カプセルが並ぶ部屋、その1つが開く。中にいた人物・・・エーデルは、飛び起きる。
「!! おのれ、おのれ、おのれ!!!」
自分が死んだ時の光景が脳裏にまざまざと甦る。カプセルから出た瞬間だった、エーデルはバランスを崩して膝をつく。
「ま、まさか?!」
自分の手足を見れば、先程まではなかった皺が目立っていた。 慌ててまだ開いていないカプセルを見れば、全てのクローンに異変が起きていた。 固体差はあるものの、老化が始まっていた。
「ば、馬鹿な?! いくらなんでも早すぎる!」
エーデルが驚くのも無理はなかった。これらのクローンはほぼ同時期に作られており、一定期間ごとに新しく作られたクローンと入れ換えられているのだ。
そして今入っているクローンは入れ換えられたばかりで、劣化が始まるにはまだ猶予があるはずだった。
実はこれには理由があった。先程の戦闘で受けたダメージが大きすぎて、管理システムにまでダメージがフィードバックしてしまい、カプセル内の固体に影響が出てしまい老化がはじまったのだ。
新しい固体はまだ作られておらず、つまりこの部屋以外にはもうクローンは存在しないのだ。
「こうなれば、もう仕方がない。」
エーデルは覚束無い足で壁の一部を開き、内部に納められていた注射器とヘッドギア、パッドをを取り出す。ヘッドギアとパッドには透明なクリスタル・・・ISコアがそれぞれ付けられており、エーデルはヘッドギアを装着しパッドを左胸につけてフィットさせるとヘッドギアから幾つかのコードを伸ばしてパッドと接続する。
そして震える手で右手に持つ注射器を首筋に当てて中身を射つ。
「グウァァァァァァァーーーー!」
エーデルの絶叫が部屋に響く。
「タバネ姉さん、それが?」
シュートの問いにタバネは頷き
「そうだよ、シューくん達のお母さん織斑万季が作り上げた演算ユニット【メイガス】。 そしてシューくん達の両親、織斑春斗と織斑万季の眠る場所を知るための鍵。」
メイガスに隠された秘密、それこそシュート達の両親が眠る場所なのだ。 無論、これには理由がある。二人は自分達の遺体が四季に利用される可能性が高い事を認識しており、最後の力を振り絞り予め行き先をインプットしたカプセルに乗り込んだのだ。
そして、その場所を知るための鍵をメイガスに暗号として残してあった。 それを知るのはタバネだけであった。
「今は船に運んで、解析は戻ってからしようね。」
そう言ってタバネは船に戻ろうとする。
「一応、俺達は城の方をチェックして来るよ。」
そう言ってシュート達は城に向かおうとした時だった。
ドォガァァァァーーーン
突然、城が爆発したのだった。
「タバネ姉さん、急いで船に戻って! 何か嫌な予感がする!」
「わかったよ、シューくん達も気をつけてね。直ぐにシャルちゃんを向かわせるから!」
島を離れる潜水艇の中、フルフェイスのヘルメットに黒いライダースーツ姿の女性がいた。
潜水艇はステルス機能のみならず超伝導モーターにより、無音に近い状態で移動するため、感知されずらいのだ。 その中で女性はサブモニターの映像を見ていた。
「おやおや、Priestessも随分と追い詰められたみたいね、あの未完成品に手を出すなんて。 これで新しい体に移る事は出来なくなったわね。」
女性はそう呟くと胸元からUSBメモリと2つの銀色のカプセルを取り出す。
「レプリコアの設計図、そしてラズムナニウムにTOサンプル。これがあればグローリーキングダムがなくなったとしても、どうとでもなるわ。 最後に笑うのは私よ。」
潜水艇は海中を静かに進んでいく。
立ち込める煙を目をそらさず見続けるシュート達。
センサーには既にISの存在を示す光点が映し出されていた。 だが、未だにその姿を確認することは出来なかった。
それが一層シュート達の警戒を増していた。
少なくとも巨大な城を一瞬で瓦礫に変える力を持っているのだから。
風が吹き、煙がはれていく。
そこには奇妙な物が浮かんでいた。
一見すると裸の女性のようにも見える。
だが、全身が銀色の人・・・いや人形しか見えない。
しかし、その姿は見知った姿だった。
エーデル・ベルナル、先程倒した筈の人だった。