インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第23話  決別の時

 

 

 福音を撃破し旅館に戻るシュート達。途中、補給の為に停泊している船に寄ってセシリア達と合流した。

 

 

 「皆さん、御無事で何よりですわ。補給が間に合わず馳せ参じる事ができず申し訳ありません。」

 

 「最後の最後で力になれなくてごめんね。」

 

 セシリアと鈴がそう言ってきたが、

 

 

 「気にする事はない。こうしてみんな怪我もなく帰還できたのだから。 ところで篠ノ之はどうした?」

 

 「彼女なら教員の方が旅館の方に連行していきました。おそらく謹慎処分になるそうです。」

 

 シュートの疑問にセシリアが答える。 そこに海上封鎖をしていた教員達も戻って来たので、シュート達は旅館の方に向かった。

 

 

 

 

 旅館に戻ると、浜辺にスコールと真耶がシュート達を待っていた。

 

 

 「みんなお疲れさま。よく無事に戻って来たわね、本当に嬉しいわ。」

 

 「さっそくですが、みなさんには診断を受けて貰います。男女別になりますので、アルカンシェル君は暫くの間待っていて下さいね。」

 

 「ところで、織斑先生と織斑一夏は? それに篠ノ之はどうなったのですか?」

 

 スコールと真耶からの話を聞いたところでシュートが二人に質問する。

 

 

 「織斑君は先程、救急車で病院に搬送された。 外傷はそれほどありませんでしたが、検査の為に入院するそうです。 織斑先生はその付き添いです。」

 

 「篠ノ之さんは別室で待機してもらってます。そして今日の内に学校へ強制帰還してもらい、正式な処分がおりるまでは懲罰室で過ごして貰う事になりました。」

 

 「織斑君も篠ノ之さんも相当厳しい処分が下ると思うわ。 さぁみんなは診断よ、女子は旅館に用意した診察室に行ってね。」  

 

 スコールと真耶がそれぞれ一夏・千冬、箒について教えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、シュートは旅館から抜け出して近くの岬にやってきた。 そこには

 

 

 「お疲れさまシュー君、大変だったね。」

 

 エプロンドレス姿のタバネの姿があった。

 

 

 「タバネ姉さん、その姿は何?」

 

 「ん? あの三十路の女狐に対抗してみたの。似合う?」

 

 「確かに似合っているけど。」

 

 「ありがとうシュー君。 やっぱり愛しい弟君はわかってくれるな~」

 

 嬉しそうに、その場ですがクルッと1回転してスカートを浮かせて見せるタバネ。

 

 

 「はいタバネ姉さん、福音のパーツ。解析をお願い。」

 

 そう言ってシュートは金属製のケースをタバネに渡す。 シュートは福音を撃破した際に、その部品の一部を回収して保管していたのだ。

 

 

 「確かに預かったわ。 分析結果は一週間後かな?  たぶんシュー君の予想している通りの結果が出ると思うよ。」

 

 「あれのデータは俺達の両親が死んだ際に全て処分したはず。」

 

 「そう、シュー君とマドちゃんの御両親、織斑春斗と織斑万季・・・・二人はその命と引き換えに全ての研究に纏わるデータやサンプルを処分した。2つの例外を残して。」

 

 タバネは手にしている金属製のケースを見ながらそう言うと

 

 

 「もし、可能性としてあるならば事前に初期の頃の論文を手に入れていたということ。そして、そこから作り上げた・・・・」

 

 「それが出来るのは、俺達の両親を殺した犯人・・・俺達の祖母である織斑四季・・・・」

 

 「漸く尻尾が見えて来たわね。」

 

 「あぁ、憎むべき相手・・・自分の血縁者すら利用し簡単に殺す非情な女。 俺は絶対に許さない!」

 

 「シュー君・・・・・・?! シュー君、隠れて! 誰がここに近づいて来る。」

 

 タバネの忠告にシュートは近くの木に登り気配を消す。 やがて

 

 

 「やはり来ていたのか束!」

 

