翌日、朝からクラスはにぎやかだった。 中国からの編入生が隣の2組に加わる事と、来週行われる学年別クラス代表戦の事だ。
特にクラス代表戦はデザートフリーパスがかかっているので話に熱がはいっている。
「それにしても専用機持ちが1組と4組しかいないなんて、チャンスが増えたわね。」
「しかも4組のクラス代表、専用機持ちなんだけど、どういう訳か専用機がまだ完成してないんだって。」
「ますます優勝の可能性が高くなってきたわね。 頑張ってよ織斑くん。」
「まかせておけ、必ず優勝してデザートフリーパスを手に入れてみせるぜ。」
一夏はクラスの女子に乗せられて優勝宣言をする。
『・・・・・織斑一夏もクラスのみんなもわかっているのかな? いくら専用機が無いとはいえ簪ちゃんは代表候補生だ。』
シュートがプライベートチャンネルでマドカとシャルロットとセシリアに話かける。
『たぶん、わかってないと思うわ。』
『というか、織斑くんは代表候補生の強さをまだ認識していないと思うよ。 あれだけセシリアさんにやられたのに。』
『つくづく学習能力の無いお方ですね。』
あまりにも能天気な一夏に酷評を下す3人。 そこに突然、
「その情報は古いわよ!!」
クラスの入り口に一人の少女・・凰鈴音が腕を組み仁王立ちで此方を見据えていた。
「この中国代表候補生、凰鈴音が2組のクラス代表になったからには、そう簡単には勝たせないわよ!!」
そう宣言する。 そして鈴音の姿を見て一夏が
「鈴?!、鈴じゃないか、久し振りだな。」
「久し振りね一夏、元気にしてた?」
「あぁ、それより何格好つけてんだ、すげえ似合わねえぞ。」
「な、なによ! 一夏のくせに生意気よ!」
一転して口喧嘩を始める二人、しかしそれは突然終局を迎えた。 二人の頭を衝撃が襲ったからだ。
バン! バン!
「「 いだぁーーー!! 」」
「馬鹿者、チャイムが聞こえなかったのか? SHR がはじまるぞ!」
「 くっ、一夏後で覚えてなさいよ! 」
凰鈴音の最初の襲来はこうして幕を閉じた。
昼休み、シュートは基本的に食堂にはいかないで生徒会室で弁当等を食べている。 食堂にいけば色々と騒がしくなるためだ。
そのため一夏の監視にはマドカ達がシフトを組んで交代で監視している。 ちなみに今日はマドカとセシリアだ。
そして二人のISのハイパーセンサーとコアネットワークを通じて状況を監視している。 それ以外にも食堂には監視カメラが幾つか設置されており、それを使っての監視もしており生徒会室のモニターに映し出されていた。
「そう言えばシュート、倉持の一件はどうなったの?」
サンドイッチを食べながらシャルロットが尋ねた。
「タバネ姉さんとクロエが今回は容赦なくやってね、そしたら出るわ出るわ色んなデータが。 今はそれを整理して纏めているみたい。 そして今回関わった政治家や官僚の事を含めて検察庁、そしてマスコミに一斉に送るみたい。」
ツナマヨお握りを食べながら答えるシュート
「検察庁?! そんなにヤバいデータが出てきたの?」
刀奈が驚く。
「犯罪行為の証拠が色々とね。 GWに入る頃には世間を騒がせるんじゃないかな。」
「どう決着がつくのでしょうか?」
シュートの答えに虚が聞いてきた。
「さあね、うやむやで終わるか、尻尾切りで終わるか、はたまたきっちり処罰するか、それは蓋をあけてみないとね。」
一夏達が映るモニターでは、一夏をはさんで箒と鈴音が言い争いをする姿があった。
どうやら、一夏のコーチを巡って言い争いになったようだ。
「そう言えば、篠ノ之さんに訓練機の打鉄を優先的に貸し出すように整備科に通知がきました。」
「理事長に確認しましたら、政府からの要請ということです。 更に政府の方に探りをいれましたら、篠ノ之箒が姉である篠ノ之束の名前を使い脅したようです。 更に織斑千冬がそれを後押ししたようです。」
虚からの突然の報告と刀奈からの補足はシュート達を驚かせると同時に納得させるに十分だった。
実は箒は白騎士事件以降から篠ノ之束の妹と呼ばれる事を嫌うようになった。 束がISを作り出した事により家族が離散し自身も転校の繰り返しになった為に。
しかし、中学生に上がった頃からは自分が不利な立場になった時や、自分の我が儘を押し通したりする際に束の名前を利用する事が増えた。
先日も授業の最中に束の妹だと知れた際には『自分は関係ない』と言い切った反面、昼食時に一夏にコーチを申し出た上級生に対して『自分は篠ノ之束の妹だ。』と言って押し退けたのである。
と言って押し退けたのである。
ある意味、一夏と同じく自己中心的な人物のようだ。
「やれやれ、また面倒な事にならなければいいけど。」
シュートがそう呟くと、その場にいる全員が何故か面倒事が起きそうな気がした。
「あっ、それからもう1つ報告があります。織斑くんの校外での護衛です。 学園側からスリーマンセルで警備員をつけるそうです。さすがに校外で私達が常に側にいたりしたら不自然ですしね。」
虚がそう報告してきた。
「そうですか・・・・スリーマンセルですか、まあ前例があるだけに仕方ありませんね。 念のために彼の身の回りの品にGPSチップを仕掛けておいてください。」
「わかりました、生徒手帳に携帯電話に腕時計等に仕掛けておきます。」
シュートが出した指示に刀奈が頷く。
「GW迄に仕掛ければいいよ。」
「そう言えばシュート、GWはどうするの?」
シュートのGWのフレーズにシャルロットが聞いてきた。 カレンダーを見ると5月の1日が土曜でそこから5連休となっていた。 しかし、留学生も多いIS学園では29日から5日迄の1週間の連休となっている。
「今年のGWは7連休だね。 本来なら護衛任務の兼ね合いで学園待機なんどけど、流石にそれだと不満が出るから、前半と後半に分けて交代で休む事になった。それで俺たちは前半に3日間休むことになったんだ、だから温泉旅行でもしないか?」
シュートの言葉に喜びを隠せない刀奈とシャルロット。
「それじゃあ更識がやっている温泉宿に行きましょう。部屋は常にキープしてあるから大丈夫よ。」
「参加メンバーは?」
「俺にシャルロット、マドカ、刀奈、簪ちゃん、本音ちゃんに虚さんの7人だ。あっ、タバネ姉とクロエも誘ってみようから。 これそうだったら9人だね。」
「それでは旅館の方に連絡を入れておきますね。」
シュート、刀奈、シャルロットの会話を聞き虚が、旅館の手配を始めた。
「さて、楽しい旅行の前には学年別クラス対抗戦があるから、それを終わらせないとね。」
シュートの言葉に疲れた表情になる刀奈。そんな刀奈を労りながらシュートは号令をかける
「それじゃあ、お仕事再開!」
ちなみにその日の夜、一夏との部屋割りで箒と鈴音がもめ事を起こした。
そして一週間後、クラス対抗戦が始まった