インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第22話  凶獣との戦い

 

 

 「シュートさん、ブルーティアーズのエネルギーが3割を切りました。」

 

 「セシリアはベース船に戻って補給を。シャルは前衛に。」

 

 「シュート、悪いけど私もエネルギーがヤバイわ。」

 

 「わかった鈴も補給に。」

 

 セカンドシフトした福音と交戦を始めて30分を過ぎ、シュートは徐々に疲弊し始めていた。

 攻撃が当たらない訳ではない。 そして福音の攻撃を受けている訳でもない。 だが、シュートは疲弊していた。

 

 

 「スペシウム光線!」

 

 水平に伸ばしていた両手を胸の前で十字に交差させた簪の腕からビームが発射される。 それは福音にまともに命中し、左腕を完全に破壊する。

 

 

 「クラッシュアーム・ストライク!」

 

 フライヤーモードのまま、右腕をストライカーのクラッシュアームに換装し福音の右腕に撃ち込むシャル。クラッシュアームは福音の右腕を破壊する。 

 

      だが・・・・・・・

 

 

 「GAAAAAAーーーー」

 

福音が雄叫びを上げると、瞬く間に破壊された腕が再生していく。

 

 

 「クソ! また再生した。 いくら攻撃が当たっても直ぐに再生するんじゃ切りがない。」

 

 「どうするシュート、このままでは此方が不利よ。」

 

 「生徒会長の言うとおりだ。何か作戦を練り直さないと不味いぞ。」

 

 「わかっているよ刀奈、ラウラ。 だが、実際のところこうして攻撃を続ける以外の方法だと、ヤツの再生が追い付かない程のダメージを一気に与えるしかない。」

 

  「でも兄さん、ヤツの再生スピードは異様だよ。」

 

 マドカの言うとおりだった。 ダメージを与えた瞬間に瞬時に再生するのだ。

 

 

 「シュートさん、私の弾薬の残りが少なくなってきた。」

 

 簪がそう言ってきた。 シュート達の機体は束が作り上げた特製のものだ。 それ故に拡張領域は通常の物よりあり、予備弾薬やエネルギーカートリッジはかなりの量があったのだが、それでも攻撃しても再生される展開に追い付かなくなってきた。

 

 

 「簪はセシリアと鈴が戻って来たら入れ違いで補給に。」

 

 シュート達はこうして話をしている間も攻撃を続けるが、やはり瞬く間に再生していく。

 

 

 「リープスラッシャー!」

 

 「蒼流旋」

 

 「ホーミングミサイル」

 

 「リフレクト!」

 

 シュート、刀奈、ラウラの攻撃に加えて福音のビームは跳ね返すマドカ。 それらは全て命中するも、やはり瞬く間に再生する。

 

 

 「それにしても一体どういうカラクリで再生しているのかしら? 自己再生機能なんて提出されたデータには無かったわよ。」

 

 刀奈の疑問を口にする。

 

 

 「セカンドシフトした際に単一仕様能力が発現したんじゃないのかな?」

 

 シャルがそう言うが、シュートとマドカは別の可能性を考えていた。

 

 

 「そのセカンドシフトだが、あまりにも奇っ怪だ。広域殲滅型の筈なのに今は近接戦闘に特化している。」

 

 ラウラは福音のセカンドシフトに疑問を口にする。

そう、今目の前で戦っている福音の戦闘方法は先程までと違い、手足の爪で切りつけてくるのをメインにたまには手からビームを撃ってくる、と近接戦闘に特化した戦法になっていた、しかもスピードも激減し鈴の甲龍とかわりなかった。

 だからこそ、シュート達は被弾することはなかった。ちぐはぐなセカンドシフト、これまでの戦闘経験を無視した形はあまりにも異様だった。

 この時点でシュートとマドカは福音のセカンドシフトと自己再生の秘密に気づた。 しかし、この場でその事を口にすることはなかった。それは自分達の秘密に関わる事になるからだ。 

 

 

 『兄さん、福音の自己再生能力とセカンドシフト・・・自己進化能力はもしかして・・・』

 

 『あぁ、あれと同じような物が組み込まれているのだろう。ただし似て非なる物、その証拠に共鳴していない。』

 

 『どうする兄さん、このままではらちが明かないし、開放しようか?』

 