 「おやおや、誰かと思ったらちーちゃんじゃないか!ひさしぶりだね、さぁさぁ再会の抱擁を!」

 

 「冗談は止めろ束! お前に聞きたいことがある。」

 

 現れたのは千冬だった。その手にはIS用のブレードを携えていた。

 

 

 「おやおや、随分と物騒な物を手にしているねちーちゃん? それに大事な弟君の側に居なくて良いの?」

 

 「ふざけるな束!」

 

 「やれやれ、それでちーちゃんは何が聞きたいの?」

 

 「今回の一件を知っているな?」

 

 「今回の一件? あぁ軍用ISの暴走した事件のこと?」

 

 「やはり知っていたか。お前の仕業なのか!」

 

 「冗談はやめてよちーちゃん! 寧ろ私は今回の一件で怒っているんだからね。 娘をあんな風に利用されて!」

 

 「娘だと?」

 

 「そうだよちーちゃん。全てのISコアはこの束さんが心血を注いで産み出した存在。言わば娘、それをあんな風に利用されたんだよ。いくら温厚な束さんでも激怒プンプン丸だよ!」

 

 「本当なんだな?」

 

 「勿論本当だよ! 軍用ISなんてふざけた物を作った連中にはそれ相応のお仕置きが待っているよ。」

 

 「そうか・・・・・では次に聞くが、何故一夏や箒に専用機を作らなかった?」

 

 口調は明るいが、束から発せられた怒気に嘘は言っていないと感じた千冬は以前から思っていた疑問をぶつけた。

 

 

 「何で束さんが、作らないといけないの?」

 

 「何?」

 

 千冬はタバネ・・・束の答えに言葉を失った。 千冬の知る束ならば、妹の箒や自分の弟である一夏に頼まれなくても専用機を作ると思っていたからだ。

 

 

 「専用機を持つにはそれ相応の技術とたゆまぬ努力、そして律する心が必要だよ。 データ取りの必要があるちーちゃんの弟君はともかく、愚妹である箒ちゃんには専用機を持つ資格は無いと私は思っていたからね。 最も何処かの連中が名前、売る為に与えたみたいだけどね。」

 

 「お前・・・・箒の事を愚妹と言ったな・・・・それに一夏の事も名前で呼ばず弟君と・・・・どういうことだ? 以前のお前なら・・・」

 

 「ちーちゃん、人は成長していくんだよ。束さんも昔のままじゃないんだよ。 それに束さんはね後悔しているんだ、あの時の事を。」

 

 「後悔だと?」

 

 「そうだよ、あの時ちーちゃんの言葉にのせられて白騎士を起動させた事を。 私が何も知らないと思っていたのちーちゃん?」

 

 そう束が言った瞬間、千冬は震えを感じた。 白騎士事件の時の隠された真相。 それを束が知っている、それは千冬にとって恐怖以外のなにものでもなかった。

 

 

 「もう過ぎた事を今更とやかく言うつもりはないよ。 それに束さんはね、いま罪滅ぼしをしているの。 もうすぐそれは形になる、その時ちーちゃんはどうするか楽しみにしてるよ。」

 

 そう言って自分の着ているエプロンドレスを右手でつかんで振るう。 すると千冬に向かってエプロンドレスが飛んで来る。 千冬は手にしているIS用ブレードでエプロンドレスを切り裂く。 そして束の姿を見ると、そこにはISスーツ姿の束がいた。

 

 

 「そろそろおいとまするねちーちゃん・・・・・いや織斑千冬。 おいでワンダーアリス。」

 

 そう束が言うと全身装甲型のIS(外見:フェアリオンG)が体を覆った。

 

 

 「そうそう、織斑千冬に最後の忠告とお知らせがあるよ。 先ずはお知らせ、君が私の隠れラボから持ち出したコアは偽物だから使えないよ。設計図の方は肝心の部分が無いから使い物にはならないよ。 それから忠告、チャイナドレスの女キツネには気をつけてね、後ろ暗い奴等と連るんでいるみたいだし。 それじゃあね。」

 

 

