お陰さまを持ちまして、なんとか連載一周年を迎えました。
どうぞこれからもよろしくお願いいたします
「いけ!」
ラピエサージュから無数のミサイルが発射される。しかし、
「無駄だ、いくら撃っても私には届かない。」
マドカはガナリーカーバーでミサイルを全て撃ち落とす。
「マグナムビーク、セット!」
ラピエサージュの右腕の鉤爪が伸び、そして再びミサイルを発射しミサイルの背後からマドカに迫る。
「ガナリーカーバー、ビットモード。 ファイア!」
エクレールの周囲にガナリーカーバーが8つ出現し、一斉射撃を行いミサイルを撃ち落としていく。 更にマドカは手にしているガナリーカーバーでオウカを狙い撃つ。
「くっ?!」
ミサイルを撃ち落とされ爆炎で視界が遮られ躊躇したオウカにビームが飛んでくる。間一髪でかわし、距離を取る。
戦闘が始まり10分が経過していた。最初の内は一進一退の攻防が続いていたが、徐々にオウカが追い詰められはじめた。 実はマドカとオウカとでは、オウカの方が実力は勝っていた。 その差を機体性能で補い互角の戦いを演じていた。 それが今になってマドカが優位になってきたのか。
要因はオウカの纏うISラピエサージュに登載されているGAMEーSYSTEM だ。
アギラによって極限まで強化されたシステムに適応するように調製されたオウカ、テストでは向かうところ敵無しだった。
だが、それは飽くまで自分より格下の相手との模擬戦、いわば力でねじ伏せる方法しかやってこなかった。
一方マドカは格上若しくは同等の技量を持つ相手のと訓練を重ね、そういった者達と戦う為の技術や駆け引きというものを身に付けている。
言わば経験による差が生まれ、それが目に見える形で現れた。一進一退の攻防は精神的優位とゆとりを無くし精神と身体にズレを生む。それがオウカを激しく消耗させGAMEーSYSTEM の負荷に耐えられなくなってきたのだ。
(何故だ、何故倒せない? アギラ博士は言っていた私とラピエサージュが組めば無敵だと。 なのに何故?)
模擬戦やシミュレーションとは違う展開に戸惑いと怒りを感じるオウカ。 本来ならアギラによって感情制御がなされおり、戦闘中の感情の変化・・・戸惑いや怒りというものとは無縁のオウカだったが、エーデルによる短時間での命令の上書きにより綻びが生じそれが崩れていった。
もし、命令の上書きによる感情制御の綻びがなければ、ここまで追い詰められる事はなかっただろう。
経験による差が有ろうとも、GAMEーSYSTEM に組み込まれている様々な戦闘プログラムによる理詰めの戦いにより、互角の戦いを未だ続けていただろう。 だが、今のオウカにそれを実践する余裕も暇も無い。 混乱しているオウカにとって、GAMEーSYSTEM がもたらす戦術は煩いものとなっていた。
(私は・・・最強の戦士・・・・ラピエサージュは・・・・無敵・・・・私は・・・・無敵の戦士・・・・敗北は無い・・・)
感情抑制の綻び、精神疲弊によりオウカの脳裏に浮かんだのは最初に刷り込まれたアギラの言葉、その瞬間ラピエサージュに変化が起きた。
「アァァァァァァァァーーーーーー。」
オウカの叫び声と共にラピエサージュは翼を大きく広げ全身に血管の如く赤いラインが走る。そして姿が消える。
「えっ?!」
突然の事に驚くマドカ。 次の瞬間、展開していたビットが次々破壊されていく。
「急にスピードがあがった! 何故だ?」
突然の事に戸惑うマドカだったか、それでも体勢を崩すことなく、ラピエサージュの動きを見極めようとする。 ラピエサージュは先程とはうって変わって凄まじい速度で動き攻撃してくる。 マドカは何とか回避しているものの先程とうって変わって追い詰められつつあった。
(いったい何が起きたの? 急に動きがかわった。)
ラピエサージュに登載されているGAMEーSYSTEMはアギラによって極限まで強化されたものだ。 だがアギラはオウカには秘密にある仕掛けを施していた。
それは装着者の意思生命を無視して機体性能を極限まで引き上げ、GAMEーSYSTEM に全てを委託し装着者をマリオネットのようにしてしまうのだ。 本来ならアギラが命じなければロックが掛かっており発動しないのだが、追い詰められたオウカの精神的負荷がそれを無理矢理抉じ開けたのだ。
オウカの命と引き換えに。
「このままでは不味いな。ならば私も本当の力を解放する。 エクレール、リミッター解除、ツインコアシステム・フルドライブ。 ガナリーカーバー、コネクトオン。 さあ起きておくれデエス・エクレール!」
次の瞬間、エクレールを中心に爆発的な光が放たれる。 その光を浴びてラピエサージュの動きが止まる。
「
光が収まるとそこには各部分が若干変化したエクレール(外見:バルゴラグローリーS)が姿を現した。 両手にガナリーカーバーを2つのガナリーカーバーを構えて動きの止まっているラピエサージュに迫る。
右手に持つガナリーカーバーは高周波ブレードを展開して切りつける。 オウカは直ぐに反応し、それを避け再び高速移動でマドカを翻弄しようとするが、先程までと違い、マドカはそれに追随し左手のガナリーカーバーから実弾を連射する。
「?!」
自分の動きに追随するマドカに驚くオウカ。それでも直ぐに対応し、
「マグナムビークセット。」
振り返り様マグナムビークを突きだすが、高周波ブレードでマグナムビークを切断される。
それならばと左手にO.O.ランチャーを呼び出して零距離射撃を狙う。
