「おおぉぉぉぉぉぉえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・」
「つらそう・・・」
分かってはいたけれど言わずにはいられない。
「いつものことだけどねぇ」
いつもそうしているように、マコノフさんの背中をさすってあげながら、スズナが苦笑いしながら言った。
「ギルドでもどこでもいいけど、何かいい薬でもなんでも作ってくれないかなぁ?早くできるといいのにね。見ている方もツライもの」
言わずにはいられない願いを口にする。
「ほんとねー」
今は、村と村や集会所との間は、ほとんど飛行船で移動できる。
ところが、マコノフさんは極度の乗り物酔いの持ち主なのだ。
その為、クエストに行っても何とかベースキャンプに移動して、平衡感覚が戻るまでの30分程は動けない。
治まりさえすれば、そこからはとんでもなく早い。
速攻でターゲットを見つけ、金獅子ラージャンですら、わずかな時間で仕留めてくれるのだ。
(故に自分の足で行かれる闘技大会の、タイムアッタカーマコノフとして、有名なのだけれど・・・)
「ガーグァ荷車の方が良かったかな?」
確か、「飛行船怖い」って言っていた気が・・・。
「いや・・・。むしろ・・・、時間が長い分・・・、余計キツイ・・・。おえぇ・・・。すまん・・・。ふぅ・・・」
ひとしきり出すものを出して少し落ち着いたマコノフさんが、途切れ途切れに言った。
「そこまでして一緒に来てもらったのが、何だか申し訳なくな・・・」
思わず言ってしまって、余計に申し訳なくなった。
出発前も散々遠慮して止めたのを、彼自身が押し切ってまで来てくれたのに・・・。
「自分が・・・来たかった・・・うぷ・・・。から・・・、いいんだよ・・・」
「ありがとう!!」
深い感謝の気持ちを込めて、隣にしゃがんで背中をさする。
「治まれ!治まれ!!」
「ん」
それだけ言ってマコノフさんは、傍にあった私のつま先をポンポンしてくれた。
“いいんだよ”と“ありがとう”が込められている気がした。
吐き気だけは落ち着いたマコノフさんとスズナと3人で座り込んで。
村の入り口の手前で、ぼんやり渓流の景色を眺めながら、のんびりしたひとときを楽しんでいた。
こんな時間もいいなぁ。
いつもは気にも留めない、当たり前の故郷の風景。
ゆっくりと眺めながら、胸の奥がうずうずする。
そんな些細なことにも感謝の気持ちを持てる、穏やかな時間。
涙が出そうになったけれど、嬉しい気持ちが勝って、微笑んで2人の方をそっと振り返る。
「ありがとう」の気持ちを込めて、見つめる。
そんな、ちょっと一休み。