そう言って束はその場から飛びだった。 

 

 

 「な、なんだと・・・・・・・」

 

 束が去り際に残した言葉・・・お知らせの内容に愕然としていた。 束がISコアと設計図を持ち出した事を知っていることも、何よりもコアが偽物で設計図も使い物にならない物だと言うことに。 その為に忠告の内容は全く耳に入っていなかった。

 それを見届けたシュートは気づかれることなく旅館に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どういうことだ! あの結末はなんだ! 試作段階とはいえラズムナニウムを使えばあの程度の奴等蹴散らせるのではなかったのか!」

 

 Assassin が激昂する。 そのAssassin をPriestess が宥める。

 

 

 「落ち着きなさいAssassin 。Professor 、Doctor 原因はわかっているのかしら?」

 

 「ISコアは回収され、機体は破壊されブラックボックスも木っ端微塵、原因を特定するのは困難ね。 ただ、私とDoctor の共通の見解である推測をたてました。」

 

 「それは?」

 

 Priestess が話を進めるように促す。

 

 

 「みんなも知っての通りISコアには自我が有るといわれているわ。 今回の結果はISコアの自我とラズムナニウムの特性の相性が悪く、福音を支配したラズムナニウムを拒否したISコアが福音から逃げたことで起きたと思われるわ。」

 

 「それは本当なのかDoctor ?」

 

 「ワシとProfessor は同じ結論をだした。最も検証しようにもISコアやブラックボックスが無い以上出来んがな。」

 

 「ということは、今後ラズムナニウムはISコアが登載された機体には使用することが出来ず、疑似ISコアを登載した機体での実験になるのですねProfessor ?」

 

 「そうなるわPriestess 。」

 

 「わかりました、それでは疑似ISコア登載の機体での実験を引き続きお願いします。」

 

 「それからもう1つ報告がある。織斑千冬から手に入れた設計図についてじゃ。」

 

 「設計図? あぁ、Merchant が言っていたやつか。確かDoctor とProfessor が解析と開発してたんだよな。」

 

 「そうじゃAssassin 。 その設計図を解析した結果、ワシらは篠ノ之束博士に踊らされておったようじゃ。」

  

 「どういうことですかDoctor ?」

 

 Priestess がDoctor に聞き返す。

 

 

 「あの設計図の幾つかの重要な機関の記載が巧妙に偽装されていた。あのままでは全く使い物にならん。」

 

 「それは本当なのかDoctor !」

 

 「Doctor の言っているのは本当ですよAssassin 」

 

 「Professor 、全く使い物にならないのですか?」

 

 「心配ご無用ですわPriestess 。私とDoctor で対応策を考えました。 ただ現状では本来の性能の50%弱、第3世代と同等位です。」

 

 「第3世代か、それじゃあ意味がねえんじゃないかProfessor ?」

 

 「勿論、そのままで終らせるつもりはありません。色々手を加えて最終的には本来の性能の70~80%位まで再現する予定です。」

 

 「わかりましたProfessor とDoctor はGAMEーSYSTEM とラズムナニウムの研究に加えて設計図のISの開発を急いで下さい。」

 

 「「わかったわ(ぞ)」」

 

 「ところでPriestess 、そろそろ本格的に動き出すのか? 下の連中が騒ぎ出しているぞ。」

 

 「支援者達からも催促がきてきますし、御二人の研究が一段落したところで最終計画を発動します。」

 

 「わかったMerchant にも知らせておく。狼煙を最初に上げるのは何処だPriestess ?」

 

 「私達がいるこの国から狼煙を上げるわ。 もう利用価値も無いですし。 それにそろそろ疑いが向けられていますしね。」

 

 「わかった、移動要塞ギャンランドに必要な機材を移しておくわ。それから密かに手配した空母やイージスも移動させておくわ。」

 

 「お願いしますAssassin 。Doctor とProfessor は最終計画に間に合うように研究と開発をお願いします。」

 

 そうPriestess が告げると三人はうなずいた。

 

 

 

 「「「「全てはグローリーキングダムのために!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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