インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第25話  流転

 

 

 タバネとクロエ、オータムは更識重工の秘密ラボに戻り、スコールは一夏が運ばれた病院に、シュート達は学園に戻って来た。 学園には刀奈、簪、シャルが戻って来ており校門でシュート達を出迎えてくれた。

 

 

 「刀奈、どういうことなんだ詳しく話してくれ。」

 

 「悪いけど、ここではちょっと話せないの。生徒会室に行きましょう。」

 

 「今、職員室は大混乱に陥っているよ。 ただ生徒には知らせないように箝口令をしいているみたい。」

 

 刀奈とシャルがシュートに説明する。そして生徒会室に移動したシュート達。

 

 

 「シュートも連絡を受けて知っていると思うけど、今日から織斑君は実家に戻るという名目の下、外泊許可を貰って外出していたわ。  そして彼は1度実家に戻ると外出しクラスメイトの鏡ナギさんと合流し、行動を共にしていたわ。」

 

 「あぁ、そこまでは連絡を受けているから知っている。 それでそのあと何があったんだ?」

 

 「とりあえず織斑君と鏡さんの事件直前までの行動の説明は省くわね、そして事件が起きたのは二人が、ある建物から二人並んで出て来た時に起きたわ。」

 

 シュートに聞かれて刀奈は説明を始める。 刀奈は何の建物か説明しなかったが、全員がこれまでの一夏の行動を知るゆえに予測がついた。おそらく一夏がデートの度に最後による特別な建物だということに。

 

 

 「その建物を出たところで、何故か篠ノ之さんと遭遇し、二人の関係を知り激昂し織斑君に対して暴力をふるい始めたの。」

 

 「護衛はどうしてたの?」

 

 マドカの疑問に刀奈は直ぐに答える。

 

 

 「その時点で学園並びに更識の護衛が篠ノ之さんを止めに入ったのだけど、余計に大暴れをして護衛も手をつけられない状態になったの。更に織斑君が鏡さんを庇って避難させようとした行動をしたことで、篠ノ之さんは更に激昂し、とうとうISを展開し織斑君を剣で斬りつけたの。 そして織斑君はISを纏った篠ノ之さんの攻撃を避けきれずに・・・」

 

 「成る程、それで織斑の容態と篠ノ之は?」

 

 「織斑君は病院で緊急手術の最中よ。病院には織斑先生と山田先生が学園から向かったし、スコールさんも行っているから手術が終わりしだい連絡が来ると思うわ。 それから篠ノ之さんの方だけど、現在行方不明よ。」

 

 マドカが一夏と箒の現状を刀奈に尋ねる。 そして箒が行方不明ということに全員が驚く。 

 

 

 「篠ノ之さんは織斑君が血を流しているのを見て、自分の犯した事の重大さに気がつき手にしていた剣を落としたの。その瞬間に護衛が拘束しようとしたんだけど、何せ相手はISを纏っている以上難しく、そのうち篠ノ之さんは織斑君に殺したと思ったらしく『私は一夏を殺した、殺してしまった』と喚きながら飛び立っていったそうよ。」

 

 「その後の篠ノ之さんの行方は掴めないの?」

 

 シャルの問いに刀奈は首を横に振り

 

 

 「臨海工業地帯の方に向かって飛んで行くのは確認されたのだけど、その後の足取りはさっぱり。コアネットワークを使って位置情報を調べたけど、ステルスモードになっているみたいで居場所が掴めないの。イスルギ重工にも問い合わせたけど、彼方も所在を掴めていないようだったわ。」

 

 「傷害・・・殺人未遂ともなれば刑事事件として警察に任せる事になりますね それにマスコミも騒ぐでしょう。」

 

 「その事何だけど虚ちゃん、そうなるかわからないわ。 何せ被害者はブリュンヒルデの弟、加害者はISの発明者の妹。 IS委員会もこの事件の対応を巡って紛糾しているみたい。 とりあえず現状では警察には極秘そうさとマスコミへの情報シャットアウトを命じているようよ。」

 

 そこにタバネからの通信が入る。

 

 

 『はいは~い、タバネさんだよ。 愚妹ちゃんの行方なんだけど確かに臨海工業地帯に向かったことは確認出来たんだけど、そこからの足取りは不明だね。それに愚妹ちゃんのガーなんちゃらとか言うIS何だけど、完全にコアネットワークから切り離されていてタバネさんでも追跡出来ないんだ。 愚妹ちゃんにそんな高等技術があるとは思えないから、誰か第3者が手助けしているのは間違いないね。』

