14 名前
「続きいくね。『人同士の戦が―――――――――藍染を生業とする家に生まれ、玉髄の一種である瑪瑙とりわけ青瑪瑙を愛し、蔬(あおもの)つまり野菜を好むことから、『藍瑪蔬(あいめそ)』と名付けられた』・・・」
「出た!! メソさん、そのまんまじゃない!」
スズナが興奮して口をはさんだ。
というか、私もつい止まってしまったのだけれど。
「ぎょくずい?って宝玉のようなものでしょう?青いのが手に入ると、素材として使わなくても絶対取っておくもんね」
ああぁ・・・。これは照れるなぁ・・・。
「野菜も好きだよねぇ、藍メソ」
「あはっ。そうねぇ・・・。これなんか恥ずかしいね」
「ははは! で、その『
マコノフさんに促されて、続きを読み始めた。
書物の第二章に入る。
「『蒼火竜に候―!』」
「え?何それ?」
シュナさんが反応する。
「『我々は蒼火竜だぞー!』って感じかな。この時代の話し方みたいよ」
「へえー。面白いね!」
スズナが興味深そうに言う。
「ふふ。きっといっぱい出てくるよ」
「ほんと!?気になる! 続き!続きっ!」
「はいはい。 『揃いの青い鎧兜や防具を身に着けた―――――――――・・・』」
途中途中、気になる言葉に反応しそうになったのを見て、“後でまとめて答える”事にして読み進めていった。
『「申し上げます!」
駆け込んできた兵士の声に、
「ええ?」
ちょっと照れるスズナ。
「えっと、『鈴菜はさっと振り返った。――――――「眠鳥か!?」』・・・って、昔よく現れてたっていうヒプノックだっけ?」
「あー、いるね。最近ほとんど、聞かないし見かけないけど」
マコノフさんがさらっと答えた。
「なのかな?・・・『「は!」――――――蒼火竜の総大将、
「あら!私?・・・うふふー」
マコノフさんを見て、やたら嬉しそうに笑うシュナさん。
「その内出てくるかもね、コレは・・・」
「ははは・・・。出てこなかったら、おじさん泣いちゃうなぁー」
若干、渇いた笑いのマコノフさん。
「で、『総大将の朱納に向き直って――――――稽古相手でもある、まことのすけ』・・・? ・・・?」
「あら?何か、それっぽいのが出てきたわよ!」
「うーん。これ、“まことのふ”だなぁ・・・。という事は、“まこのふ”・・・とも読めるから、そうかも。この先、“まこのふ”って読むね」
「ほうっ」
安心したような、マコノフさん。
「『稽古相手でもある、
ひと息ついて、お茶を頂く。
続きを読み上げ始める。
蒼火竜・あおとの別れの場面で、涙で声が詰まる私の両隣で、二人も涙ぐんでいた。
静かに立ち上がって、お茶を淹れ直してくれるマコノフさん。
オトモたちも、目元をごしごししていた。
淹れ直された温かいお茶を飲んで、自分を落ち着かせてからページをめくる。
「『――――――「!!ご主人!だめにゃ!のぼせてしまうにゃ!!」』・・・」
と、そこまで読んだ時に、とうとう我慢できなかったのか、シュナさんが大声を出した。
「からすって誰!? 気になる!!」
「確かに、あたしたち知らない名前ね」
私は、私自身が頭まで温泉に浸かりたいくらい恥ずかしかった。
「マコノフ!知り合いにいる!?」
「・・・いや・・・」
遠慮がちに、否定するマコノフさん。
「メソさん、知り合いに・・・」
あまりの恥ずかしさに頭を抱えて小さくなっている私を見て、スズナの言葉が止まる。
「あ!何!?居るの?」
とシュナさん。
「・・・・・・」
黙る私に、シュナさんが畳みかける。
「居るんだね?」
見られないけど、絶対、“ニヤリ”って顔してるよ、シュナさん!
いやー!逃げ出したい衝動に駆られつつ、その場でジタバタする。
「あー。あの
ムァがのんきに声を上げて、全員がさっとムァの方を向く。
「ムァ!!」
慌てて口を押さえるムァ。
当然、時既に遅し。
みんなの注目を集めてしまう。
「ムァ君!!どこの誰!?」
「あ、いや、その・・・」
口をパクパクしながら、みんなの顔を見渡して、私の顔を見て固まる。
当然、“余計なことを!!”という顔をしているのであろう。
もう!