青と藍と蒼と碧   作:藍澤 碧

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13 藍と碧?

「ふうぅ――――――」

温泉に首まで浸かり、傷を湯に浸しながらまだほとんど動かない左腕を、右手で揉んだ。

のぼせることなくゆっくりと、傷を湯に浸し首まで浸かることができるようにと、雨避けのみで風通しの良い岩風呂がある城下の山奥の宿を、朱納(しゅな)が人払いをして用意してくれたのだった。

 

蒼火竜を守った、我らが武将に一目会いたい、礼を言いたいという民が絶えずやって来ていた為、里から離れた場所に、ごく少数の世話をする者と護衛のみで逗留していた。

 

湯治を続けているお蔭か、傷はきれいになってきていた。

「この腕、せめて自分のことが自分でできる位には、動くようになってはくれないかのぅ・・・」

 

そこへ猫好きの藍瑪蔬(あいめそ)が小さい頃から共にいる、濃いめの藍色のような毛色で手足が淡い藍色のような色柄の、オトモのむぁが現れた。

里と宿を行き来しているむぁが、無邪気に知らせてくれた。

「里では、今、藍瑪蔬(あいめそ)さまを称えて、金色(こんじき)の鎧を作っているそうにゃ」

藍瑪蔬(あいめそ)は、うんざりしたような、困ったような表情を浮かべている。

「そのようなこと・・・・・・。いったいどれだけ時が経った? もうそろそろ良いであろうに・・・。 それに、なぜ金なのだ?」

ちゃぷん。

掛け湯をした後、隣で湯につかったむぁが応える。

「それだけ感謝されているにゃ。末代まで語り継がれますにゃ」

「もう良いというに・・・」

藍瑪蔬(あいめそ)は顔の汗を拭いながら、顔をしかめた。

「ご主人・・・。もう諦めるにゃ」

「・・・私はもう戦には出られぬであろう。腕が使えるようになったら、藍染をしながら静かにあおを弔い続けたい。・・・私が後世に残すのは、藍染だけでいい・・・」

 

するとむぁは、何やら嬉しそうに笑顔になった。

藍瑪蔬(あいめそ)さまが、ここに湯治で逗留されてからずっと、黒鷹(からす)さまが家業を手伝っておいでにゃ」

「!!?」

驚いてむぁを見る目は見開いている。

「どんどん上達しているにゃ。戦がなければ、そのまま生業にしてしまう気かにゃ?」

ふふふと嬉しそうに笑うむぁに、困惑の眼差しを向けて藍瑪蔬(あいめそ)は言った。

黒鷹(からす)殿は何をお考えなのだ・・・?」

益々楽しそうな、むぁ。

「ご主人、鈍いにゃぁ。誠之輔(まこのふ)さまと同じにゃのにゃよ、黒鷹(からす)さまは」

真っ赤になった藍瑪蔬(あいめそ)は、慌てて言う。

「むぁ!何を言うか! 私は、朱納(しゅな)姫さまと違って美しくもなければ、学も武もない!」

「ご主人、ちゃんとわかっているにゃ」

「何を!?」

怒ったように返す。

「ご自分が、黒鷹(からす)さまにとって、誠之輔(まこのふ)さまにとっての朱納姫さまだと」

「!!」

藍瑪蔬(あいめそ)は益々赤くなって、言葉を失った。

「でもご主人、わかってないにゃ。ご主人は充分美しく文武両道で、とても素敵なおにゃごにゃ」

(かぶり)を振る藍瑪蔬(あいめそ)に、むぁは続ける。

「そして何より、あお殿と築いた絆・・・。その絆を築くことのできる力・・・お心。あお殿やむぁを惜しみなく愛してくにゃさる姿は、誰もの心を動かすにゃ」

ぼちゃん。

藍瑪蔬(あいめそ)は、湯に頭まで浸かってしまった。

「!!ご主人!だめにゃ!のぼせてしまうにゃ!!!」

 

 

 

 

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