青と藍と蒼と碧   作:藍澤 碧

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伝承を記した書物・・・

とは?






第二章  藍と蒼と碧
6 蒼火竜に候


「蒼火竜に候―!」

 

 

揃いの青い鎧兜や防具を身に着けた、勇ましい軍勢が声を上げた。

鎧や防具は革や金属の小板を強固に綴じ繋いであり、胴の部分は金属の板を身体に添うように湾曲させて作られているものも多い。

位の高い者の鎧は、肩や腰回りなど革よりも斬られにくい金属の小板を綴じ繋いだ部分が多く腕やすね当てなども金属でできており、より防御性に優れたものを着ている。

 

多くの者は刀を腰に下げている。

刀の多くはいわゆる、太刀である。

また人の背丈よりも長い木の軸の先に鋭い刃の付いた、槍を持つ者も多くいる。

 

兜にはこの地方名産の桐の木の花紋様の前立てが付いている。

青地の布に白く、その桐紋様を染め抜いたもの旗印として、軍勢のあちらこちらに軍旗として掲げられている。

また、その軍旗を縦長に細くして上部に桐紋様を染め抜いたものを戦闘の邪魔になりにくいよう小型化し、皆、背に掲げ自軍の兵であることを判るようにしている。

 

小板をかしゃかしゃと鳴らしながら、蒼火竜を名乗る青い軍勢は幅広い平坦な地を進行していた。

 

対するは、古より縁起物とされる橙を旗印に掲げた軍勢だ。

こちらは、当時一般的であった、特に統一されている訳ではない鎧兜や防具であったが、橙の軍旗を掲げているのは同様である。

 

両軍はその間をじりじりと縮めながら、互いに期を窺っていた。

 

 

 

「申し上げます!」

駆け込んできた兵士の声に、鈴菜はさっと振り返った。

「どうした!?」

「間もなく先鋒軍が全面衝突となります!そのすぐ後ろにはあの姿が・・・!!」

「眠鳥か!?」

「は!」

「なんと・・・。それでは、兵の半分をも失いかねない!」

蒼火竜の総大将、朱納に向き直って見上げるようにして鈴菜は言った。

「私が参ります!!」

 

美しい蒼い鱗の蒼火竜に乗った朱納はこの国の姫君であるが、自ら戦場に赴くほど利発で、文武両道の美しい女子であった。

 

それまで黙って聞いていた朱納が口を開いた。

 

「・・・やむを得ぬ・・・」

 

鈴菜の身を案ずるようかの様に顔を曇らせた朱納に、力強い声が飛んできた。

「鈴菜殿でしたら、眠鳥など蹴散らしてくれましょうぞ!」

朱納の幼い頃からの稽古相手でもある、誠之輔だった。

 

鈴菜はすぐさま応じる。

「誠之輔殿!心強いお言葉!いたみいる!」

 

意を決したように、朱納は命じた。

「必ずや、無事に戻って参れ!」

「は!」

力強く応えた鈴菜は、再び誠之輔に向き直り急いで言った。

「誠之輔殿!朱納姫さまを頼みましたぞ!」

「お任せ下され!」

軽い調子ながら、誠意のこもった力強い声で応じる。

 

「では!ご免!」

一礼すると、急ぎ前線に向かう鈴菜に、不安そうな視線を送る朱納。

「どうした?朱納」

「誠之輔・・・。わらわはどうも嫌な予感がしてならないのじゃ・・・」

 

 

 

 

 

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