 『・・・・・・・・ん?! 福音の様子が!』

 

 福音に攻撃しながら次の策を全員で話をしている合間に個人秘匿通信で話をしていたシュートとマドカ。

 そんな中、全員の目の前で破損した部分を再生させていた福音に異変が起きた。

 動きが止まり、全身が細かく震動している。

 

 

 「GoAAAAAーーーーー」

 

「まさかサードシフト?!」

 

 福音は奇妙な叫びと共に黒色の光を全身から放ち始める。 それを見て刀奈はサードシフトを始めたと口にする。 だが、シュートがそれを否定する。

 

 

 「イヤ違う。 よく見てみろ、何か苦しんでいる。」

 

 シュートの言葉通り、福音は黒色の光を放ちながらもがき苦しんでいるようだった。 

 やがて、胸の部分の装甲に亀裂が入り中から何かが押し出されてきた。 

 

 

 「GUAAAAAーーーーー」

 

福音の雄叫びと共に胸の装甲部分から正12面体の透明なクリスタル・・・ISコアが飛び出してきた。 そのまま福音から離れて海に向かって落下していく。

 全員、突然の事に呆気にとられていたがISコアが海に落下していくのを見て慌ててマドカが拾いに行き回収する。

 そしてISコアを失った福音に異変が起きた。

両肩の部分から新たに腕が2本・3本と出現し、背中からは尻尾が3本・4本と表れ、足も2本増えていき、極めつけは胸の部分に新たに頭部が出来ていた。

 

 

 「何あれ・・・・・」

 

 「まるでキメラみたい・・・」

 

 刀奈の呟きに簪が追従して呟く。

 

 

 「ISコアによって制御されていた再生機能が暴走を始めたんだ。」

 

 シュートの言葉を裏付けるように福音の姿はますます禍々しい物になっていく。 腕が10本、足が6本、尻尾が10本、頭部が3つになったところで増殖は止まった。

 

 

 「GUAAAAーーーーー」

 

まるで体のパーツを、増やす為に全ての力を使い果たしたと言わんばかりのか細い叫び。

 シュート達はその事を瞬時に理解した。

 

 

 「いまだ!!」

 

 シュートの声と同時に全員が動く。

 

 

 「AIC改発動! F2Wキャノン・ロングレンジモード! ブレイクシュート!!」

 

 ラウラはAIC改を発動させると同時にF2Wキャノンを破壊力のあるロングレンジモードにして福音目掛けて射つ。

 

 

 「全て撃ちきる! マルチロックオンシステム起動! 行け山嵐!!」

 

 簪はマルチロックオンシステムを使いマトリクスミサイルを福音目掛けて撃ち込む。

 

 

 「ガナリー・カーバー出力最大! 狙い射つ、レイ・ストレイターレット!」

 

 マドカはガナリーカーバーを構えるとガナリーカーバーから高出力のビームが光の奔流となって福音に命中する。

 

 

 「 バイパス接続完了、バレル展開。 DライフルMAXモード!」

 

 シャルは手持ちのライフルとソレイユをエネルギーケーブルで接続する。そしてライフルの銃身部分の装甲が上下に展開し、収束されたビームが放たれて福音を貫く。

 

 

 「さぁ傘は準備しているかしら?  最も激しくて役に立たないけど。 篠突く雨!!」

 

 刀奈が指を鳴らすと凰姫の頭上に多数の水の粒が現れて福音目掛けて豪雨のように降り注ぐ。 水の粒は福音の装甲に食い込んだり、装甲を削り取ったりした。 それだけではすまなかった。

 

 

 「 もう1つオマケよ。弾けなさい!」

 

 刀奈がもう一度指を鳴らすと装甲に食い込んだ水の粒が一斉に爆発して福音にダメージを与える。

 ここまでの攻撃でかなりのダメージを受けた福音。既に再生する力を失っているのを証明するかのように、損傷した部分が再生を始める気配はない。

 

 

 「これで止めだ。 リミッター解除、エネルギーフルチャージ。 フルインパクトキャノン、デッドエンドシュート!!!」

 

 ガンナーに装備されている4基のGインパクトキャノンに重力波が集約されていき、同時に発射され収束されていき1つとなり福音に命中する。

 

 ドガァァァァァァァーーーン

 

 高密度の重力波の直撃を受けて福音は爆散する。

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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