「O.O.ランチャー、Bモード。」
至近距離から放たれたO.O.ランチャーの実弾。 避けられずに命中した、と思われたが実弾はエクレールの体をすり抜けていく。それと同時にエクレールの姿が掠れていき消える。 次の瞬間、ラピエサージュは背後から無数の銃弾を受ける。 振り返えると、そこには左手のガナリーカーバーから実弾を放ったエクレールの姿が。
エクレールは残像を残す高速移動。それをオウカは見抜けなかった。
「Eモード!」
エネルギー弾を撃つ、が再びエクレールの体をすり抜けていく。 そして背後に銃弾を受ける。
徐々に傷ついていくラピエサージュ。 実はラピエサージュにはラズムナニウムは使われていない。 アギラが必要性とデメリットを比べてラピエサージュへの登載は不要と判断したからだ(アギラ曰く最強の兵士であるオウカと最高傑作品であるラピエサージュならば、損傷を受ける事は無い)。 それゆえにうけた損傷は修復されない。
ここでオウカは損傷が軽微な内に勝負をつけようと賭けに出た。
いったん距離を取り、最大の攻撃力を持つ技を放つ事に。
「ラピエサージュ、オーバードライブモード!」
ラピエサージュは翼をひろげ、更に全身に走る赤いラインが金色に変わる。
オーバードライブモード・・・機体性能と出力を一時的に飛躍的に増大させる事が出来るが、エネルギーの消耗が激しく使用後は機体が強制冷却により性能が著しく低下する。 オウカ・・・いやGAMEーSYSTEMは勝負をつける為にあえて使用することにしたのだ。
マドカもそれを感じとり、最大の技を放つ事にした。
「アンキャニー・アルティメイタム・ネイルズ!」
「ブレイク・マキシマム・クロス!」
ラピエサージュが左手の5連チェーンガンを放つ、エクレールはガナリーカーバーをマシンガンモードにして実弾を射つ。
ズガガガガガガガガーーーン
互いに放った弾丸はぶつかり合い落ちていく。
ラピエサージュは切断されたマグナムビークを新しい物に取り換えて展開しエクレール目掛けて突きだす、エクレールはガナリーカーバーの高周波ブレードをマグナムビーク目掛けて切りつける。
ガキン、 パキン!
マグナムビークと高周波ブレードは互いに折れる。
ラピエサージュは少しだけ距離を取り、O.O.ランチャーのBモードで連射し、バックパックからミサイルを発射する、エクレールも距離を取り両手に持つ2つのガナリーカーバーの銃口をあわせるとそこに巨大なビームサイズがうまれ、それを大きく振りかぶって投げる。
バシューーーーーーーン
ビームサイズの刃、O.Oランチャーのエネルギー弾とミサイルはぶつかり合い消滅する。
更に距離を取るラピエサージュ。 同じく離れるエクレール。
「コード U・U・N!」
ラピエサージュは銃身の伸びたO.Oランチャーから高出力のエネルギー弾を放つ。
「ファイナルブレイク、B・M・X!!」
エクレールは周囲に8機のガナリーカーバービットを展開し、両手に持つガナリーカーバーと同時に最大出力のビームを放つ。ビームはやがて1つとなる。
ぶつかり合う、2つの光。ラピエサージュの放った青黒い光、エクレールが放った黄緑の光。
一進一退を続ける2つの光、永遠に続くかとおもわれた攻防は徐々に変化をみせはじめる。
エクレールの放った黄緑の光がラピエサージュの青黒い光を押し返しはじめ、ついには撃ち破りラピエサージュに命中する。
ドォガァァァァーーーン!
ビームの光に飲まれたラピエサージュ、やがて大きな爆発が起きる。
立ち込める爆煙・・・・吹き抜ける風により徐々に晴れていく。 そこにはラピエサージュの姿があった。 しかしその姿は痛々しいものだった。
右上半身と左腕の装甲は消失、頭部装甲も殆゛ど消失しておりフェイスガードの一部のみが残りオウカの顔の右側を隠している。 残っている装甲も破損しており、まともに動くようには見えなかった。 それにオウカ自身も多量の血を流しておりまともに動けるかも怪しい状態だった。
それでもオウカは
「・・・・わた・・・・・しは・・む・・・・・てきの・・・・へ・・・・・いし、む・・・・て・・・・・・・・・き・・・・む・・て・・・・・き・・」
戦おうとする。 いや、オウカだけでなくラピエサージュに登載されているGAMEーSYSTEM も戦闘行為の継続をオウカに求めていた。
「・・・・・・アン・・キャ・・・・・・ニー・ア・・ルティメ・・イタム・・・・・・ネ・・・・・・イル・・・・・・・・ズ」
再び最大の技を放とうとする。だがモーションに移る瞬間だった、ラピエサージュの全身が激しく放電する。
機体状態を無視しての技の発動、それに耐えられない機体がオーバーヒートを起こしたのだ。
動きが止まるラピエサージュ、GAMEーSYSTEMも機能停止に陥ったのか、オウカもピクリとも動かない。
「終わったな。」
オウカを拘束しようとマドカが動いた瞬間だった。
【GAMEーSYSTEMノキノウテイシ、ナラビニソウチャクシャノイシキショウシツヲカクニン。 コレヨリキミツホジノタメ、コードATAハツドウシマス。」
突然告げられるコンピュータボイスにマドカは直感的に反応してラピエサージュから距離を取る。
次の瞬間、ラピエサージュは光を放ちながら内側から弾けるように爆発。
その姿を完全に消し去った。
(・・・・・・・・わたしはオウカ・ナギサ・・・・・・違う・・・・私の名前はサクラ・・・・・・鏡・・・・・サ・・・・・)