 

 「やっぱりイスルギ重工が絡んでいるのでは・・・」 

 

 『その辺りはわからないけど、どちらにせよ愚妹の行方を掴む為の情報が全く無いね。』

 

 「とりあえず今は警察に任せるしか無いね。」

 

 シュートはタバネと話を終える。

 

 

 「それから織斑君と一緒にいた鏡さんの方だけど、怪我はしていないけど、事件を目の前で見たショックで気を失ったの。精神的な疾患が出る可能性もあるから、病院に入院させ暫く様子を見ることになったわ。」

 

 刀奈がナギの容態についても報告する。シャルがそれを聞いて

 

 

 「鏡さん、トラウマにならなければいいけど・・・」

 

 全員が同じ事を思い、可能性の回復を願った。

 

 

 「ところで、1つ疑問があるんだ。篠ノ之が二人の前に現れたのは偶然なんだろうか? それとも彼女は二人をずっと尾行していたのか?」

 

 「いいえ、護衛の報告だと二人を尾行する者はいなかったそうよ。彼女は二人が建物から出てきたと同時に現れたそうよ。」

 

 「・・・・偶然なのか、それとも何者かに誘導されたのか・・・・ 釈然としないな。どちらにせよ篠ノ之が捕まらない限りわからないな。」

 

 シュートの疑問に刀奈が答える。 だが、謎は深まるばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 事件から5日が過ぎた。 一夏の傷は心臓の太い血管と肺を斬られており、また倒れた時に頭部を強打しており、かなり危ない状態だったが長時間の手術と医療用ナノマシンのお陰で一命のとりとめたものの、未だに意識を取り戻さない。頭部を強打した事で脳内出血を起こしており血栓を取り除いたものの、それがどういう影響を及ぼしているのかは意識を取り戻さない限りわからないそうだ。

 

 一方、箒の行方は未だに掴めなかった。警察も必死に行方を探すものの大々的に捜査出来ない事で一向に進展が見込めなかった。

 

 鏡ナギはの方は、目の前で起きた惨劇の衝撃はやはり大きく未だに入院しており、専門医によるカウンセリングを受けていた。

 

 そしてIS学園では、夏休みも終盤に差し掛かっているため生徒達も続々と学園に戻ってきている。

 事件に関しては箝口令がひかれており生徒達には知らせないようにしているが、教師たちの間に漂う重々しい雰囲気と千冬の不在が生徒達の間に様々な憶測を生んだ。

 

 曰く、日本代表に復帰するために学園をやめた。

 

 曰く、弟の起こした不祥事の責任を取って辞職した。

 

 曰く、許されない愛を叶える為に相手と駆け落ちした。

 

 曰く、因縁の相手と決着をつけるために山籠りをしている。

 

 等、様々だ。

 

 等の千冬は一夏の入院している病院にいた。

一命をとりとめたものの、状態はあまり良くなく意識を取り戻さない事もあり未だに集中治療室に一夏はおかれていた。 病室には長時間滞在することは許されず、大半はガラス越しに見続ける事しか出来なかった。

 

 

 (・・・・・どうしてこんなことに・・・・何故だ?)

 

 ベッドに横たわる一夏。酸素マスクに点滴、心電図に血圧測定機等に繋がれている。 そんな一夏の姿を見続ける千冬はずっと自問し続けた。

 襲ったのが箒ということに加えて、一夏の直前までの行動が千冬を悩ましていた。

 

 

 (何故だ、一夏? 何故だ、箒? 何故だ・・・)

 

 千冬の問いに答える者は誰もいない。千冬に今できることも何もない。それが余計に千冬の心を苛んでいる。

 

 

 「織斑さん、面会室にお客さんがおみえですよ。」

 

 看護婦が千冬を呼びに来る。 千冬は一夏が入院して以降、ずっと付き添って泊まり込んでいた。 学園側も状況を理解し、特別休暇を与え更に身動きの取れない千冬の為に着替え等を定期的に届けさせた。 

 だからこそ千冬は学園の職員が着替えを届けに来たものと思い看護婦に礼を言って面会室に向かった。

 

 

 「いつもすまないな。」

 

 そう言って千冬は面会室に入る。 だが、そこにいたのは

 

 

 「?! 何故お前がここに?」

 

 千冬にとって思いかけない人物だった。

そして、この日を境に千冬は姿を消すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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