発もやっていないイスルギにコアがいきなり2つも分配されるの?」
虚の話にすぐさま疑問をもった簪が質問してくる。
「その事なんだけどね簪ちゃん、実はイスルギ重工はIS分野に1年前から参入しているの。[打鉄]の生産という形で。」
「私も先程初めて聞いたのですが、打鉄に関する全ての権利が1年前からイスルギ重工に移っていたそうです。 実は水面下で売買されて、それが表に出ることなく、先月まで倉持が生産していたということになっていたみたいです。 イスルギ重工の言い分では倉持からそうしてくれと言われていたとのことです。」
虚が説明していく。
「イスルギがIS分野に進出していたのはわかったけど、それがコアが2つ分配される理由にはならないよね・・・・・・ん? まさか?!」
シュートの疑問に刀奈が
「流石シュート、気づいたわね。 そう倉持が所有していたコアは4つ、そしてその内の1つは織斑君の専用機[白式]に使われているわ。 今回の事件をうけて、織斑の白式はコアを抜かれて解体されるの。 そして新たに専用機が与えられることになったの。 そしてその専用機を作るのがイスルギ重工という訳。」
「なんというか、荒れ狂う織斑先生の顔が目に浮かぶね。」
刀奈の説明を聞いたシャルロットがそう言うと、刀奈と虚が目を合わせて何とも言えない表情になった。
「刀奈、虚さん、もしかして・・・・・」
二人の表情から何となく察したシュート
「私達と入れ違いで理事長室に入っていかれたのですが、かなり殺気だっていました。」
「何故、何故です理事長! 何故、一夏、いや織斑の専用機[白式]が回収されて解体されるのですか? 」
「落ち着いてください織斑先生。 何も織斑君から専用機を取り上げるのではなく、1度回収してから新たに作った専用機を与えるのです。」
そこで十蔵はいったん言葉をきりテレビをつける。そこには倉持の事を取り上げるワイドショーが映っていた。
「織斑先生も知っての通り倉持の不祥事は大変なものです。 そこで政府は倉持を閉鎖することになりました。 しかも研究機関として二度と再開出来ないように解体することに。 そこで問題になるのが倉持の所有していたコアです。 日本政府はコアを回収して再分配することにしました。 その中にはもちろん織斑君の白式に使われているコアも含まれています。」
「ならば白式の所属を変えればすむ話では?」
「織斑先生、どこの企業も好き好んで他所が開発した機体を自分のところの機体として公表するでしょうか? ましてや男性適性者の機体ともなれば尚更です。 自分の所で一から開発した物をと思うでしょう。」
「くっ、ですが・・・・」
「これはすでに日本政府の決定事項で変更することは出来ません。 GW明けの初日に新たに専用機を作るイスルギ重工の社長と開発担当者が学園に来ますので、朝のうちに織斑君から専用機を預かってください。」
「・・・・・・わかりました。」
「織斑先生、本来ならばコアの再分配は今月末の予定でしたが、織斑君に長期間専用機が無いのは流石に不味いという日本政府の判断から、内々にイスルギに渡して専用機の開発を急がせるのです。 それだけはわかってくださいね。 あと、織斑君には専用機が戻るまでは打鉄を優先的に貸し出すことになりましたので整備科の方に申請してあります。 ただ、訓練機になりますのでカスタマイズは認めますが学外への持ち出しは厳禁ですので、そこだけは注意しておいてくださいね。」
「わかりました。 それでは失礼しました。」
そう言って千冬は悔しさを滲ませながら、理事長室を後にした。
余談だがその日の夜、千冬は真耶を伴い飲みにでて酩酊し、路上で寝てしまい警察に保護される失態を演じ理事長から叱責と減給処分を受けることになった。
「そういえば、その織斑は今日はどうしてるんだ?」
昼食も終わり、午後の作業にかかろうとしたときにシュートが思い出したかのように聞いた。
「織斑君なら今日はクラスメイトの女の子と外出してます。 ただ、警護は断ってましたので、当初の予定通りに学園が秘かに出してます。 ちなみに聞いた話ですが、昨日までは家に戻っていたそうです。」
虚が報告書してきた。
「デート? 相手は? 確か篠ノ之はまだ謹慎中のはず?」
マドカが聞いてくる。 シャルロットや刀奈も興味津々といった様子である。
「あ~、それ多分ナーギーだ~ 昨日嬉しそうにデート、デートって 言ってたもん。」
と本音が言った。 思わぬところからの情報に全員驚く。
「ナーギー? もしかして鏡さんのこと。」
シャルロットが本音の言った人物の名字を言ってようやく顔が浮かぶ。
「あれ? でもナーギーだけじゃなく、きよきよにかぐかぐもデートって言ってた~ あれ?」
本音の話に唖然となる。
「・・・・・・本日、外出届けを出しているのは鏡ナギさんですね・・・・・明日が相川清香さん、明後日が四十院神楽さんとなっています。」
「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」
全員が言葉を失う。 この瞬間に織斑一夏に対する、この部屋にいる全員の認識は
((((((( プレイボーイ!!)))))))
になった。 そして何故か謹慎中の箒に多少同情してしまった。
「そ、そういえば、GW明けにドイツから転入生が来るみたいよ。」
何とも言えない空気を変えようと刀奈が、転入生の話題を出してきた。
「ドイツからの転入生? また織斑のデータ欲しさに来るのかな?」
マドカがそう言うと刀奈が
「今回は違うわよ、マドカちゃん。」
そう言ってデータを表示する。
[ ドイツ代表候補生序列第1位 ラウラ・ボーデヴィッヒ 15歳 IS適性[A ] ドイツ軍IS配備特殊部隊:シュヴァルツェア・ハーゼ所属 部隊内役職:隊長 階級:少佐 専用機:ドイツ製第3世代型IS[シュヴァルツェア・レーゲン] ]
「それで、彼女がこの時期に転入してくる理由は?」
「本来なら彼女は4月に留学生として入学してくる予定でしたが、3月にドイツで起きた大規模洪水が起きたのは覚えておられますか?」
簪の質問に虚がそう聞いてきた。
「うん覚えているよ。 確か大雨で幾つもの川が氾濫し、土石流まで起きて大きな被害をもたらしたんだよね。」
虚の質問にシャルロットが答える。
「彼女は災害後にすぐさま部隊を率いて災害救助や被災地復興に参加しました。 その内、IS学園への入学時期がきたのですが、被災地をそのままにしておけないと入学時期をずらすことにしたようです。 そしてようやくメドがついたことで転入という形でIS学園に来ることになったようです。」
虚が説明すると、刀奈が
「あと、要注意事項として彼女は織斑先生がドイツで教官をしていた時の教え子で崇拝しているみたいなの。」
刀奈の言葉は全員の気持ちを沈ませた。
「また問題が起きなければいいけど・・・・」
シュートの言葉は全員の気持ちの代弁であった。
余談になるが、警備担当者からの報告書で一夏はGW後半の3日間、毎日違う女子生徒とデートしては、その後の行き先は決まってネオンの輝く建物に入っていったという。
さて前回、敵の幹部が出てきましたがどのキャラかわかりましたかね?