インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第46話  ラストバトル

 

 

 「スラッシュ・ディメンジョン!」

 

 シャルロットのフェー・ソレイユは両手に装着されたビームブレードで縦横無尽にエーデルを斬りつけていく。

 

 

 「スターダストショット!」

 

 その合間合間に、絶え間無く銃弾を撃ち込むマドカのデエス・エクレール。 だがそこで突然、エーデルを護るように周囲に球状の銀色の幕が出来る。

 更にエーデルから4つの銀色の塊が飛び出して球体から出てくる。 それらは瞬く間にそれぞれ違う武器を構える人形になる。 そしてシュート達に襲いかかる。

 しかしその行動はシュート達にあることを気づかせる結果となった。

 

 

 「どうやら修復の時間稼ぎか、となると。」

 

 「効いてきたみたいだね兄さん。あれの相手は私がするから兄さん達はエーデルを!」

 

 マドカの言葉にシュート達は人形を無視することにした。

 

 

 「お前達の相手は私だ! 単一仕様能力【万華鏡】(カレイドスコープ)発動!」

 

 マドカがデエス・エクレールの単一仕様能力を発動させると、その姿は輪郭がぼやけるように歪んでいき、やがて4機に別れる。そして人形に向かっていく。

 巨大な手甲を持つ人形、槍を持つ人形、銃を持つ人形、剣を持つ人形は、それぞれ別々の別れて向かっていく。 そして手甲と剣を持つ人形は大きく振りかぶり、槍を持つ人形は真っ直ぐ突き刺し、銃を持つ人形は銃弾を連射する。だが、その全ての攻撃は4機のデエス・エクレールをすり抜けていく。 単一仕様能力【万華鏡】、それは虚像と実像の交錯。この能力を発動することでデエス・エクレールは自身を虚像と実像に自由自在に入れ換える事が出来るのだ。自身が攻撃する時は実像、自身が攻撃を受ける時は虚像と。完全無欠の能力におもえるが、発動時間に制限があり僅か20秒。 しかも一度発動すると24時間は再使用出来ない。

 

 それでもマドカにとっては十分な時間だ。

攻撃がすり抜けた直後、カウンターを叩き込む。手甲の人形には高周波ブレードを、剣の人形にはビームサイズを、槍の人形にはマシンガンを、銃の人形にはビームを放つ。 攻撃を受けて人形は全て爆散する。

 

 

 

 「あの幕は私が!」

 

 そう言ってシャルロットはエーデルの上にまわり

 

 

 「フェー・ソレイユ、フルパワー! リアクター・フラッシュ!!」

 

 フェー・ソレイユの背中からのびるコネクターからビームが放たれる。ビームは銀色の幕に命中する、幕は波うち徐々に薄くなっていくが、まだ破れない。

 

 

 「これで、決める! ファイナルグランドクロス!!」

 

 両手を伸ばし両足を揃えて自ら十字架を形作ると全身から強力なビームを放つ。 流石にその威力に耐えきれず銀色の幕は消失し、エーデルの姿が露になる。

 

 

 「全スライダーパージ! オープン・ブレード、ローリングフォーメーション!」

 

 リュミエール・エクスプロジオの全身に装着されていたスライダーが全てパージされ、形状を変えて回転しエーデルの周囲を回る。 

 

 

 「コズミック・ブレイカー!!」

 

 エーデルの周囲を回る全てのスライダーからビームが放たれる。ビームはエーデルの全身くまなく照射され、やがてエーデルを包む光球となり爆発する。

 煙がはれてエーデルの姿が露になる。 もはやエーデルとしての姿は垣間見ることなく、原型をとどめておらずゾンビのような姿となっていた。

 

 

 「右手に幽炎、左手に幻水、今ひとつとならん!」

 

 刀奈の凰姫・星天の右手に炎、左手に水があらわれる。 それを正面でひとつに合わせると

 

 

 「双極裂破。羽ばたけ、マキシマム・フェニックス!!」

 

 白い鳳凰となってエーデルに放たれる。鳳凰はエーデルを飲み込む。鳳凰が姿を消した後には、銀色の薄い幕に覆われ、赤い粘液のような物がへばりつくISコアだけが残っていた。2つのISコアは粘液で無理矢理融合されたようで歪な形になっていた。 更にクイーンナノマシンはISコアに浸食融合し、支配しているようだ。

 そして再び体を作ろうと赤い粘液の部分から銀色の液体、しかしそれを許すシュート達ではなかった。

 

 

 「フェー・ソレイユ、単一仕様能力【エテンネル・エスポワール】発動!」

 

 シャルロットがフェー・ソレイユの単一仕様能力【エテンネル・エスポワール】を発動させた。これは対象となるものの動きを止めるものだ。ある意味AICと似ているが、此方は単に動きを止めるのではなく時間を止めるのだ、そのために対象となったものは動きを止められている間は周囲とは時間の流れが切り離されて本当に何も出来ないのである。

 無論、これも制限がありAIC以上の集中力と精神疲労が伴うもので今のシャルロットでは10秒しか発動出来ない。 しかし、その10秒でシュートと刀奈は全ての準備が出来た。

 シャルロットが単一仕様能力を発動させると同時に刀奈もまた凰姫・星天の単一仕様能力を発動させていた。

 

 

 「凰姫・星天、単一仕様能力【豊玉姫】発動!」

 

 単一仕様能力【豊玉姫】、それは対象となるISのエネルギーと損傷を回復させ、更にその力を増幅させる事が出来るのだ。ただし、その対象と出来るのは装着者とって繋がりのある大切な人のみ、となっている。

 豊玉姫の力でエネルギーが回復し、力が増幅されたリュミエール・エクスプロジオは最後の一撃を放つ、

 

 

 「スライダーパージ、いけ!」

 

 パージされた4つのスライダーは銀色の幕を切り裂く。 

 

 

 「ストライクシールド、セイバー、アクティブ。グラビティーソード!!」

 

 左腕のシールドから剣を引く抜くと、剣に重力波が集約し刀身を黒く染め上げる。 

 6枚のスラスターからは虹色の光が放たれて加速する。 スラスターから放たれた虹色の光は粒子となって舞う。 更に舞った粒子の一部はグラビティーソードに集まり、黒く染まった刀身が虹色に変わる。

 

 

 「これで決める! グラビティーソード、アルカンシェル・ストラッシュ!!」

 

 赤い粘液に浸食融合したISコアに向けて剣の一撃が放たれる。 虹色の光の軌跡、それが消えると赤い粘液のようなものの色は灰色に変わり、砂のようにサラサラと崩れさっていく。それと同時に融合し歪な形になっていた2つのISコアは分離してもとの形に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  こうして最後の戦いの幕は閉じた


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